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味付けや食材だけじゃない!介護士が知っておきたい食事介助10のポイント

テクニック
高齢者の介護にあたる人が、最も神経を使う生活支援の一つに挙げるのが「食事介助」です。日々の食事は健康を維持するための基本でもあります。 しかし被介護者の病状や健康状態によって作れるメニューは限られ、介助の仕方を一歩間違えると、体調の悪化や大事故にもつながりかねません。 今回は、高齢者の介護に携わる方々のために、食事介助の基本的な10ポイントをご紹介します。この機会に改めておさらいしてみましょう。
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(1)ポイント① 食材選び

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/445939

食事の基本は、各栄養素をバランスよく摂取できるよう、さまざまな食材をうまく組み合わせた献立を考えることから始まります。

 ただし、健康上の理由で接種を控えたい栄養素や、被介護者自身が嫌いな食材もあるので、医師やケアマネージャーからの指導を受け、事前に情報は確認しておきましょう。

またレトルト食品や缶詰などは手軽に調理でき保存期間も長いのでメリットもありますが、保存料などの添加物、塩分などが多く含まれているので、過剰な提供は避けたいところです。

そして訪問介護の場合には、一回の食事にかけられる予算も家庭ごとによって異なるため、ヘルパーにはコスト意識も要求されます。

(2)ポイント② 味付けの感想を聞く

食事提供のなかで最も難しいと言われているのが「味付け」です。味付けの濃さはその人の好みによって大きく異なるため、ホームヘルパーの場合は事前に家族などからヒアリングしておく必要があります。

また年齢を重ねると味付けの濃い食べ物を欲する傾向がありますが、一方で健康面を考えると塩分摂取はできるだけ控えたいこともあり、大きなジレンマを感じている方もいらっしゃることでしょう。 はじめてお宅を訪問し、入所者に食事提供する際は、まずは味見してもらい感想を聞くようにしましょう。

(3)ポイント③ 好きなものを献立に取り入れる

牛丼や立ち食いそばなどのファストフードに慣れている若い世代とは対照的に、高齢者の多くは主食・主菜・副菜・汁物・果物(デザート)に分かれたバランスのよい食事を心がけてきました。

栄養素を考慮しながらも、単調にならないメニューを用意する必要があります。

食事を一番の楽しみにしている人も多いので、「何か食べたいものはありますか?」と聞いてみるのもよいでしょう。

また介助記録に目を通し、前回のメニューと同じ内容にならないようにすることも大事です。

(4)ポイント④ 美しい盛り付けで食欲を刺激する

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1283057

意外と見落としがちなのが料理の盛り付けです。料理の見た目の美しさは食欲を刺激する大きな要素です。鍋やフライパンからお皿に料理を移すときには、ぜひ盛り付けにも気を遣ってみてください。

また施設の場合は、安全面や落としたときのリスクを考えてプラスチック製の食器を用いるケースが多いですが、訪問介護の場合は、必ずしもプラスチック製が使えるとは限りません。

その場合には、できるかぎり被介護者が使い慣れたお皿やコップを使うように心がけましょう。

(5)ポイント⑤ 食べやすい姿勢を調整する

基本的なことですが、食道が垂直になった状態の方が、食べものがスムーズに胃まで運ばれます。そのため普段は寝たきりでも、食事のときはベッドのリクライニングを上げて上半身を起こした状態にするのが望ましいです。

車いすやベッドに腰かけて食事する場合は、テーブルの高さに気をつける必要があります。年をとると前かがみの体勢が取りにくく、食器に口を近づけようとしてバランスを崩し転倒するような事故も発生しています。

そのためテーブルはなるべくお腹に近い位置まで近づけ、板面の高さも調節するようにしましょう。どうしても自力で上半身を起こすのが無理な場合は寝たまま(仰臥位・側臥位)の状態で食べるしかありません。

この場合は枕を高くして首の位置を極力上げることで誤嚥を防ぐことができます。また襟やシーツを汚さないためにもタオルを敷いておくようにしましょう。

(6)ポイント⑥ 時には食べやすくするための工夫も必要

高齢者は一様に嚥下(えんげ)能力が衰えています。そのため調理の段階で食材に手を加えて誤嚥を防ぐための工夫が必要となります。 通常よりも食材を細かく刻む「きざみ食」は誤嚥を防ぐのと同時に消化も助けてくれます。

水溶き片栗粉などで食材にとろみを付ける「とろみ食」も嚥下を楽にしてくれます。

正直これらは見た目的においしそうに見えるわけではありませんが、被介護者本人の体力的負担を減らすためにも実に有効な手法なのです。

(7)ポイント⑦ 利用者のペースに合わせて介護する

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1983176

施設には自力で食事ができない高齢者も多くいらっしゃり、食事の介助をする介護士が気を配らなくてはならないこともあります。

まず被介護者の目線と同じ高さに顔を合わせることです。立ったままで見下すような視線は失礼にあたりますし、顔を伺わなければ微妙な様子の変化などを見落とす可能性もあります。 スプーンで食事を口元まで運ぶ場合も、被介護者の食べるペースに合わせゆっくりと介助してあげる必要があります。

限られた時間の中で早く済ませようとすると、介助される側も落ち着いて食事ができません。口の動きをよく見て、きちんと飲みこんだことを確認してから次のスプーンを運ぶように心がけましょう。

(8)ポイント⑧ 口腔ケアをしっかりおこなう

食事の後のケアも大事な介助の一つです。口内は雑菌が溜まりやすいため、食事後の口のゆすぎ、歯磨きは欠かせません。また入れ歯の人も多いとは思いますが、食べたものが歯茎と入れ歯の間に詰まることもあるので注意しましょう。

(9)ポイント⑨ 料理は声をかけてから冷凍庫で保存

訪問介護で食事を作り過ぎた場合、残った食材は冷蔵・冷凍保存しておくこともできますが、特に夏場は食材も料理も傷みやすくなるため保存に注意が必要です。

100円ショップなどで売られているジップのついた容器などを購入し、有効活用しましょう。 保存する場合も、他人の家の冷蔵庫を使用することになるので「おかずの余りを入れておきますね」など一言伝えておくのがマナーです。

(10)ポイント⑩ 雑菌が繁殖しない後片づけをする

同じく訪問介護のケースになりますが、調理が済んだ後の器具や食器の洗浄も入念に行いたいもの。中途半端なすすぎでは、悪臭や雑菌の繁殖により食中毒を引き起こす可能性もあります。

洗剤を使っての水洗い、ふき取り、乾燥のプロセスをおろそかにしてはなりません。

またごみの処理も、住まいのある自治体のルールに従い、適切に廃棄しましょう。

(11)終わりに

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1693294

年齢を重ねると共に外出する機会が減り、趣味などにも時間が割けないようになってくると、「食事」に喜びを求める人は少なくありません。 しかし介助する側の気配りが足りないと、利用者の大きな楽しみを台無しにしてしまう可能性もあるのです。

質の高い介護を実現するため、まずは毎日の食事介助から見直していきましょう。 作:大西 啓介(Live-up Works

参考 ・『高齢者に喜ばれる ホームヘルパー調理読本』日本医療企画

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