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【症状別】認知症ケアとは|ケア方法やポイント、注意点などを解説

テクニック
「認知症ケア」という言葉をご存知でしょうか? 様々ある認知症の症状に対して適切なケアを行い、認知症の方の生活をサポートすることを目的としています。 認知症についての基礎知識を説明したうえで、症状別の認知症ケア手法、そのポイントなどを説明していきます。
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(1)認知症ケアとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/939839

認知症・認知障害に対する各種のケアを総称した言葉

まず、認知症とは「脳内の中にできてしまった障害」が原因で認知(物事のとらえ方や感じ方)が歪んでしまうことを指します。

つい最近のことの記憶を喪失する「一時・一部、記憶喪失」とは医学的にも種類分けでことなる症例であり、近い出来事を覚えておらず、もしくは幼児へ若返ったかのような知能低下を示す状態が「認知に異常を起こした」と定義されています。

また、先天的(生まれながらに)認知の異常・低下の症状を持つものを、「認知障害」といい、後発的に発生したものを「認知症」と呼びます。

この後発的認知症の発症した患者を介護するに当たり、担当する者たちが施す治療やケアを総括して「認知症ケア」と呼びます。

(2)認知症の症状について

物忘れや近日の出来事など、記憶が欠如し思い出せない状態です。見た感じや知的レベルも幼児へ逆行したかのような雰囲気があり、実際に雰囲気だけでなく知能低下を引き起こす場合がほとんどです。

ちょっとした物忘れ程度は、従来は痴呆と言われていましたが、痴呆も軽症からはじまり、やがては重症化し、幼児化します。現在は痴呆症は厚生労働省から言い改めを受け、「認知症」へ言い方を統一しています。

認知症の記憶欠如は「記憶喪失」による断続的や一時的な記憶欠損とは違うもので、これらの記憶喪失は完治する=突如として記憶が蘇る可能性がある疾患です。(脳神経欠損がない病症の場合)

(3)認知症ケアをするうえで注意すべきこと① 症状に合わせたケアをする

認知症の方と向き合ってケアしていくためにはまず、その症状と特徴を知っておかなければなりません。

認知症には4つの種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

アルツハイマー型認知症

加齢や遺伝、生活習慣病によって発症率が高まるこの症例は、物忘れから始まる記憶障害から始まる例が多く、数種の認知症のなかでは60%と最も比率が高い発症率です。バランスの取れた食事や適度な運動など、生活習慣病の予防がこの認知症への認知症ケアとされます。

脳血管型認知症

「早期発見できれば治療が可能な認知症」とも言われ認知症の20%を占める型。脳血管型の認知症に分類されます。脳血管障害を患った後に発症することがある認知障害で、原因はハッキリしていません。

無気力、自発性の低下、夜間の不眠や不穏などの症状がみられ、一見すると認知の障害をもっているのかさえ、自己認識が難しくなります。

そのため、ご家族たちは脳卒中などの脳外科手術を受けられた者が居れば、術前の生活と変化がないかよく観察してください。違和感がある場合は、速やかにかかりつけ医へ相談されてみることをお勧めします。

レビー小体型認知症

パーキンソン病の原因にもなる「レビー小体」というたんぱく質が脳に溜まることで発症すると言われ、おもには脳が萎縮がその認知障害に関与します。

脳にレビー小体が溜まってしまう原因はまだ解明されておらず、予防は難しく対処法がないのが現状です。さらに、発症率も極めて低いため、このタイプの認知症に関する検査・治療は一般の病院では困難である可能性があります。

そのため、歩行障害や転倒、幻視、情緒不安定などがみられる場合は速やかにかかりつけ医へ相談をお勧めします。

前頭側頭型認知症

このタイプの認知症に関する研究はいまだ進歩が遅く、絶対的な発症原因やメカニズムは示されていません。

次のような症状がある場合は、速やかにかかりつけ医へ相談することをお勧めします。

  • 人格が豹変する
  • 衛生面が管理できない
  • 清潔保持ができない
  • 暴言や暴力が増えるなど性格の変化がみられる

(4)認知症ケアをするうえで注意すべきこと② 相手の持つ尊厳を意識して接する

認知症ケアをするうえで知っておくべきことの2つ目は認知症の方との接し方です。

2005年に厚生労働省にもとづく介護保険法改正、認知症ケアについての定義において、明確に強調されているのが「尊厳」という文字です。

認知症(認知の傷害程度)の症状として、自身が何者かさえ忘れかけ、近日の記憶もあいまいな状態となってしまうことが挙げられるのは先に説明した通りですが、認知症ケアを受けられてる患者もまだ人間としての少しの知識と意識を持ち合わせています。

患者それぞれどこまで認知しているかは程度が分かれますが、言葉に出さずとも、深い深層心理の中で、対処を受けるケア介護人への「お礼の意や、苦情の意」を口に出せなくても感じているのです。

ですから、1日を送るうえでどんなに被介護者の方が基本的な活動をできない状態にあるとしても、できるだけ人間としての「尊厳」を傷つけないよう留意し、認知症ケアに当たることが大切です。そんな状態になった患者自身、口に出せない状態でも「生きてていいのかな?まだここに暮らしていいのかな?」と思っているかもしれません。患者へ「自分はここにいていいのだと思わせてあげること」が認知症ケアでは重要なことです。

相手が自身の尊厳を意識できるようなケアの具体的な方法の例

その際、具体的には「一緒に何か簡単なこと(物を作る、話す、簡単でいいから何かする)をおこなうこと」が大切です。そこで、「助かったよ!」などの感謝の感情を少々おおげさに表現し、言ってあげることがよいでしょう。

そのように対処されると、認知症の方は口に出せずとも、「ありがとう!」と言ってくれたことに対して、「ありがとう⇒自分の行為にありがとう⇒自分は無駄ではないことをした⇒自己の存在の意義」に気が付っき、「人として必要とされている」ということに喜びを感じるのです。

(5)認知症ケアをするうえで知っておくべきこと③ 環境をなるべく変えないこと

認知症ケアをする際にもう一つ大切なことは、「環境を変えない」ことです。

どうしても、引っ越しや施設移送で居住場所を変えざるを得ない場合もあるでしょう。そういった場合は、せめていつもの生活スタイルは維持し、生活環境を変えないでいてあげてください。具体的には、「食事の仕方や、入浴の仕方、時間帯や散策、ふれあいの時間」など、いつもと変わらぬ日程を課してあげてください。

最寄りの出来事を忘れてしまう認知症では、身の回りの環境の変化に機敏で不安がります。環境を変えないで維持し、いつもと同じ環境で「変化がない」ことが安心につながります。

(6)中核症状に対するケア方法

認知症ケアに当たり、患者の障害の区分や行動ごとに介護側からの見地で中核症状と周辺症状とに区分されます。

中核症状には、記憶障害、判断力の障害、失認や失行があります。ここでは各症状に対しての具体的なケア方法について説明していきます。

記憶障害

レコード盤現象とは、と呼ばれることもあります。レコード盤現象とは、同じことを繰り返したり、行ったりすることです。「同じことは、さっき聞いたよ!さっき、食べたでしょ!さっき、やったばかりじゃないか!」などとけしかけず、見守る優しさが認知症ケアには大切なのです。

そのため、介護する側の人間は、記憶がとぎれとぎれになってしまうのを、「その人のダメなところ」としてとらえるのではなく、「その人の特徴・個性」として受け止めることで自身のメンタル維持に努めましょう。回想法・音楽療法など記憶へ訴えかける心理療法や薬剤療法などは認知症ケアとして用いられます。

判断力の障害

判断力の低下する認知症は、頼み事をしても失敗が多くなっていきます。ですが、失敗が多いからといって初めからなにも頼まないのは認知症ケアとしてはNGです。とにかく何か簡単なことを頼んでみましょう。

ただし、ここでの注意点は、あまり考えることを必要としないことを頼まないといけない、ということです。患者は、自身が(思考できす)失敗するのを分からない(認識できない)なりに、それでも落ち込むという性質を持ちます。その落胆の感情が改善の兆しへの妨げとなるのです。

ですから、考えなくても成功できるような簡単なことを頼んで、成功させるように導くことが、より患者の改善へ有効的な認知症ケアとなります。

失認や失行

家族や友人、介護してくれる認知症ケアのスタッフの名前や顔を認識できない・忘れている。数時間前あったばかりで話したばかりで忘れている。そういった忘れたものは、忘れたままにせず、教えてあげることが認知症ケアのポイントになります。

洋服の着方を忘れている場合、ベルトやファスナーを使わなくて済むようなスウェットやジャージのようなベルト部はゴム構造であったりと、頭を働かさななくても本人自身の力のみで着れるような洋服を用意し、本人自身が自分で解決できるように導くことが認知症ケアでのポイントになります。

「本人が安心できる方法」「本人が楽しめる方法」であるほど、症状の悪化を遅行させる良い認知症ケアとなります。

(7)周辺症状に対するケア方法

周辺症状ケアでは介護人は患者の行為におおらかに接する気持ちの耐性が必要です。周辺症状には徘徊、物盗られ妄想、幻覚と錯覚があります。それぞれのケア方法を見ていきましょう。

徘徊

認知症患者にとって、徘徊をすることには目的があり、理由があるらしいのです。たとえば、過去の思い出や何かを求めて、その場を訪れることなどです。

「なぜ、そこに行きたいのか?」など理由を尋ね、深夜で対応できないときは「また今度、一緒に行きましょうね」などと、逐一対応してあげることで、患者自身がなぜ徘徊しようとしたのかを客観視できるうえ、。

自身の物が盗まれた、という妄想

「盗られた」と思う気持ちを否定せず、共感して一緒に探すことが認知症ケアでは重要です。施設内なら本当にあるかもしれませんが、考えられる相手も同じ患者です。勘違いで「盗られた!」と騒ぎ立てるのが認知症では多く、そういった場合は、一緒に探してあげて共感してあげることが大切です。探し物をあなたが見つけたら、その場から動かさないで、本人が見つけられるよう誘導してあげましょう。

また、物をなく静楽するための環境を心がけることや、持ち物に目印をつけるのもお奨めです。

幻覚と錯覚

なにかに怖がり、「虫がいる」などは、患者を別室へ移して幻覚を見たことを感じさせない、忘れさせることがいい対応です。

また、「○○が居る!居ないはずの誰かが居る!」などと言ったものは、一緒に探してやっていないことを確認させることも大切です。

幻覚や錯覚は、その時のパターンにより、本人確認で「実在しない」ことを認識させた方がいいか、部屋から退避させて「幻覚なので、患者が幻覚など見ていないことを肯定させるかのように」忘れさせることがポイントとなります。

(8)【介護従事者向け】認知症ケアの5つのポイント

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2303738

認知症の患者を認知症ケアするに当たり、要介護者を取り巻く環境づくりがとても大切になります。その際、押さえておくべきポイントが5つ存在します。

  • 介護するにあたり、親しんだ場所や慣れたスタッフで応対する。生活環境や習慣、人間関係を変えない
  • 患者のな思い出に浸れる生活空間など、過去記憶に訴求的な要素がある環境下が望ましい。
  • 認知症ケアでは患者のより基本的な介護に徹する。
  • 作為ではあるが成功するような簡単な題材で達成感と満足感が得られる役割を与える
  • スタッフや施設仲間と人づきあいを途切れさせない

急激に症状が進行した、そんなときはこの5つの原則が守られていないかもしれません。理想的な認知症ケアをおこなえるようにこれまでの介護環境を見直し、以後のケアへと役立てていってください。

(9)認知症ケアに活かせる資格について

国家試験である介護福祉士を筆頭に、社会人や主婦でも受験できる認知症ケアの資格として次の3種類があります。

  • 認知症ケア専門士
  • 認知症ライフパートナー
  • 認知症ケア指導管理士

仕事に必要とされる資格としては民間資格は弱いですが、認知症への正しい理解し、接し方などの技術を学ぶものとしては大きな力となりえます。

認知症ケア専門士について、より詳しい記事はこちら

→『認知症ケア専門士試験|試験概要や合格前後の流れ、注意点など

(10)認知症ケアについての理解を深めよう

これから認知症ケアの仕事に就こうと思っておられる方も、進行形で就いておられる方も、知識はあるとはいえ、介護にはかなり神経を消耗します。

その中でも、特に認知症ケアでは患者と意思疎通も大変で困ることがたくさんあり、精神的に疲弊してしまいます。それが、在宅で介護をされており、知識もないまま認知症ケアにあたっているケースとなれば、大変さはなおのことです。

そこで、まずは認知症ケアで完全に疲弊しきってしまう前に、ある程度知識をつけることが望まれます。そうすることで、被介護者の認知症治療に役立つだけでなく、介護をされる方々自身が、被介護者の認知症の症状に関して冷静に、かつ優しく向き合うことができるようになる可能性があるからです。

読者の方が、この記事を含めた様々なサイト・記事を活用し、「友人や家族などの大切な人の認知症ケアに関して何とか力になりたい」、という思いを、できるだけ果たされることを願っています。

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