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(1)退職話の切り出し方と場所は
退職話の切り出し方としては、あまり重々しくなりすぎないようにすることがポイントです。
いきなり「重要なお話があります」と切り出すと、相手も驚いたり警戒したりして、話がスムーズに進まないことがあります。もちろん「退職について相談があります」というような直接的な切り出し方もあまりよくありません。
また退職話は事前に周囲に漏れないように気をつける必要もあります。できるだけ二人きりになれる会議室や個室などの場所に移動して相談してください。
相手の時間が空いているときや、終業後などのタイミングを見はからって、「少しお時間をいただけますか」「相談に乗っていただきたいのですが」などと自然な切り出し方を心がけましょう。
つかまりにくいときは、メールで事前にアポイントメントを取っておくとよいでしょう。
(2)退職を切り出す相手の順番は
退職を切り出すときには、まず最初に自分の直属の上司に相談しましょう。
それ以前にほかの同僚などに相談すると、うわさだけが社内に広まってしまうことがあります。それが不審や混乱をまねき、結果的に会社に迷惑をかけることにもつながってしまいます。
また、いきなり社長に退職を切り出すのもよくありません。直属の上司を飛ばすことは失礼にあたり、その管理能力にも疑いが持たれてしまうからです。
正しい退職の手続きの流れは、以下のようになります。
まず部下から相談を受けた上司は、それを部長や社長などに報告します。そこではじめて正式に退職が決定され、同時に後任や引き継ぎなどが検討されます。その準備がととのったところで、社内にも広報されることになります。
切り出し方の順番としては、このように会社側がすべての手続きを終えてから、最後に同僚に伝えることになります。
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(3)退職を切り出すタイミングは
労働基準法によると契約期間が決められていない労働者は、いつでも退職を申し出ることができるとされています。この場合申し入れから2週間経てば、自動的に契約は終了となります。
つまり少なくとも2週間前に退職を切り出しておけば、希望日にはかならず間に合うタイミングとなります。
ただし、これはあくまで法律上での話です。退職者が出ると、会社側としてもさまざまな対応を取らなければいけません。たとえば引き留めの交渉や、退職後の体制、仕事の引き継ぎの準備などです。これらにかかる時間を加味すると、だいたい1.5〜3ヶ月ぐらい前に申し出るのが、常識的な退社の切り出し方といえるでしょう。
有給を消化をする場合は、その分も加算しておいてください。また、繁忙期は会社側にとっても退職者を出したくないので、その時期はずらしておくほうがよいです。このように協力的な姿勢を見せることで、よりスムーズに退社を進めることができます。
退職のルールについては、それぞれの会社の就業規則にも記されているので、よく確認しておいてください。
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(4)退職を申し出る前にしておきたいこと①退職の期限をきめる
退職を申し出る前に、まず自分がいつまでに退職したいのかをよく確認しておきましょう。
その点がはっきりしていない切り出し方だと、後任選びや引き継ぎなどを理由に、ずるずると会社側に引き留められてしまうケースもあります。
特にすでに転職先が決まっている場合は、その入社日に間に合うようにスケジュールを決めておかなければいけません。もしも間に合わないような事態になれば、せっかくの内定も無駄になってしまいます。
スムーズに退社を進めるには、できるだけ会社側の都合に譲歩した切り出し方が必要です。その点もふまえて、自分の期限に余裕を持たせたタイミングで切り出しましょう。
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(5)退職を申し出る前にしておきたいこと②退職理由を整理する
できるだけ前向きに、自分がやりたい事を中心に伝えるよう意識しよう
退職をする際には、必ずその理由が必要となります。このとき気をつけておきたいのが、けっして会社に対してネガティブな理由だけを述べないことです。
あくまで上司は会社に属する人間なので、不平や不満をぶつけられてはあまりよい気分にはなりません。それが原因で話がこじれ、退職がうまくいかない可能性も出てきます。
また逆に、「不満な点は見直すから」と、引き留められるケースも考えられます。
スムーズに退職を進めるためにも、できるだけ相手が受け入れやすい切り出し方を考えておくことが大切です。
- たとえば、ほかにやってみたい仕事ができた
- 新しい環境でキャリアアップに挑戦したい
といった理由は前向きな印象をあたえます。あるいは、結婚や転居、病気、介護といった家庭のやむをえない事情も、角が立たないでしょう。
あきらかな嘘は、あとでよけいに話がこじれる可能性もあるのでやめておきましょう。実際に、なぜ自分が退職したいと思うようになったかを見つめなおし、それを前向きな形で伝える切り出し方を考えておきましょう。
(6)上司への切り出し方のポイント
落ち着きと意思表示のバランスをとること
上司への切り出し方で意識すべきポイントの一つとして、まず「落ち着きをもって伝える」ということが挙げられます。
たとえば、あらかじめ日付を指定して「退職させていただきます」などという切り出し方は、とても一方的な物言いに聞こえます。それが相手の心象を悪くして、かえってスムーズに転職が進まなくなる可能性があります。
あくまでも相手の反応をうかがいつつ、「退職させていただきたいと考えているのですが」と、物腰のやわらかい切り出し方を心がけましょう。ただし、それを意識しすぎて逆に退職の意思が隠れてしまうのもよくありません。
たとえば、「退職しようと検討しているのですが…」、「退職について相談があるのですが…」といった切り出し方では、まだ迷いがあるようにも受け取れます。それが相談ベースととらえられ、残ったほうがよい、辞めるべきではない、と説得される可能性も出てきます。
あくまでも退職の意志ははっきり示しつつ、タイミングをうかがって希望日なども伝えるようにしましょう。
(7)同僚への切り出し方のポイント
会社や上司に正式に伝えた後に伝えること
同僚への退職の切り出し方のポイントは「話を伝えるのはもっとも後回しにする」ということです。これは、いくら個人的に親しい相手だとしても変わりません。
というのも、先に同僚へ退職を告げることで、それがうわさ話として社内に広まってしまう可能性があるからです。
基本的に、退社を最初に伝えるべき相手は自分の直属の上司です。それが先にうわさ話として耳に入ってしまうことは、とても失礼なことにあたります。また、実際とは異なる理由や誇張された事情などが、会社側に伝わってしまう可能性もあります。
こうなると、自分から退職を切り出しづらくなり、職場でも同僚の目が気になる雰囲気が生まれてしまいます。
したがって、同僚に退職を切り出すのは、かならず会社側の手続きがすべて終わるのを待ってからにしましょう。正式に退職が決まれば、引き継ぎなどで同僚に伝える必要性も出てきます。そのもっともよいタイミングを、上司や会社とも相談しながら決めていきましょう。
退職することを正式に伝え終えたら、同僚に伝えるようにしましょう。退職の挨拶メールについては、以下の記事をご参考ください。 |
(8)新卒社員の退職の切り出し方で注意すること
新卒社員が退職するときには、通常よりさらにデリケートな切り出し方が必要となります。
そもそも、新卒社員というのはまだ会社側からも働き手としては見られていません。あくまで将来への投資として、これからさまざまな業務や技術などをおぼえてもらう段階にあります。
そのため、会社側としても新卒社員の退職はより強く引き留めようとする傾向があるのです。
新卒社員の切り出し方では、そのような会社側の事情にも十分配慮して、感謝の言葉なども忘れないようにしましょう。いくら退職の意思が固いからといって、はじめから一方的な態度でのぞんだり、ネガティブな理由を持ち出したりすると、会社側も態度を硬化させてしまう可能性があります。
一方で、引き留められないようにはっきりと退職の意志を示すことも大切です。相手の反応をうかがいつつ、具体的な退職時期なども伝えていきましょう。
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(9)切り出す時に退職届を出してもいいのか
退職届は最後の手段と捉える
「退職届」とは、従業員側から雇用を解消したいときに会社に提出する書類です。これを提出することで、会社の意向にかかわらず、2週間経過した時点で退職が法的に成立します。
どうしても退社が認められないときには、この退職届を最後の手段とする場合もあります。
逆に、円満退社の可能性が高いと感じるようなら、この退職届を最初に提出する必要はありません。まず上司に退職の相談をして、それが会社に認められ、正式に解約が成立した段階で提出するようにしましょう。退職届は、会社によって規定や提出先なども異なります。実際に提出するさいには、その点もよく確認しておいてください。
一方、「退職願」というのは、会社に対して退職を申し出る書類です。こちらは、会社側がそれを受理しないかぎり、効力を発することはありません。また、書類ではなく口頭だけで伝えることも可能です。
切り出し方の順番としては、まず上司に相談をして、それが認められたところで、あらためて退職願を出すようにしましょう。
退職は自分だけの問題ではありません。うまく行わないと後任選びや引き継ぎなどで、会社や同僚にもさまざまな迷惑をかけることもあります。
(10)ポイントをおさえた切り出し方が円満退社につながる
できるだけスムーズに話を進めるためにも、まずは退職の切り出し方からしっかりポイントをおさえておくようにしましょう。それは同時に、会社の事情や考えを理解して、同僚が働きやすい雰囲気を壊さないということにもつながっています。
どうせ退社するのだからと投げやりになることなく、誰にとっても気持ちのよい切り出し方で円満退社を心がけましょう。