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呼吸リハビリテーションとは | 効果や方法等を解説【QOL向上にも】

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「呼吸リハビリテーション」とは、呼吸の際に使う筋肉などをトレーニングし、呼吸をスムーズにするリハビリテーション方法です。年を取り高齢になるとさまざまな筋肉の衰えから呼吸が難しくなることがあります。呼吸に少しでも困難を感じたら、呼吸リハビリテーションを実践してみましょう。
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(1)呼吸リハビリテーションとは

人間の体は運動などで筋肉を使っていないと日々衰えていきます。 高齢になるとその変化は顕著に現れ、体の様々な部分に弊害が起こります。 呼吸もその弊害の一つです。

呼吸リハビリテーションはこうした体の衰えを改善するために、呼吸器の運動機能を向上などを図ります。 そして患者さん自身が自立した日常や社会生活を送れるように継続的に支援する医療です。

(2)呼吸リハビリテーションの目的

呼吸リハビリテーションは、年齢とともに日々衰える身体機能を向上させるために行い、快適な日常生活を支援するものです。

この中で、呼吸に関わる筋力の向上や、足腰の筋力強化、胸郭や呼吸に必要な筋肉の柔軟性保持、改善を目標にしています。 特に高齢化で問題視される体力低下を防ぐという面では昨今注目されているものになります。

(3)呼吸リハビリテーションの効果

呼吸リハビリテーションを行うことにより、胸郭や呼吸に必要な筋肉を鍛えることが出来ます。 このことにより「息苦しさ」と言う点を解消することに繋がります。 息苦しさを解消することで楽に呼吸が行うことが出来るようになりますので、日々の運動などを行いやすくなります。

また、呼吸に関わる筋力を向上させることで自力で痰を出せるようにします。 痰が自力で出せなくなると、痰に含まれている細菌が気道に入り肺炎などの呼吸器系の疾患に陥ってしまいます。 高齢者の方であればこうした問題が多く起こりますので、呼吸リハビリテーションではこう言ったことも改善を目的にしています。

さらに、呼吸リハビリテーションを受けていれば一人でいる時に息苦しくなった場合にも役立ちます呼吸リハビリテーションを通じて学んだ呼吸法を元にセルフケアやセルフトレーニングをすることも出来ますので、万が一一人の時に息苦しさを覚えても自力で解消することが出来ます。

呼吸を楽にすることにより、活動範囲、活動時間、運動量と言った部分を向上することが出来るので、体力の衰えや高齢者うつの防止などにも繋がります。

(4)呼吸リハビリテーションの対象となる疾患

高齢による体力の衰えの他にも、呼吸リハビリテーションがその治療・予防の対象としているものがあります。

肺気腫

肺気腫は、気管支の先端にある肺胞が壊れ、気腫性嚢胞というものが多くできてしまう疾患のことを言います。

正常な肺胞が減少すると、呼吸面積が減りますので、体が必要とする酸素の取り入れが難しくなります。
肺気腫により、息切れ、咳、痰、体重減少、動悸などの症状が現れ、これが原因で嚥下障害を引き起こす場合もあります。

慢性気管支炎

慢性気管支炎は、原因不明の咳や痰、息切れなどの症状が長期にわたって続く疾患です。

年に3ヶ月以上が2年以上続く場合は慢性気管支炎とされます。

気管支炎の原因が明らかになっている場合は、慢性気管支炎には該当しません。

慢性気管支炎の多くは肺気腫が原因によって起こります。

この場合は慢性閉塞性肺疾患と診断されることになります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

肺気腫と慢性気管支炎の総称を慢性閉塞性肺疾患と呼びます。

気管支や肺などに障害が発生し、息切れや息苦しさ、咳や痰が慢性的に続いたりする症状が特徴となっています。

また、慢性閉塞性肺疾患は長期間の喫煙が原因で起こることもあり「肺の生活習慣病」と呼ばれることもあります。

肺炎

細菌やウイルスなどの病原体が肺に入り、感染や炎症を引き起こす疾患です。風邪のような症状が出ますが、38度以上の高熱が出ることが特徴になり、咳や痰が続いたり、胸部の痛みや息苦しさ、倦怠感、頭痛、関節痛、悪寒、食欲不振と言った症状が出ます。

高齢者の方が肺炎を引き起こすと治りにくく、死亡要因となるケースもありますので、肺炎の疑いがある場合はすぐに医療機関で診察を受けるようにして下さい。

食道や肺の手術

全身麻酔を必要とする開胸手術を行った場合、麻酔の影響や開胸部の痛みなどから上手く呼吸することが出来なくなることがあります。

上手く呼吸が出来ないことにより自力で痰を出すことが難しくなり、他の疾患を引き起こす原因ともなります。

呼吸リハビリテーションを行うことにより改善が見られるので、しっかりと呼吸リハビリテーションを行う必要があります。

(5)どこで呼吸リハビリテーションが受けられるのか

呼吸リハビリテーションを受ける場所は市立病院などの大きな病院で受けることが出来ます。

また、呼吸器専門の医療機関でも受けることが出来ますので、呼吸リハビリテーションをご希望の方は事前にお近くの医療機関で確認すると良いでしょう。

(6)呼吸リハビリテーションの内容その1 正しい呼吸法の取得

呼吸法を整えるリハビリ方法
  1. 仰向けに寝てから片手を腹部、もう一方の手を胸部の上に置きます。
  2. その後、ゆっくりと数を数えながら鼻から息を吸います。
  3. この時に腹部が吸った空気で膨らむことを意識するようにします。
  4. その次に腹部を軽く押さえながらゆっくりと口から息を吐きます。
  5. 1~4を繰り返して行います。

このリハビリの大きな目的は、腹式呼吸の訓練、すなわち、横隔膜を使いお腹から呼吸をすることです。お腹から呼吸をすることにより、一度の換気量が増加するからです。

このように、効率的に呼吸を行うことができるようになるための呼吸リハビリテーションになります。

(7)呼吸リハビリテーションの内容その2 排痰法

吸い込んだ空気中の細菌や体内の分泌物などが気道の粘膜に付着することで痰は発生します。
本来であれば吐き出すようなことはありませんが、体調不良などにより免疫が落ちると痰の量が増加し、呼吸が苦しくなります。

このように気道が狭くなり呼吸が苦しくなることを防ぐために、呼吸リハビリテーションでは排痰法のハフィングを行います。ハフィングの方法は以下のようになります。

排痰法のハフィングの方法
  1. 数回深呼吸をした後、勢いよく息を吐き出し、胸部を圧迫します。
  2. その後に軽く咳払いをし、痰が排出されれば成功です。

(8)呼吸リハビリテーションの内容その3 運動療法

呼吸リハビリテーションの運動療法には歩行トレーニング、筋力トレーニング、ストレッチの3つの方法があります。

歩行トレーニング

ウォーキングなどの歩行トレーニングは、安全かつ比較的楽に続けられる運動です。

心肺機能の改善により息苦しさや息切れなどを解消する他に、足腰などの体全体の筋肉を鍛えることが出来ます。

筋力トレーニング

足腰周りの筋肉を重点的にトレーニングする方法です。

これにより筋力の維持と改善を図り、歩行時の息苦しさや息切れ、疲労感の軽減と改善を目指します。

また、一人一人の状態に合わせた無理のない計画が必要となります。

足腰のトレーニングについて、具体的な筋トレおよびそれらの方法についての具体的な記事も、是非参考にしてください。

腰を鍛える筋トレ│腰痛解消のための5つのトレーニング方法

ストレッチ

呼吸が難しくなる要因の一つとして、胸部の筋肉の硬化も考えられます。

胸部の筋肉が硬くなってしまうと呼吸をする際の筋肉が十分に作動しなくなるため、呼吸が難しくなってしまいます。

この状態で運動をしても体に余計な負担を掛けることになりますので、十分な効果が得られないことがあります。

運動効果を上げるためにも、ストレッチで胸部の筋肉を柔らかくする必要があるのです。

要は、呼吸リハビリテーションの効率をさらに良くすることが、このストレッチの主な目的なのです。

胸部のストレッチ方法の一例
  1. 左手で胸の上側と鎖骨の下(肩関節寄り)を、適度な強さで押さえる。
  2. 1の体勢のまま、右腕を身体の横につけた後、手のひらを下にむけ10回ほどゆっくり大きく回す。このとき、体を気持ち前かがみ気味にする。
  3. 体を起こし、姿勢を正して、左手は小胸筋を抑えたまま、今度は胸を張るように腕を斜め上、少し後ろ側に挙げてしっかり伸ばす。
  4. 深呼吸を3回し、そのままゆっくり後ろから前に、更に大きく回す。
  5. 後ろで手を組み、胸を張るようにする。そのまま、組んだ手を斜め後ろにゆっくり引く。

(9)呼吸リハビリテーションをする上での注意点

呼吸リハビリテーションを行う際には、無理のない計画が必要になります。無理に呼吸リハビリテーションを行ってしまうと、逆効果になり改善が遅くなってしまうこともあります。

回復や改善を急ぐ気持ちは分かりますが、指導員の指示に従い十分に計画に沿って呼吸リハビリテーションを行うようにして下さい。

(10)正しい呼吸法を身につけることは生活の向上につながる

呼吸リハビリテーションを行うことにより、正しい呼吸法を身に付けることが出来ます。

正しい呼吸法を身に付けることにより運動機能の改善や体力向上を図ることが出来ますので、結果として生活の向上へと繋がります。

高齢になると一度体力が落ちてしまうとなかなか元には戻りません。そのため、段々と外出する頻度が減り、ますます体力が落ちてしまうと言う悪循環になってしまいます。

体力が落ちてしまうと様々な疾病を招く以外にも、精神的にも弊害を招いてしまいます。

快適な生活を送るためには呼吸リハビリテーションは必要なものとなってきますので、呼吸器官に不安を感じる方は一度呼吸リハビリテーションを行ってみてはいかがでしょう。

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