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介護現場の良好な人間関係が、良質なサービスを生み出す

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介護士が仕事を辞める主な理由をご存知でしょうか。給与の安さ?仕事内容のキツさ?どちらも違います。介護士が仕事を辞めた理由でもっとも多く挙げられた意見は「職場の人間関係に問題があったため」でした。どれだけ給料が良くても、人間関係がギスギスして苦痛を感じるような職場では働きたくない、というのが多くの介護士の意見なのでしょう。ではどうすれば良好な人間関係が築けるのでしょうか。
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(1)人間関係は離職率だけでなくサービスの質にも影響する

毎年介護労働安定センターによって「介護労働実態調査」が行われています。

平成27年度の調査結果として、介護関係の仕事を辞めた一番の理由に「職場の人間関係に問題があったため」(25.4%)が挙げられていました。

また同調査によると従業員が不足していると答えた事業所は全体の61.3%に上り、運営上の課題として「人材確保・定着のために十分な賃金を払えない」(53.8%)、「良質な人材の確保が難しい」(53.6%)が並んでいます。

この調査からは職場の人間関係が悪化することで、サービスの担い手である介護士の数が不足し、満足のいくサービスを提供できていない現実が浮かび上がってきます。

実際に労働条件の不満として「人手が足りない」(50.9%)が一番に来ています。

ここからは人間関係が悪化して人が辞め、新しい人が入らないため忙しくなり、さらにギスギスした関係になる、という負の循環を見て取ることができるでしょう。十分な人がいなければサービスの質が低下するのは必然といえます。

(2)介護の現場で人間関係が悪くなりやすい理由とは

なぜ介護の現場ではこれほどまでに人間関係が重要視されるのでしょうか。またそれにもかかわらずなぜ人間関係が悪くなりがちなのでしょうか。

理由① チームプレーだから

1つ目の質問の答えは、介護がチームで行う仕事だからといえます。一人の利用者に対して多職種共同で働きかけるのが介護です。一人一人が自分の役割を果たすだけでなく、お互いに働きやすい環境を作り出すことで、持っている力以上のものを発揮できることもあります。

介護士同士あるいは介護士と看護師、PTやOTがお互いの仕事に理解を示し尊重することで、自分たちが働きやすくなるだけでなく、サービスの質も向上します。介護においてサービスの質と良好な人間関係は不可分といえるのです。

理由② 仕事の伝達ミスなどによる信頼関係の亀裂

2つ目の疑問をみてみましょう。介護現場には人間関係が悪化しやすい構造があります。それは仕事がシフト制であることが大きく関係しています。

悪意のないミスや伝達漏れなどによって生じた亀裂も、すぐに解消しなければ大きなものとなるでしょう。

介護はチームプレーでありながら、同じチームを構成するメンバーと会う機会が少ない仕事です。施設では夜勤のすれ違い、在宅のホームヘルパーでは就労時間の違いなどで1週間や2週間顔を合わせないことも日常茶飯事です。

このような環境下で生じた亀裂は修復する機会が与えられないまま放置されがちで、当人たちのあずかり知らぬところで拡大していることもあります。

(3)良好な人間関係を作るために私たちができること

良好な人間関係が重要でありながらも維持することが難しい介護現場で、事業所はなにができるでしょうか。

まずは企業理念を明示し徹底させることから始めるとよいでしょう。

一見すると人間関係とは関わりのないことのように思われますが、人間関係のもつれの多くは、意見の食い違いやそこから生じた嫌悪感などによって起こるものです。

理念とはその事業所を支える大黒柱であり、全員で目指すべき到達地点です。

これを全職員で共有し徹底しておくことで、たとえ違う意見が出たとしても、大きなブレがなく建設的に議論を進めることが可能になります。

人間関係の良し悪しはコミュニケーション量と密接な関わりがあります。介護現場では構造的にコミュニケーション不足に陥りがちです。

質も大切ですが、なにはともあれまずは量をこなすことから始めてみるとよいでしょう。管理者や現場のリーダー職は「毎月全職員と30分以上話をする」といった具体的な目標設定をするのも効果的です。

ストレス発散の場を意図的に作り出すことも有効です。たとえ問題が解決しなくとも、話や愚痴を聞くだけで一定程度のストレス発散効果が見込めます。

ポイントは各職員のストレス解消に事業所全体で取り組むことです。

それぞれの自発的な努力に任せるのではなく、一定期間に一度は面談を行って悩みや相談を聞く機会を設けることで、対象職員のストレス解消につながるだけでなく、現在の当人が抱えている課題も明らかにすることができます。

(4)利用者だけでなく職員ともラポールの形成を

人間関係の基礎は信頼関係です。お互いに信頼できる間柄でなければ、仕事は上手くいきません。福祉分野では人と人とのあいだに信頼関係ができ上がることを「ラポールを形成する」といいます。

本来は介護士と利用者のあいだに作り出す信頼関係のことを指しますが、職員同士でも同様のことがいえるのではないでしょうか。

よいケア、よいサービスを行うためにはラポールの形成が必要不可欠ですが、それは利用者との関係に限ったものではないのです。

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