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福祉用具とは | レンタルと購入どちらがお得?種類や費用を紹介

介護用品
福祉用具とは、介護が必要な方が在宅で出来る限り自立した生活を送るためにサポートする介護用具です。介護保険のサービスを利用した福祉用具貸与の方法、福祉用具の種類などを解説します。
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(1)福祉用具とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/314728

福祉用具とは、在宅で生活する要介護者が、出来る限り自立した生活を送るためにサポートする介護用具のことです。

福祉用具の利用により、要介護者の生活をより安全・安楽にすると共に、介護者の負担の軽減にも欠かせないものです。

一部の福祉用具は、介護保険サービスにより利用することができます。杖や車いす、ベッドや認知症の方用のセンサーまで介護度の軽い方から重症の方までが利用できる様々な用具があり、要介護度により利用できる福祉用具も決まっています。

(2)福祉用具の種類

福祉用具は、用途により4つの種類に分けられます。

自助具

自助具は生活補助具とも呼ばれます。自助具とは、加齢や障害により日常生活における動作が困難となった人が、可能な限り自分の力でその動作を行えるようにするために、困難な動作を補う福祉用具です。

  • 具体的には、
  • 様々な形状のお箸やスプーンなどの食器
  • 歯ブラシ
  • 自走用車椅子

など障害の種類や生活の場面に合わせて多くの物が作られています。

杖や車椅子は介護保険サービスの対象となります。日常生活用品は介護保険サービスの対象にはなりませんが、市町村により補助が受けられる場合もあります。

看護・介助・介護機器

介護・介助・介護機器は、介護者の負担を減らすための福祉用具です。移動用リフトや介助用車椅子、ポータブルトイレなどがこれに含まれます。看護・介助・介護機器をうまく使用することで介護者の負担を大幅に軽減することができます。

娯楽・スポーツ用具・社会生活用具

娯楽・スポーツ用具・社会生活用具とは、障害がある人や要介護状態にある人でも、他の人と同じように社会生活が送れるように工夫された福祉用具のことです。

文字が大きい点字付きのトランプや障害に合わせたスポーツ用品、視覚障害者用の時計や聴覚障害者用の文字放送ラジオなども含まれます。これらは介護保険サービスの適応外ですが、市町村の補助を受けらえる場合があります。

環境設備機器

環境設備機器とは、障害のある人や要介護者が安全で安楽に生活ができるように環境を整えるための福祉用具です。認知症の人のための徘徊感知センサー、手すり、スロープ、介護ベッドなどが含まれます。

(3)福祉用具貸与サービスとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348234

福祉用具貸与サービスとは、要介護者が在宅で出来る限り自立した生活が送れるよう、介護保険により利用できるサービスです。

要支援・要介護認定を受けた人は、要介護度に合った決められた福祉用具であれば介護保険を利用し1割負担でレンタルすることができます。

レンタルできる福祉用具は車椅子や杖、自動排泄処理装置など13種類あります。レンタル以外にも介護保険で購入できる福祉用具もあります。

(4)福祉用具貸与サービスのメリット

福祉用具貸与サービスのメリットを説明します。

リーズナブルな価格

福祉用具は、特殊な機能が備わっているものが多いため、個人で購入しようと思うと思った以上に費用がかかってしまいます。それが、介護保険サービスを利用すると1割負担でレンタルできます。費用の心配をせずに、必要な介護用品を利用することが可能です。

修理や変更が可能

福祉用具は、特殊で専門的な用具であるため故障した時には修理に特別な費用がかかることがあります。しかし、介護保険サービスによるレンタルでは修理費用はかからない事が多いので安心です。故障した時にはすぐに代わりの物を手配することができ、身体の状態が変化した場合には福祉用具もすぐに変更することが可能です。

不要になれば引き取ってもらえる

要介護者や入院になった場合や施設に入所した場合、亡くなった場合には使っていた福祉用具は不要になります。ベッドや車椅子などの大きい福祉用具は家に保管しておくのは大変です。福祉用具貸与の場合は福祉用具が不要になれば返却しなければいけないため、いつまでも自宅で保管しておく必要がありません。

(5)レンタルできる福祉用具

介護保険による福祉用具貸与サービスでレンタルできる福祉用具は13種目あります。それぞれの用具でどの要介護度の人が貸与できるがが決められています。

要支援状態で利用できる福祉用具4種類

手すり

自宅の床やトイレ、玄関などに置いて使用する手すりです。移乗や立ち上がり、転倒予防のために利用します。工事を行って設置する手すりは対象外です。

要支援1の方から利用できます。

手すりについて、より詳しい記事はこちら

→『手すりで階段・トイレでの転倒予防 | 適切な高さ・要介護者に選ぶポイント

スロープ

車椅子や歩行器の使用のために段差を解消するために自宅内や玄関に置いて使用するものです。工事が必要なスロープは対象外です。

要支援1の方から利用できます。

について、より詳しい記事はこちら

→『介護の必需品?!おすすめスロープ3選と正しい使用方法を紹介

歩行器

歩行が困難な要介護者の歩行機能を補うもので、移動時に体重を支える機能を持つもののうち、車輪が付いているものは身体の前と左右を囲むようにフレームが付いているものが対象です。四脚の足があるものについては、手で持って移動させて使うものが対象です。シルバーカーは含まれません。

要支援1の方から利用できます。

について、より詳しい記事はこちら

→『【種類別】歩行器の特徴と選ぶポイント | シルバーカーとの違いも

歩行補助つえ

松葉杖、ロフトランドクラッチ(T字杖に腕支えが付いたもの)、多点杖(3点杖や4点杖)が対象です。普通のT字杖は対象外です。

要支援1の方から利用できます。

歩行補助つえについて、より詳しい記事はこちら

→『「介護保険の対象」となる杖の6種類|種類別に特徴や使い方等を解説

要介護認定を受けた方が対象の福祉用具9種類

認知症高齢者徘徊感知機器

認知症の高齢者が部屋の外や家の外へ出ようとした時に家族や隣人へ通報され、徘徊を予防するためのセンサーです。赤外線センサーなどが利用されます。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

車椅子

  • 標準の自走用車椅子
  • 介助用車椅子
  • 普通型電動車椅子
  • 電動四輪車

がレンタルできます。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

車いすについて、より詳しい記事はこちら

→『車椅子の値段 | 電動・自走式・オーダーメイドの相場を解説』

車椅子付属品

車椅子用クッション、姿勢保持用品、電動補助装置、車椅子用テーブル、車椅子用ブレーキなど車椅子と一体的に使用できるものに限られます。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

特殊寝台

サイドレールが取り付けてあるか、取り付けが可能な介護ベッドで、背部や足の角度を調整できる機能かベッドの高さを無段階で調整できる機能が付いた介護ベッドが対象です。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

特殊寝台付属品

マットレス、ベッドサイドレール、ベッド用手すり、ベッド用テーブル、ベッドから車椅子への移動で使用するスライディングボードが対象です。特殊寝台と一体的に使用される場合に限ります。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

床ずれ防止用具

ベッドで寝ている状態が多い方の褥瘡(床ずれ)を予防するためのマットレスです。送風装置か空気圧調整装置を備えた空気マットか、水等により体圧分散機能を持つマットレスが対象です。全身用のマットに限ります。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

体位変換器

自力で寝返りができない要介護者の体位変換を介助するものです。ウレタン製のクッションや空気パッド、起き上がり補助装置が含まれます。体位保持のみに使用するものは除外されます。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

移動用リフト

自力で移動が困難な要介護者の移動を補助するリフトです。部屋で使う移乗用リフト、入浴用のリフト、車椅子用の電動昇降機などが対象です。リフトの吊り具やスリングシートは福祉用具販売サービスで用意する必要があります。取り付けに工事が必要なものは含まれません。

要介護2以上の認定を受けた方が対象です。

自動排泄処理装置

ベッドに寝たままの状態で排泄をする要介護者が使用します。排尿や排便をセンサーで感知し自動で吸引する装置です。そのうち、尿や便の経路となる部分を分解でき、介護者が容易に使用できるものが対象です。尿や便の経路となるレシーバーとタンクはレンタルには含まれないため、福祉用具販売サービスでの購入が必要です。

尿のみ吸引する機能のものは要支援1の方から利用できます。便の吸引機能のあるものは要介護4以上の認定を受けた方しか利用できません。

自動排泄処理装置について、より詳しい記事はこちら

→『自動排泄処理装置とは|利用方法から購入・レンタル方法までを解説

(6)福祉用具貸与サービスの対象者

出典:https://www.photo-ac.com/

介護保険サービスによる福祉用具貸与サービスでは、福祉用具の種類によりレンタルすることができる要介護度が決められています。

多くの福祉用具は要介護2以上の認定を受けた方が対象になっており、手すり・スロープ・歩行器・杖・排尿自動処理装置のみ要支援の方から利用が可能です。

要介護度が低い方や要介護認定を受けていない方が対象外の福祉用具を貸与することもできますが、その場合は全額自己負担となります。しかし、医師の意見書に基づき、福祉用具の利用が必要であると市町村が認めた場合には介護保険サービスにより福祉用具を貸与することができます。これを「例外給付」と呼びます。

例外給付に当てはまる状態は以下の3つです。

状態の変化

疾病などによる原因のため、状態が変動しやすく、日や時間帯により頻繁に福祉用具が必要な状態になる人。(パーキンソン病のON・OFF現象など)

急性増悪

疾病などによる原因のため、状態が急速に悪化し、短期間のうちに福祉用具が必要な状態になることが見込まれる人。(がんの末期など)

医師禁忌

疾病などによる原因のため、身体への重大な危険性や症状の重篤化の回避のために福祉用具が必要な状態にある人。(心不全や呼吸不全、誤嚥性肺炎のリスクなど)

これらの状態に当てはまる場合は、例外給付が受けられる可能性があります。担当のケアマネージャーや担当の地域包括センターに相談してみましょう。

(7)福祉用具レンタル費用の目安

福祉用具には、様々な種類があるため、同じような用具でも価格が異なる場合があります。

また、一律の価格設定ではないため、業者によりレンタル料金が異なります。介護保険の福祉用具貸与サービスを利用した場合の自己負担はレンタル費用の1割になります。各福祉用具の月額の自己負担金は以下の通りです。

月額の自己負担金(例)
福祉用具 月額
車椅子 300円~
車椅子付属品 100円~
特殊寝台 600円~
特殊寝台付属品 25円~
床ずれ防止用具 300円~
体位変換器 100円~
手すり 200円~
スロープ 300円~
歩行器 200円~
歩行補助つえ 100円~
認知症高齢者徘徊感知機器 400円~
移動用リフト 900円~
自動排泄処理装置 1000円~

介護保険サービスを利用しない場合は、この金額の10倍の全額がかかるため、かなりの金額になってしまうことが分かります。介護保険の利用範囲内で必要な福祉用具をレンタルすることで費用を大幅に抑えることができます。

(8)福祉用具レンタルの流れ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/7521

介護保険サービスにより福祉用具をレンタルするときは、要介護認定を受けている必要があります。まだ要介護認定を受けていない場合は、市町村の介護保険窓口や担当の地域包括支援センターに相談しましょう。

要介護認定を受けている人は、担当のケアマネージャーや地域包括支援センターを通して手続きを進めることをお勧めします。自分達で福祉用具の会社へ行き、レンタルすることもできますが、自分が使える福祉用具や公的介護保険の範囲を知らずに決めてしまうと、自己負担額が増えてしまう場合があります。

ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談し、普段の生活の聞き取りや話し合いのもと、必要な福祉用具を決めていきます。その後、ケアマネージャーや地域包括支援センターから紹介を受けた福祉用具の業者(自分が希望する業者でも可能)とも話し合いを行い、どの用具にするか、金額はどれくらいかを決めていきます。実際に福祉用具を試してみることもできるので安心です。

福祉用具が決まり、契約をすると業者から自宅へ福祉用具を配達し、組み立てや使い方の説明を受けることができます。使用中に何かトラブルが起こった時には業者に連絡を取り、対処してもらうことになります。また、福祉用具が不要になった場合は業者が引き取ります。

(9)福祉用具レンタルと購入どちらのほうがお得か

介護保険の自己負担割合が何割か、購入したいかどうかなどによる

福祉用具は介護保険サービスにより1割の自己負担金でレンタルすることが可能ですが、それ以外に自分で購入することも可能です。しかし、自分で購入する場合は介護保険のサービス対象外となるため全額自己負担となります。

自分で福祉用具を購入する場合のメリットとして、

  • 自分のものであるため綺麗であること
  • 汚したり壊したりしても気を遣わないこと
  • 対象の要介護度に当てはまらなくても購入することができること
  • 公的介護保険の範囲

を気にしなくて良いことなどがあげられます。

例えば、一般的な車椅子のレンタル料は介護保険サービスを利用すると1割負担の場合で約300円~です。また、一般的な車椅子の購入価格は約3万円~です。この場合約8年間使用する場合は購入した方が安くつく事になります。しかし、その8年の間に車椅子が故障したり、要介護者の状態が変わってしまった場合は購入し直さなければいけません。修理や変更を行ってもらえる点も含めてレンタルの方が安心できるかもしれません。

しかし、介護保険の自己負担金が2~3割負担の方は購入した方が安くなることもありますし、レンタル品を使用することに抵抗がある人は購入を考えてみても良いかもしれません。

介護保険の自己負担割合について確認したい方はこちら

→『介護保険負担割合の判断基準 | 3割なのはどんな人?1割と2割の違い

(10)自分に合った形で福祉用具を活用しよう

このように、介護保険制度における福祉用具貸与サービスは、安価に福祉用具をレンタルすることができ、日常生活をより安全・安楽にすることができます。適切に福祉用具を利用することで、在宅介護者の負担を軽減すると共に、要介護者が自分でできることも増え、自尊感情やQOLの向上にもつながります。

ケアマネージャーや地域包括支援センターと相談しながら、自分たちに合った福祉用具を生活に取り入れ、要介護者も介護者も過ごしやすい在宅介護環境を整えていくことが大切です。

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