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行動援護とは | 必要な資格、同行援護、移動支援との違いなど

テクニック
障害福祉サービスである行動援護とは、日常生活において必要な行動を自立してとることに困難を覚える人のサポートをするサービスです。制度の改正により、行動援護をするには資格が必要になりました。その他にも、同行援護、移動支援との違いやサービス利用開始までの手順などについて解説していきます。
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(1)行動援護とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348207

行動援護とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。

日常生活に必要な様々な「行動」面において著しい困難がある知的障害者、または精神障害者に対し、移動や行動においての支援を行います。

支援を行うヘルパーとしてこの行動援護に携わるのは、専門的な研修を受けた行動援護従業者です。

行動援護の支援内容

その際の具体的な支援内容は、

  • 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要なサポート
  • 外出時における、交通公共機関の利用など、移動面での介護
  • 排せつや食事といった、介助やそのほか行動面で必要とみなされる援助

など様々です。

(2)行動援護の目的

先述したように、行動援護とは、障害者総合支援法に基づいた、自立支援を支えるサービスです。

援護そのものが目的なのではなく、あくまで自立支援が目的なので、行動援護で最も大切なのは、本人の自立を促し、ひいては地域全体の自立生活力を高めるサポートです。

著しい行動面の困難があることにより、地域生活の継続が難しい方も、専門的な研修などを受けたスタッフが支援を行うことで、安定した地域生活の持続を可能とすることが目的といえます。

そのため、行動援護は単なる移動の安全確保による危険の回避にとどまらず、食事・排せつといった身体的介助やパニック時の対処など行動面における必要な援助を行うため、その内容は多岐にわたります。

(3)行動援護に必要な資格とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1471377

行動援護をするにあたって、行動援護従業者養成研修を修了することが求められます。

制度の改正により、平成30年4月1日以降より行動援護従業者養成研修を修了していることが必須要件となりました。そして知的障害児者もしくは精神障害者の直接業務1年以上の実務経験も必要です。

制度の見直しによる変更点

今までは、行動援護従業者養成研修の修了者以外にも、居宅介護従業者養成研修の修了者で2年以上の実務経験を有する方もヘルパーとして行動援護をすることが可能でした。

しかし、制度の見直しにより、今後は行動援護従業者養成研修の修了者以外は行動援護におけるヘルパーの要件を満たせなくなります。その一方、経過措置が2021年まで取られています。以下のリンクから経過措置の要点を確認できますので、チェックしてみてください。

大阪府 行動援護従事者の資格要件と経過措置について

(4)行動援護と同行援護の違い

行動援護と似たサービスで、行動援護としばしば混同されることの多いサービスに、同行援護というものがあります。よく似ていますが、大きな違いがいくつかありますので紹介します。

同行援護は視覚障害がある方が対象

同行援護も行動援護と同様、障害福祉のサービスになりますが、同行援護は視覚障害がある方が対象になるという点で異なっています。

視覚障害がある方は、視力や視野に障害があるため、道路情報や標識、看板など、日常生活を送るうえで重要な様々な視覚情報を受け取ることが困難になります。

そのため、同行援護を行うガイドヘルパーは視覚障害がある方の移動や介助についての研修を受ける必要があり、その研修を終えた人しか同行援護を行うことができません。

同行援護のガイドヘルパーの役割のひとつは「移動のための視覚的な情報の保証」であり、主に移動の際の道案内や安全の確保といった視覚情報の提供などを担います。

その他、「移動のための視覚的な情報の保障」という役割に基づき、移動中や目的地における代読・代筆などの役割も行うことができます。

同行援護は身体介助の支援を受けることができる

また条件を満たした場合のみ、排せつや食事の身体介助の支援を受けることができます。

条件とは、障害支援区分が区分2以上であることと障害支援区分の調査項目で支援の必要性が認められる場合です。

具体的には調査項目の「歩行」の欄に「全面的な支援が必要」と認定されているか、「移乗」、「移動」、「排尿」、「排便」の4項目のうち1つでも「できる」以外のチェックを行った場合が身体介助の対象となります。

(5)行動援護と移動支援の違い

市町村間で統一されているか、されていないか

移動時のサービスということで、類似したものに移動支援があります。しばしば混同して用いられていることもある両者の違いについて、ここでは解説します。

サービスの基準が市区町村ごとに差異があるかどうか

まず、大きくいって市区町村ごとに差異があるかないか、という違いがあります。

行動援護や同行援護が全国どの市区町村でも同じ基準に基づきサービスが受けられるのに対し、移動支援は利用対象者や内容が市区町村によって異なります。

これは、移動支援が厚生労働省より各自治体に委託を行っているサービスであることに起因しています。そのため、対象や1か月に利用できる時間の上限などが地域の実情に合わせて決められていきます。

移動支援の内容は行動援護と似ていて、移動が困難な障害者を対象にガイドヘルパーが外出の支援を行うサービスのことを指します。

その目的は行動援護と同様で、障害があっても地域で自立した生活を送っていくことを目指すべく、移動支援を活用し、冠婚葬祭など、社会生活上欠かすことのできないイベントをはじめ、余暇活動などの外出支援が移動支援を通じて行われます。

移動支援は障害の等級や種別、支援区分にかかわらず利用が可能なサービスで、障害種別や障害者手帳の有無にかかわらず、自治体に申請し受給者証を発行してもらうことで利用が可能となります。

利用の際の注意点

利用の際の注意点としては、

  • 自治体によって、利用対象者とする障害種別が異なることがある点
  • 自治体によってサービスの基準が違っていたり、利用時間数の上限の制約が存在する場合がある点

などが挙げられます。こういった点が、行動援護とは異なる点とも言えます。

なお、先述したように、移動支援には自治体により様々なサービスがあるのですが、それらを体系化すると、主に3つの類型があるといえます。

個別支援型

マンツーマンでの支援を提供するものです。移動は公共交通機関を使い移動を行います。

グループ支援

複数人を対象に目的地が同じ場合や同じイベントに参加する場合など同時に支援を行うというものです。

車両移送型

福祉バスのように、巡回による送迎の支援のことを指します。どうしても体調がすぐれないときや、歩行が難しい状態の際に利用されることが多いです。

(6)行動援護に関する報酬体系が平成30年から改正される

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2284802

障害福祉サービスにおいて、平成30年度に大きな報酬改定があり様々な福祉サービスの制度や報酬が大きく変化しました。

それによって、行動援護においても同様でいくつかの変更がありました。

資格要件の変更

ひとつは、先ほども記述した行動援護ヘルパーとサービス提供責任者の資格要件についてです。従来は、行動援護従業者養成研修を終了してなくも、研修終了したとみなす経過措置が平成30年3月30日までを期限にとられていました。しかし、修了者の数の状況を踏まえ2021年まで3年間経過措置が延長されました。

支援計画シート・支援手順書兼記録用紙の義務化

もうひとつは、こちらも以前から経過措置が取られていたもので、「支援計画シート」及び「支援手順書 兼 記録用紙」が作成されていない場合でも通常の報酬が算定されていました。

しかし、平成30年の報酬改定により、経過措置の延長がなくなったこと、「支援計画シート」及び「支援手順書 兼 記録用紙」が未作成の場合は所定の単位数から5%減算されることが示されました。

(7)行動援護のサービス内容

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/7521

基本は生活介助

先述したように、行動援護の具体的なサービス内容として挙げられるのは、行動において著しい困難がある方に対する外出の支援や移動中の介護、排せつ・食事などの介護を行うことです。

予防サービスや、緊急時の処置も

その他には、行動面の特性などを理解し、初めての場所で精神的に不安定になり問題行動党が出ないように予防的な対応を行うことも含まれます。

また、問題行動やパニックなどの行動障害が出た場合などに適切に収める制御的な支援も行います

食事を一人で行うことが難しい人への介助や、便意の認識がない人への排せつの支援といった身体介護的な対応なども行います。

行動援護の対象になる外出は原則として1日以内で終えることができる内容になります。通院や公共施設へのお出かけの援助のほか、公園での散歩やプール、水族館、映画館、イベント参加など様々な外出の際に利用することができます。

基本的にサービス利用者が希望する場所に訪れることができますが、社会通念上不適切と思われる場所への外出の同行には利用できないこととなっています。

(8)行動援護の対象者

利用するサービスによって多少の違いはあるものの、行動援護の利用対象は、基本的に行動に著しい困難を有する知的障害や精神障害のある方です。

具体的には、

  1. 障害支援区分が区分3以上
  2. 障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上当てはまる

という2つの条件を同時に満たしている方が対象になります。

行動関連項目とは、

  1. コミュニケーション
  2. 説明の理解、
  3. 大声・奇声を出す
  4. 異食行動
  5. 多動・行動停止
  6. 不安定な行動
  7. 自らを傷つける行為
  8. 他人を傷つける行為
  9. 不適切な行為
  10. 突発的な行動
  11. 過食・反すう等
  12. てんかん発作の頻度(医師意見書による)

の12項目です。これらの項目を0~2の3段階で点数化します。

行動援護は障害者・障害児どちらも利用可能なサービスで、障害児の場合は上記と同等の困難が心身に認められる場合、利用が可能です。

(9)行動援護の利用料金

利用者が負担する料金は基本、報酬額の1割になります。

この報酬額とはサービス事業者が受け取れる額のことを言い、その額はサービスの種類によって決められています。たとえば報酬基準が1時間で1000円と決められている事業所のサービスを3時間利用した場合は報酬額は3000円となります。利用者はこの報酬額の1割を基本は負担することになるのでこの場合は利用料が300円となります。

ここで知っておかなければならないのは、この利用者負担には月ごとに上限があるということです。

この上限額は18歳以上の場合は利用者とその配偶者の所得、18歳未満の場合は保護者の属する世帯(住民基本台帳上の世帯)の所得の応じて異なってきます。

上限額について

詳しい上限額は次の通りです。

生活保護受給世帯の自己負担上限額

負担額はありません。

低所得世帯の自己負担上限額

ここでの対象者は3人世帯でかつ、障害者基礎年金1級受給の場合、概ね300万円以下の収入の世帯としています。

生活保護受給世帯と同じように負担額はありません。

一般1

一般1は概ね600万円以下の収入の世帯を対象としています。

負担上限額は9300円です。

一般2

一般2は上記以外を対象者としています。

負担上限額は37,200円です。

(10)行動援護のサービスを利用するための手順

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/356969

行動援護を利用するためには申請や手続きが必要になります。その流れをまとめていきたいと思います。

  1. 行動援護の必要性を感じたら、まず市役所や相談支援事業所に相談し市役所窓口への利用申請を行います。
  2. 次に、サービスの利用時にサービス等利用計画が必要になるため、指定相談支援事業所に依頼しサービス等利用計画を作成してもらいます。
  3. その後、支援の必要性や状況判断のため、市役所職員による生活状況や心身の状況把握の調査を面談にて行います。その調査をもとにどのくらい障害福祉サービスの利用が必要なのかという障害程度区分の認定が審査会にて行われます。
  4. 区分が決定されたのち、必要なサービスの意向の聞き取りや調整を行います。その際にサービス等利用計画が必要になりますので市に提出します。
  5. 利用計画が受理されたのち、サービス利用の決定がなされ、障害福祉サービス受給者証が発行されればサービスの利用開始ができます。
  6. 利用したい事業所と契約が必要になるので、連絡・調整を踏まえた決定後、サービス利用が開始となります。

(11)行動援護について理解してサービスを利用してみよう

行動援護は行動面に著しい困難がある障害者に対し専門的な支援を行い地域生活のサポートを行うサービスです。

ご本人とっても保護者の方にとっても、日常生活で必要な行動が困難であることの大変さを理解してくれ、サポートしてくれる人が増えるのはとても心強いことではないでしょうか?

外出や社会参加に対する不安がある方も、もっと活動の幅を広げたい方も行動援護というサービスを活用し生活の幅を広げてみるのはいかがでしょうか。

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