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特養(特別養護老人ホーム)の費用の目安|減免制度や初期費用など

施設サービス
介護保険が適用されるので、比較的費用を安く抑える事が出来る特養(特別養護老人ホーム)ですが、掛かる費用は条件によって異なります。また、入居者の状況によって更に費用が加算されるので、一概に特養は月額○○円という事が出来ません。では、特養に掛かる費用とはどの様な条件・状況によって変わって来るのでしょうか?
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(1)特養(特別養護老人ホーム)についておさらい

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/548602

各自治体が運営し、市町村ごとに大抵1施設以上ある公共性の高い介護施設が特別養護老人ホーム(特養)です。

特別養護老人ホームのサービス内容やメリット・デメリットについて

詳しく知りたい方はこちら

→『特別養護老人ホームとは | サービス内容や費用、メリットなど

特養は、介護保険が適用されるので利用料金を安価に抑えることが可能で、入居を希望する人が非常に多く、待機者が出てしまうほどニーズが高くなっています。

しかし、入居するにはある一定の条件を満たさなければならず、介護保険適用による自己負担額も入居者の収入によって変わってきます。

特養の入居条件

  • 「要介護3」以上の介護認定を受けた方で、感染症等の医療的な処置を要しない人
  • 「要介護3」の認定を受けた方で、特定疾病(がん、リュウマチなど)が認められた40歳~64歳までの人
  • 「要介護1~2」の認定を受けた方で特例(※)によって入居が認められた人

「要介護1~2」の特例条件

  • 認知症の症状が頻繁に認められ、日常生活に支障をきたす場合
  • 知的障害及び精神障害等を疾患しており、それらの症状が頻繁に認められ日常生活に支障をきたす場合
  • 虐待が疑われ、心身の安全確保が困難な場合
  • 家族の支援(単身者も含む)が見込めず、自治体における介護サービスの供給不足がある場合

所得条件による特養の自己負担額

  • 自己負担額1割…合計所得金額が160万円以上及び単身者で年金収入のみの場合
  • 自己負担額2割…年収280万円以上ある場合
  • 自己負担額3割…年収340万円以上ある場合

介護サービスの費用の自己負担割合に関して、より詳しい記事はこちら

→『介護保険負担割合の判断基準 | 3割なのはどんな人?1割と2割の違い

(2)特養の初期費用や入居一時金

介護付き有料老人ホームに入居する場合、初期費用や入居一時金などを用意する必要があるので、特養に入居するよりも費用が割高になる傾向があります。

一方、特養へ入居する場合、初期費用や入居一時金が一切かかりません。なぜならば、特養は介護保険が適用されており、更に公的機関から補助金が投入されいるので、そういった費用が必要ないのです。

また、特養に入居した後も月々の利用料を負担すればよく、介護保険の適用によって自己負担額を低く抑えることができる上に、介護度と収入によって施設介護サービス費が決定されるので、所得格差を解消しシームレスにサービスを受けることが出来ます。

なお、月額費用の内訳は、「①施設サービス費+②介護サービス加算+③居住費・食費・日常生活費」の合計を支払うようになっています。

有料老人ホームと特養の費用の違い

特養 初期費用や入居一時金不要、月額6~15万円程度
介護付き有料老人ホーム 入居金無料~数千万円、月額15~35万円程度

(3)特養の月額費用内訳① 施設介護サービス費

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1882839

「施設介護サービス費」とは、特養に入居した際に介護を受けるために支払う費用となっています。また、「施設介護サービス費」は、要介護度と入居する特養の居室形態によって費用が変わり、居室タイプは

  1. 「多床室」
  2. 「従来型個室」
  3. 「ユニット型個室」
  4. 「ユニット型個室的多床室」

の4タイプに別れています。

多床室

居室を複数人で利用するタイプで、間仕切りはなくカーテンなどで仕切るようになっています。

  • 費用:16,710円~24,870円

従来型個室

特養の一般的な居室タイプで、入居者それぞれに個室があてがわれます。(個室と4床室が混在している場合もあり)

  • 費用:16,710円~24,870円

ユニット型個室

共有スペースの周りに個室が幾つか集まっている居室タイプです。集団介護を目的としておらず、各々に専任のスタッフがケアするので、入居者の状況を把握しやすくなります。

  • 費用:19,080円~27,300円

ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)

ユニット型個室同様、共有スペースを有し周りに10人程度の個室が集まっているタイプです。しかし、完全な個室ではなく、パーテーション等で間仕切られています。

  • 費用:19,080円~27,300円

(4)特養の月額費用内訳② 介護サービス加算

特養における施設介護サービス費に、設備、人員体制、処置やサービス等に応じて加算されるものを「介護サービス加算」と呼んでいます。

わかりやすく言えば、基本料である施設介護サービス費のオプション費と言った様なものになります。こちらも基本1割負担になっており、要介護度や収入等の条件によって最大負担が3割程度となっており、サービスの充実度が高くなれば費用も高くなると考えて差し支えありません。

また、サービス内容は多岐に渡りますが、代表的なものは以下の様なものがあります。

代表的な介護サービス加算

サービス加算項目 内容 費用
初期加算 特養入所から30日間に限り加算。 1日あたり33円~99円程度
サービス提供体制強化加算 スタッフにおける介護福祉士の勤続年数や割合によって加算。 1日あたり7円~59円程度
看護体制加算 常勤の看護師の配置人数及び体制によって加算。 1日あたり5円~27円程度
介護職員処遇改善加算 介護職員処遇改善案を策定し、自治体で認可された場合に加算。 1月につき所定単位×83/1000程度
外泊時加算 病院などの医療施設及び居宅において外泊した場合に加算。 1日あたり269円~805円程度

(5)特養の月額費用内訳③居住費・食費・日常生活費

その他、特養における月額費用では、居住費、食費、日常生活費が含まれます。

居住費

特養のにおける家賃が居住費になります。ベットや家具などの備品などもこれに含まれており、有料老人ホーム等の様に自分で用意する必要がありません。

食費

1日3食分×一月の日数分が請求されます。また、外出及び外泊等何らかの理由で1食分を欠食しても1日分の食費(3食分)が請求されますが、外泊や入院等によって施設を数日空ける場合には食事を停止する事が可能で、欠食を払う必要はありません。

日常生活費

特養では、医療費、散髪代、被服費、レクリエーション費、おやつ代等は別途費用を請求されます。ただし、クリーニングを必要としない洗濯やおむつ代等は施設側で負担され、費用を請求されることはありません。

(6)負担限度額認定を受ける

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2515224

介護保険の「負担限度額認定制度」を利用すると、特養における住居費食費などの自己負担を軽減することが出来ます。

ただし、一定の条件(所得が低いなど)を満たさなければならず、それによって「利用者負担段階1~4」が決定され、その段階によって負担額が変わってきます。なお、負担限度額認定制度を利用する場合、事前に各自治体への申請をする必要があります。

利用者段階別の住居費食事の負担限度額を見ていきましょう。

利用者段階別の住居費(1日の負担限度額)

第1段階

条件:生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税

多床室 0円(/日)
従来型個室 320円(/日)
ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室) 490円(/日)
ユニット型個室 820円(/日)

第2段階

条件:本人及び世帯全体が市民税非課税で合計所得金額+課税年金収入額が80万円以下の方

多床室 370円(/日)
従来型個室 420円(/日)
ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室) 490円(/日)
ユニット型個室 820円(/日)

第3段階

条件:本人及び世帯全体が市民税非課税で第2段階に該当しない方、市民税課税層における特例減額措置の適用を受けた方

多床室 370円(/日)
従来型個室 820円(/日)
ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室) 1,310円(/日)
ユニット型個室 1,310円(/日)

第4段階

条件:住民税課税世帯の方

多床室 840円(/日)
従来型個室 1,150円(/日)
ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室) 1,970円(/日)
ユニット型個室 1,970円(/日)

利用者段階別の食費

第1段階 300円(/日)
第2段階 390円(/日)
第3段階 650円(/日)
第4段階 1,380円(/日)

申請方法

申請方法は、特養の所在地の自治体でなく、居住している各自治体へ届けることで行なえます。ただ、資産の申請をする必要があるので、はじめて利用する時には担当ケアマネジャーに相談することをお薦めします。

また、申請時に不正が合った場合、加算金が請求される他、認定の期間は1年間となっているので、毎年申請する費用があります。いずれにしても、資産や収入の増減によって限度額段階が変わってくるので、しっかりと申請・更新するようにする必要があります。

※申請時には資産や収入が確認できる預貯金等(預金通帳、有価証券など)の写しが必要になります。(厚生労働省 平成26年介護保険法改正周知用リーフレットを確認)

負担限度額認定証に関して、より詳しい記事はこちら

→『【徹底解説】70歳以上の限度額適用認定証|自己負担額や申請方法

(7)社会福祉法人による費用負担を軽減する制度を利用する

社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことをを目的としており、法人として税制上の大幅な優遇(法人税非課税など)を受けており、寄付金なども認められています。

その法人の性格上、低所得の方の社会的負担軽減を担っている側面があり、「社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担額軽減制度」を利用すれば、特養における居住費及び食費の負担分を軽減することが出来ます。

「社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担額軽減制度」を利用する条件、軽減額、申請方法は以下の通りになっています。

利用条件

  • 年間収入が150万円の単身者、若しくは世帯員1名増加ごとに50万円を加算した収入以下
  • 貯金額が350万円の単身者、若しくは世帯員1名増加ごとに100万円を加算した貯金額以下
  • 日常生活に供する資産以外に資産などを持っていない
  • 負担能力のある親族等に扶養されていない
  • 介護保険を滞納していない

特養における軽減額

居住費及び食費の利用者負担の1/4減額

申請方法

  1. 入居を希望する人が居住している市町村に申請を行い、審査後を経て「軽減確認証」を受け取る
  2. 利用したい特養に「軽減確認証」を提示すると該当サービス軽減される

※なお申請には社会福祉法人等利用者負担軽減認定申請書の他に、収入申告書、収入が確認できる書類、預貯金等が確認できる書類が必要になります。

(8)高額医療・高額介護合算制度を利用する

家族が高齢化すれば、介護と入院が重さなってしまうケースも珍しくなくなります。こういった状況であれば、精神的負担もさることながら、経済的にも負担が大きくなります。

この様な負担を軽減するために設けられているのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。介護保険と医療保険の自己負担額を合算し、所得に応じて設定された限度額を超えると市町村から払い戻しされるようになっています。

似たような制度に、前述した「負担限度額認定」等がありますが、「負担限度額認定」が月単位での軽減であるのに対し、「高額医療・高額介護合算療養費制度」は年単位での軽減措置となっており、月単位での軽減でカバーできない負担を解消するために設けられています。

ただし、この制度を利用できるのは、同じ健康保険に加入している人の医療費と介護保険費用が対象になっており、医療保険や介護保険の適用外サービスにおいて、全額自己負担となるようなサービスは対象になりません。

対象者と限度額

限度額は、以下の様に所得によって決められます。

所得の目安 サービス限度額
年収約1160万円~、標報83万円以上、課税所得690万円以上 212万円
年収770万~1160万円、標報53~79万円、課税所得380万円以上 141万円
年収370万~770万円、標報28~50万円、課税所得145万円以上 67万円
一般年収156~370万円(一般)、健保・標報26万円以下、国保・後期・課税所得145万円未満 56万円
市町村民税世帯非課税 31万円
市町村民税世帯非課税(ただし所得が一定以下) 19万円

※対象年齢は70歳以上、また「市町村民税世帯非課税(ただし所得が一定以下):19万円」の場合でも、介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は上限31万円

例えば、年間に支払っている介護保険・医療保険の自己負担額が100万円の場合、所得が一般的(156~370万円)であれば、負担限度額は56万円となっているので、差額の44が払い戻しされます。

申請方法

  1. 各自治体の介護保険窓口で申請を行い、「介護保険の自己負担額証明書」を交付してもらう
  2. 交付後、各自治体の介護保険窓口へ訪れ「介護保険の自己負担額証明書」と共に再び申請

(9)特養の月々の費用の目安

特養での費用は、入居者本人の所得だけでなく、配偶者や扶養している家族の所得の合計によって負担限度額が決定されます。また、この合計所得は課税所得ではなく、年間収入から公的年金控除、給与所得控除、必要経費を差し引いて後に、基礎控除及び入居者本人・扶養家族の状況を鑑みた所得控除がなされる前の所得金額なっているので、注意が必要です。

以下には、自己負担割合が1割だった場合(合計所得160万円以上、単身で年金収入)で、介護サービス加算を含まない1カ月の費用の目安を要介護度別に記します。なお、年収280万円以上の場合は自己負担割合2割、年340万円以上の場合は自己負担割合3割となっています。

特養の1カ月の費用の目安(①施設介護サービス費+②居住費+③食費+④日常生活費=合計)

多床室

  • 要介護1:①16,710円+②25,200円+③41,400円+④11,000円=94,310円
  • 要介護2:①18,750円+②25,200円+③41,400円+④11,000円=96,350円
  • 要介護3:①20,850円+②25,200円+③41,400円+④11,000円=98,450円
  • 要介護4:①22,890円+②25,200円+③41,400円+④11,000円=100,490円
  • 要介護5:①24,870円+②25,200円+③41,400円+④11,000円=102,470円

従来型個室

  • 要介護1:①16,710円+②34,500円+③41,400円+④11,000円=103,610円
  • 要介護2:①18,750円+②34,500円+③41,400円+④11,000円=105,650円
  • 要介護3:①20,850円+②34,500円+③41,400円+④11,000円=107,750円
  • 要介護4:①22,890円+②34,500円+③41,400円+④11,000円=109,790円
  • 要介護5:①24,870円+②34,500円+③41,400円+④11,000円=111,770円

ユニット型個室

  • 要介護1:①19,080円+②59,100円+③41,400円+④11,000円=130,580円
  • 要介護2:①21,090円+②59,100円+③41,400円+④11,000円=132,590円
  • 要介護3:①23,280円+②59,100円+③41,400円+④11,000円=134,780円
  • 要介護4:①25,290円+②59,100円+③41,400円+④11,000円=136,790円
  • 要介護5:①27,300円+②59,100円+③41,400円+④11,000円=138,800円

ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)

  • 要介護1:①19,080円+②49,200円+③41,400円+④11,000円=120,680円
  • 要介護2:①21,090円+②49,200円+③41,400円+④11,000円=122,690円
  • 要介護3:①23,280円+②49,200円+③41,400円+④11,000円=124,880円
  • 要介護4:①25,290円+②49,200円+③41,400円+④11,000円=126,890円
  • 要介護5:①27,300円+②49,200円+③41,400円+④11,000円=128,900円

(10)特養に入居する場合の費用を想定してみよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/390526

特養は、入居待機者が多く待機期間が長かったり、入居要件が厳しい、医療体制に限界があるので、医療依存度の高い方は利用が難しい等のデメリットがあります。

しかし、有料老人ホーム等に比べ費用がリーズナブルであり、24時間介護、終身まで入所可能等のメリットもあるので、非常に魅力的な介護施設だと言えます。

また、様々な軽減措置も設けられているので、低所得者でも経済的に無理なく利用することが出来ます。特養の費用なども含め、条件によって費用が変わってきますので、検討する際は自分がどういった条件で利用できるのか考えてみると良いでしょう。

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