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(1)サービス介助士とは
サービス介助士とは、障がいのある方や高齢の方が生活の場面において困っているときに、適切なお手伝いをするための「民間資格」です。
サービス介助士の仕事内容には、排泄や入浴などのお世話を必要としない、比較的体力がある高齢者の方や障がいのある方を「おもてなしの心」で迎え、最適な「介助技術」でお手伝いをすることなどが挙げられます。
近年では様々なシーンにおいてバリアフリー化が進んでいることに伴って、サービス介助士のニーズが高まってきています。
2016年に名称を変更
サービス介助士というのは、2016年4月に「サービス介助士2級」から名称を変更した資格です。サービス介助士という資格の他、准サービス介助士などのより手軽に取れる資格もあります。
(2)サービス介助士の資格を活かせるシーン
サービス業で
サービス介助士の資格は、その名の通り、サービス業において主に求められることが多いです。
すなわち、
- 駅や空港などの交通機関
- 役所などの公共施設
- デパートやスーパーなどの商業施設
- 医療機関
- 銀行
- レジャー産業
- 観光地
など、高齢者が手助けを必要とすることが多いシーンで活躍するスキルだといえます。
たとえば、地下鉄や電車駅のホームなどで、高齢者の方や車椅子の方が電車に乗りずらそうにしているのを見たことがないでしょうか。
また、銀行にて、聴覚に障害を持つ方が手続きに手間取っているのを見たことはありませんでしょうか。
こういったシーンで、困っている人・手助けを必要とする人に、「思いやりの心」をもって適切なサポートをすることができるようになるのが「サービス介助士」という資格なのです。
(3)サービス介助士を取得するメリット
個人がサービス介助士を取得するメリット
サービス介助士の資格を取得するためには、実際に障がいを持った方や高齢者の方が、日常生活の中でどんな不便を抱えているのかということを、実体験として学ぶ必要も出てきます。
そうしたことを体感しながら学ぶことによって、より心を込めた介助を行うことができるようになっていきます。サービス介助士の資格を取得すると、高齢者の方や障がいを持った方に対して、より安心・信頼を与えることができるのが大きなメリットといえます。
企業がサービス介助士取得を社内向けに促進するメリット
また、サービス業を中心とした会社内にサービス介助士の取得者が増えることで、会社に対する消費者の評価が高まることも期待されます。
例えば、鉄道大手のJRでは、全社的にこの「サービス介助士」の資格取得を促進しています。
(参考:東日本旅客鉄道株式会社『サービス介助士資格取得者が 10,000 名を超えました!』)
利用者としては、例えば障害を持っていても、サービス介助士のような資格を持っている人が数多く駅にいることで安心してサービスを利用出来、結果として利用者が増加することが期待出来るからです。
(4)高まるサービス介助士への需要
最近では、交通機関の駅や空港、デパートなどの人が多い場所で、濃淡の異なる青いハートマークが組み合わされた「安心のサービス介助士マーク」をつけている職員やスタッフが多くなってきています。
サービス介助士は、公益財団法人日本ケアフィット共育機構が2000年に始めた「サービス介助士2級検定取得講座(現:サービス介助士検定取得講座)」がベースとなっている資格です。
それから現在に至るまで、数多くの方がこの講座を受講しており、2019年9月時点において累計170,000人の方がサービス介助士として活躍しています。
(参考:公益財団法人 日本ケアフィット共育機構『サービス介助士とは』)
超高齢社会と呼ばれている現代では、サービス介助士の需要や注目度もますます高くなってきています。その背景にあるのは、日本の平均寿命が男女ともに80歳を超えているにもかかわらず、出生率はどんどん下がっていることであると考えられています。
「正しい介護技術」と「おもてなしの心」を専門的に学び、適切なスキルを身に着けたサービス介助士は、地下鉄・電車などの駅や空港などの交通機関、人が多く集まるデパートやスーパーなどの商業施設・飲食施設・金融機関・宿泊施設などで、特に需要が高くなっています。
(5)サービス介助に関わる資格は4つある
サービス介助に関する資格には、
- サービス介助士
- 准サービス介助士
- サービス介助基礎検定
- サービス介助士ジュニア
の4種類があります。
4種類の資格
サービス介助士、准サービス介助士、サービス介助基礎研修3種類の資格についての目安の一覧は、以下の通りです。
サービス介助士 | 准サービス介助士 | サービス介助基礎研修 | |
---|---|---|---|
受講形態 | 自宅学習・実技2日間 | 自宅学習 | 2時間1回(座学と実技) |
料金 | 41,800 | 22,000 | 5,500 |
教材 | テキスト・提出課題 | テキスト、提出課題、DVD | 当日配布のレジュメなど |
提出課題 | あり | あり | なし |
平均取得期間 | 1.5〜2ヶ月 | 1〜1.5ヶ月 | 当日のみ |
検定試験 | あり | あり | なし |
受講期間 | 申し込みから最大12ヶ月 | 申し込みから最大6 ヶ月 | 当日のみ |
実技教習 | あり(2日間の教習) | なし | あり(講座内) |
資格更新制度 | あり(3年間) | なし | なし |
その他 | 准サービス介助士を取得していなくても取得は可能 | サービス介助士へのステップアップ有 | 2時間のパッケージ型セミナー |
サービス介助士
サービス介助士は「おもてなしの心」と「介護技術」の知識を学んで取得する資格です。
准サービス介助士
准サービス介助士は、サービス介助士よりももっと手軽に通信教育で学ぶことができるほか、資格取得のための試験も在宅で受けられるのが特徴です。
サービス介助基礎検定
サービス介助基礎検定とは、実技を通して、高齢者の方や障がいがある方とコミュニケーションをとることの必要性を理解し、サービス介助の知識を身に着ける2時間の体験をメインとした検定のことです。
サービス介助士ジュニア
サービス介助士ジュニアとは、中学生・高校生向けの資格で、家族や友人などの日常生活で関わっている全ての人に対する「おもてなしの心」と「基礎的な介助技術」を身に着けるための資格です。
(6)サービス介助士の資格概要
先述したように、サービス介助士は、頻繁に高齢者の方や障がいがある方と接することが多い仕事に就いている方や、職場などでチームとして、介護とおもてなしを行う立場にある方などが受講対象となっています。
また、大学生や専門学生なども手軽に受講することができます。
受講方法
サービス介助士講座の内容は「自宅学習と実技2日間」の2つから成り立っており、試験形式は
- 通信課程
- 実技教習
- 筆記試験
です。
実技教習では、車いすの操作、移乗、高齢者疑似体験などを行います。
講座内容は、基本理念、ホスピタリティ・マインド、ノーマライゼーション、高齢社会の理解などを学びます。
受講・受験料金
サービス介助士講座の受講・受験料金は41,040円(税込)となっています。不合格の場合には、有料で再試験が受けられる制度があります。
(7)准サービス介助士の資格概要
准サービス介助士は、介護に関する知識を学びたいという方や、社会貢献活動に役立てたいと考えている方が手軽に挑戦できる資格です。
受講方法
准サービス介助士の講座は自宅でDVDとテキストを使って学習して課題を提出するようになっており、検定試験も在宅で受けられます。
受講の内容はサービス介助士と同じですが、実技教習はありません。
受講・受験料
准サービス介助士講座の受講料金は、21,600円(税込)となっています。(※在宅での試験ですが、不合格の場合には、試験料5,400円を支払うことで再試験が受けられます)
(8)サービス介助基礎検定の資格概要
サービス介助基礎検定は、すぐに具体的な介助や応対方法を身に着けたい方のための資格です。
受講方法
サービス介助基礎検定の講座は、座学と実技の2時間完結となっており、講座の最後に検定試験があります。
受講・受験料
サービス介助基礎検定の受講料金は、5,400円(税込)となっています。検定試験に合格すると、当日「認定証」が渡されます。
(9)サービス介助士ジュニアの資格概要
サービス介助士ジュニアは、中学生・高校生向けの資格です。
サービス介助士ジュニアの資格を取得するためには、まず中学校・高等学校内の授業に「サービス介助士ジュニア資格取得講座」が導入されている必要があります。
受講方法
この講座では、まず自分自身としっかり向き合い、人との関わりの中で生きているという事実を学ぶことから始まります。
その口座を経て「おもてなしの心」をしっかりと身に着けてから、徐々に基礎的な介助技術も学んでいきます。具体期には、サービス介助士ジュニアは、学校で課題も含めた17時間の授業を受け、実技試験と筆記試験(30分)を受ける必要があります。
受講料・検定料
サービス介助士ジュニアの1人当たりの基本受講料は、テキスト代が2,160円(税込)、検定料は6,480円(税込)となっています。
検定試験に不合格だった場合は、試験料を支払うことで再度試験が受けられます。
(参考:公益財団法人日本ケアフィット教育機構)
(10)サービス介助士の資格を取得し、住みやすい社会の実現を
高齢者の方や障がいのある方が困っている姿を見かけたとき、ためらってしまってなかなかお手伝いができない、具体的にどうしたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。こちらでご紹介したサービス介助士の資格を取得すると、具体的な「介助技術」と「おもてなしの心」を身に着けることができます。
サービス介助士の資格を持った方がお手伝いをすることは、高齢者の方や障がいのある方に喜んでいただけるだけでなく、その笑顔を見ることで、サービス介助士自身の心も豊かにしてくれます。
サービス介助士の資格は、特別な学校に通ったりすることなく、「自宅学習+実技2日間」で、比較的手軽に取得できるものです。その手軽さを活かして、仕事上必要であるかどうかにかかわらず、身に着けておくととても役立つ資格といえるのではないでしょうか。
人間誰もが歳を取り、今は健康であってもいつ何が起きるのかということはわかりません。サービス介助士の資格を取得して、高齢者の方や障がいのある方でも、暮らしやすく住みやすい社会をつくっていきましょう。