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老人ホームの費用 | 費用が払えない?費用の平均や種類などを解説

施設サービス
老人ホームに入居するには、入居一時金、月額利用料、その他の雑費がかかります。また民間施設と公的施設では費用が大きく異なります。具体的な費用の目安や費用を抑える方法について解説していきます。
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(1)老人ホーム・介護施設にかかる費用にはどんなものがあるのか


出典:https://www.photo-ac.com/

老人ホームを利用する際には、大きく分けて3種類の費用が必要になります。

①入居一時金

1つ目は、入居時に支払う必要がある初期費用である「入居一時金」です。

入居一時金とは、専用居室や共用スペースの終身にわたる利用権を取得する費用で、一般賃貸契約でいうところの「敷金」に当たります。金額は0円(入居一時金なし)から1億円以上までと幅広く、お部屋の位置や広さや入居する方の年齢などによって金額が異なる老人ホームや、いくつかの料金プランから選べる老人ホームなど、様々な老人ホームがあります。

なお、入居一時金には数年~20年程度の償却期間があります。償却期間が過ぎても、月額利用料を支払い続ければ、その老人ホームに入居し続けることができます。しかし、老人ホームによっては、新たに契約する必要がある場合もありますので、入居前に確認しておきましょう。

②月額利用料

2つ目は、毎月支払う必要のある「月額利用料」です。

具体的には、家賃、管理費、食費、水道光熱費、人件費などが含まれています。それぞれの具体的な料金設定や内訳などは、老人ホームによってそれぞれ異なります。入居一時金を多めに支払うことで、月々の支払いを低めにできる老人ホームもあります。

③雑費

3つ目は、毎月発生する「雑費」です。すなわち、月額利用料以外の毎月の費用のことです。

介護保険の負担金、医療費、交際費、紙おむつ代などです。さらに、交際費、レクレーション費、日常消耗品費、嗜好品費、電話代などがかかる場合もあります。

(2)老人ホーム・介護施設の費用の平均はどのくらい

民間の老人ホーム・介護施設の費用の目安

民間の介護施設には、

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム

といったものがあります。

費用はの目安は以下のようになっています。

民間施設の費用の目安
施設の種類 入居一時金 月額利用料
サービス付き高齢者向け住宅 0~数十万円程度 10~30万円
グループホーム 0~数百万円程度 15~30万円
介護付き有料老人ホーム 0~数千万円 15~35万円
住宅型有料老人ホーム 0~数千万円 15~35万円

サービス付き高齢者向け住宅では、敷金・礼金という形で居住費の数ヶ月分が目安となっています。

グループホームも安いところが多いのですが、なかには100万円を超えるところもあります。有料老人ホームにいたっては、富裕層を対象にした高級介護施設では、数千万円から数億円とケタ違いの金額になります。

公的な老人ホーム・介護施設の費用の目安

公的な介護施設には

  • 特別養護老人ホーム
  • ケアハウス(軽費老人ホームC型)
  • 介護老人保健施設

などがあります。

公的施設の費用は以下のような相場になっています。

公的施設の月額利用料の目安
施設の種類 入居一時金 月額利用料
特別養護老人ホーム 0円 6~15万円
ケアハウス 数十万~数百万円 8~15万円
介護老人保健施設 0円 8~20万円

(3)具体的な月額利用料の内訳

どんな施設でも必要なのが月額利用料です。

それぞれの施設で利用料の内訳は以下のようになっています。

  • 住居費
  • 食費
  • 介護サービスの自己負担額
  • サービス加算
  • 上乗せ介護費
  • 介護対象外のサービス費
  • 管理費
  • 医療費

特別養護老人ホームの月額利用料の例

施設介護サービス自己負担額(介護保険負担額) 2万円~3万円
居住費(自己負担額) 5万円~6万円
食費(自己負担額) 4万円~5万円

以上にプラスしてサービス加算や医療費、日常生活費がかかります。

介護付き有料老人ホームの月額利用料の例

施設介護サービス自己負担額(介護保険負担額) 2万円~3万円
居住費(介護保険負担額) 5万円程度
食費(自己負担額) 4万円~5万円
管理費(自己負担額) 2万円~3万円

以上にプラスして、上乗せ介護費、サービス加算、医療費、日常生活費、介護保険対象外のサービス費などがかかります。

また、民間施設でも公的施設でも、要介護度によって介護保険の負担額が異なるため、この費用はあくまで目安です。

(4)介護施設にかかる費用を抑える方法① 介護保険


出典:https://www.photo-ac.com/

介護施設の費用には、さまざまな場面で介護保険が適用されます。

たとえば、介護保険施設の食費に上限が決まっていたり、おむつ代が無料となるのも介護保険からの給付によるものです。

なかでももっとも重要なのが、施設介護サービス費への適用です。

その適用条件は合計所得金額によって異なり、以下のようになっています。

合計所得金額=160万円未満の場合

  • 合計所得金額+年金収入=280万円未満
  • 2人以上の世帯で合計所得金額+年金収入=346万円未満

いずれかの場合は、自己負担額が1割になります。

合計所得金額が160万円以上の場合

  • 合計所得金額+年金収入=280万円以上
  • 2人以上の世帯で合計所得金額+年金収入=346万円以上

いずれかの場合は、自己負担額が2割になります。

合計所得金額=220万円以上の場合

  • 合計所得金額+年金収入 =340万円以上
  • 年金収入のみ =344万円以上
  • 2人以上の世帯で合計所得金額+年金収入 =463万円以上

いずれかの場合は、自己負担額が3割になります。

ここでいう「合計所得金額」とは、収入から公的年金等控除額や給与所得控除額、必要経費を差し引いたあと、基礎控除額や人的控除額などを差し引く前の所得金額です。

これにより、10~20万円前後の介護施設サービス費が、1.6万円程度で済むことになります。とても大きな差となるので、介護保険の利用をお勧めします。

(5)介護施設にかかる費用を抑える方法② 医療費控除

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設の利用者は、医療費控除を受けることができます。

税金の還付を受けることができる

医療費控除によって、治療費や薬代の領収書を提出することで、税金の還付を受けることができます。ここで注意してほしいことは、民間で運営されている有料老人ホーム等では受けられないということです。

対象となる費用は、施設利用の際に支払った、

  • 居住費
  • 介護費
  • 食費

この金額が、介護老人保健施設と指定介護療養型医療施設ではそのまま、指定介護老人福祉施設と指定地域密着型介護老人福祉施設では2分の1にあたる分が、控除されます。

ただし、介護とは直接関係のないサービスの費用や、日常生活の費用については対象外なので気をつけてください。医師が必要だと判断したおむつ代もすでに介護保険の給付対象となっているので、控除となりません。

これらの費用が記された領収書を提出することで、還付金を受け取ることができます。

(6)年金で入れる老人ホームはあるのか


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前述したように、老人ホームをはじめとした介護施設の費用は、総じて決して安くはありません。もし仮に身寄りも仕事もなく、年金だけで生活している、といった方が介護を必要としたときには、どのような選択肢があるのでしょうか。

結論から言うと、年金だけでも入居できる老人ホームも、存在はします。しかし、受給している年金額にもよりますが、選択肢はほとんどありません。

地方によって費用が大きく異なる

有料老人ホームの利用料のなかで、どこの地域でもほとんど同じなのは、介護保険の自己負担分と食費や日常生活費で、施設によって費用が大きく変わるのは住居費です。東京などの都市近郊ほど住居費が高く、地方ほど低めになります。

住む場所の選択肢を地方にまで広げると、入居金が0円で月額15万円程度で入居可能な有料老人ホームが見つかる可能性もあります。

また、介護者がおらず、自宅での生活が困難な一人暮らしの方については、地域包括支援センターや行政が介入し、年金が少ない場合であっても施設入所の手配をしてくれます。

認知症で判断能力がない場合は、成年後見人を付けてくれる場合もあります。後見人が付くことによって、年金が少なく身元保証人がいなくても、老人ホームに入居できるようになることがあるのです。

さらに、生活保護を受けることによって、老人ホームに入居できるようになることもあります。

(7)介護費用が払えないとどうなるの?

入居時以外の月額費用などによって、支払いが滞る可能性が

まとまったお金を入居時に払うのですが、そのお金以外にも管理費や食費などの月額利用料が発生してしまいます。お金の捻出ができずに支払いが滞るとどうなるのかみていきましょう。

老人ホームの支払いが滞る原因として考えられるのは、下記のような場合です。

  • 介護度が進行したことで、介護費用の自己負担額が予想以上に増えてしまう
  • 収入がある家族の金銭援助に頼っていたが、職を失い親を支えられなくなる

滞納しても、数カ月の猶予が認められる

もし月額利用料を滞納してしまっても、すぐに退去すぐにすることは求められません。一般的に契約書・重要事項説明書に記載されていますが、数カ月の猶予が認められます。

もし料金が支払えなくなったときには、生活相談員やケアマネジャーに相談してみる、または料金が安い施設に移動するのも一つの手です。

(8)予算の見積もり方法


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老人ホームなどの施設を利用するには、入居一時金、月々の費用など、様々な費用がかかります。現在の保有資産や収入、将来受給する予定の年金月額などと比較検討する必要があります。まずはどのようなタイプの施設にするか、自分の好む要件をまとめてみましょう。

次に、お住まいの地域でそのタイプに該当する施設を探しましょう。一括検索してくれるウェブサイトもあります。

その後、パンフレットなどをよく読み、具体的に自分の希望条件や資産状況とすり合わせていきます。

(9)予算が足りないときは

「入居したい施設が見つかったのに、どうしても予算が足りない」となった時の対応としては、以下の3つの選択肢が考えられます。

リバースモゲージ

1つ目は、「リバースモゲージ」です。

自宅(持ち家)を担保にし、住居を手放すことなく、金融機関から融資を受けられる融資制度です。死亡後に自宅が売却され、その代金をもって融資の一括返済に充当されます。

自宅不動産を所有しているが、金融資産が少なく、公的年金などでは生活費を賄えない高齢の無職者(または低所得者)の生活費確保の原資として利用されることが多くなっています。

通常のモゲージでは、年月と共に借入残高が減っていくが、リバースモゲージでは増えていくので、リバース(逆)モーゲッジと呼ばれています。

長期生活支援資金貸付制度

2つ目は、「長期生活支援資金貸付制度」です。

高齢者世帯の生活を支援するため、厚生労働省社会援護局が創設した貸付制度です。

土地や資産を保有しているが低所得であるというような、65歳以上の高齢者世帯を対象として、生活資金や医療費等の貸付けを行なうという制度です。全国の各都道府県社会福祉協議会が融資主体となり、民間金融機関は一切関与していません。

マイホーム借り上げ制度

3つ目は、「マイホーム借り上げ制度」です。

一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)が、50歳以上の高齢者のマイホームを借り上げて転貸する、という制度です。

制度を申し込んだ後、1人目の入居者が決定してからは、空室が発生したとしても規定の賃料を保証します。住宅が賃貸可能な状態である限り、借上げが継続されますので、安定した賃料収入が見込めます。これにより、自宅を売却することなく、住みかえや老後の資金として活用することができるようになります。

(10)費用を比較しながら最良の選択を


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老人ホームや高齢者向け施設、介護施設にはさまざまなタイプがあり、かかる費用も異なってきます。

お持ちの資産や受給している年金額、各種のモゲージや制度を利用しても、施設の諸費用を支払いきれないことがあるかもしれません。そのときは、在宅で介護サービスを受けながら生活していくことも選択肢の一つとして考えたほうがよいでしょう。

そうして出てきた様々な選択肢の中で、本稿で説明してきた費用などの「コスト」と、「自分の希望」とのバランスがとれるように比較検討をしていくのがよいでしょう。

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