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外国人労働者の受け入れ政策 | メリット・デメリットや問題点

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日本における外国人労働者の受け入れについて解説します。日本で働く外国人労働者は、平成29年10月末時点で約127万人にのぼります。日本の少子高齢化に伴い労働人口が減少している中、今後外国人の労働力は必要不可欠となっていきます。同時に、劣悪な環境での労働を強いられ失踪したり、死亡したりする外国人労働者もいます。外国人労働者を取り巻く環境を改善し、より多くの外国人労働者の方に日本で働きたいと思ってもらえるような工夫が必要であるといえます。
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(1)拡大する外国人労働者の受け入れ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2660679

少子高齢化を背景に、労働者約50人に1人が外国人に

現在、日本において、少子高齢化に伴う人手不足が問題となっています。そんな人手不足解消の一環として、政府が外国人労働者の受け入れを拡大してから、年々外国人労働者が増えています。

日本の労働力人口約6600万人なのに対して、外国人は平成29年10月末時点で、約127万人で、労働力の約50人に1人は外国人ということになります。

その結果、実際にコンビニや飲食店、電車などの公共機関において「外国の方を見かけることが増えた」と感じる人も多くいるのではないでしょうか。

外国人労働者が年々増えている理由として、以下の事柄が挙げられます。

  • 政府が高度外国人材や留学生の受け入れを推進
  • 雇用情勢の改善が確実に進み、永住者や日本人の配偶者等の身分に基づく在留資格の方の就労が増えている
  • 外国人技能実習制度の活用が進んでいる

(2)外国人労働者数の増加の内訳

資格外活動・技能実習生だけで増加分の過半数を占める

平成30年の内閣府の調査によると、日本の直近5年間の雇用者数の増加の2割は外国人で、その増加の過半数は留学生のアルバイト等の資格外活動や技能実習生の増加です。

  • 資格外活動18.8万人で32%
  • 技能実習生12.3万人で21%
  • 専門的・技術的分野の在留資格11.4万人で19%
  • 身分に基づく在留資格15.0万人で25%

技能実習生制度については、以下の記事も併せてぜひご参考ください。

また、外国人労働者の属性を国籍別にみると、中国が最も多く外国人労働者の約29.1%、次いでベトナム18.8%、フィリピン11.5%、ブラジル9.2%の順になっています。

(参考:内閣府「外国人労働力について」

(3)外国人労働者の受け入れの拡大の背景

徐々に顕在化する人材不足問題

日本の生産年齢人口は、1995年の8726万人をピークに減少を続けています。2015年には、7728万人と、1000万人以上が減少しました。

それに伴い、国内の労働不足がどんどん顕在化しました。

このまま急激な人口減少が起こると、看護や介護、福祉の分野で人材不足になり国民の生活に支障をきたす事になります。

実際、介護業界では人手不足が原因で事業所を閉設したり、介護事故につながったり、といったネガティブな影響を強く受けています。この問題に対し、国全体を挙げての対策が求められてきている、というのが奥にある背景です。

介護業界における人材不足問題に関して、詳しくは以下の記事もぜひご参考ください。

政府の方針の変化も

今まで政府は、日本国民の雇用を安定させるため、専門的、技術的分野の外国人労働者のみを受け入れることとし、単純労働者の受け入れは制限をする方針でした。しかし、中長期的な人口減少への対応や競争力を支える労働者の確保のため、外国人労働者の受け入れを拡大して外国人労働者を頼らざるを得なくなっているのが現状です。

その結果、政府の方針にも変化が起き、単純労働者に関しても外国人の受け入れを積極的に行うようになってから、外国人労働者の増加が顕在化するようになったのです。

(4)外国人労働者受け入れ拡大施策

日本の労働力不足を補う実質的な外国人受け入れ施策に、「外国人技能実習制度」というものがあります。

外国人技能実習制度とは、一定期間日本国内で技術実習生として雇用する制度です。日本の人手不足の解消と、日本で開発された技術や知識などの習得を通じた、発展途上国の経済面・技術面の発展を担う人材の育成が主な目的です。

2010年までは研修生と言う呼び名でしたが、同年に改正法があり、技能実習生に変わりました。そして、2017年には新しく技能実習法が施行されました。

受け入れ可能職種に該当する企業が、管理団体を通して実習生を受け入れる、というのが一般的な受け入れ方法です。

入国した実習生は、受け入れ企業と雇用契約をし、実践的な能力を培うために、3年間の技能実習を行います。

3年間の技能実習は、1年間の技能実習終了前に基礎的な技能検定を受け、合格後、さらに2年間企業の従業員として働き、技能や知識の習熟度を向上していきます。

(5)外国人労働者を受け入れるメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2366515

外国人労働者を積極的に受け入れることには、業界や制度にかかわらず一般的に下記のようなメリットがあります。

若い活力ある人材が確保できる

日本にとって外国人労働者を確保する最大のメリットは、若い労働力を確保出来ることです。

日本は少子化により若い労働力が減少しているので、若い活力のある人材を確保することで、企業に新しい考えが生まれます

会社の活性化につながる

外国人は、日本人に比べて自分の将来像をきちんと描いているので、そのために必要なスキルやキャリアを身につけている人が多くいます。

ハングリー精神があり、常にモチベーションが高いので、外国人労働者を採用すると、日本の社員にも良い影響を与えて、会社全体の活力となります。

グローバル化への可能性が広がる

外国人労働者の採用をすることで、

  • 外国語による広報
  • 外国人の感覚を活かした商品開発
  • 外国人顧客への対応
  • 市場の拡大・越境

などといったビジネス課題において、日本人にはないアイディアや発想で、グローバルへの可能性を拡大しやすくなる可能性が考えられます。

(6)外国人労働者を受け入れるデメリット

逆に、外国人労働者を受け入れるに当たって、デメリットはあるのでしょうか。

文化や習慣の違いが大きい

特に外国人と日本人の文化や習慣は、ビジネス上でも大きく違ってきます。代表的な例で言うと、業務時間の考え方があげられます。

日本人は時間にとても厳しい国なので、個別に対応して、それぞれの外国人の価値観を理解した上で日本の価値観を説明しなければならない場合もあります。

もちろん、すべての外国人労働者の方に当てはまるわけではありません。

外国人雇用手続きや入管理法を知っておく必要がある

外国人を採用する場合は、ビザの手続きや在留資格の確認などを行ってから、雇用契約を結ぶ必要がありますが、書類手続きに時間がかかり、申請などの手続きが煩雑です。

外国人労働者を雇用する時は、入国管理局で申請をする必要があります。これはどこに申請しても良いわけではなく、管轄している入国管理局に申請をします。

このように、雇用手続きが複雑であるため、企業側も入国管理法について詳しく学び、手続きに漏れがないかしっかり管理する必要があります。


外国人介護士受け入れのメリット・デメリットは、厳密にいうと受け入れる業界や受け入れの際に利用する制度によって若干の違いがあります。詳しくは、以下の記事もぜひご参考ください!

(7)外国人労働者にまつわる問題① 技能実習生の失踪

外国人雇用が多く採用されていますが、様々なトラブルの事例も報告されています。外国人技能実習生の失踪が激増していて、法務省の報告によると、12年には2005人だったが、17年度には7000人を超え、7089人の失踪者が出ています。

失踪の理由としては、下記のようなものがあげられます。

思っていたより稼ぐことができない

技能実習生の本来の目的は日本の技術を学ぶための実習ですが、外国人労働者はお金を稼ぐために日本にくる外国人が多くいます。しかし、現実には思っていたより安価な労働力で雇われ、月給も10万以下が過半数で、失踪した外国人の7割弱は低賃金を理由に失踪しています。

過酷な3K労働で労働法制が守られていない

新3Kと呼ばれている、帰れない、厳しい、給料が安いと言った労働法を守っていない奴隷のような仕事を強いられることにより、肉艇的にも精神的にも追い詰められ、職場から逃げるように失踪しています。

2018年12月の法務省の発表によると、2010年~2017年の8年間で、外国人技能実習生は174人が死亡していることがわかっています。

ここからも、日本の外国人技能実習生制度には問題があるといえるでしょう。

(参考:朝日新聞デジタル

(8)外国人労働者にまつわる問題② 不法就労

外国人が日本で働く場合、在留資格が必ず必要になります。もし在留資格がないままに就労していると不法就労となります。不法就労の中身はとても複雑で、本人も不正就労とわからずに働いている人も多くいます。

企業側は、万が一不法就労者を雇用していた場合、不法就労助長罪という罪に問われ、3年以下の懲役もしくは、300万円以下の罰金を受けます。

または、これを併科される事もありますので、外国人労働者を雇用する時は、不法就労に該当していないかどうかチェックしておく必要があります。

(9)介護業界における外国人労働者

2025年問題をひかえ、徐々に重要性が高まっている

2025年には団魂の世代が後期高齢者(75歳以上)になり、介護職不足はますます深刻化し、これに伴い、介護人材が約38万人も不足すると予想されています。

そのなかでも政府は、最も人材不足が深刻な介護分野には、5年間で6万人の外国人労働者を受け入れると公表しました。

去年11月から外国人の技能実習分野に「介護」が追加され、技能習得生が介護福祉士を取得すると、永住権を認める制度を検討しています。

今後も外国人労働者の需要は高まると考えられます。外国人労働者が介護を受けたくても受けられない介護難民を救ってくれるかもしれません。


2025年問題は、医療・福祉・介護サービスの需要者の増加に供給者の増加が全く追いついてない状況を表しています。詳しくは、以下の記事もぜひご参考ください。

(10)外国人労働者の受け入れをする前に必要なこととは

外国人の受け入れには、それなりの準備が必要

少子高齢化が深刻な日本ですが、これからの日本の企業にとって救いの手となり得るのが外国人労働者です。

介護業界をはじめ、外国人労働者への評価が高い、という業界も多数見受けられます。

ただし、外国人労働者の受け入れには外国人労働者が働きやすい労働環境を整備することが必要不可欠です。

今後、外国人労働者を雇い、日本社会の労働力不足を解消していくためには、外国人労働者を外国人として差別することなく、日本人の待遇と同じ、または、能力に応じ日本人以上の待遇を提供していかなくてはいけません。

また、外国人が日本語を学ぶ場所を整備したり、職場の選択肢を多様化したりする必要性も今後ますます高まっていくでしょう。

外国人を単なる労働力としてみなすのではなく、職場の大事なメンバーとして働く環境を整備していくようにしましょう。

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