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(1)介護福祉士の合格基準は2つ
まずは介護福祉士国家試験の合格基準を確認しておきましょう。介護福祉士国家試験に合格するためには2つの条件をクリアしなければいけません。
基準1:問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
介護福祉士試験の合格点を、60%正答の75点前後に設定するということです。(全科目125点満点) 毎年試験の難易度によって若干の補正がかかり、合格ラインが前後します。
57%を合格ラインにしたり、高いときには68%を合格ラインにした年もありました。 その事も踏まえ、本番前には予想問題で確実に70%である87点以上をとれるようにしておきましょう。
基準2:「基準1」を満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者。
たとえ合格ライン以上の点数を取れたとしても、指定された科目群において、0点の科目群があると不合格になるということです。
配点が2点しかない「人間の尊厳と自立」「人間関係とコミュニケーション」の科目は他の科目と同じ科目群であるため、ここは1点も点数が取れなくても心配はいらないということになります。
(2)領域別の目標点数とポイント、勉強量
上記2つの条件を満たした場合に介護福祉士の筆記試験は合格となります。「条件2」があるため、一部の科目を除いて「得意な部分で点数を稼ぎ、苦手な部分は完全に捨てる」と言うことができません。
すべての科目においてバランスよく得点を稼ぐと言う考え方が必要になります。これを踏まえた上で、各科目の配点と難易度から、目標点数と、目指すべき勉強量を確認していきましょう。
領域:人間と社会
配点16→目標10点
人間の尊厳と自立
配点2点→目標1点
ポイント
制度に関する知識は他の科目でも必要となりますが、人間の尊厳と自立に関する法律は範囲が広い割には出題数が少なく、集中して勉強するには効率が良くありません。 障害の理解などの科目でも必要な知識になる「障害者福祉」や「障害者総合支援法」を押さえておくと十分です。ちなみに「介護の基本」と同じ科目群になるので、最悪捨ててもいい科目です。
目指すべき勉強量
過去問題の確認を、勉強を始めた時と最後の追い込み時期に、流す程度に行いましょう。
人間関係とコミュニケーション
配点2点→目標1点
ポイント
出題数は少ないのですが、後の「コミュニケーション技術」と同じ科目群になるので、解けないからと焦る必要もありません。出題内容も現場で働いている人にとっては難しい内容ではないので、最悪学習を始めた時と、最後の追い込みで確認する程度で構いません。
目指すべき勉強量
過去問題の確認を、勉強し始めの頃と最後の追い込みで、軽く行う程度で大丈夫です。
社会の理解
配点12点→目標8点
ポイント
出題数もほどほどに、法律や制度に関することが出題されるのでしっかり勉強していなければ全く解けない問題ばかりです。しかし考え方を変えると、ライバルとも差をつけることができる部分なので、みっちり勉強しておきたい部分です。
目指すべき勉強量
過去問の分析と、介護保険制度は頭にたたき込んでおく必要があります。加えて関連する法律も学習する必要があるので、少なくとも毎日30分は学習のために時間を割きましょう。
領域:介護
配点52点→目標点38点
介護の基本
配点16点→目標10点
ポイント
介護に関する歴史や法律、制度に加えて日常的に当たり前のように行っている基本知識も問題として出題されます。
目指すべき勉強量
過去問を中心に、必ずと言っていいほど出題される介護保険制度やICFの概念や使い方も押さえておきましょう。目標は一週間に3時間程度学習できれば上出来です。
コミュニケーション技術
配点8点→目標6点
ポイント
現場で働いている人にとってはあまり難しくは無い部分です。過去問や参考書で出題範囲の全体像を掴み、よく分からない点があればそこだけに集中して学習しましょう。
目指すべき勉強量
あまり難しい内容でもないので、目標学習時間は一週間に1時間程度で大丈夫でしょう。
生活支援技術
配点20点→目標16点
ポイント
日常的に行う介護に関する問題が多く出題されます。全てをみっちり勉強するよりも、参考書や過去問で全体像を掴んで難しいと感じる部分だけを集中的に勉強しましょう。
目指すべき勉強量
現場で働いている場合は、一週間に1時間勉強できれば十分です。
介護過程
配点8点→目標6点
ポイント
ケアプラン作成を行ったことがある人にとっては得点を稼げる科目です。逆に作ったことがない人にとっては一気に差をつけられてしまう部分なので、みっちりケアプラン作成の流れと考え方を押さえておく必要があります。
目指すべき勉強量
ケアプランの作成経験があれば過去問と参考書で全体像を掴む程度で良いので一週間に1時間。 ケアプラン作成経験がない場合は流れや考え方などに焦点を当て、一週間に3時間は学習時間を確保しましょう。
領域:こころとからだのしくみ
配点40点→目標27点
発達と老化の理解
配点8点→目標6点
ポイント
高齢者に多い病気に関することが多く出題されるのですが、病気のこととなると範囲が広すぎて集中的に勉強するには非効率です。しかし普段関わる利用者の疾患を見てみると、日常的に行うケアや医療的処置、行動とうまく結びつき、特別学習しなくてもわかる問題も少なくありません。
目指すべき勉強量
カルテを眺めて、普段の利用者の行動やケアがどの疾患に関連しているのか把握できれば十分です
認知症の理解
配点10点→目標7点
ポイント
日常的に関わることが多いアルツハイマー型認知症のことに加え、血管性認知症、レビー小体型認知症など、施設によっては1人もいないタイプの認知症の知識も必要とされます。同じアルツハイマー型でも周辺症状などは大きく異なりますので、分かっているつもりになっていると少々危険な科目です。
目指すべき勉強量
過去問と参考書による全体像の把握、そこから見えた分からないポイントの潰しに一週間に3時間は費やしましょう。
障害の理解
配点10点→目標6点
ポイント
学習すべき範囲自体は広くは無いのですが、高齢者施設でしか勤めたことがない人にとっては、高齢者を除く障害児・障害者のイメージがしにくく苦戦するところです。過去問に加えて参考書でポイントを確実に押さえておきましょう。
目指すべき勉強量
1週間に3時間は学習に時間を費やした方が良いでしょう。
こころとからだのしくみ
配点12点→目標8点
ポイント
現場で働いていれば自然と身に付く事も多い知識を問われるため、人によってはほとんど学習することもなく点数を取れる部分です。しかし利用者の入れ替わりの少ない施設や、利用者が少数しかいないような施設でしか勤めたことがないような場合は苦戦します。
目指すべき勉強量
特別養護老人ホームや介護老人保健施設等、利用者も多く入れ替わりが激しい施設に勤めている場合は1週間に1時間程度。 利用者が比較的少ない施設でしか働いたことがない場合は、週に3時間は過去問とさまざまな病気の理解に力を入れるようにしましょう。
領域:医療的ケア
配点5→目標3点
医療的ケア
配点5→目標3点
ポイント
平成28年度の介護福祉士国家試験から追加された科目です。介護職員も経管栄養や喀痰吸引等の医療行為を行う必要があることから追加された科目ですので、それぞれの手順や観察項目等を問われる可能性が高いと思われます。加えて2005年に厚生労働省が通知した医療行為ではない項目も覚えておきましょう。
目指すべき勉強量
介護福祉士の合格基準である「すべての科目群において得点がある」と言う条件を満たすためには、5つしか出題されないこの項目を落とすわけにはいきません。しかし予想される出題範囲が広くはないので、1週間に1時間も勉強できれば半分程度は正答できると思われます。
総合問題
配点12→目標7点
ポイント
内容が他の科目を押さえておけば、解ける内容になっています。特別この科目のために多くの時間を費やす必要はありませんが、出題の仕方が他とは異なるため、過去問で慣れておきましょう。
目指すべき勉強量
勉強し始めの頃と最後の追い込みで、過去問で出題傾向と出題形式の把握程度で十分です。
(3)まとめ
今回、それぞれの科目の配点と難易度から、各科目においてどれだけ勉強時間をかけるべきか提案させていただきました。 合計すると週に17.5時間~21.5時間という事になり、勉強時間を指定しなかった項目も含めると、少なくとも1日3時間程度は勉強する必要があります。
しかしこれらはあくまでも目安だと思ってください。人によって得意不得意は異なる部分ですから、提案した勉強時間では全然足りないと言う人もいれば、逆に時間をかけすぎではないかと感じる人もいるのは当然です。
学習スケジュールを決めたなら少なくとも月に1~2回は予測問題を解いて、自分の習熟度と弱点を確認しましょう。予測問題を解いた結果、今回設定した各科目の目標点数に届かない場合はその科目を弱点と考えてください。
配点が高い科目が弱点である場合、今回紹介した目安となる勉強時間にこだわることなく力を入れるようにして、介護福祉士の資格にリーチをかけましょう。