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EPA外国人介護福祉士とは | 受け入れの現状、就労期間や派遣の流れ

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EPAとは、経済連携協定のことで、インドネシア・フィリピン・ベトナムとの間で貿易障壁を撤廃する目的で締結されています。EPAを結ぶことで、介護サービスを日本で学び、実践する外国の方も増えることが予想されます。今回は介護サービスにおけるEPAの制度、EPAでの外国人受け入れ背景、就労期間、派遣までのプロセス、外国人介護士受け入れのメリット・デメリットなどを解説します。
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(1)EPAとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504414

EPAとはEconomicPartnershipAgreementの略であり、「経済連携協定」のことです。

多国間の貿易自由化を補完するために、国・地域を限定して貿易障壁を撤廃し、「モノ・ヒト・カネ・サービス」といったさまざまなことを移動促進させるためのもので、日本はインドネシア・フィリピン・ベトナムを含むさまざまな国と締結しています。

日本以外では、自由貿易協定(Free Trade Agreement)と呼ばれることが多いですが、日本の場合は自由貿易協定要素だけではなく「投資・人の移動・知的財産保護・協力」といった広い分野を対象としています。

そのため、EPAという名称がつかわれています。

出典:外務省『経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)

(2)EPAに基づく外国人介護福祉士受け入れの背景

日本では、経済連携協定(EPA)に基づき、「外国人介護福祉士」候補者の受け入れを行っています。

EPAの元、各来日者が介護施設で就労・研修をして日本の介護福祉士資格の取得を目指す、という形です。対象としている受け入れ国は、

  • インドネシア共和国
  • フィリピン共和国
  • ベトナム社会主義共和国

です。

これは、日本とインドネシア・フィリピン・ベトナムの経済連携を強化するという観点から特例的に行っています。

この背景には、昨今問題となっている日本の介護事業の人手不足が挙げられます。

介護業界の人手不足の現状・原因について、より詳しい記事はこちら

→『いつまで続く?介護現場の人手不足|問題の原因や現状、対策など

足りない人手を補うべく、介護業界全体として、海外からの人材を受け入れる制度を整備していく機運が高まっていたことは、EPAでの介護士の受け入れが開始した一つの背景といえるでしょう。

最近でも、2017年9月1日には「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成28年法律第88号)」が公布されています。これは、日本の介護福祉士養成施設を卒業し「介護福祉士国家資格」取得をした留学生に対する法律です。介護福祉士国家資格を取得後、日本で介護福祉士として従事するための在留資格「介護」を得ることができるのが特徴です。

このように、介護業界において、海外との人材交流をより積極的に推進していく流れの中で、EPAは開始されました。

(3)EPAに基づく外国人介護福祉士受け入れの現状

EPAで介護として受け入れが開始されたのはインドネシアからの受入れは平成20年度、フィリピンからの受入れは平成21年度、ベトナムからの受入れは平成26年度からです。

では、EPAの現状はどうなのでしょうか?

EPAの目標は、2年間で2,000人の外国人介護士・看護師の受け入れでした。現状では、介護現場の人材不足はまだ解決していません。公益社団法人国際厚生事業団によるアンケートの結果では、介護の業界から外国人労働者を受け入れたことを「良い影響」だと答える介護施設は、全体の約86%以上でした。

問題点はまだまだ解決したとは言えませんが、現状では、介護現場の人手不足解決のためにいい方向に進んでいるようです。

(4)EPA外国人介護福祉士の就労可能期間・在留可能期間など

外国人労働者の場合、在留資格によって滞在できる期間が異なります。

EPAを利用して入国した場合には、最終的な目的でもある「国家資格」が取得できるかどうかが滞在期間に大きく影響してきます。

EPAの在留期間は1年間と最初は規定されていて、その後は諸条件を満たした際に更新していきます。3回までは更新できるため、実際は4年間は滞在ができます。

国家資格である介護福祉士を取得するにはまず、実務経験が3年以上必要です。それを考えると、日本に来て最初の3年間は、介護施設で実務経験を積む必要があります。そして、最後の4年目で介護福祉士試験を受験するという流れになります。(4年目で不合格の場合は、5年目に再試験を受験することも可能です。)

国家資格を取得した場合には、資格取得後の滞在期間は最長で3年間設けられます。

ビザについては、EPAの家族滞在ビザが存在するため、「特定活動(EPA)」という在留資格のもと、永住者と同じように就労し生活することが可能で、家族を呼び寄せることも可能です。

また、配偶者や子を「家族滞在」の在留資格で在留させることもできます。

(5)EPAにおける外国人介護士が事務所に派遣されるまでの流れ

出典:https://www.photo-ac.com/

EPAを利用して入国した外国人介護士が、実際に事務所に派遣されるのはどのような手順で進めればいいのでしょうか。EPAを利用して日本に来た外国人労働者を希望する場合、まずは「公益社団国際厚生事業団(JICWELS)」を介してEPA対象国へ介護士としての募集をかけます。

条件は、日本人職員同様の給与の支払いをすることです。応募者は求人票の中から希望の報酬や地域を選び、事業所と応募者のマッチングが問題なければ日本に来て事務所に派遣されるという流れになります。

現地で面接することは難しく、書類やビデオレターで面接し、採用するか決めなくてはいけません。

(6)EPAにおける外国人介護福祉士の人材育成について

EPAを利用して日本に来た外国人たちは、最終的に国家資格を取得できなければどれだけお金をかけても研修をしても帰国するしかありません。

そうならないためにも、人材育成が重要なポイントになります。

最初は、日本語をまったく話すことができない外国人がほとんどです。事務所に配属される前に、現地で半年~1年間、来日後に2か月半~半年間、勉強を行います(※)。

(※国により語学研修期間は異なります。詳しくは以下の外部参考文献をご覧ください。)

その期間で日本語の研修を行いますが、語学の習得スピードには当然個人差があるため、来日時には全員が日本語を習得している、というわけではありません。

そうなると、事務所に配属されてから事務所の方で外国人介護士を育てる必要があります。

そこで、必要と言われている研修項目は、以下の項目などです。

  • 日本語の習得・コミュニケーションを取れるようにする
  • 介護技術、介護の知識
  • 日本文化の勉強
  • 生活面のケア
  • 風習への配慮

これらを事務所で研修するとしたら、1,000万円近くの費用負担と、それに伴う労力はかかるといえます。

EPAにおける外国人介護士の人材育成は簡単ではありません。しかし、国家資格を取得できれば、日本の介護士不足を補う役目を果たしてくれるでしょう。

合わせて読みたい

『日本人の介護士が、外国人介護士とともに働くうえで気をつけるポイント』

(7)EPA外国人介護福祉士を介護現場に受け入れるメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2343518

介護の現場は、非常にデリケートです。その場所に外国人を受け入れることで得られるメリットには、何があるのでしょうか。

実際にEPAを利用して外国人を受け入れた介護現場では、公益社団法人国際厚生事業団のアンケートに対して以下のような返答しています。

  • 「外国人労働者を受け入れることによって、今まで触れたことのない文化に触れることができる」
  • 「教えることで、自分たちの仕事を見直すことができた」

外国人を雇用することで職場が活性化したり、文化交流出来るという点がEPAの大きなメリットになるようです。

(8)EPA外国人介護福祉士を介護現場に受け入れる際の問題点

EPAでは、外国人が実際に介護現場に来る前に日本語の研修などが行われます。しかし、日本語をマスターできる外国人は少なく、コミュニケーション不足が問題点としてあげられます。

まったくできないというわけではないので、時間をかけて実際に日本語にふれることが最も早くコミュニケーションを取れる方法ではないでしょうか。

特に、介護現場の高齢者と外国人介護士が会話をすることで、両者ともに脳が活性化するなどのメリットもあり、問題点としてだけではなく、少しずつコミュニケーションを取ることで解決できるとポジティブにとらえる視点も必要です。

(9)EPA外国人介護福祉士について今後の課題

EPAの外国人労働者の受け入れで今後の課題とされているのは、外国人介護士を受け入れる体制づくりをすることです。

現在では、うまく受け入れている介護施設が多い反面、EPAを利用して日本に来た外国人労働者は国家資格が取得できなければ帰国せざるを得なくなります。また、国家資格を取得するチャンスが実質1回しかないことは、大きな問題です。

日本人でも取得が大変な国家資格を、たったの4~5年だけで取得するというのは容易ではありません。

外国人介護士を増やすためにも、きちんとした研修体制や、人材を”使い捨て”にする構造にならないための期間の調整などがEPAの今後の課題となりそうです。

(10)今後、EPAに基づく外国人は介護の担い手として重要な存在になる

厚生労働省のデータによると、日本では2025年に介護職員は245万人必要だと言われています。これは、超高齢化社会と言われる現代だからこその数字ですが、現状では34万人も不足しています。

EPAによって、外国人を受け入れ、介護士として本格的に育成することで、EPAに基づく外国人が介護の担い手として活躍する可能性は高いでしょう。

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