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下流老人に陥る5つのパターンと3つの要素|その実態と対策方法も

社会問題
一般的な給与所得があるサラリーマンでも、ホワイトカラー労働者でも陥る可能性のある「下流老人」。老後のために今どれだけリスクマネジメントができるかがカギになります。安心した老後生活を送るためにもまずは今できることをしっかりと確認することが大切です。
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(1)昨今、話題になっている下流老人とは?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1586674

超高齢社会となった日本は、医療現場での人手不足やストレスによる介護離職など、数多くの問題を抱えています。

その中で近年「下流老人」という言葉が生まれています。下流老人とは、「下流老人(朝日新書)」の著者である藤田孝典氏がつくった造語です。藤田氏は、下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者」と定義づけています。

(2)下流老人になっていく5つのパターン

「下流老人」になるパターンは大きく5つに分けられます。

パターン1 本人の病気や事故により高額な医療費がかかる

一つ目は、病気や事故、介護などで高額な医療費や療養費、介護費が必要になるパターンです。ごく当たり前のことですが高齢期は免疫力の低下に伴い、想像以上に病気に冒されやすくなっています。

定年退職後に、がんなどの予期せぬ病気が見つかることもあり、それによる計算外の高額な入院費用や医療費、介護費の負担で退職金として受け取った老後の資金が一気に無くなってしまう可能性も十分あり得ます。

パターン2 高齢者介護施設に入居できない

2つ目は、高齢者介護施設に入居したくてもできないという問題です。

家族や親族を頼ることのできない高齢者にとって介護施設(老人ホーム)は最後の拠り所になるべき場所といえますが、経済的・制度的な理由から入居することができないというケースが増えています。

それは高齢者自身、明らかに自立した日常生活が送れない状態であってもです。

超高齢社会によって増え続ける高齢者の数に応じて介護施設の入居希望者は増える一方ですが、その受け皿となる介護施設の数は圧倒的に不足している状態です。

パターン3 子どもがワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる

ワーキングプアは「働く貧困層」とも呼ばれます。仕事はあっても年収200万円以下で、お金が貯まらず生活できるギリギリの状況にある人のことを指す言葉です。

このように子どもが下流化の要因になってしまうケースもあり、先ほどのワーキングプアや引きこもりなどを理由に、成人以降も子どもを養わなければいけない高齢者が増えています。

パターン4 熟年離婚

4つ目の熟年離婚には、女性(妻)が男性(夫)に頼ることなく経済的に自立しやすくなったことが背景にあります。女性に社会進出の機会が得られたこともありますが、これまで我慢してきた男性に対する不満が、子育てにひと段落した高齢期に一気に爆発した結果とも言えます。

また、近年では老後の資産を分け合う決定が出されており、年金の按分を求める裁判離婚が増えつつあります。

パターン5 認知症でも周りに頼れる家族がいない

頼れる家族がいないことで、詐欺などの犯罪に会うリスクが高まります。代表的なのが「オレオレ詐欺」です。

各地で対策を講じ、検挙率は高まってきているものの一向に歯止めが効いていないのは、オレオレ詐欺の手口が巧妙化していることと認知症高齢者の増加が背景にあります。

(3)下流老人になってしまう3つの要素

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1889668

要素1 収入

下流老人の特徴の一つとして挙げられるのが、世帯の収入が著しく低いということです。

そのため、現状の収入では普通の暮らしを営むことができず、生活水準に関しても生活保護を受けられるレベルか、それよりも低い状況に陥っています。

要素2 貯蓄

二つ目は貯蓄が少ない、あるいはまったくないことです。前述のように収入が著しく低い状態にあれば、生活費などはこれまでの貯蓄に頼るしか手段が残っておらず、充分な貯蓄がない状態では健康的・文化的な生活を維持できません。

また、高齢期は突然の病気や事故、介護などの生活上でのトラブルといった予想外の支出がよくあるため、あっという間に生活が破たんしてしまう恐れもあります。

要素3 人間関係

3つ目は、「人間関係」です。人間関係とは要するに困ったときに頼れる人がいない(社会的孤立)状態のことを指します。

生活が苦しい状態にあったとしても、相談する相手がそもそもいないため、助けを求めることができずに事態が重篤化してから発見されるというケースがあります。

(4)下流老人の経済状況が厳しい理由① 社会保障・保険制度への理解不足

社会保障制度・保険制度といった「制度の理解不足」が下流老人に陥る可能性を高めます。

そもそも下流老人に当てはまる人は低収入であることが多く、「お金」を稼がないとその日の生活もままならない状況に陥っている人もいます。社会保障制度を調べたり、理解しようとする余裕がなくなってしまっています。このような制度に時間を割く余裕も既に無くなっています。

実際に、社会保障制度・保険制度を知っていることで行政のサービスを受けることができ、「下流老人」にはならない可能性もあるのです。

(5)下流老人の経済状況が厳しい理由② 少し先の将来のことを考える時間

下流化により日々の生活を送るために精一杯になり、少し先の将来を考える時間がほとんど無くなってしまっている人が多い現状です。「少し先の将来を考えることに時間を割くくらいなら、今お金を稼いだ方がよっぽどマシじゃないか」と考える方もいるでしょう。

しかしそれは大きな間違いです。

もちろん、日々の生活を送ることが優先されてしまうことは仕方がありません。しかし、将来のことを考え、調べておくことが今の厳しい経済状況を打開することにつながるかもしれません。

(6)下流老人にならないための対策① 加入している保険や公的サービスの確認

せっかく受けることのできる制度や公的サービスも、知識・理解不足で受けていないという人が下流老人の中には一定数います。そうならないためにも、まずは自身が加入している保険や申請することのできる公的サービスを改めて再確認し、整理してみましょう。

老後、活用するとよい公的サービスの一つとして「介護サービス」があります。

この介護サービスは要支援・要介護認定を受けた方が利用でき、そのサービスは多岐にわたります。どのようなサービスがあるのかこれを機に確認しておきましょう。

介護サービスの種類について、より詳しい記事はこちら

「多すぎる介護サービスの種類をまとめて把握!費用、利用方法も解説」

(7)下流老人にならないための対策② 社会保障・福祉制度について、情報をキャッチする

「そもそも社会保障制度・社会福祉制度とは何か」、この無理解こそが下流老人になり得る可能性が非常に高まります。

制度に対する無知だけでなく、意識の面から変えていく必要があります。物事を曖昧に済まさず、ただ制度をよく理解するだけでも下流化を防ぐ第一歩であることに間違いはありません。

さらにこのような制度は改定が行われる場合もあり、「一度理解したからもういいや」と無視していれば、新たに必要な書類や確認事項が増えて、慌てる羽目になります。そのため、常にアンテナを張って情報をキャッチすることを心がけましょう。

(8)下流老人にならないための対策③ 自身のお金周りを把握しておく

いざとなたっときに最も頼りになるのは、自分自身の資産です。

早い段階で家計を管理し、可能な限り少しでも貯蓄をするように心がけましょう。そして病気や事故で突発的にまとまったお金が必要になることも視野に入れておくことが大切です。

「こういうときにはこれだけのお金が必要になる」という風に、自身のお金周りをしっかりと把握しておきましょう。そうすることで、下流老人にならないための事前策にもなります。

(9)「下流老人」という概念に関して、誤りと指摘されている点

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/400984

下流老人は高齢者が該当していると思いがちですが、現実は高齢者の貧困率は改善傾向にあります。むしろ貧困化が進んでいるのは現役世代の方です。

非正規雇用が導入されたことにより、自由で新しい働き方として、特に若者世代から注目を集めていましたが、正規社員のようなボーナスや昇給、退職金が出るわけではありません。

さらに企業に就職せずともお金を稼ぐことができるという考えから、楽観的に自ら進んで非正規雇用者になる人もいますが、そのような人はワーキングプアに陥りやすいです。

(10)「下流老人」という概念を理解し、老後の資金計画を立てよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/970138

前述のように下流老人という言葉は高齢者だけに該当するものではなく、今の若者世代にも共通しています。

これまでの内容で下流老人になる5つのパターンや欠けている3つの力など、「下流老人とはどのようなものなのか」ということが理解できたでしょう。何事もまずは知ることが大切です。

そして早い段階で老後の資金計画を綿密に立てましょう。そうすることで安心した老後生活を送ることができます。

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