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杖の種類と選び方 | 介護用おすすめ商品・正しい持ち方も解説

介護用品
杖は一人で歩くことが難しい人でも気軽に外出できるようにしてくれる福祉器具です。本人に合った杖を選ぶことでその人の生活が安全で楽しいものになります。大切な杖選びのポイント、杖の使い方、杖の種類などを紹介します。
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(1)杖の役割

出典:https://www.photo-ac.com/

高齢になると、若い頃のように歩くことが難しくなります。その理由として、次の3点が挙げられます。

  1. 筋力のおとろえで体重が支えきれない
  2. 脚がふらついて歩行が安定しない
  3. 歩行のリズムが乱れてしまう

杖の役割は、こういった歩行に不安がある人をサポートすることにあります。杖は第三の脚となっていてこれらの問題をすべて解決してくれます。

1の筋力のおとろえについては、杖に体重をあずけることでその負担を大きく減らすことができます。関節の痛みもやわらぎ、楽に歩けるようになります。

2のふらつきについては、二足歩行に杖がくわわり3点となることでとても安定した形になります。そのため、転倒するような危険性も格段に低くなります。

3の歩行リズムの乱れについては、杖もふくめた3本分の足運びとなるため以前よりゆったりとしたペースになります。それが、正しいリズムを取り戻すきっかけとなるわけです。

このように、負担軽減・バランス補助・リズム安定といった3つのはたらきによって杖は歩行者のサポートという役割を果たしているのです。

(2)杖のタイプ① T杖

T杖は、フレームにT字型のグリップがついた、もっとも一般的なタイプの杖です。グリップの付き方によっては、L字型と呼ばれることもあります。

種類がとても豊富で折りたたみや伸縮自在、さらにファッション性を持たせたものなどさまざまな商品が市販されています。数百グラムと軽量なものが多く、気軽に使いやすい杖といえるでしょう。

ただし、体重は6分の1程度しか支えることができません。そのため、普段は自分で歩くことができるものの少し不安に感じる人が使うタイプの杖です。

購入・レンタルする場合、介護保険の対象にならないので注意が必要です。

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(3)杖のタイプ② ロフストランド杖

ロフストランド杖は、前腕固定型杖というタイプの杖です。その名前のとおり、グリップの上にあるカフに腕をはめて使います。ロフストランドクラッチとも呼ばれます。

カフの形状によって、U字タイプのものとO字タイプのものがあります。前腕を固定して、グリップと2点で支える形になるため、よりしっかりと3分の2程度まで体重を支えることができます。

握力がない状態でも、腕だけで十分に支えられます。骨折や麻痺などで、下半身に体重をかけることができない人に向いている杖です。

また、手に麻痺があってグリップを握れない人にも使いやすい杖です。

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(4)杖のタイプ③ 松葉づえ

一番上に脇当があり、その下にグリップがあるタイプの杖です。脇ではさみ、グリップをにぎって体重を支えます。木製のものがよく知られていますが、ほかにも軽量のアルミ製や、伸縮自在のタイプもあります。

2本一組で使うことが多く、上半身だけで体を支えることができます。杖のなかでは、もっとも重たい負荷に耐えられるタイプで、体重を10分の1程度まで軽減してくれます。

下半身の負担が大幅に減るため、骨折や麻痺にくわえ、下肢切断などの大きな障害を持つ人でも使用することができます。ただし、歩行するさいに幅を取るため住宅などの狭い空間では注意が必要です。

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(5)杖のタイプ④ 多点杖

多点杖は、脚の先が3〜4本に別れているタイプの杖で、多脚杖ともいいます。支点が多くなるため、より安定した歩行が可能となります。

かなり体重をかけても倒れにくいので、麻痺を持つ患者などの歩行訓練などに使われます。

腰が極端に曲がっている人や、関節リウマチの人にも向いています。また、軽量なので腕の力が弱い人にも使いやすい杖です。

ただし、地面が平らでないと使うことができません。そのため、使用できる場所は病院や自宅など、ほぼ屋内に限定されることになります。

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(6)杖の正しい使い方

杖にはタイプごとにそれぞれ正しい使い方があります。誤った使い方をしていると、かえって転倒のリスクが高まるので注意してください。

T字杖

自由が利くほうの脚と同じ側の手で、杖を持ちます。グリップは、フレームを人差し指と中指で挟むようににぎります。

歩き方は、まず杖を前に出して、次に不自由な脚、最後に自由な脚、という順番になります。これを、3点歩行といいます。

ロフストランド杖

グリップとカフが近すぎると手首に負担がかかるので、ちょうど楽な位置に合わせてください。

グリップのにぎり方や歩き方は、T杖と同じです。

松葉杖

脇当から指2〜3本分の隙間を開けて、脇と胸で挟むように体重をあずけます。脇当には脇の下を直接当てるわけではないので、注意してください。

グリップは、肘が軽く曲がる程度の楽な姿勢でにぎります。歩き方は、T字杖と同じ3点歩行です。

多点杖

グリップは、肘を30〜40度曲げた程度の位置にくるものを選びます。

歩き方は、T字杖と同じ3点歩行です。

(7)杖を使うときの注意点

杖を使うときの注意点を把握し事前に転倒などのリスクを回避しましょう。注意点は次の通りです。

服装

杖を使うときには、まず服装に注意しましょう。

杖を使っていると、裾が長い服などはどうしても引っ掛けやすくなります。転倒のリスクが高くなるので、足にかかるような服装は絶対に避けるようにしましょう。

靴のサイズ

靴のサイズも、大きすぎず小さすぎず、ぴったり合ったものを選びます。サイズが合っていないと正しい姿勢で歩くことができずふらついて転倒する危険性があります。

杖を使って出かける際は靴にも注意を向けましょう。

持ち方

杖を持つ手は、自由のきかない脚と反対側の手で持ちます。自由のきかない脚の側で持つと杖を前に出したときにそちら側に体重がかかってしまいます。

グリップは、フレームを人差し指と中指ではさむようににぎります。正しいにぎり型をしないと、力がうまく入らず転倒する可能性があります。正しい持ち方を理解しておきましょう。

歩き方

歩きだす際には、まず周囲の足元に気をつけます。障害物になるようなものが落ちていないか、よく確認して歩くようにしましょう。

また、杖をつく位置は持っている側の足のつま先から前および外へ15cmほど先です。あまり外側にすると杖が斜めになったり、体が曲がったりします。逆に、自分に近すぎると杖を蹴ってしまったり、バランスを崩したりする原因になります。

(8)杖の選び方

まずフレームの長さが身長に合っているかどうかを確認します。ちょうど体重をかけやすい位置にグリップが来るものを選びましょう。

目安となるのは靴を履いた状態で自分の身長の半分に3cmを足した長さです。背中が曲がっている場合はその分、数cmを引いてください。

ほかにも、いくつか目安をはかる方法があります。

  • 腕を垂直に下ろしたときに、手首の骨の出っ張った部分にグリップが来る長さ
  • 腰骨のもっとも出っ張った位置までの長さ
  • 杖を正しい位置についたときに、ひじが30度ぐらいに曲がる長さ

いずれも、あくまで目安ですので、実際に手にしてもっとも使いやすい杖を選びましょう。

また、グリップのにぎりやすさも重要です。

にぎったときに、人差し指の先が親指の第一関節あたりに来るものが、ちょうど力を入れやすい形となります。手の大きさや握力の強さでも変わってくるので、デザインもふくめ、実際に触れて考えてみてください。

素材についてはあまり軽すぎても持ちにくいので、自分が歩きやすいものを選びます。基本的に、丈夫なものほど太く安定感も増しますが、重さも増すのでバランスを取って考えましょう。

(9)タイプ別 杖を選ぶときのポイント

杖を選ぶときには、自分の体の状態に合ったものを選ぶのも重要なポイントです。

たとえば、普段は自力で歩くことができる人でも、長時間歩いて疲れたときなどは、杖を使用したいという人もいるでしょう。その程度であれば、使いやすいT字型杖でも十分に役立ちます。

一方、握力がかなり弱いという人には、手で体重を支えるT字杖は使いづらくなります。その場合は、前腕でも支えることができる、ロフストランド杖を選ぶとよいでしょう。

また、腰がかなり曲がっているせいで、杖を使っても安定して歩くことができないというケースもあります。そのような人には、特に安定度の高い多脚杖を使うことがおすすめです。

ただし、多脚杖は屋外の凹凸がある場所では使うことができません。

このように、使用するシーンや場所によって杖を使い分けることも重要なポイントになります。

(10)利用者が安心・安全に暮らせるよう、その人にあった杖を選ぼう

杖は、脚の不自由な人の生活を支える大切な道具です。ただ便利なだけではなく、歩く喜びや外出の楽しさを日々もたらしてくれる、まさに自分の脚代わりといってもよい存在です。

それほど重要なものだからこそ、できるだけ安心して、安全に使うことができる杖を選んでほしいものです。杖は、目的や条件をはっきりせずに使っていると、かえって転倒を引き起こすなど危険なものとなりかねません。

しっかりと正しい使い方や選び方を知ったうえで、ぜひ本人に合った最高の一本を見つけてください。

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