介護に関わるすべての人を応援します

介護ロボットとは | 問題点・現状・種類・導入のメリット

テクノロジー
これからますます超高齢化社会に進行しつつある日本。要介護者の急増により介護者にかかる身体的・精神的負担は免れません。そこで介護現場の救世主として「介護ロボット」の存在が示唆されています。この記事ではその介護ロボットについて詳しく解説していきます。
公開日
更新日

(1)介護ロボットとは 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/691341

介護ロボットは、介護者側の負担を軽減することを目的として開発されたロボット機器です。「ロボット介護機器」や「介護支援ロボット」などと呼ばれています。

それら介護ロボットは、主に以下の2つの役割を担っています。

  • 介護者の身体的/精神的負担の軽減
  • 高齢者の自立支援

(2)介護ロボットが注目されている背景

 介護ロボットが注目される背景には、超高齢社会問題があります。日本の総人口が減少するなか、65歳以上の人口は年々、上昇傾向にあります。

そんな高齢化問題の進展により、要介護者の認定者数も大幅に増加することが予想できます。また、それに伴い、介護現場の介護人材が不足していくことも予想されます。このような人手不足に伴う介護者の身体的・精神的負担を解決する、そのための糸口として介護ロボットがその救世主になるのではないかと言われているのです。

(3)介護ロボットの現状 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1711159

2013年6月に政府が介護ロボットの開発及び導入促進に積極的に取り組むことを発表しました。しかし、介護のロボットの開発は進みはしているものの、一般的にはまだ普及している、とまでは言えないのが現状です。

というのも、ロボットを介護に導入するには、「コストパフォーマンス」の点で改善が待たれる部分が多すぎるからです。

現段階で、介護ロボットができるのは基本的に単純作業のみです。「介護」とは、一言でいうのは簡単だけれど、その中に様々な複雑な介助・移送作業を含み、さらには被介護者の精神的な部分のケアにまで目を向けなければならないのです。

そのため、当然ですがロボット1つではとても太刀打ちできる分野ではありません。つまり、もし仮にロボットだけで介護を行おうとすると、何台も・何機もの機械・ロボットが必要になるのです。

すると、結果的に甚大なコストが要介護者一人当たりにかかってしまうことになり、現実的にその介護体制を維持できないことが容易に想像されます。

この、コストパフォーマンス面での進捗が、今後の介護ロボットの普及を左右するでしょう。

それでもなお、現在においても、(部分的に)既に導入されているケースもあるので、本記事ではそれらについて紹介していきます。

(4)介護ロボットの種類

介護ロボットの種類には、主に「介護支援型」「自立支援型」「コミュニケーション・セキュリティー型」の3つがあります。

「介護支援型」

介護支援型ロボットとは、移乗・排泄・入浴といった、介護業務の支援をするロボットのことを指します。人力の移乗介助による、介護士の身体的負担(腰痛など)が問題となっているなか、介護支援型ロボットはそれらの負担を軽減することが期待されています。

「自立支援型」

自立支援型ロボットは歩行・食事・リハビリなどといった、要介護者側の自立を支援するロボットのことを指します。要介護者の、日々の生活を送る上での負担を軽減するとともに、利用者の生活力の向上・自立した生活への意欲を目的としています。

「コミュニケーション・セキュリティー型」 

コミュニケーション・セキュリティー型ロボットは利用者とコミュニケーションを取ることで、メンタルケアや見守りに活用するロボットのことを指します。音楽や体操などのレクリエーション、言葉を用いたコミュニケーションを通して利用者のメンタルケアをサポートすることを目的としています。

(5)介護ロボットの重点開発分野とは 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1711259

介護ロボットの重点開発分野とされている機能は、以下の5つです。

  • 「移乗支援」
  • 「移動支援」
  • 「排泄支援」
  • 「見守り・コミュニケーション」
  • 「入浴支援」

(参考:経済産業省『H30年度ロボット介護機器開発・標準化事業に向けて』)

また、その5つに加えて以下の「介護業務支援」が追加されました。

移乗支援

①装着型

ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の介護ロボットで、「ロボットスーツ」や「パワーアシストスーツ」の名称で呼ばれます。

②非装着型

ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う非装着型の介護ロボットです。

移動支援

①屋外

高齢者等の外出をサポートし、安全に荷物を運搬することのできるロボット技術を用いた歩行支援用介護ロボットです。「重量は30㎏以下」「車輪は4つ以上」「マニュアル・ブレーキ搭載」「防水対策」などの条件が定められています。

②屋内

高齢者等の屋内での移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復の歩行を支援するロボット技術を用いた歩行支援用介護ロボットです。

③装着

屋外同様、高齢者等の外出をサポートし、転倒予防や歩行補助をしてくれるロボット技術を用いた装着型の移動支援用介護ロボットです。

排泄支援

①排泄物処理

居室に設置して利用でき、設置場所の調整・移動が可能なポータブル型排泄支援用介護ロボットです。

②排泄予測

ロボット技術を用いて排泄の予測し、適度なタイミングでトイレに誘導する排泄支援用介護ロボットです。

排泄予測器具の例『Dfree』とは?

最新の排泄予知器具「DFree」とは|機能や使用方法、利用者の声

③動作支援

ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等、排泄に関する一連の動作をサポートする排泄支援用介護ロボットです。

見守り・コミュニケーション

①介護施設

介護施設に設置して使用するセンサーや外部通信機能を備えた見守り支援用介護ロボットです。

②在宅介護

在宅(自宅)介護において使用するセンサーや外部通信機能を備えた見守り支援用介護ロボットです。これは、ロボットという形態をとることもあれば、アプリやカメラのみの形態をとることもあります。

見守りカメラ/アプリについての記事はこちら

【遠く離れた家族を持つ方必見】カメラなどを備えた見守りアプリ3選

③コミュニケーションロボット

高齢者等とのコミュニケーションを目的とした、ロボット技術を用いた生活支援用介護ロボット「コミュニケーションロボット」です。介護施設・在宅介護の両方で活躍が期待されています。

コミュニケーションロボットについての具体的な記事はこちら

成長著しいコミュニケーションロボット|種類や今後の展望を紹介

入浴支援

浴槽に出入りする際の一連の動作をサポートする介護ロボットです。

介護業務支援

ロボット技術を用いて見守り、移動・排泄支援を始めとする介護業務の情報を収集・蓄積し、その情報を基に高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする介護ロボットです。

(6)介護ロボット導入のメリット

 介護ロボットの導入による考えられるメリットとしては2つあります。一つ目は介護者の精神的・肉体的負担の軽減、二つ目は作業の効率化です。

いくら高齢者とはいえ大人の要介護者は体重があります。支えながら歩いたり、場合によっては抱きかかえながら移動せざるを得ない状況もあるでしょう。そういった介護者の身体的負担を介護ロボットに委ねることで、介護者の負担を軽減させ、同時に精神的な負担も緩和できます。

また介護ロボットの導入に伴い、介護者の作業効率も向上すれば、要介護者に対して不足している介護者の人手不足の問題の解消、人件費の削減も新たに視野に入れることが可能で、今まで以上に働きやすい環境を実現することができます。

(7)介護ロボットの問題点

前の段落((3)介護ロボットの現状)でも述べたとおり、介護ロボットの課題として真っ先に挙げられるのはコスト面です。一般的な普及率が低いために介護ロボットの単価が高く、実際の使用例なども少ないことから、不安で中々一歩が踏み出せないのが現状にあります。それに伴い、いざ使ってみると操作や取扱に難色を示してしまう点も、解決しなければならない課題です。

また、介護ロボットには大型のものが多く、保管・設置にかなりのスペースを要する点もデメリットとして挙げられます。

さらに、開発側と介護現場とのコミュニケーション不足により、介護現場のニーズにマッチしない介護ロボットが開発されてしまうというリスクもあります。

以上に挙げた要因(コスト・サイズ・ニーズのミスマッチ)の改善、すなわち、利用者である要介護者の利便性を考え、低コストで操作・取扱が難しくなく、保管・設置場所にスペースを取られない小型のロボットの開発が、現在の介護ロボットが追い求める理想であるといえるでしょう。

(8)課題への対応

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504414

世界的に見ても前例のない速度で進行する日本の高齢化問題。しかし前述のとおり、介護ロボットの普及率や介護現場と開発側のミスマッチなどの、小さくない課題が複数挙がっています。

これらの介護ロボットの課題への対応策として厚生労働省が、開発者と介護職員が協議する場「ニーズ・シーズ連携協調協議会」を設置しました。介護ロボットの開発について、開発者側と介護職員側が協議する場を設け、開発段階から介護施設のニーズを反映することで双方のミスマッチをなくすことを目的としています。

(9)介護ロボットの今後

超高齢化社会の深刻化に伴い、介護業界の存在は徐々に大きくなっていくことが予想されます。

その中でも、介護の負担の大きな軽減を期待される、以下の3種類の介護ロボットが注目されています。

  • 介護スタッフの介護業務を軽減する「介護支援型」ロボット
  • 要介護者の生活力の向上・自立を促す「自立支援型」ロボット
  • 要介護者のメンタルケアをサポートする「コミュニケーション・セキュリティー型」ロボット

この3つの分野で今後、技術のの開発・活用が推進されていくでしょう。経済産業省によるロボット介護機器開発・導入の方針には、海外展開に向けての動きもあります。

当然、技術面での競争は激化することになるかと思われますが、介護の現場においてこの競争はポジティブな色合いが強いといえるでしょう。

(10)介護の現場で1日も早い実用化を

超高齢化社会の進行により高齢者の割合が年々上昇傾向にある日本。その高齢者の数に対し、介護現場の人材が不足しています。それに伴う介護スタッフの身体的・精神的負担や人力介助による腰痛などが問題視されています。そんな介護現場の救世主となり得る可能性を秘めているのが介護ロボットです。

介護を現在必要としている人にとっても、そうでない人にとっても、日本の介護の行く末を変える可能性を持つ「介護ロボット」はとても重要なトピックであるといえるでしょう。今後の介護の将来を占う意味でも、介護ロボットのこれからに向け、アンテナを張っていきましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!