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【介護従事者向け】体位変換の基本│体位名や方法・手順、注意点など

テクニック
「体位変換」とは、寝返りをうまくうてない患者さんの「床ずれ」や「褥瘡」を防ぐ際、とても重要な介助の一つです。時間や状況によって体位変換のやり方が異なったり、介護用品を用いたりする場合もあります。本記事では、そんな体位変換に関して、方法・手順や行う際の注意点、介護用品の例などについて解説していきます。
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(1)体位変換とは

身体への圧迫・負担を防ぐための介助

人は、寝ている時に無意識に寝返りを打つことで、身体の圧迫を防いでいます。

しかし、寝たきりの高齢者の場合、自力で寝返りを打つことが難しいため、身体が圧迫されやすいです。

それを避けるために、ホームヘルパーなどのサポートでポジショニングを変えてあげなければなりません。そのサポートの「体位変換」といいます。

(2)正しい体位変換のやり方

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3859

体位変換をするべき時間は個人差があるため、一概には言えませんが、2時間を超えないように行うのが通常です。上敷二層式エアマットレスや粘弾性フォームマットレスを使っている場合は、4時間を目安にする場合もあります。

体位変換はスケジュールを組んであげることが重要

いずれにせよ、コンスタントな体位変換を行わなければならないので、スケジュールを組むことをオススメします。そこで、スケジュールの一例を記してみました。今回は、4時間区切りのスケジュールにしています。体位の方向も記しているので、参考にしてみてください。

  • 2時...仰向け
  • 6時...左向き
  • 8時...右向き
  • 10時...左向き
  • 12時...右向き
  • 14時...仰向き
  • 16時...左向き
  • 18時...右向き
  • 20時...仰向き
  • 22時...左向き

(3)体位変換の際の注意点

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2197688

体位変換する際は、次にあげる3つの注意点を意識してください。

1.身体に触る前に声かけをする

寝ている高齢者に前触れなく触ると驚いてしまうので、体位変換をする前に、必ず声かけをしましょう。

認知症の患者さんには特に意識を

認知症の患者さんに体位変換する際は、強く声がけを意識してください。急に触られる認知症患者は、その相手が家族であったとしても、不信感を感じる場合があります。披介助者が驚いたり抵抗をしたり

作業中にも声かけしよう

最初に声がけして終わらせるのではなく、「首に触りますよ」とか、「腰に触りますよ」など、作業中にも細かく声がけしてあげてください。その方が、サポートされる側も安心できます。

2.皮膚の状態を確認しよう

おむつ交換する際の体位変換は、皮膚が炎症を起こしていないか確認してください。炎症に気づかないままオムツ交換してしまうと、かぶれを起こしやすくになり、ますます状態が悪くなります。

患者さんは痛みに気づきにくい

炎症を起こして痛みを伴う際は、患者さんから申告がありそうな気もしますが、寝たきりの患者さんは気づいていないことが多いです。そのため、サポートする側が気づいてあげなければなりません。

3.シーツはピンと張る

体位変換する際は、ベッドのシーツがピンと張られていることを確認してください。高齢者の皮膚は弱くなっているので、ちょっとしたシーツのズレで「床ずれ」を起こしてしまいます。その結果、「褥瘡」になる高齢者が多いのです(褥瘡については、後に詳しく説明します)。

(4)体位の名称

体位変換には、各体位の名称がつきものです。ちょっと難しい名称が多いですが、知っておくとホームヘルパーなどとコミュニケーションしやすくなるので、これを機に覚えておきましょう。

仰臥位(ぎょうがい)

仰臥位は、仰向けの状態を示します。寝たきりの患者さんは、仰臥位でいる状態が一番長いです。仰臥位を長く続けていると、肩甲骨部、仙骨、ひじ、かかと、尾骨などを床ずれを起こしやすくなるので気をつけてください。

側臥位(そくがい)

側臥位は、横向きで寝ている状態を示します。側臥位は不安定なので、高齢者がベッドから転落しないように注意してください。転落のリスクを防ぐためには、手足の位置に気を配るのがポイントです。側臥位を長く続けていると、肩鎖関節部、耳、大転子部、側胸部、膝関節外側部などの床ずれを少し安くなるので気をつけてください。

腹臥位(ふくがい)

腹臥位は、うつ伏せを示しています。身体を拭いたり、治療する際に必要な体位です。腹臥位を長く続けていると、肩鎖関節部、頬、つま先、ひざ関節、乳房などが床ずれを起こしやすくなるので気をつけてください。

端座位(たんざい)

端座位は、両足を曲げて、下半身は直列している状態です。車椅子に座っているのと同じ状態ですね。端座位を長く続けていると、ひじ関節や臀部の床ズレを起こしやすくなるので気をつけてください。

長座位(ちょうざい)

長座位は、両足を伸ばして、下半身だけ起こしている状態です。ベッドの上で食事をとる時などに必要な姿勢です。リクライニングがついているベッドの場合は、自然と長座位になれます。

半座位(はんざい)

半座位は、長座位の状態から、上半身を45°ぐらいに起こした状態です。

立位(りつい)

立位は、立っている状態です。高齢者の方が自分の力だけで立つのは難しいため、必ずサポートしてあげなければなりません。立位する際は、あまり無理はさせないようにしてください。

(5)体位変換をしないとどうなるか

「体位変換ってそんなに重要なこと?」と思う人も多いと思いますが、とても重要なことなんです。体位変換をしないと、褥瘡(じょくそう)になる危険性があります(褥瘡は、床ずれと呼ぶ場合もあります)。

褥瘡とは何か?

継続的な圧迫を受けた身体は、血流が悪くなり、虚血状態や低酸素状態になります。そうすると、皮膚の一部が腫れたり、傷ついたり、赤みを帯びたりするのです。最悪の場合、組織が壊死してしまうこともあります。

褥瘡に関して、より詳しい記事はこちら

→『床ずれ・褥瘡(じょくそう)とは | 症状・防止用具・クッション

(6)褥瘡(じょくそう)になりやすい病気

次の病気を持っている人は、褥瘡になりやすいと言われているので、気をつけてください。

  • うっ血性心不全
  • 骨盤骨折
  • 脊髄損傷
  • 糖尿病
  • 脳血管疾患
  • 慢性閉塞性肺疾患

など

また、これら以外には、以下の特徴がある人も、褥瘡になりやすいと言われています。心当たりのある高齢者のがいたら、気をつけてあげてください。

  • 浮腫が起きやすい
  • ステロイドや抗がん剤の副作用がある
  • 皮膚がふやけやすい

(7)褥瘡(じょくそう)の兆候は

初期段階の褥瘡は、皮膚が発赤するところから始まります。ただ、発赤=じゅくそうとは限らないので、見極めが必要です。そこでオススメしたいのが、「指押し法」という見極め方法です。

指押し法の方法

指押し法をする際は、次の手順を実施してください。

  • 発赤部を指で3秒ほど圧迫する(軽くでOK)
  • 指を離して、皮膚が白っぽくなるか確認する
  • 白っぽく変化するなら正常の皮膚。もし、発赤が残るようなら、褥瘡の可能性があり

(8)褥瘡(じょくそう)になってしまったら


出典:https://www.photo-ac.com/

寝たきりの患者さんが褥瘡になってしまった場合は、患部が圧迫されないように体位変換してください。それにプラスして、医師や看護師に相談することも忘れないようにしましょう。

場合によっては治療する必要がある

重度の褥瘡は、外用薬などを使って患部を洗浄したり、除去する必要があります。これらの治療は、専門家のサポートがなければ成り立たないので、医師や看護師に相談する必要があるのです。

(9)床ずれ防止用具を使って負担を減らそう

ここまでの内容だけでも、体位変換が高齢者にとってどれだけ大切なのか、分かってもらえたと思います。ただ、コンスタントにサポートしてあげるのは、介護する側の体力が持ちません。そこでオススメしたいのが、床ずれ防止用具の導入です。体位変換器や圧力分散器具を使えば、圧倒的に負担が楽になりますよ。

床ずれ防止用具の商品例

床ずれ防止用エアークッション

三角型クッションマット

床ずれ防止用かかとあて

手首・足首サポーター

床ずれ防止器具のレンタルを活用しよう

圧力分散器具や体位変換器などのアイテムは、必ずしも購入しなくても大丈夫です。レンタル業者があるので、効率よく使ってください。月々数100円からレンタルできるアイテムも多いので、気になる方は、ホームページやカタログをチェックしてみてください。

介護用品のレンタルに関する、より詳しい記事はこちら

→『福祉用具とは | レンタルと購入どちらがお得?種類や費用を紹介

(10)適切に体位変換をして褥瘡(じょくそう)を防ごう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1351938

今回は、体位変換に焦点を当ててみたのですが、いかがでしたでしょうか。

褥瘡のリスクを考えると、体位変換が寝たきりの高齢者にとってどれだけ重要か、理解することが大切です。体位変換を行う機会がある読者の方は、正しい体位変換を行って褥瘡(じょくそう)を防いであげてくださいね。

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