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(1)映画『ケアニン』とは?
映画『ケアニン』とは、新人介護士と認知症患者の関係を描く映画です。2017年に上映開始され、上映時間は104分、監督は鈴木浩介さん、脚本は藤村磨実也さんが行っています。キャストは戸塚純貴さん、藤原令子さん、山崎一さん、水野久美さん他です。
公式サイト:ケアニン~あなたでよかった~
介護の世界を描いた物語はいくつかありますが、『ケアニン』は認知症患者と向き合うということ、介護業界のことについて深く掘り下げた内容になっています。
いくつもの介護施設や福祉大学が協賛、サポーターになっており、北海道から沖縄まで全国で自主上映会も行っています。
(2)映画『ケアニン』のあらすじ
映画『ケアニン』は、小規模介護施設が舞台となっています。『ケアニン』の主人公である大森圭は特に理由なく、なんとなく介護専門学校へ進学し、その後介護施設で働き始めます。
そこには認知症の人が多くおり、主人公は接し方がよく分からず、またうまくコミュニケーションを取ることができず悩む日々が続きます。
それでもなんとか仕事をしている中、初めて担当につくことが決まりました。その相手は認知症であり、接し方に戸惑いながらも周りのサポートもあり、少しずつ関係がよくなっていきます。
『ケアニン』はなんとなく介護の仕事を選んだ主人公の成長、そして認知症の人の家族の気持ちなどを描いたストーリーとなっています。
(3)映画『ケアニン』製作の背景
映画『ケアニン』製作のきっかけは「介護という仕事の魅力を伝えたい」ということだったこともあり、魅力ややりがいが『ケアニン』の製作ポイントになっています。
介護と聞くとどうしても「大変」「辛い」という印象があり、一般的に明るいイメージではありません。介護業界の人材不足といわれる中で魅力を伝えるために製作され、「こんな素晴らしいこともある」ということを伝える内容が描かれています。
大変さだけではなく介護の仕事、そしてやりがいにスポットをあてた作品です。
大変であるという印象がある仕事は、どうしても人材不足に陥りやすいです。そういった社会問題を少しでも良い方向に向けられたらという想いで映画『ケアニン』の製作が始められたという背景があります。
(4)映画『ケアニン』のポイント
映画『ケアニン』は、知っているようで知らない介護業界の世界を描いたものです。
映画を通じて「介護とは」を伝える内容となっており、そこには苦しさや大変さだけではなく、介護という仕事の魅力についても触れています。介護問題というのは人ごとではありません。誰でも介護をする、される可能性があり、生きていく上で切っても切り離せないことです。
人と人との繋がり、介護される側もする側も人間であるということを伝え、同時に介護という仕事の良さを伝える内容であることもポイントになっています。映画『ケアニン』は、実際にあった介護施設での出来事がモデルになっています。
そのためリアルな現状を知ることができ、また、それを幅広く知ってもらうことで介護される側の理想を伝える意味もあるのです。
この映画『ケアニン』は、介護施設の現状、介護の大変さや介護の魅力を伝えるために製作されたといってもいいかもしれません。
(5)映画『ケアニン』で登場する介護施設のモデル
映画『ケアニン』は実際に存在する介護施設がモデルとなっています。『ケアニン』のモデルとなったのは神奈川県の藤沢市にある「あおいけあ」という介護福祉施設です。
こちらは映画『ケアニン』と同様に小規模介護施設となっており、24時間365日宅老所としての取り組みを行っています。小規模だからこその家庭的な雰囲気があり、介護される側を尊重してサービスを行っています。
こちらの代表者は25歳で「あおいけあ」を設立し、過去に「かながわ福祉サービス大賞」も受賞しています。
映画『ケアニン』以外でも介護の現状を伝える、環境を良くするということを精力的に行っており、介護の取り組みを紹介したり漫画製作にも関わったりしています。
(出典:株式会社あおいけあ)
(6)映画『ケアニン』の評価
映画『ケアニン』の鑑賞者の感想には「感動した」というものが多くなっています。感じ方は人それぞれですが、それでも「真面目な主人公を応援したくなる」「舞台となっている介護施設が良い環境でうらやましい」といった感想が寄せられていました。
口コミなどは介護業界で働いている、これから働きたいと考えている人からの感想が多くなっていますが、介護というものを経験したことがない人も鑑賞しているようです。評価は高い方で、「介護あるある」やリアルな点もいくつもあったようです。
介護業界で働く人にとって主人公の葛藤する気持ちに共感する部分も多く、喜怒哀楽などを自分と重ねたという感想もありました。
また、『ケアニン』は色んな人からの視点で描かれているため、1つの世代だけではなく色々な立場の人からの視点で描かれているという感想も見られました。
(7)映画『ケアニン』を通じて介護職に興味を持ったら
介護関係の仕事は多くあります。施設でいうと、主に社会福祉法人が運営している特別養護老人ホーム、民間が運営している有料老人ホーム、共同で生活するグループホームなどがあります。
代表的な介護職は国家資格であり介護業界で幅広いサポートをする介護福祉士、助言や指導などのサービスをメインで行う社会福祉士、介護される人の心身や環境をみて介護サービスを提案するケアマネージャーなどがあります。
また、生活の介助を行う介助員、訪問介護を行うホームヘルパー、日常的なサポートを行うケアワーカーなどもあります。介護職の仕事には資格が必要なものとそうでないものとがありますし、仕事内容も相談がメインなのかサポートがメインなのかでも分かれます。
映画『ケアニン』を見て介護業界に興味を持ったのであれば、自分がやりたいのはどんなことなのかを考えてみるとよいでしょう。
(8)介護職員の仕事内容
介護職員の仕事内容は様々ですが、基本的に高齢者の生活全般をサポートしていくことになります。
具体的にいうと入浴や排泄の介助、食事の介助、ハミガキなどの口腔ケアなどです。そういったことは生活を送る上で基本的なことなので、高齢者のサポートを行います。また、起き上がり、就寝の介助なども行います。
ベッドから車椅子で移動するサポートや歩行の補助などは、寝たきりにならないようにするためにも重要です。就寝介助は寝間着に着替えのサポートなどを行っていきます。
そして、ゲームやカラオケ、体操やお楽しみ会などのレクリエーションのサポートも行っていきます。介護施設ではただ生活を送るだけではなく楽しむことが大事と考えているところも多いので、そういった楽しみの場でも会場の準備やサポートを行います。
(9)どんな人が介護職員に向いているの?
一般的に介護職員に向いているといわれているのは、人の立場になって話を聞くことができる人、周囲に目を配ることができる人、根気のある人などです。介護施設などでは高齢者が主役となっているので、その人の立場になって話を聞くことが大事です。
また、高齢者の家族とも関わることがあるため、よく話を聞いて、どうして欲しいのかを考えることができる人が向いているといえるでしょう。
そして介護施設は高齢者を見守ることも大事なので、常に周りをも渡せるということも重要です。さりげないフォロー、他のスタッフが困っていないかなど視野の広い人が向いています。
そしてどんな仕事でもそうですが、介護職員も根気が必要です。いつでも自分のペースで仕事ができるわけではありませんし、体力も必要です。
(10)映画『ケアニン』から学べること
映画『ケアニン』は、介護のリアルな現状を映像にした作品です。介護で悩んでいる人も多いですし、今ある介護問題や漠然とした不安の解消法なども学ぶことができます。
介護施設とはどういうものなのか、介護関係の仕事の魅力など、介護について幅広く知ることができます。大変で辛いというイメージのある介護ですが、それに奮闘する人の姿や姿勢、その家族の感情、認知症のことも学ぶことができる内容になっています。
介護というのは誰でもする、される可能性があるため、『ケアニン』で学んでおくときっと今後の役に立つことでしょう。