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企業の障害者雇用とは|関連する法律や助成金の種類、メリットなど

就職・転職
日本では、障害者の雇用率はまだまだ低いといえます。障害者の雇用を促進するために、障害者雇用促進法が整備されました。企業側は、障害者を雇うことで助成金を得ることができる、作業が効率化される、社員の価値観が広がるなどのメリットがあります。積極的に障害者雇用に取り組んでいきましょう。
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(1)障害者雇用の背景

2018年の4月に厚生労働省が公表した推計によると、日本人口全体における障害者の割合は約7.4%となりました。2013年の約6.2%から大幅な増加となります。

国が定義する「障害者」には、以下の3分類のいずれかに属することになります。

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者

日本には、身体障害者として届け出をした方は約436万人、知的障害者として届け出をした方は約108万2千人、精神障害者として届け出をした方は約392万4千人と数えられると考えられています。障害者割合の増加の理由は、高齢化の進行による障害者の増加と障害に対する認知が進んだことだと考えられています。

これらの人々の社会への参加、そして自立を促すための制度は、すべての国民が自分らしく、充実した生活を送れるようになるために、必要不可欠なものであると言えます。厚生労働省も障害者雇用促進法などにより企業に障害者の雇用を働きかけています。

(2)障害者雇用の現状

2018年時点で、一定以上の規模を持つ企業は全従業員数の2.2%以上の障害者を雇用することが義務付けられており、未達成企業には納付金の徴収という罰則が課せられます。

2017年の統計において日本全体での障害者の実雇用率は1.97%であり、法定雇用率達成企業の割合は50%です。これらの数字は年々増加していますが、まだ十分とは言えません。

障害者雇用が思うように進まない理由は「企業側のノウハウ不足」が大きな要因の一つです。

企業に雇用の意思はあってもニーズに合った人材と出会えない、どのような作業に就いてもらえるか見当がつかないなどの声が上がっています。また、この問題は障害者側にとっても現場での理解不足やコミュニケーション不足により早期退社に追い込まれることにつながってしまいます。

これらを社会全体で解決していくことが今の日本に求められています。

(3)障害者雇用促進法とは


出典:https://www.photo-ac.com/

厚生労働省は障害者雇用促進法の目的を「障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、職業リハビリテーションの措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ること」と公表しています。

その概要は事業主に対する3つの措置と障害者本人に対する1つの措置で構成されています。

1つ目の措置

事業主に課せられる1つ目の措置は障害者雇用率制度です。障害者雇用促進法は「事業主に対し、障害者雇用率に相当する人数の障害者の雇用を義務づける」ことを定めています。

2つ目の措置

事業主に課せられる2つ目の措置は障害者雇用納付金制度による「障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整」です。雇用率未達成の事業主に対して障害者雇用不足数に応じた納付金の徴収が行われます。

3つ目の措置

事業主に課せられる3つ目の措置は障害者雇用納付金制度による「障害者を雇い入れるための施設の設置、介助者の配置等に助成金を支給」することです。障害者を雇用する事業主に対して各種助成金が支給されます。

障害者本人には職業リハビリテーションの実施という措置がとられています。「地域の就労支援関係機関において障害者の職業生活における自立支援」が行われています。

(4)障害者雇用のルール① 障害者雇用納付金制度

企業が障害者を雇用するためには施設や設備の準備や改善などの経済的負担が発生します。そのため障害者雇用率制度を遵守している企業としていない企業の間に経済的な不平等が発生してしまいます。

その経済的なアンバランスを改善するために障害者雇用納付金制度が定められているのです。

障害者雇用率未達成の事業主は不足する障害者雇用1人あたり月額5万円が徴収されます(常用労働者100人超200人以下の事業主は障害者雇用1人あたり月額4万円)。また障害者雇用率達成の事業主は超過する障害者雇用1人あたり月額2万7千円が支給されます。

(5)障害者雇用のルール② 障害者雇用率制度

就業と雇用こそが障害者の自立と社会参加にとって最重要なファクターです。

そのため、障害者が地域社会に参加する共生社会の理念の下に、すべての事業主に全従業員に対する障害者雇用の法定雇用率が定められています。

障害者雇用率は2017年度までは民間企業において2.0%、国、地方公共団体において2.3%、都道府県等の教育委員会において2.2%と定められていました。

しかし2018年4月より各区分において0.2%ずつ引き上げられ「民間企業において2.2%」、「国、地方公共団体において2.5%」、「都道府県等の教育委員会において2.4%」と改められました。また2021年4月までにさらに0.1%引き上げられることが決定しています。

併せて2018年4月から対象となる事業主の範囲が従業員50人以上から45.5人以上に広がりました。

(6)企業が障害者を雇用すると助成金が支給される


出典:https://www.photo-ac.com/


障害者雇用促進法は障害者を雇用する企業に対して、以下のような様々な助成金を支給しています。

障碍者 種類

①特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース

高齢者や障害者などの就職困難者を一般被保険者として継続雇用する事業主に対して支給されます。

②特定求職者雇用開発助成金 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害者や難治性疾患患者を一般被保険者として継続雇用する事業主に対して支給されます。

③特定求職者雇用開発助成金 障害者初回雇用コース

障害者雇用未経験の企業が法定障害者雇用率以上の障害者を雇用した場合に支給されます。

④トライアル雇用助成金

障害者を試行的に雇い入れる場合、または週20時間以上の勤務が難しい障害者の週20時間以上の勤務を試行する場合に支給されます。

⑤障害者雇用安定助成金 障害者職場適応援助コース

職場適応援助者を必要とする障害者に対して、職場適応援助者を配置し支援する事業主に対して支給されます。

⑥障害者雇用安定助成金 中小企業障害者多数雇用施設設置等コース

中小企業が障害者を新たに雇い入れ、継続雇用する計画を作成した場合に、その計画に基づいた施設の設置に対して支給されます。

⑦障害者雇用納付金制度に基づく助成金

事業主が障害者を雇用するにあたって作業施設、福祉施設の設置、介助や通勤などを助ける措置を講じる場合に支給されます。

⑧人材開発支援助成金

障害者の職業能力開発、発展を目的とした施設を設置、整備する事業主に対して支給されます。

⑨障害者職場定着支援コース

障害者の職場定着支援計画を作成して、それに則った措置を行った事業主に対して支給されます。

(出典:厚生労働省・障害者を雇い入れた場合などの助成

(7)障害者雇用に関する、障害者側のメリット

障害者雇用促進法により企業の障害者採用意欲は確実に高まっています。納付金や助成金のおかげで雇用環境も段々と改善されてきました。

自らの障害をオープンにして就業することで職場や同僚からの配慮も得られて、働きやすくなります。また病気のことを隠すことで生まれるストレスや気遣いを軽減して働くことができます。

(8)障害者雇用に関する、雇用主側のメリット

障害をもった労働者は企業の戦力となります。汎用的な作業は難しくても、自らに適した持ち場において大きな力を発揮してくれます。

また障害者を雇う上で行う作業の効率化やマニュアルの整備は障害者本人だけではなく企業全体の効率を高めてくれることがあります。

また障害者雇用率未達成の企業には納付金の徴収だけではなく行政の指導が入り、企業名を公表されることがあります。それによりCSR(企業の社会的責任)を社会に問われることになる可能性があります。

それらを避けるためにも障害者を雇用することは企業にとって大きなメリットとなります。

(9)障害者雇用の抱える課題


出典:https://www.photo-ac.com/

障害者にはまだ偏見の目があり、雇用に二の足を踏む企業も少なくありません。

また助成金があるとはいえ、施設の設置や整備は企業にとって大きな負担となります。企業が障害者雇用を実施するより納付金を収めたほうが利益につながると判断するケースも多く見受けられます。

また同じ職場でともに働く人にとっても、接し方の問題や健常者との待遇の違いなどで不満が募るなどの問題が起こりえます。

さらに障害者が割り振られる作業は社内の清掃、書類の仕分けなど本業とは離れた間接業務となることが多くなります。そのような作業は、やりがいを感じにくく障害者の早期離職の理由の一つとなっています。

そして2018年に発覚した省庁や地方自治体における障害者雇用水増し問題も障害者雇用に対して負の印象を抱かせることにつながりました。率先して障害者雇用促進法を遵守するべき国公組織が不正を働いていたことで民間企業の障害者雇用にも悪影響が心配されています。

(10)障害者雇用をしようと思ったら

企業が障害者雇用を行うためにはまずハローワークや障害者就業・生活支援センターへ連絡することが第一歩となるでしょう。求める人材を相談することで、設置する必要がある設備や雇用までの流れ、雇用後のアフターケアまで全てを任せることができます。

また障害者雇用促進法をしっかりと確認した上で助成金の支給を受け、障害者を採用したあともしっかりと関係機関と連携をとることでミスマッチや早期離職を未然に防ぐことに努める必要があります。

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