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【保存版】労働基準法上の退職ルール3つとトラブルへの対処法を解説

就職・転職
労働基準法を正しく理解することは、退職をする際に大きなトラブルが起きても対処できるようにするためには非常に重要になります。本記事では、損害賠償や有給休暇を消化できないといったトラブルに巻き込まれないよう、スムーズに退職できるための、労働基準法上での退職に関する規定に関して詳しく説明していきます。
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(1)労働基準法における退職とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/349260

社会人として勤務していると、多くの人が一度は考える「退職」ですが、そのパターンには様々なものがあります。法律により、その定義が変わることもあるのです。

勤労に関する主な法律の一つである労働基準法上の退職の定義は、「労働者の意思に基づく労働契約の一方的な解約」です。

すなわち、労働者の意思による退職は原則自由であって、会社側がこれを拒否することは基本的には認められていないのです。

しかしながら、民法において退職のルールが規定されていることから、労働基準法上の規定だけにのっとり、個人の都合で勝手に退職することはできないことが示されているのです。

1つは期間の定めのない雇用契約の場合で、もう1つは期間の定めのある雇用契約の場合です。まずは、それぞれの場合の退職ルールについて、以下で詳しく解説していきます。

この2つのケースにおいて、それぞれ労働基準法の「労働者の意思による退職は原則自由」というルールが適応されない場合がいくつかあるのです。

(2)労働基準法における退職のルール① 期間の定めのない雇用契約の場合

まず、期間の定めのない雇用契約、すなわち正社員として毎日出社する立場にある勤労者の場合における、退職に関するルールをみてみましょう。

民法では、「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」と規定されています(民法627条1項)。そのため、少なくとも退職する二週間前までには、会社に退職したい旨を伝えていなければいけません。この期限を守らないと、場合によっては会社から損害賠償請求がなされる恐れもあるので注意が必要です。

加えて、会社が月給制の場合は退職期間の前半までに、年俸制の場合は三カ月前までに退職する旨申し入れることが必要です。

(3)労働基準法における退職のルール② 期間の定めのある雇用契約の場合

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/336904

では、期間の定めのある雇用契約の場合はどうでしょうか。

会社との雇用契約で、いつからいつまで働くという期間を定めている場合は、原則契約期間途中での退職はできません。

ただし、民法では「やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。」と定められています(民法628条)。

この場合のやむを得ない事由については法律上の定義はありませんが、例えば祖父母の介護のためといった、家庭などといった、冠婚葬祭や家庭の事情といった事由は当てはまる場合が多いといえます。こうしたケースにおいては、会社との間で合意が得られれば退職することは可能です。

しかし、この合意がないまま退職してしまうと、損害賠償請求がなされる恐れがあります。ただし、労働基準法では、契約期間の初日から1年以降であれば、自分の意思で自由に退職できる旨規定されています(労働基準法137条)。

(4)労働基準法のおける退職のルール③ 就業規則よりも民法のほうが優先される

会社の就業規則では、概ね一カ月前から三カ月前までには退職の申入れが必要としているところが多いです。しかし民法では、二週間前までとなっています。就業規則と民法、どちらが優先されるのか迷う方も多いでしょう。結論としては、就業規則よりも民法の方が優先されます。

原則二週間前までに会社へ退職の意思を伝えれば、退職は可能です。しかし業務の引き継ぎや、新しい人員の補充には時間がかかるため、二週間では足りない場合もあるでしょう。

そのため、退職後も残る社員など接点持知続ける場合などを見越して、円満に退職するためには、そういったことも含めて十分な期間をもって退職の申入れを行うと良いでしょう。

(5)退職時によくあるトラブルと労働基準法との関係 会社が退職を拒否する場合

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/815

法律上では二週間前までに退職の意思表示をしておくことで、退職することは可能です。

しかし、会社もしくは上司が退職を拒否する場合、もしくは拒否とまではいかないまでも、退職に関して難色を示されるケースなども考えられます。さらにいえば、退職の意思表示を示したにも関わらず、後になって会社から退職することを聞いていないなどと言われてしまう場合も考えられます。

このような会社からの圧力により、退職ができなくなってしまった、といったようなトラブルが起こらないよう、退職の意思表示についてはきちんと証拠を残しておくことが大切です。

証拠を残すためには、

  • 直属の上司や人事課長へメールを送る
  • 退職届を「配達証明付き内容証明郵便」で会社に送付する

などの方法が有効だと考えられます。

退職の最低二週間前までにこういった方法などで証拠を残しておけば、会社から退職を拒否されても退職することが可能です。

(6)退職時によくあるトラブルと労働基準法との関係 有給消化が認められなかった場合

退職する際、消化しきれなかった有給休暇を消化したい、と考える人は多くいらっしゃるでしょう。しかし、このタイミングでも会社や上司により難色を示される可能性があります。

上司などに指摘をされると、退職前ということもあり、有給休暇の申請を取りづらい心情になるかもしれません。

しかし、労働基準法上では、従業員が有給休暇の申請を行えば無条件で取得することが可能なのです。勤務年数に応じて規定の有給休暇が付与される、ということが法律で定められていることだからです。

会社が拒否しようが上司が文句を言ってこようが、法律上では可能である旨が示されているので、退職前に有給消化をしたい、と考えている人は、今一度「有給休暇の取得は、法律上無条件で認められている」ことを頭に入れておきましょう。

(7)退職時によくあるトラブルと労働基準法との関係 退職金がもらえない場合

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/341727

退職をする際、会社から退職金がもらえないという例もあります。この場合、二つのケースが考えられます。

退職金制度が存在しない会社の場合

一つは、会社に退職金制度がない場合です。退職金制度の導入は、労働基準法では規程されていません。そのため、会社によっては退職金制度が導入されていないところもあるのです。

退職金制度が導入されていない会社に対しては、退職金を請求することはできませんので、その場合は素直に退職金はあきらめましょう。

制度はあるものの、会社側が拒否している場合

もう一つは、退職金制度があっても会社が拒否している場合です。会社の就業規則や雇用契約等で退職金制度が規定されているのであれば、退職金を請求できる可能性があります。

会社が拒否して申請が難しい場合であれば、弁護士等専門家へ依頼して手続きを行うことをおすすめします。その際、タイムカード等会社で労働していた事実が分る証拠と、就業規則等退職金制度を証明できる証拠を必ず準備しておきましょう。

(8)退職時によくあるトラブルと労働基準法との関係 労働条件が異なる場合

晴れて退職をすることができたとしても、転職先の会社でありがちなトラブルの一つが、「入社後の労働条件が、入社前に知らされていた労働条件と異なる」というトラブルです。

例えば、残業は基本的にないと言われていたのに、毎日残業ばかりで定時に帰れないなどのケースが考えられます。

労働基準法では、「労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」(労働基準法15条2項)とされています。その際、確認すべきは、労働条件が明記されている「就業条件」です。その内容と業務の実態が異なる場合、すぐに退職することが可能です。

この規定は、正社員やアルバイト等雇用形態に関わらず適用されるので、転職か否か、正社員かアルバイトかにかかわらず、すべての勤労者は、まず「就業条件」に関する契約書にサイン・捺印をする前に、必ず自身が面接などで言われていた条件とすべて合致しているかどうかを必ず確認するようにしましょう。

そのうえで、仮に規定された労働条件と現状に相違がある場合は、「無条件で労働契約を破棄する(=退職する)」という選択肢を持っていることを頭にいれておきましょう。

(9)労働基準法にそった正しい退職手続きのながれ

労働基準法にそった退職手続きのながれを、正しく把握しておきましょう。

会社へ退職の意思を伝えるのは、法律上では二週間前となっています。しかし業務の引継ぎや手続き等のことを考え、可能であれば一カ月以上前に伝えるのが良いでしょう。この際、同時に退職願も提出します。

この時会社が退職意思を拒否した場合は、退職届を内容証明で送り、退職の意思表示をした証拠を残しておきましょう。期間に定めのある雇用契約の場合は、契約期間中に退職するのであれば、やむを得ない事由などについて会社との間で同意を得ておくことが必要です。

退職の意思を伝えたら、業務の引き継ぎ等行います。具体的な退職までの日程や、有給休暇の消化についても話し合っておきましょう。その後、会社で退職の手続きが行われ、退職となります。

(10)労働基準法の退職における規定を理解することがスムーズな退職につながる

退職する際、会社とトラブルになるケースも多くみられます。そういった事態を避けるため、労働基準法の退職についての規定を正しく理解しておくことが必要です。会社側が退職を拒否したり、有給休暇を消化させなかったりしても、法律上は可能なのです。

退職に関する法的な規則について知っておくことにより、何かトラブルがあった際でも、スムーズに対処することができます。できる限り会社と波風を立てない形での退社となるよう、労働基準法や民法などについて、今一度確認してみましょう。

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