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障害者手帳を持つことのメリットとは |税金や保険の面など

在宅介護サービス
身体障害や精神障害を患うと、日常生活だけでなく社会生活にも支障が出てきてしまいます。特に、健常者とは異なり、経済的な負担は大きくなってしまいます。そういった方の為に用意されているのが「障害者手帳」です。しかし、「障害者手帳」の交付を受けることはメリット共にデメリットも存在しています。本記事では、各種障害者手帳のメリット・デメリットに関して詳細にまとめていきます。
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(1)障害者手帳を交付されることで様々なメリットが

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/635909

障害者手帳には、「身体障害者手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」、「療育手帳」があり、その種類や障害の等級によって、その障害による様々なデメリットを軽減することが出来ます。軽減できるデメリットとしては、共通して所得税や住民税等の控除と言った経済的負担軽減が主ですが、その他にも求人の障害者枠に応募出来るなどのメリットがあります。なお、それぞれの障害者手帳は以下の場合に交付されます。

身体障害者手帳

身体に何らかの疾患があって、日常生活、就学、就労をするにあたり、その疾患が障害をおよぼすと判断された場合に交付される手帳です。外見から分かる損傷などはもちろんの事、一見して分からない視力低下や血液循環における疾患も対象に含まれます。

これらの身体的障害による様々な不便性を低減させるために、身体障害者福祉法に基づいて自立・支援を行い社会活動の参加を促すことを目的としています。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害(※)を持っている方に交付される手帳です。精神障害よる様々なデメリットを低減させるために、身体障害者福祉法に基づいて長期的な日常生活若しくは社会生活への制約があることを見越して、自立・支援を行い社会復帰を促すことを目的としています。

手帳を受けるためには、その精神疾患による初診から6ヶ月以上経過していることが必要になります。

※精神障害の対象となるのは、すべての精神疾患です。代表的なものは下記のようなものになります。

  • 統合失調症
  • うつ病、そううつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる依存症等
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

(出典:板橋区役所(外部リンク))

療育手帳

主に知的障害のある子どもを対象に交付される障害者手帳で、交付する地域によって様々な呼称になっています(愛の手帳、みどりの手帳など)。

療育手帳は、知的障害に起因する様々な社会上・生活上の不便性を低減させると共に、一貫した療育や援護を受けられる事を目的としています。

ただし、この療育手帳に関する各種制度は法律による制度ではありません。「療育手帳制度について」というガイドラインに基づいているので、裁量権は各自治体に委ねられる部分が大きく、全国一律の基準が設けられていません。そのため、現状として地域によって支援や援助に差があるという課題があります。

知的障害と精神疾患を両方有する場合は、両方の手帳を受けることができます。

(2)各種障害者手帳に共通するメリット① 所得税が控除される

前述の様に障害者手帳を持つと、その障害による様々なデメリットを低減させるための方策として、所得税が控除されるので経済的負担を軽減することが出来ます。なお、その種類や障害の等級によって「特別障害者控除」と「障害者控除」があり、同居している親族に適用される「同居特別障害者」もあります。控除額は以下の様に変わってきます。

障害者控除:所得税
区分 対象者 控除額
特別障害者控除 身体障害者手帳の1級及び2級、精神障害者保健福祉手帳1級、重度の知的障害者(療育手帳A) 40万円
障害者控除 身体障害者手帳3級~6級、精神障害者保健福祉手帳2級及び3級、中度・軽度の知的障害者(療育手帳B1・B2) 27万円
同居特別障害者控除 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方 75万円

(3)各種障害者手帳に共通するメリット② 住民税が控除される

障害者手帳が交付されると、共通して住民税も控除対象となります。控除額は上記で説明した障害者手帳の種類や障害の等級によって「特別障害者控除」と「障害者控除」、同居している親族に適用される「同居特別障害者」に分類され、控除額は以下の様に変わります。

障害者控除:住民税
区分 対象者 控除額
特別障害者控除 身体障害者手帳の1級及び2級、精神障害者保健福祉手帳1級、重度の知的障害者(療育手帳A) 30万円
障害者控除 身体障害者手帳3級~6級、精神障害者保健福祉手帳2級及び3級、中度・軽度の知的障害者(療育手帳B1・B2) 26万円
同居特別障害者 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方 53万円

(4)各種障害者手帳に共通するメリット③ 失業保険の給付期間が延びる

障害者で就職困難者と判断された場合、失業保険は3ヶ月の給付制限期間を待たず直ぐに給付されます。給付期間は45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日に延長されます。

一般受給者に比べ、給付の条件が緩和されていることに加え、給付期間が年齢によっては3倍になるメリットがあります。

雇用についても障害者雇用枠での就労が可能になります。障害者雇用は原則として、障害者手帳を保有していることが条件となります。就労する際に、障碍者雇用枠を利用したい方は取得をすることをお勧めします。

https://1682-kaigo.jp/article/000680

(5)身体障害者手帳を持つことで得られるメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2332583

身体障害者手帳が交付されるメリットは、行政から様々なサービスを受けるところにあります。障害の等級があがれば、おのずとその障害に応じて医療費が高騰し、経済的に圧迫されるなど様々なデメリットが発生します。

そういった事態を避けるために、身体障害者手帳の交付に合わせて国からの経済的サポートなどを受けることが可能になります。

得られるメリット

  • 所得税、住民税、相続税、等の税金の控除
  • 自立支援医療の受給(障害を除去、軽減する医療の治療費の支援を行う制度。身体障害者手帳の等級によっては受けられない事がある)
  • 自動車税、軽自動車税、自動車取得税等自動車関係の税金の減免
  • 公共交通機関の割引(JR、タクシー、バス等)
  • NHK受信料の減免
  • 有料道路の料金割引
  • タクシー料金及びガソリン代の補助(ただし、重度の場合のみ)
  • 車椅子や補聴器など補装具購入時の費用の支給
  • 障害者雇用枠での就職など就労に向けての支援

※サービスは各地自治体に異なる場合があります。

(6)精神障害者保健福祉手帳を持つことで得られるメリット

精神障害者保健福祉手帳が交付されるメリットは、税金の控除・減免の他、障害者雇用に応募できることが最大のメリットです。

障害者雇用促進法の定めによって、民間企業は2.0%以上の障害者の雇用が義務付けられているので、一般雇用よりも就職がしやすくなっています。また、自治体によっては公共料金や公共施設での割引が適用される事があります。

得られるメリット

  • 所得税、住民税、相続税、等の税金の控除及び贈与税の非課税
  • 公共交通機関の割引(JR、タクシー、バス等)
  • NHK受信料の減免
  • 公共施設の割引(映画館、動物園、美術館、水族館など)
  • 携帯電話、スマートフォン利用料金の割引
  • 公共料金の割引(水道など)
  • 公営住宅への優先入居
  • 障害者雇用枠での就職など就労に向けての支援

※サービスは各地自治体に異なる場合があります。

(7)療養手帳を持つことで得られるメリット

療育手帳が交付される事のメリットとして、その他の障害者手帳同様経済的な支援などに加え、教育面の支援も受けることができること等が挙げられます。

例えば、保育園に入園時の優先順位が高くなったり、特別支援学校への入学の際には、療育手帳の写しを提出することにより医師の診断書を用意する必要がなくなったりします。

また、就労に向けての支援も行われており、障害者雇用枠での就職の他、特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金等の対象になります。

得られるメリット

  • 所得税、住民税、相続税、等の税金の控除
  • 自動車税、軽自動車税、自動車取得税等自動車関係の税金の減免
  • 公共交通機関の割引(JR、タクシー、バス等)
  • NHK受信料の減免
  • 公共料金の割引や減免(水道など)
  • 公共施設の割引(映画館、動物園、美術館、水族館など)
  • 教育面での支援
  • 障害者雇用枠での就職など就労に向けての支援

※サービスは自治体ごとに異なる場合があります。

(8)障害者手帳を持つことで起こり得るデメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2019680

障害者手帳を持つ事のデメリットは、基本的にはないでしょう。しかしながら、公的に「障害者」として認定されることは、本人及び家族などにとってはデメリットと言えるかも知れません。

事実、障害者手帳の交付を行う上で、単に「障害を持ったから」と言えず、様々な葛藤を経た上で交付の判断される方が多いので、心理的なデメリットは大きいかもしれません。

一人ひとりの考え方が大切

逆に言えば、持つことの心的なデメリットはあるものの、障害者手帳の交付を受けて暮らすことのメリットが大きいので、交付に二の足を踏む事の方がデメリットと言う見方も出来ます。もちろん、熟考を経たうえでその心的なデメリットのほうが大きい、と判断したならば、それも考え方の一つです。

いずれにしても、障害と上手く付き合うためものが障害者手帳なので、よく検討してから判断をするのが賢明でしょう。

なお、障害者手帳の内、療育手帳の交付を受けている場合、保険に入れないデメリットがある事もあります。何故ならば、生命保険や入院保険などの民間保険の場合、発達障害(ADHD、アスペルガー症候群、自閉症など)は認知されていないからです。

(9)【種類別】障害者手帳の申請方法

障害者手帳の申請方法は、

  • 「身体障害者手帳」
  • 「精神障害者保健福祉手帳」
  • 「療育手帳」

の3種類の障害者手帳のうち、いずれを申請するかによって手続きはそれぞれで異なり、以下の流れで交付されます。

身体障害者手帳の申請方法

  1. 各市区町村で「身体障害者診断書・意見書」の用紙を受け取る(ダウンロード出来る自治体もあり)
  2. 指定された医師に「身体障害者診断書・意見書」を書いてもらう(診断書作成の費用は実費、即日~1週間程度かかる)
  3. 「身体障害者診断書・意見書」と共に必要書類(※)を携え交付申請書に記入し窓口に提出

(※印鑑、証明用写真(縦4cm×横3cm)、マイナンバーがわかるもの、場合によっては代理権の確認書類や代理人の身元確認書類)

  1. 審査後障害者等級が決定されるおよそ約1ヶ月程度で交付(※基本的に一度交付されると、更新の必要はありません)

身体障害者手帳を申請する際の注意点

なお、必要書類は各地自治体で異なる場合があるので、「身体障害者診断書・意見書」をもらう際に聞いておくほうが無難です。また、15歳未満の場合は保護者が、15歳以上は本人が申請するようになっています。

精神障害者保健福祉手帳の申請方法

  1. 各市区町村の障害福祉担当窓口で「診断書(精神障害者保健福祉手帳用)」の用紙を受け取る
  2. 精神疾患の専門医の受診を受け、「診断書(精神障害者保健福祉手帳用)」を記入してもらう(診断書作成の費用は実費)

※ただし、手帳の交付の条件として初診から6ヶ月以上経過している事、また診断書の作成日が申請日から3ヶ月以内

  1. 各市区町村の障害福祉担当窓口で診断書と共に必要書類(※)を携え交付申請書に記入し窓口に提出

※証明用写真(縦4cm×横3cm)、マイナンバーがわかるもの、場合によっては代理権の確認書類や代理人の身元確認書類

  1. 審査後障害者等級が決定される
  2. およそ約1ヶ月~4ヶ月程度で交付

※2年毎に更新が必要

精神障害者保健福祉手帳を申請する際の注意点

なお、障害者年金や特別障害給付金を精神障害を理由に受給している場合、診断書を作成してもらわなくても年金証書などで申請する事が可能です。

また、精神障害者保健福祉手帳は2年毎に更新が求められ、期限の3ヶ月前から申請することが可能です。申請時には必要書類と現在交付されている手帳のコピーが必要になります。

もし、有効期限内に状態が悪化した場合、申請することで障害者等級の変更が可能です。

療育手帳の申請方法

  1. 各市区町村の障害福祉担当窓口、若しくは児童相談所で療育手帳取得の申請をして、障害者等級判定予約を申し込む
  2. 心理判定員や小児科医のヒアリングを受け、判定を行う
  3. 判定後、精神保健福祉センターで審査を行い障害者等級が決定
  4. およそ1ヶ月程度で郵送にて交付

※2年毎に更新が必要

※必要書類として、療育手帳交付申請書、証明用写真(縦4cm×横3cm)印鑑が必要

療育手帳を申請する際の注意点

なお、18歳以上の方が療育手帳を申請する場合、本人の同意が必要になります。また、判定時には本人と共に、家族の方へのヒアリングが求められます。

その際、申請者本人の子供の頃の様子を説明する必要がありますが、該当者がいない場合母子健康手帳や診断書などを携えて、福祉事務所等の担当者が立ち会うことが求められる事があります。

なお、18歳以降も療育手帳使い続けたい場合、成人用の療育手帳に更新する必要があるので、各市区町村の担当窓口に問い合わせる様にしましょう。

(10)障害者手帳を持つメリットとデメリットは考え方によって変わる!

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/400984

障害者手帳が交付されることで得られるメリットは非常に大きく、特に経済的負担が軽減されることは、中長期的に見ても安定して障害と付き合っていく状況を作り出してくれます。しかし、その一方で2年毎に更新が求められ(基本的に身体障害者手帳は更新不要)、そのたびに「障害者」であることを公式に認定されるので、初回の申請のみならず手帳を保有している間そういった心的なデメリットを感じ続けなければなりません。

確かに、そういったデメリットだけを見ると心的な負担は大きいものがありますが、かと言って手帳の有無で状況が変わる訳ではありません。つまり、障害者手帳を申請するメリット・デメリットは、本人の心持ちに左右される部分があるので、申請を悩んでいる方は、今一度障害者手帳により受けることのできる生活的・社会的補助の全てを確認してから決断してみることをお薦めします。

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