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補聴器は医療費控除の対象となる?申請手続きや費用の目安とは

介護用品
補聴器は、耳の聞こえを補うための補装具で医療機器に分類されます。形や機能はさまざまで、高額なものは数十万円するため、加齢により聴覚が衰えても購入をためらってしまうこともあるでしょう。医療費を年間10万円以上支払った場合に申請できる「医療費控除」は補聴器の購入代金も対象となります。補聴器購入で医療費控除を申請する手続きや、補聴器の購入で利用できる公的助成などについてまとめました。
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(1)補聴器は医療費控除の対象になる?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2075837

耳の聞こえが悪くなったときに検討するのが補聴器の購入です。

しかし、補聴器は数十万円もする高額な機器であるため「医療費控除の対象になるのか?」「自治体などから公的助成を受けられるのか?」ということが気になります。

補聴器は管理医療器具であるため医療費控除の対象になりますが、誰でも控除を受けられるわけではありません。

医師の診断を受ける必要がある

治療を目的として使用する場合に控除対象となる「医療費」として扱われるため、医師の診断をもとに治療や必要性があると判断される必要があります。耳の聞こえが悪くなったときに自己判断で補聴器を購入した場合には、医療費控除の対象とはなりません。

また、医療費控除の対象となるのは「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額に限る」という規定もあります。

補聴器の購入で医療費控除の申請をするためには税務署に申告する必要があり、次項で説明する手順が必要です。

(2)医療費控除の申請手続き方法

補聴器の購入で医療費控除を受けるためにはいくつかの手順があります。

  1. 補聴器の購入前に必ず補聴器相談医を受診して、問診・検査を受ける
  2. 補聴器相談医が必要事項を記入した「補聴器適合に関する診断情報提供書(2018)」を受け取る
  3. 補聴器販売店で「補聴器適合に関する診断情報提供書(2018)」を提出して補聴器の相談、検討をして補聴器を購入する
  4. 販売店から「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しと補聴器を購入したときの領収書を受け取る
  5. 補聴器を購入した年度の確定申告で医療費控除対象として申請する

確定申告後も税務署から「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しや領収書の提出を求められる場合があるため、しばらくは大切に保管しておく必要があります。

「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」は、一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会のホームページからダウンロードできます。

購入前には、「補聴器相談医」を受診する必要があります。相談医の資格を持っている医師がいる病院は、同じく日本耳鼻咽喉科学会のホームページで確認できます。

(3)そもそも医療費控除とは

医療費控除とは、一年間に一定額以上の医療費を支払った場合に納めた税金が一部戻ってくるというもので、控除を受ける場合には会社員の場合でも確定申告をする必要があります。支払った医療費がそのまま戻ってくるというわけではなく、支払った金額に応じて住民税などの税金を計算しなおすという制度です。

医療費控除の対象となるのは医療費が10万円を超えた場合で、上限は200万円となっています。

所得が200万円以下の人は所得の5%を引いた額が控除されます。

(4)医療費控除の対象となるもの

医療費控除の対象となる医療費は法令により以下のように定められていて、病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

  1. 医師または歯科医師による診療・治療の対価(健康診断の費用や医師等に対する謝礼金は原則として含まれない)
  2. 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪を引いた場合の風邪薬などの購入代金は医療費に含まれるが、ビタミン剤など病気の予防や健康増進のために用いる医薬品の購入代金は医療費とはならない)
  3. 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設または、助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
  4. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(疲れを癒したり体調を整えるといった医療に直接関係ないものは含まれない)
  5. 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(家政婦に病人の付き添いを頼んだ場合の療養上の世話の対価は含まれるが、所定の料金以外の心づけなどは除く。家族や親類などに付き添いを頼んで付き添い料の名目でお金を支払った場合は医療費とはならない)
  6. 助産師による分べんの介助の対価
  7. 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
  8. 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
  9. 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの

(1)医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれない)

(2)医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯などの購入費用

(3)傷病によるおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要になる)

※1 医療費の中には身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや前記(1)、(2)の費用に相当するものも含まれます。

※2 おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。

  1. 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
  2. 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
  3. 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限る)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金(平成20年4月1日から適用されます)

平成29年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間に支払う特定一般用医薬品等の購入費は、その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときに、選択によりセルフメディケーション税制(特定一般医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の対象となります。

(参考:国税庁「医療費控除の対象となる医療費」

(5)医療費控除を受ける条件

医療費控除を受けるためには一定の条件があります。

対象となる期間

その年の1月1日から12月31日までの一年間に支払った医療費が対象となります。治療を受けたが支払いは翌年度になるという場合は、その年の医療費控除には含まれません。

逆に、昨年度に治療を受けて本年度に支払いをした場合は、本年度の医療費控除に含まれます。

税金を納める本人と配偶者、親族のなかで「生計を一にする人」が支払った医療費のうち、以下の計算式で算出された額を所得から医療費控除として差し引きます。

計算式:(支払った医療費の合計)-(補填される金額)-10万円=医療費控除の金額

「補填される金額」は、入院したときに生命保険などからおりる入院給付金や高額の医療費に対して払い戻される高額療養費、子供など被扶養者の医療費に適用される家族療養費、出産のときにもらえる出産一時金などのことをいいます。

また、その年の所得が200万円未満の場合は10万円のかわりに総所得の5%の金額を引きます。

医療費に含まれる項目であること

医療費控除の対象になるのは、(4)で述べた診療や治療に対して支払ったお金です。実際に病院などに支払った治療費以外にも、薬代や通院のためのタクシー代、入院中の食事代なども対象となります。

人間ドッグで異常が見つかった場合は「治療」に含まれ、異常がなかった場合は「予防」として医療費控除の対象とはなりません。

(6)補聴器は保険がきく?

補聴器の購入をするときには、一般的な生命保険や健康保険、介護保険などの適用はされません。高齢になると誰でも耳の聞こえが悪くなってくるものですが、介護保険でも補聴器は適用されていないのが現状です。

補聴器の購入の際に費用負担を軽減するためには、前項(7)のとおり障害者手帳を取得して補装具費支給制度を利用するしか方法はありません。

(7)補聴器に消費税はかかる?

補聴器は薬事法に定められた「医療機器」に分類されるため、消費税がかからない「非課税対象商品」となっています。購入のときだけでなく、修理の場合も非課税となっています。

補聴器本体は非課税ですが、補聴器用の乾燥ケースやアクセサリーなどの付属品・周辺機器と電池などの消耗品は課税対象となります。

(8)補聴器の費用の目安

高額なイメージがある補聴器ですが、形や機能によって値段はさまざまです。

耳あな型

耳の穴に入れて使う目立たないタイプの補聴器で、使用する人の聴力や耳の形に合わせてひとつひとつ作られるオーダーメイド型の補聴器です。

そのため、価格はやや高額で10万円から35万円程度です。

耳かけ型補聴器

耳にかけて使うタイプの補聴器で、耳あな型よりもやや補聴器が目立ちます。その分、色やデザインに凝ったものもあり、おしゃれ感覚で使用することもできます。

価格は7万円から30万円程度と幅があります。

既製耳あな型補聴器

耳の穴に入れて使うタイプの補聴器ですが、オーダーメイドではないためサイズがぴったりではありません。その分、価格はオーダーメイド型よりも安価で、1万円~7万円程度です。

ポケット型補聴器

携帯型ラジオのような形をしていて、本体を首から下げたりポケットなどに入れて使う補聴器です。価格は補聴器の中で一番安価で、3万円前後で購入できます。

補聴器購入の目安としては片耳11万円前後が一般的で、両耳で20万円程度が平均価格となります。

(9)補聴器の費用を軽減する障害者総合支援法

補聴器を購入するときには、費用の負担を軽減できる障害者総合支援法による補装具費支給制度があります。

障害者に関する法律は身体障害者福祉法と障害者総合支援法があり、互いに関連する部分があります。身体障害者福祉法は身体障害者手帳を持っている人が対象となっていて、障害者総合支援法では公的助成として補装具費支給制度があります。

補聴器は補装具に該当するため、一定の条件を満たせば原則として購入費用の9割を国や自治体が負担します。

障害者総合支援法による助成を受ける場合は身体障害者手帳を取得する必要があります。

身体障害者手帳の取得

自治体の障害福祉課で「身体障害者診断書・意見書」を入手し、指定医に身体障害者手帳を持つ必要がある旨の書類を作成してもらいます。

医師なら誰でもいいというわけではなく、「身体障害者診断書・意見書」を書くことができる医師が「指定医」として自治体から指定されています。

自治体の障害福祉課に、指定医に記入してもらった「身体障害者診断書・意見書」と一緒に交付申請書、写真(障害者手帳に貼付するため)、印鑑、マイナンバーを提出します。必要書類を提出してから審議があり、1か月~4か月程度で障害等級が決定し、身体障害者手帳が交付されます。

補聴器の購入費の助成を受ける場合

身体障害者手帳が交付されたら補聴器の購入費を公費負担してもらえますが、購入後の申請は認められていません。

購入の前に障害福祉課で「補装具費支給意見書」の用紙を入手し、指定医に必要事項を記入してもらいます。それから補聴器を取り扱っている店舗で補聴器の見積書を作成してもらいます。

障害福祉課に「補装具費支給意見書」「補聴器給付申請書」「見積書」を提出し、審査のあと「補装具費支給券」が郵送されます。これを持って補聴器を購入すると、自己負担1割で補聴器を購入することができます。

(10)補聴器を購入したら医療費控除を申請しよう

年齢とともに低下する耳の聞こえを補うためには、補聴器はとても重要なものです。一般的に補聴器は高額なため、購入をためらう場合もありますが購入した場合は医療費控除を申請できます。

一般的な生命保険や介護保険などは適用されませんが、身体障害者手帳を取得すれば補装具費支給制度の利用ができます。

医療費控除や公的助成をうまく活用して、補聴器購入の負担を軽減しましょう。

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