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介護用スライディングボードの使い方やおすすめ品 | 対象者や注意点も

介護用品
介護をするときにスライディングボードひとつで、小さな力で楽に移乗をすることが可能になります。シーン別のスライディングボードの使い方、注意点、スライディングシートとの違いなどを解説します。スライディングボードを利用して体にかかる負担軽減、褥創のリスクも軽減し、お互いに笑顔になれる介護を目指しましょう。
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(1)スライディングボードとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/7517

現在の介護現場では、人が人を持ち上げる介護が多く行われてきています。人を持ち上げ移動するリフトもありますが、リフトを導入する経済的な問題などがあり、誰もがどこでも使えるものではありません。

しかしこのようなリフトを使わず、自力で移動できない人を抱え持ち上げる動作は、介護者の身体的な負担になるだけではなく転倒や転落につながる可能性があります。

そんなリスクのある持ち上げる介護から持ち上げない介護へこれから変えていく必要があります。

持ち上げる必要がないスライディングボード

持ち上げない介護技術に、スライディングボードがあります。スライディングボードとは、ベッドから車いすへ、ストレッチャーからベッドへ等平行移乗時に使用します。

移乗・移動が楽になれば、車いすに乗ってみよう、乗せてみようという気持ちも芽生え、日常生活の拡大につながる可能性もでてきます。

(2)スライディングボードの対象者

スライディングボードの利用対象者として主に以下のような方があげられます。

臀部、背部に褥創のない方

移乗時に、皮膚のズレや摩擦によって悪化する恐れがあります。

立ち上がりは困難だが、座位保持可能な方

軽介助にて座位保持可能な方が移乗(ベッド⇔車いす間等)する際必要となります。

座位保持が困難な方

寝たまま(ベッドからリスライニング車いす等)スライディングボードを使用し水平移乗をする必要があります。

(3)スライディングボードの費用とおすすめ品

スライディングボードは単体であれば、1~5万円が目安となっています。

上の写真はモルテンが提供する「移乗用ボード MEMV」で、 Amazon価格で11,259円となっています。

この他にも、さまざまなメーカーから多種多様な商品が出されているので価格を比較しながらチェックしてみるのもいいかもしれません。

(4)スライディングボードの使い方

ベッドから車いすへとスライディングボードを利用して移乗する際の流れを説明します。

座位にての移乗(ベッドから車いすの場合)

  1. 車いすをベッドの真横に置きます。その時に、車いすの肘置きは外すか跳ねあげておきましょう。また、可能であれば足置きも、外すか移乗時にぶつからないよう開いておきましょう。その時ブレーキをかけてあるかもチェックしてください。
  2. ベッドマットレス上面の高さを車いすと同じか、またはやや高めに合わせます。高低差をつけることで、すべり落ちる力を利用でき、移乗負担の軽減が図れます。
  3. 被介助者をベッド上で端座位にしてから、移乗しやすいように前方へ移動させます。
  4. 被介助者の体を軽く傾け、移乗する側の臀部を浮かし、スライディングボードを差し込みます。
  5. スライディングボードの端が、車いす座面にしっかりとのっていることを確認します。
  6. 車いす側に体を傾け、スライディングボードの上を滑らせ、車いすへ移乗します。
  7. 被介助者の体を傾け、スライディングボードを引き抜きます。
  8. 肘置き・足置きを取り付け、姿勢を整えたら完了です。

移乗をする前に一度車いすの点検をしておくことも大切です。また、被介護者の状態も確認してから行いましょう。

(5)スライディングボードを使う時の注意点

下記にはスライディングボードを使う時の注意点をいくつか挙げていきます。移乗には怪我のリスクがつきものなので事前に注意点を把握してリスクを回避しましょう。

ベッドの高さが調節できるか確認する

移動先との高さの調節ができない場合、勢いよく滑ってしまう恐れや滑らず引っ張ったり、持ち上げる動作が必要になり、負担増となってしまう恐れあるためです。

ベッドマットレスは、端座位が安定する硬さのものを使用する

マットレスが柔らかすぎると、被介助者が不安定になり転落の恐れがあるます。またスライディングボードが、マットレスにうまってしまい、滑りにくい状態になる恐れがあります。・車いすの肘置きの確認

車いすへの移乗の場合、車いすの肘置きが外れる、または跳ね上げができることを確認しておきましょう。

肘置きがあるとスライディングボードが乗せられないため怪我のリスクが伴います。

スライディングボードの素材

スライディングボードの素材によっては汚れた場合消毒困難なものがあります。また接触感染者に使用したものを、他の人に使用した場合、感染拡大の恐れがあります。感染者に使用する場合は、ディスポーザブルのビニールカバーを使用するなど対策が必要です。

声掛けをする

初めてスライディングボードを使用する被介助者には、不安にならないように説明・同意を得てから使用しましょう。初めてでない場合でも、滑る時に驚かれる方が、多数いますので、常に声かけを忘れずにしましょう。

スライディングボード使用には、コツが必要なので慣れない介助者の方はベテランの方に指導を仰いでからにしましょう。

(6)スライディングボードを利用しない場合の移乗方法

スライディングボードを使わない場合の移乗の流れを紹介します。

1人介助にて座位移乗 (ベッドから車いすの場合)

  1. 車いすをベッド側面に10~30度位の角度で設置し、車いすにブレーキをかけます。足置きは上げておきましょう。麻痺がある方の場合は、車いすを麻痺側と反対側に設置します。また、ベッドの高さと車いすの高さを同じくらいになるようにします。
  2. 被介助者の腰を引き、浅めに座らせ、両足が床につくようにします。
  3. 介助者は、被介助者の正面よりやや車いす側に立ち、腰を低くし、両腕で体幹をしっかり抱えます。被介助者には、両腕を介助者の肩にまわしてもらいます。
  4. 介助者は、重心をゆっくり車いす側の足へ移し、状態をひねり、車いすの正面に向きます。
  5. ゆっくりと車いすへ被介助者を下します。
  6. 被介助者の姿勢をととのえ、足置きを下し、被介助者の足をのせます。

(7)スライディングボードとスライディングシートの違い

ベッドの柵が外せずスライディングボードがぶつかって被介助者の下に挿入できない、スライディングボードが傷や装具にあたってしまうなど、場面によってはスライディングボードを使用できない時があります。

そんな時は、スライディングシートを利用するとよいでしょう。スライディングボード同様、表面がツルツルした素材(ナイロン地等)で滑りやすいものになっています。

シーツ状のものや筒状のものがあり、折りたためて、軽く、持ち運びが便利です。汚れたら、洗濯できるものもあります。また、臀部の下に引くサイズから臥位時に体がすべて収まるくらい大きいサイズのものまであります。

(8)スライディングシートの費用

さまざまな会社から販売されていますが、数千円~1万円未満のものが多いです。

スライディングボードと比べると比較的安く、経済的にやさしいといえます。

またスライディングボードと違って持ち運びが便利なので、そのようなことが多い方はスライディングシートを購入することをお勧めします。

(9)スライディングシートの使い方

ここではベッドでの移動におけるスライディングシートの使い方を説明します。

ベッドでの上方移動(シーツ上のスライディングシートの場合)

  1. スライディングシートを二つ折りにします。
  2. 被介助者を横向きにし、スライディングシート縦半分を上げている体の下に引きます。残り縦半分は、ベッドに触れている体の下に小さく丸めておきます。ポイントとして、移動したい方へ多めにスライディングシートを引くと移動しやすくなります。
  3. 被介助者を上向きにもどし、さきほどと反対の横向きにします。残りの小さく丸めたスライディングシートが出てくるので、引出し、広げます。
  4. 被介助者に膝を立ててもらい、介助者は両骨盤を両手で支え、目的の位置までゆっくりと上方へ移動します。
  5. 患者さんが動かないよう支えながら、スライディングシートをゆっくり引き抜きます。

もし、引き抜けない場合は、スライディングシートを引いた時のように、被介助者を横向きにし、半分折りたたみ、その後、反対側に向いてもらった時にシートを回収します。

(10)スライディングボードで移乗を簡単に

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348234

スライディングボードやスライディングシートを使用することで、移乗や体位変換時の皮膚のズレや摩擦を大幅に軽減することができます。これは、褥創発生のリスク回避にもつながります。

また被介助者、介護者ともに身体的な負担を軽減することができます。こうした補助具を使用し、施設や在宅などさまざまな環境下においてもお互いが笑顔になれるような介助を提供できることが大切になります。

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