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(1)独居老人とは
日本人の平均寿命がどんどん延びている今、いわゆる「独居老人」とよばれる「60才以上の一人暮らしをしている単独世帯」が増加しています。
もちろん、独居と一言で言っても、「週4で息子が様子を見に来る」「友人が毎日来る」といったように、そのケースは様々です。そのため、それらをすべてひっくるめて「独居老人」とするかどうかの議論もなされています。
ここでは、あくまで「60才以上で、一人暮らしをしている単独世帯」のことを指すワードとして、「独居老人」という言葉を使用していきます。
(2)独居老人の現状
内閣府の調査によると、「65歳以上で単身世帯」の枠に属す世帯数が急激に増加していることがわかりました。
「65歳以上の単身世帯」が全世帯に対して占める割合を2000年度と2015年度のデータで比べてみると、19.7%(2000)→26.3%(2015)と大きく上昇していることがわかります。
そんな独居老人が一番多いのは、やはり東京都です。そして2010年の国勢調査によると、その60代の一人暮らしの人数は、608万417人となっています。
東京都の第一位以外は、西日本に在住している独居老人が圧倒的に多いということもわかっています。
参考:内閣府・平成29年版高齢社会白書(全体版)
(3)独居老人が問題になる理由① 孤独死
独居老人になると1週間以上などのまとまった日数誰とも連絡を取らないということも十分に起こり得ます。
そんな時に何かのアクシデントで自宅で倒れてしまうと、発見が遅れてしまいます。家族が遠く離れた場所に住んでいる場合はなおさらです。
最近では、お湯を沸かすと離れて住む家族に自動的に連絡がいき、安否確認ができるサービスが話題になっています。
また、見守りカメラなどの安心機器も手に取りやすい価格の商品が増えています。
こうした最新の技術を活用すれば、何かあったときに迅速な対応ができるようになり安心です。
(4)独居老人が問題になる理由② 認知症患者の増加
独居老人に関連する問題の一つとして、認知症患者の増加が挙げられます。
認知症を患ってしまう原因は、いまだにはっきりとは解明されていませんが、有力な原因の一つとして挙げられているのが「脳への適度な刺激の減少」です。
頭を使ってうまく人とコミュニケーションをとろうとしたり、嬉しいことや悲しいことを経験することで感情が動いたりといった機会が比較的少なくなる「独居老人」をはじめとする単身世帯は、認知症のリスクが上がると考えられるのです。
(5)独居老人を支援できる「見守りサービス」とは
離れた場所で暮らす両親や祖父母など、「高齢の家族の健康状態や生活が気になるけれど、同居するのは難しい…」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そんな状況に悩んでいる方におすすめのサービスが「見守りサービス」です。これは、電子機器やネット通信、専任スタッフの訪問などを通じ、離れて暮らす高齢家族の安否確認ができるサービスのことを指します。
サービスの種類によっては、定期的な安否確認だけではなく緊急時の駆けつけ対応や高齢家族からの相談なども受け持ってくれるため、大切な家族をトラブルや事故、孤独死から守ることができます。
いわゆる「独居老人」と呼ばれる単身世帯の増加が著しい昨今において、この「見守りサービス」の需要は高まっていくと考えられるため、このサービスについて知っているか知らないかは、今後大きな違いになっていくかもしれません。
見守りサービスについては以下の記事でくわしく解説しています。あわせてお読みください。
「見守りサービスとは|利用目的/メリット・デメリット/タイプ等まとめ」
(6)独居老人が増加している背景① 経済環境
(2)独居老人の現状でお伝えした通り、近年独居老人は増加傾向にあります。
では、独居老人の増加はどのようにして起こっているのでしょうか。独居老人を取り巻く問題の解決の糸口を探るべく、独居老人増加の背景をみていきましょう。
独居老人が独居せざるを得なくなる理由の一つに、経済的な問題があります。
現在独居老人として生活する人のほとんどが、60歳で定年を迎え、65歳から年金の受給を開始してます。
年金の受給額には個人差があります。年金を多く払ってきた方でも、受給できる金額は、月額で20万から23万ほどになります。
老後も固定資産税や医療費など、さまざまな支払いをしなければいけないのは現役世代と変わりません。
年金収入だけで生活している方は、入居者同士コミュニケーションを取ったり、スタッフが体調管理をサポートしてくれたりするような施設への入居が容易ではありません。
そうした金銭的背景も、独居老人の増加に影響していると考えられます。
国民年金の受給額や、介護施設の費用については以下の記事でくわしく説明しています。あわせてお読みください。
老人ホームの費用 の仕組みとは| 費用の相場・総額・補助など
(7)独居老人が増加している背景② 問題意識の希薄さ
独居老人の中には、一人で暮らすことに慣れており「何かあったら不安だけど、まだ大丈夫」「自分でなんとかできるだろう」と考えている方もいます。
また、一人で自由気ままに過ごす生活が気に入っており、問題を自覚していないケースもあります。
高齢のご家族が「せっかく手に入れた老後の自由を邪魔されたくない」と考えている場合、独居をやめてもらうのは難しいかもしれません。
そういった場合には、見守りサービスを勧めたり、緊急時の連絡先をわかりやすい場所に貼っておいたりし、何かあったときの対策をとりましょう。
(8)独居老人が増加している背景③ 住居環境
住宅環境も、独居老人の増加を促す一因と考えられます。
日本では、年齢が上がるにつれ持ち家を保有する人数が増えていきます。
高齢のご家族がいる方の中には、施設への入居を勧めた際に、「住み慣れた家にできるだけ長く住みたい」と断られた経験がある方もいるのではないでしょうか。
持ち家に住んでいる方は、賃貸に住んでいる方よりも自宅に愛着を持っている可能性が高いです。
また、誰も住まなくなった家をどうするかという問題が発生するわずらわしさからも、持ち家を離れられない人が多いのではないでしょうか。
持ち家を手放すことは容易にできることではありませんが、施設に入居したり、デイサービスを利用したりすることで、独居によるリスクを軽減させることが大切です。
参考:内閣府「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)」
(9)近しい人が独居老人である場合
都市部に住んでいる子供の家に同居すると、手狭になってしまい、それまで一人でのびのびと生活していた方には窮屈に感じるかもしれません。
親族との同居が難しい場合には、施設の利用を検討してみてください。
高齢者が入居できる施設には複数あります。種類やサービス内容は以下の記事でチェックしてみてください。
また、身内に限らず、「近所に住む仲の良い高齢者が一人で暮らしていて心配」という方は、高齢者の電話のワンタッチダイヤルに自身の電話番号を登録してあげたり、ボタンを押すだけですぐにコールセンターに通報される高齢者緊急通報システムなどのサービスを教えてあげたりしましょう。
(10)独居老人同士のコミュニティを維持することが大切
少子高齢化は加速していき、消費税も上がる、そんな時代になると今度はホームに入る資金も不足する世帯が増えていくことが予想されます。
地域とのつながりを持ち、できるだけ自分達の生活を自分達らしく長く続けられるように意識しましょう。