介護に関わるすべての人を応援します

対話型ロボット「テレノイド」 | 認知症予防につながる可能性も

テクノロジー
テレノイドとは、認知症予防などに効果が期待される対話型ロボットです。本記事では、そんなテレノイドについて、具体的なサービス内容や2021年時点での費用、利用方法などのポイントを具体的に説明していきます。
公開日
更新日

(1)認知症予防につながる5つのポイント

認知症を予防するためには、以下の5つのポイントが重要となります。

  1. 生活習慣病の予防・改善
  2. 運動をする
  3. 達成感を味わう
  4. コミュニケーションを取る
  5. 無理なく続けられる

特に、コミュニケーションの果たす役割は大きく、「社会的交流と認知症発症率」を調べた研究によれば、コミュニケーション量の少ない人ほど認知症になりやすいというデータも出ています。もっともコミュニケーション量の多いグループと比較すると、認知症になるリスクは実に8倍以上となります。

その一方で、2020年からの新型コロナ感染拡大により、高齢者は人との交流が難しい状況となっています。自宅や施設にこもりがちとなることで、認知症になりやすくなったり、認知症の悪化が進んだりしているとの声が聞かれます。

そこで注目されているのが、対話型ロボットの「テレノイド」です。

ロボットを介したコミュニケーションであれば感染症の心配もなく、なおかつ人間らしい会話やふれあいが可能となります。その点から、介護の現場でも認知症の予防につながるのではと大きな期待が寄せられています。

参考:理化学研究所、ほのぼの研究所 防ぎうる認知症にならない社会に向けた技術開発を起点とする取り組み

(2)認知症予防になり得る対話型ロボット「テレノイド」とは

テレノイドは、大阪大学大学院基礎工学部研究科の石黒浩教授によって開発された遠隔操作型ロボットです。

石黒教授は人間そっくりのロボット「ジェミノイド」の開発者としてもよく知られ、メディアなどで数多く取り上げられています。

しかし、テレノイドはそれほど人間に似せられたわけではなく、目鼻口と短い腕、胴体があるだけのミニマムデザインが特徴となっています。

額にマイク、瞳にカメラ、口および胸元にスピーカーが取り付けられており、遠隔操作によって、操作している人と会話することができます。相手の言葉にうなずいたり、首をかしげたり、目線を動かしてきょろきょろする、といったリアクションを取ることもできます。

そのしぐさや声色はまるで子供のようで、会話をしている相手は自然と笑みがこぼれたり、かわいいと感じたりするようになります。

テレノイドのもうひとつの特徴は、抱きかかえてスキンシップを体験できる点です。やわらかく肌ざわりのよいスポンジを素材としており、ちょうど人間の体になじみやすい曲線で設計されています。重量も約2.7kgと、とても軽いので、高齢者にも負担になりません。

2015年7月には株式会社「テレノイド計画(現・テレノイドケア)」が設立され、医療介護の分野、特に認知症の高齢者を対象に、心のケアやフレイル予防などでの活用が図られています。

参考:株式会社テレノイドケア

画像:ロボスタ ロボットデータベース

(3)なぜテレノイドは無表情なのか

テレノイドは白一色で、その顔は無表情であり、大人のようにも子供のようにも見えます。その様子から、初見では「怖い」、「気持ち悪い」といった感想を抱く人も少なくありません。

しかし、このデザインには大きな意味があります。

もともと、人間の脳には足りない情報をよりポジティブな想像で補おうとする性質があります。そこで、テレノイドではあえて性別や年齢などのあらゆる個性を取りのぞき、最低限の「人間らしさ」だけを残すことで、その想像を働きやすくしています。

例えば、テレノイドを赤ちゃんのようだと感じたり、自分の家族に重ねてみたり、また声のトーンを操作者に近づけることでその人に近い印象となったりと、実にさまざまです。

こういった特徴から、テレノイドは会話やハグをくり返すことで、より人間らしさを感じられる仕組みとなっています。そのこともまた、認知症にとって大きな効果があると考えられます。

参考:テレノイドケア テレノイドについての質問

(4)テレノイドを導入した施設実例と映像

2017年2月に、宮城県名取市の社会福祉法人みずほが運営する「特別養護老人ホームうらやす」で、認知症防止などのためにテレノイドケアが初めて導入されました。

施設内ではプロジェクトチームが組織され、宮城大学や販売元のテレノイドケアとも連携し、その使用方法や効果なども検証されました。

普段はあまりコミュニケーションを取りたがらない人が、積極的にテレノイドに話しかけたり、体を動かすことのなかった人が子供をあやすようにしたりするようになったという報告がされています。

テレノイドによる効果の波及は、利用者だけにとどまりません。

施設スタッフが、これまで見たことのない利用者の一面を知ることで、より深くその人となりを理解できるようになり、こまやかなケアにつながっていったといいます。そのことが、認知症の予防にもよい影響をあたえたと考えられるでしょう。

こうした結果から、副施設長はテレノイドを人材不足をおぎなうものではなく、ケアの質を高めるものと捉え、人材育成や介護の魅力を伝えるために使用していきたいと話しています。

宮城県知事も、テレノイドを新しい介護のモデルとして世界に発信していくことを目標としています。

参考:福祉新聞 笑顔引き出す介護ロボ 導入1年の特養、ケアの質も向上

(5)テレノイド導入のメリットまとめ

テレノイドを通じたコミュニケーションは、会話や行動を控えがちな高齢者にも心身の活性化をもたらしてくれます。それにより、認知症の予防において、大きな効果を発揮すると期待されています。

こうしたメリットを確実に活かせるように、テレノイドケアでは以下のような内容の研修を行っています。

  • ロボットおよび周辺機器の基本的な操作方法
  • 音声操作を行う際の発話技術
  • 外観デザインの理解
  • テレノイドを利用した際の高齢者の反応
  • テレノイドを用いたケアの目的
  • 実施時の記録・観察記録の共有
  • 継続実施のポイント

テレノイド研修では、まずスタッフ自身が利用目的をよく理解したうえで、興味をもって操作のコツをおぼえられるように進めていきます。チームでそれぞれ得意・不得意をおぎないながら実践していくので、機械が苦手な人でも問題ありません。

また、コミュニケーション研修では、グループワークや現場実習を中心に、認知症の人への受け答えや、会話の演出、そして相手の表情や感情の観察方法などを学んでいきます。

これらのスキルを身につけることで、スタッフもこれまで知らなかった利用者の一面を引き出すことができるようになり、認知症の人に対してもより深く寄り添ったケアを提供できるようになります。

参考:テレノイドケア 効果や利用目的の質問

(6)テレノイド導入にかかる費用は?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1896829

テレノイドは現在、介護施設向け教材としてのレンタル提供のみを行っています。研修導入後であれば、受注生産による購入も可能です。

初期費用は、おおよそ100万円程度です。ただし、本格的なサービス開始にともない価格が変更される可能性もあるので、事前によく確認しておきましょう。

ほかにも、お試し利用として2万円~(別途交通費実費)のデモ実演プランも用意されています。療養環境や日程の調整などで希望に添えない場合もあるので、まずは相談してみてください。

地域によっては、以下のような補助金を利用することもできます。

京都府 ものづくり補助金チャレンジバイ

  1. お試しパック(入門研修+施設内デモ、テレノイド3泊4日レンタル)
  2. 導入パック(導入研修、テレノイド購入)

上限100万円で、類似一般サービスとの差額の2分の1が補助対象となります。

対象となる事業所の形態

  • 老人福祉施設/有料老人ホーム
  • 児童福祉施設/保育園/認定子ども園/幼稚園
  • 母子・父子福祉施設
  • 障害者福祉施設/保護施設
  • 病院/一般診療所/歯科・診療所などの開設者
  • 京都府内に事業所を有する介護サービス事業者
  • 助産・看護業者/獣医業者
  • 高等教育機関など

参考:京都府 ものづくり補助金チャレンジバイ

宮城県 介護ロボット・ICT導入支援事業

テレノイドケアは、「介護職の魅力向上に資する次世代型の介護ロボット等を介護サービス事業所に導入する事業」に該当します。

上限500万円で、費用の2分の1が県から補助されます。ただし、1法人につき3事業所までとなっているので気をつけてください。

対象となる事業所の形態

  • 県内に介護サービス事業所を有する法人

参考:宮城県 介護ロボット・ICT導入支援事業

その他の地域 人材開発関係の助成金

厚生労働省の助成金を活用した研修プランが利用できます。

参考:厚生労働省 人材開発関係の助成金

(7)認知症予防としてテレノイドの導入を検討してみよう

昨年からの新型コロナの感染拡大により、高齢者は他者との接触を大きく制限されています。特に、認知症の人はコミュニケーションの減少で症状の悪化が進むリスクがあるので注意が必要です。

また、スタッフも厳しい感染対策や人手不足からくる精神的・身体的負担で、ケアが十分に行き届かなくなっているケースも増えています。

こういった状況で、テレノイドの導入は以下のようなメリットをもたらしてくれます。

  • 高齢者のコミュニケーションを活性化(認知症予防)
  • スタッフのケアの質の向上

特に、認知症の利用者を多くかかえる施設では、より大きな効果が期待できるでしょう。

ただし、事業所の環境や利用者・スタッフとの相性によってはサービスが合わないというケースも場合もあります。初期費用もかなり高額なので、導入を検討する場合は、まずお試し利用から始めてみるのがよいでしょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!