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【まとめ】介護保険サービスでヘルパーにできること・できないこと

在宅介護サービス
介護保険のヘルパーサービスは自立支援を目的としているので、”できること”と”できないこと”が決まっています。基本はあくまでも本人の自立のための支援だけとなります。それ以外は自費サービスを利用する方法があります。
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(1)介護保険におけるヘルパーにはできること・できないことがある


出典:https://www.photo-ac.com/

近年、超高齢化が進んだことからヘルパーサービスの需要が高まり、民間のヘルパーサービスが増え、ヘルパーサービスが浸透しています。

ヘルパーと聞くとなんでもやってくれるイメージを持つ方が多いかもしれませんが、介護保険のヘルパーサービスは公的なサービスであり“便利屋さん”ではないので、高齢者が困っていることすべてをやってはくれません。あくまでも、自立した生活を送るためのお手伝いという立場になります。

しかし、この介護保険におけるヘルパーの仕事領域を理解していないために、ヘルパーサービスに関するトラブルは増えており、介護保険サービスに関する苦情のうち3番目に多い苦情件数となっています。

苦情の内容としては、介護保険サービスと民間サービスの違いを分からず、介護保険サービスではできないことをお願いしてしまい、その依頼を断られてしまうなどです。

このようなトラブルで不快な気持ちにならないためにも、きちんと介護保険サービスにおけるヘルパーができること・できないことを事前に理解しておきましょう。

(2)ヘルパーにできること 身体介護編


出典:https://www.pakutaso.com/

介護保険でのヘルパーサービスは主に、“身体介護”と“生活介護”の2種類に分かれます。

まずは、身体介護でできることについてご説明します。介護保険のヘルパーの特徴は、ヘルパー資格(介護職員初任者研修修了)を持っていることです(ただし、「総合事業」は除く)。この資格を持っていれば、直接身体に触る“身体介護”ができます。

具体的な身体介護には、食事の介助や入浴介助、排せつ介助、歩行介助などがあります。

(3)ヘルパーにできること 生活介護編

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348169

生活介護とは、買い物代行や掃除、洗濯、調理など自宅で生活するための基本的な家事の支援を行います。ヘルパーは、基本的にヘルパー資格を持っていますが、介護保険制度の要支援1や2の方向けの市独自の総合事業の場合は、市独自の研修を修了した方、民間サービスのヘルパーは、会社独自の研修を受けた方がサービスを提供することもあります。

(4)支援範囲は状況によって変わることも

介護保険でのヘルパーサービスは、ケアマネージャーが作成する支援計画(「ケアプラン」)に基づいて、毎週同じ曜日、同じ時間に来て、同じ作業を行います。

しかし、利用者の体調や在宅生活を送るうえでの課題は変わることもあります。例えば、冬になると普段出来ていた掃除が腰痛でできなくなった、同居家族が出張で一週間だけいないので買い物ができないなど。通常のサービスと違うことを依頼したい場合は、ケアマネージャーに相談してください。

ケアマネージャーが介護保険サービスのできることの中で支援範囲の変更が必要と判断すれば、一時的、または今後のサービス内容を変更することができます。

なかにはヘルパーさんに直接お願いする方もいますが、ヘルパーさんはケアプランの内容以外のことはできません。必ずケアマネージャーに相談してください。

(5)ヘルパーにできないこと 身体介護編


出典:https://www.pakutaso.com/

介護保険サービスのヘルパーは、ヘルパー資格を持っているので身体介護ができますが、医療行為と呼ばれる次の行為はできませんでした。しかし、平成17年に在宅介護の推進から、平成24年には在宅医療の推進から、軟膏の塗布や爪切りなど段階的にできることが増えてきています。

現段階(令和元年度)で、ヘルパーにできない行為をご説明します。

外出介助に関すること

  • 通院時の病院内の付き添い
  • 入院中や入退院時の付き添い
  • ヘルパーが運転する車での外出
  • 娯楽、趣味、散策、非日常的な買い物、地域の行事、冠婚葬祭のための外出の付き添い

自宅での日常生活の介助に関すること

  • 経管栄養注入
  • 胃ろうチューブの挿入や洗浄
  • 排尿カテーテルの挿入、洗浄、消毒
  • 服薬時に口を開けさせるなどの行為
  • 座薬の挿入
  • 爪切りのうち巻き爪など変形した爪切り
  • マッサージ

などになります。

(6)ヘルパーにできないこと 生活介護編

次に介護保険のヘルパーサービスのうち、生活介護で出来ないことを5つの分野ごとにご紹介します。

買い物

  • 利用者以外の人(子ども、孫など)のための買い物
  • 趣向品など日用品以外の買い物
  • バーゲンセールなどの買い物代行

調理

  • 利用者以外の人(子ども、孫など)が食べるための調理
  • 来客のための調理やお茶出し
  • 正月料理などの特別料理

掃除

  • 利用者以外の人(子ども、孫など)が使っている部屋の掃除
  • 年末などの大掃除
  • 家具の移動や部屋の整理

洗濯

  • 利用者以外の人(子ども、孫など)の洗濯

その他

  • 旅行の付き添い
  • 話し相手
  • 車や自転車、車いすの掃除や点検
  • 庭の手入れや草刈り
  • ペットの世話
  • 金銭管理
  • 年賀状などの代行作成
  • 申請や手続きなどの代行

などがあります。

(7)介護保険外でのサービスをどうしてもして欲しい場合は?

前述してきた通り、介護保険のヘルパーサービスには“できること”と“できないこと”が決まっています。しかし、年1回の大掃除やお墓参り、公的な手続きなど介護保険外でのサービスを頼みたいと思うときがあるかもしれません。

そんなときは、次の2つの方法があります。

介護保険事業所の自費サービス

介護保険サービスで利用している事業所に、介護保険サービスとは別(「自費サービス」)に利用する。この場合、いつもと同じヘルパーさんが来てくれるメリットがありますが、自費サービスは、介護保険サービスの自己負担(1~3割負担)と違って、10割負担なので同じ月に2種類の利用料金が請求されます。

民間サービス

民間サービスによる家事援助サービスは、サービス内容のメニューが多く、話し相手や旅行の付き添いなど柔軟な対応もでき、利用料も介護保険事業所よりも安い場合があります。ただし、民間サービスのヘルパーさんは事業所独自の研修を受けただけでヘルパー資格を持っていない場合があります。

(8)広がるヘルパーの医療行為

これまで、ヘルパーは医療行為が出来ませんでしたが、右肩上がりの高齢化、後期高齢者がピークとなる2025年問題、医療従事者不足などから、厚生労働省では在宅医療と介護の連携の推進を勧めています。この流れの中で、これまで介護保険サービスでのヘルパーが行ってはいけなかった医療行為が段階的に解禁され、できることになったものがあります。

平成24年からは、指定された研修等を修了した介護職であれば、次の2つの医療行為も可能となりました。

  • たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)
  • 経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)

現状では、たんの吸引や経管栄養の処置を必要とする利用者が少ないこと、訪問看護サービスがあることなどから、研修を修了しているヘルパーは多くはありませんが、重度な医療行為が必要な利用者にとっては、とても助かるサービスです。

(9)【ヘルパーの方向け】できる・できないでのトラブル対策

(1)で述べた通り、ヘルパーサービスにおいて利用者とのサービス内容についての苦情が増えています。苦情は当然、トラブルへと発展していく危険性があるので、ヘルパーサービスの事業所としては苦情となる要因に対し早く対策を打つことが、円滑な事業運営、従業員を守ることになります。この章では、ヘルパーの“できること”、“できないこと”でのトラブル予防法を2つご紹介します。

資料を渡す

ヘルパーサービスを提供する前に、介護認定の申請のときや、ケアプラン作成時、サービス担当者会議などで、介護保険ヘルパーサービスで、“できること”、“できないこと”を説明していると思います。しかし、説明を受けているのは、高齢者であり、初めての利用であるので、しっかり説明していても利用者が理解していない場合や忘れてしまうこともあります。重要なことは資料を渡して、部屋や冷蔵庫などに貼ってもらうようにしましょう。

組織で徹底する

ヘルパーサービスでよくある事例が「前のAさんはやってくれたのに、今のBさんはやってくれない」といった、ヘルパーによる対応の違いです。同じように「前のA事業者はOKだったのに、今のB事業所はやってくれない」といった事業所による対応の違いもトラブルの原因になります。「利用者が困っているから・・・」、「1回だけなら・・・」とヘルパーの優しさが仇となってしまうことがあります。事業所内の研修などで定期的にヘルパー自身が“できること”、“できないこと”を徹底しましょう。

(10)介護保険で利用できるヘルパーのサービスを事前に確認しておこう

介護保険サービスは、自立した生活をおくるための公的なサービスなので、“できること”と“できないこと”があります。

ヘルパーの“できること“と”できないこと“で、利用者とトラブルにならないために、事前によく説明し、重要なことは資料をわたしましょう。また、ヘルパー自身も事業者自体も、組織としてヘルパーが”できること“、”できないこと“について徹底しておきましょう。ヘルパーも利用者も介護保険制度の内容と目的をしっかり確認して、良い介護生活をおくりましょう。

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