(1)介護靴とは
高齢になってくると心配になってくるのが「転倒」です。
若いころは転倒したとしても大事に至らないことのほうが多いですが、高齢になってからの転倒では骨折してしまうことも多々あります。そして骨折をきっかけに寝たきり状態になってしまうなんていうことも実際にある話です。
介護靴はそのようなリスクを回避するため、高齢者の方が安全に歩けるよう様々な工夫が施されています。
転倒のリスクを下げる
転倒防止対策として下肢の筋力を維持していくことはもちろん大事ですが、普段履いている靴を介護靴に変えるだけで転倒するリスクを大幅に下げることができます。
安全性を高める介護靴のメリットや正しい選び方を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
まずは介護靴がどんなものかイメージしやすいよう、おすすめ商品から紹介します。
(2)おすすめ介護靴① あゆみ 早快マジック
徳武産業株式会社より販売されている、「あゆみ 早快マジック」の介護シューズです。
日本転倒予防学会が推奨する商品で、Amazonで2,017円(税込)です。
あゆみ早快マジックの5つのポイント
- 通気性の良いメッシュ素材
- カウンターが踵(かかと)を包み込み、足が疲れにくい
- ループ付で履きやすい
- 水がしみこみにくい
- しなやかで屈曲性がよい
入院中や施設での介護靴として多くの人に利用されている介護シューズです。ほかの商品に比べてグリップ性(地面をしっかりと捉える力)が強いため、すり足の方が使用する際はつまづきに注意するようにしてください。
(3)おすすめ介護靴② 快歩主義
こちらはアサヒシューズから販売されている「快歩主義」の介護シューズです。
価格はベーシックなもので5,000~6,000円(※)となっており、医学博士との共同開発で医学的に開発された靴として販売されています。
足に優しい5つのポイント
- 体重移動をコントロールして歩行をサポート
- 水に浮くほど軽い
- つまづきにくく安心
- 脱ぎ履きが簡単
- 安心・安全な国内生産
男女問わずに愛用者も多く、見かけたことのある人もいらっしゃるのではないでしょうか。その名の通り、快適な歩行を楽しみたい人におすすめの介護靴です。
(4)おすすめ介護靴③ たんぽぽ日和
徳武産業株式会社より販売されている「たんぽぽ日和」の介護シューズです。
価格はベーシックなもので3,000~4,000円(※)となっていて、介護靴の中では比較的お安く購入することができます。
たんぽぽ日和の3つの特徴
- ぴったりフィット
- やわらか素材
- すべりにくい
徳武産業というと同じ介護シューズでも「あゆみ」シューズが有名ですが、このたんぽぽ日和はあゆみシューズよりお手頃な価格となっています。大型量販店で販売されているため、家族へ2足目の介護靴としてプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
(5)おしゃれな介護靴
高齢になってもおしゃれを楽しみたいという方は多いのではないでしょうか。「おしゃれは足元から」と考え、靴にこだわりを持っている方にとって、介護靴のシンプルなデザインでは物足りないと感じる方もいるはずです。
介護靴は、機能性を重視しているため、おしゃれなデザインのものを見つけるのは容易ではありませんが、ここでは女性向けの装飾のついた商品をピックアップして紹介します。
こちらは(2)で紹介した快歩主義の花柄バージョンです。前方の中心部に花柄の生地が使用されておりおしゃれです。
値段は4,018~6,372円(※)で、ブラック・パープルラメ・ベージュの3色展開です。
こちらは株式会社ムーンスターが販売している介護靴で、全面にあしらわれた模様と内側のパステルピンクの差し色がおしゃれです。
値段は5,488~7,560円(※)で、ブラック・ブラウン・ワインの3色展開です。
※価格はAmazonを参考にしており、変動する可能性があります。
(6)購入前に注意すること
実際に介護靴を購入する際、気を付けておきたいポイントが2つあります。
医療費控除の対象になる場合も
リハビリのためのリハビリシューズは医療費控除の対象になります。
リハビリは医療保険では治療の扱いになるため、リハビリのシューズを購入することは医療費控除の対象となります。購入する際は忘れずにレシートなどを取っておくようにしましょう。
サイズを図る時間帯に注意
介護靴に限らず靴を買う際には、足がむくんでいる夕方にサイズをはかることが薦められています。しかし一般的には夕方にむくみやすい人が多いというだけで、なかには朝方にむくみやすいという人もいます。そのため購入者のむくみやすい時間を把握し、それに合わせて採寸するようにしましょう。
医療控除について詳しく知りたい方はこちら
(7)介護靴の役割
介護靴というと介護を必要としている人が履いている印象を持っている人も多いと思います。しかし実は、介護を必要としていないただ歩行に不安を感じるようになってきた人にも大きなメリットがあります。
介護靴が持っている大きな役割は「自分で歩行ができる状態を維持していくことを助ける」ということです。
高齢になるにつれ歩くだけでさまざまなトラブルに悩まされるようになったという経験はありませんか。トラブルの具体的な内容を挙げてみると、以下のようになります。
- 膝の痛み
- むくみ
- つま先が上がりにくくなることで、つまづきやすくなる
- 外反母趾
- 半身麻痺による装具の装着
これらは高齢者の快適な歩行を妨げることで、転倒のリスクを高める要因となっています。介護靴はこれらのトラブルに対応しながら自分で歩くことができるように設計されているという点が、普通の靴との大きな違いです。
(8)介護靴の特徴
さきほどお伝えしたように、介護靴は歩行する際に生じるトラブルに対応することで快適に歩行ができるように設計されています。
その特徴を具体的にまとめてみると以下のようになります。
- 脱ぎ履きしやすい
- 軽くて柔らかい素材を使用、靴底は滑りにくいように加工されている
- 左右サイズ違いを購入することができる
- 装具の装着が必要な人やむくみの強い人などのために、靴の幅が広いものもある
- つま先やかかとが上がったデザインが多い
- 室内用、屋外用、院内リハビリ用など種類が豊富
(9)介護靴を使用するメリット
ここではさきほどお伝えした介護靴の特徴から介護靴を使用するメリットについて説明していきます。
履きやすい
まず高齢者が履く靴として1番大切になってくることは靴の脱ぎ履きのしやすさです。いくらデザインが好みの物であったとしても自分で脱ぎ履きすることができなければ意味がありません。
介護靴は開口部が広く足を出し入れやすいデザインになっているため、靴の脱ぎ履きも快適に行うことができます。
軽い&すべらない
靴の重さや滑り止め加工が工夫されているかというのも重要な点です。重さがあればそれだけ足首に負担がかかってしまいますし、軽くても滑りやすければ転倒のリスクも高まるだけです。
介護靴は普通の靴に比べて軽く滑り止め加工もしっかりとしています。そのため、室内履きとしてスリッパの代わりに使用される人も多いです。
左右で自分に合った靴を選べる
通常のものよりも幅が広いものがあったり左右で違ったサイズを購入できるということも大きなメリットで、むくみの強い人や片足だけ装具を装着する必要のある方でも不自由なく使用することができます。
(10)介護靴を選ぶときのポイント
介護靴であればどのようなものを購入しても同じというわけではありません。とくに専門店とは違い大型量販店では介護靴と謳われていたとしても、きちんと特徴が備わっているかを見極める必要が出てきます。
そこで実際に介護靴を購入する際には、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
- 開口部が広く、足を出し入れしやすい
- 幅が広く、安定感がある
- 片手でも履きやすい
- 通気性が良い
かかとがぴったりのときは、爪先のほうに10mm程度余裕があるものを選ぶと良いです。
かかとや甲の部分がしっかりしているもの、調節機能のあるものがおすすめです。
自分にとって使いやすいものをきちんと選ぶことで、はじめて介護靴の特徴をいかすことができます。
また、撥水加工されている商品もあるので、雨天時の外出ではそのような商品を利用すると良いでしょう。
上記のポイントを踏まえながら実際に手に取り試着することで、普段の生活のなかで負担なく使用することができるかどうかを確認するようにしましょう。
(11)利用者にあった介護靴を選ぼう
介護が必要な人だけではなく、そうでない人でも介護靴を履くことによって安全・快適に歩行ができるということをおわかりいただけたのではないでしょうか。
以前に比べると介護靴の種類やデザインも豊富になってきているため、日常に使用していても見た目は普通の靴と変わりないものが増えてきています。
以前から介護靴を使ってみたいなと思っていた人はもちろん最近歩行に不安を感じるようになった人もぜひ、お気に入りの介護靴を見つけてみてはいかがでしょうか。