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(1)転倒によって怪我をしている高齢者が増えている
近年、転倒によって怪我をしている高齢者が増えていることをご存知でしょうか?
たとえば、3年ごとに行われる「国民生活基礎調査」を見てみると、2001年以降は要支援・要介護になった原因として「骨折・転倒」がつねに10%前後の割合を占め、順位でも3〜5位という高さとなっています。
また、2018年に行われた「人口動態統計調査」によれば、全体の不慮の事故死4万1,238人のうち、23.4%にものぼる9,645人が「転倒・転落・墜落」によるものとなっています。さらにそのうち、8,804人が65歳以上となっていて、そのほとんどが高齢者によるものとなっていることが分かります。
なお、転倒というと階段などを連想する人が多いかもしれませんが、実際には「転倒・転落・墜落」の要因として、スリップ・つまずき・よろめきなどによる「同一平面上での転倒」が86.7%とほとんどを占めています。
交通事故が年々減少傾向にあるのに反比例して、転倒事故は右肩上がりの増加傾向にあります。高齢者のみに限定してみれば、1999年には転倒による死亡者が交通事故による死亡者を逆転していて、現在ではその差は3倍以上にもなっています。
(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査 平成28年度版」 厚生労働省「人口動態統計調査」2018年度版)
(2)転倒防止対策にはどうしたらいいのか
高齢になると、筋力の低下などでどうしても転倒しやすくなってしまいます。それを予防するには、普段の生活からできるだけ転倒しにくい環境づくりや服装などを心がけておくことが大切です。
たとえば、
- 風呂場やキッチンなどの水回りや、玄関などを濡れたままにしておかない。
- 部屋を散らかしっぱなしにして障害物を残さないようにする。
- バリアフリーとして階段の手すりや風呂場・トイレにスロープを設置したり、暗い場所には照明をつけておいたりする。
などの対策ができます。
日常生活で気をつけること
服装では、裾が足にからまりやすいものは避けるようにしてください。荷物もできるだけ両手をふさがないように、リュックなどで持ち運ぶようにしましょう。履物はサンダルやスリッパのように安定しないものはやめて、できるだけやわらかく、かつ軽量で、脱ぎ履きしやすいものを選ぶようにします。
また、高齢になると骨密度が低くなってしまい、転倒した際に骨折を負うリスクが高まります。それを予防するため、適度な運動や外出を積極的に行いましょう。
食事では、カルシウムとその吸収を助けるビタミンD・Kの多い食品を積極的に取り入れていくことも効果的です。
(3)屋内での転倒を防ぐためのリハビリシューズ
高齢者の転倒による事故は、決して屋外だけで起こるわけではありません。むしろ、屋内での転倒から重大な怪我にいたることも多いので、自宅でも気をつける必要があります。
そこでぜひおすすめしたいのが、リハビリシューズの利用です。リハビリシューズとは、その名のとおり、おもに屋内でのリハビリに用いるための靴のことです。
リハビリシューズの特徴
リハビリシューズは、軽量でやわらかいのが特徴で、筋力の低下した高齢者でも歩くのに負担になりません。足を入れる開口部も広く取られていて、マジックテープやジッパーで楽に脱ぎ履きすることできます。
さらに、つま先やかかとにカーブをもうけたものもあり、それが段差でのつまずきを防ぎます。また蹴り出しもスムーズにできるようにしてくれます。
リハビリシューズは、通常の靴と異なり、片足だけや左右サイズ違いでの購入をすることもできます。そのため、足にむくみのある人や、装具を付けている人などでも、より自分に合ったものを選びやすいというメリットもあります。
自分に合ったリハビリシューズの選び方
自分に合ったリハビリシューズを選ぶためには、足のサイズを正確に測ることが重要です。測るときには、靴下をはいた状態で測るようにします。ギプスや装具を着けている方は、着けたままで測ってください。
足のサイズを測り方
足のサイズは、かかとからつま先までの足長、足の幅、足幅の周りの長さを測ります。
- 足長:かかとから一番長い指のつま先までの長さです。
- 足幅:親指の付け根の出っ張っている部分から、小指の付け根の出っ張っている部分までの長さです。足の甲ではなく、裏で測るようにしてください。
- 足幅の周りの長さ:足幅を測ったところをメジャーで一周して厚みを測ります。
選ぶ際のポイント
リハビリシューズはある程度ゆとりを持ったサイズを選ぶとよいでしょう。しかし、ゆるいものを選んでしまうと、転倒の原因になります。しっかりと足にフィットしているか、実際に履いて確認することが大切です。
リハビリシューズを選ぶときのポイントを簡単にまとめます。
- 幅広で安定感があるものを選ぶ
- つま先に適度に余裕があるか確認する
- 土踏まずのアーチに靴が軽く触れる程度になっているものを選ぶ
- 歩くときに中で足が滑らないか確認する
(4)医療費控除の対象にもなっているリハビリシューズ
医療費にかかったお金は、その分だけ「医療費控除」として収入から差し引くことができ、課税額を軽減することができます。
医療費以外にも、介護にかかった費用も医療控除として申請できるものがあります。ここに、リハビリシューズなどの介護用品の購入費もふくまれています。
医療費控除になる条件
この医療費控除については、以下の2点の条件があります。
- 控除の対象となる医療費は、年間(1〜12月)で合計10万円以上(※所得200万円未満の人は所得の5%以上)から
- 控除される最大金額は200万円まで
ただし、リハビリシューズでもあくまで、リハビリ(治療)を目的として購入したものしか控除として申請することはできません。特に歩行などに困難がなく、予防目的で使用した場合には対象外となるので注意してください。
使用目的が治療であるか予防であるかは、以下の2点が判断基準となります。
- 購入者が要支援・要介護であるかどうか
- 介護用のリハビリシューズであるかどうか
確定申告を行う際には、この点についてよく確認しておくようにしましょう。
(5)介護施設や病院にもおすすめリハビリシューズ
リハビリシューズは、介護施設や病院でもその効果を大いに発揮してくれます。
特に、入院生活ではそれまでの生活環境から大きく異なるため、転倒などの事故が起こりやすくなります。病気や怪我による身体機能の低下や、安静にしていたことで起こる筋力低下なども、その原因となるでしょう。ほかにも、点滴中には機器が邪魔になって歩きにくく、投薬の副作用などでふらつきが生じることもあります。
このような転倒から、骨折や頭部外傷などの大怪我を負い、結果的に手術を受けなければならなくなったケースも少なくありません。そのため、リハビリシューズを使用するとよいでしょう。
病院ではもちろん、このような転倒や転落事故を減らすため、そのリスクついて十分に患者に対して説明を行い、予防方法なども伝えています。とはいえ、病院や施設が患者につきっきりでサポートできるわけではありません。
自分自身や家族でもリハビリシューズなどを用意して、しっかり予防につとめていくよう心がけましょう。
(6)リハビリシューズはどこで買える?
リハビリシューズを購入するには、専門店などを利用するのがおすすめです。
介護靴として人気が高い「あゆみシューズ」の専門店なら、全商品を取りそろえていて、タイプ別や症状別、さらに左右の組み合わせや利用シーン、足幅(ワイズ)、価格帯など、さまざまな条件から検索することもできます。
靴選びの際の「足のサイズの測り方」も紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
また、「返品交換」のアイコンが付いた対象商品であれば、商品到着後7日以内に返品・交換してくれるサービスも行っているので、はじめての人も安心してためすことができます。
スポーツ用品メーカーであるアシックスのリハビリシューズは、スポーツ工学に基づいて開発されています。
歩行しやすいだけでなく、スタイリッシュなデザインで人気となっています。
リハビリシューズは、それ以外にも通販サイト、あるいは病院のカタログなどからでも購入することができます。
自分に合った購入方法でぴったりの靴を見つけてみてください。
(7)転倒防止対策にリハビリシューズを是非!
高齢になると、病気や交通事故にはより一層気をつけるようになります。しかし、普段から転倒事故に注意している人は意外と少ないのではないでしょうか。
目立ちこそしないものの、実は高齢者の転倒による死亡事故は交通事故よりもはるかに多く、特に近年ではその数が年々増加傾向にあります。また、そのほとんどが坂や階段などではなく平面上での転倒によって起こっているので、自宅などでの日常生活でも十分に気をつけなければいけません。
その点、リハビリシューズは脱ぎやすく履きやすい、つまずきにくい設計でそのような転倒事故を予防するのにとても効果的なアイテムとなっています。値段も手頃で手軽に予防できる方法なので、ぜひためしてみてください。