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ターミナルケアとは?変わる日本の医療・介護のカタチ。これからの日本に求められる介護とは?

社会問題
国が在宅介護へシフトする介護保険以前は、入院中の高齢者が口から食べ物を摂れなくなった場合、施設へ入る為に胃ろうを造る、といった流れが主流でした。 その結果、介護施設には胃ろうの方が増え、働く介護職員は「そこに尊厳や本人の望む姿があるのだろうか?」とやりきれない思いで仕事をしていました。 しかし今はどうでしょう。医師はむやみな胃ろう造設を勧めなくなり、延命のためではなく、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を焦点にしたターミナルケアという言葉が一般的になりました。 「最期まで積極的に医療を受けたい」という選択肢があるのと同様、「延命のための治療はしなくていい」という希望を、以前よりも当たり前に発信できるようになったのです。 本記事では、ターミナルケアを中心に、これからの日本に求められる介護について、考えていきます。今回は第一回目として、ターミナルケアにおける介護職の役割とは?をテーマにとりあげます。
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(1)ターミナルケアとは?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/58189

本来、ターミナルケアとは、末期癌などで治る見込みがない患者に対し、本人の希望によって、治すための治療ではなく、痛みのコントロールを行いながら、穏やかに最期を迎えるためのケアを指します。ホスピスケアや緩和ケアとも呼ばれています。

介護の現場においては、病名は必要とせず、精査できない(していない)症状に対しても、痛みや苦しみを取り除くことのみを目的とした医療だけを施し、ご本人が望む最期を迎えさせるケアを指します。終末期ケア・看取りケアとも呼ばれ、ご本人の意思確認ができない場合は、ご家族が決定します。

たとえ生きる期間は短くなっても治療をやめ、ご本人がいかに自然に近い形で人生を全うできるか、という視点で命を考えることは、今までどうしてよいか分からずにいた、ご家族の気持ちを形にするものでもありました。

そして一昔前に比べて、在宅のみならず施設においても、ターミナルケアに対応できるよう事業所がはるかに増加しています。

(2)ターミナルケアにおける介護職の役割とは?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1872769

私たち介護職は、ターミナルケアにおいてどのような役割を担っていけば良いのでしょうか?ここでは重要な3つの寄り添うべきことについて言及します。

①状態の変化に寄り添う ・・・「ターミナルケアの視点での介護」

通常なら入院や救急車の要請が必要な状態でも、ターミナルケアのもとでは、また別の対応が求められます。

通常の介護ではタブーなこと(例えば血圧が正常値でなくても入浴を行うなど)でも、ターミナルケアにおいては、推奨される場合もあります。状態の変化は当然のものであり、それを常に予測して客観的かつ冷静に対応しなければなりません。

ここで大切なことは、状態の変化を悪化と捉えないこと、改善・回復させようとするのではなく、その変化に寄り添うこと、です。ターミナルケアで重要な介護の視点になります。

②本人にしか分からない痛みに寄り添う ー 「痛みへのケア」

ターミナルケアの基本は、痛みや苦しみをできる限り取り除くことにあります。しかし、ペインコントロールがうまくいかないケースや、これ以上薬を使えない、というケースもあります。

他者である私達は当人の痛みを感じることはできません。お聞きできれば一番良いのですが、高齢者はターミナル期においては十分にお話しができなくなっていることが多いのです。

その場合は、表情やちょっとした体の緊張、力の入り具合で、その方が今どんな状態にあるのか推し量ります。

そして、ポジショニングを工夫する、疼痛であれば痛む部位をさする、温める等し、痛みを和らげるようにします。痛みに寄り添うことが、ご本人の安心へつながり、痛みの緩和につながるのです。

③揺れ動く気持ちに寄り添う ー 「精神的ケア」

ご本人やご家族の気持ちに寄り添うことも、介護職の重要な役割といえます。ターミナルケアを希望した、といっても、在宅や施設で死を迎えることは、入院に比べ不安が増すものです。

これには主治医からの十分な説明が必要ですが、納得して決断したはずであっても、人の気持ちは揺れ動くものです。

死を受け入れることは並大抵のことではないし、特にご家族が決めた場合は「これで良かったのか」「やっぱり入院した方が本人の為なのでは」と迷い続けるものです。 この揺れ動く気持ちに寄り添うのも、やはり一番近くにいる介護職です。

ケアをする場面で吐露されるご本人やご家族の気持ちは、改まった場ではなかなか出ないものだからです。 これに寄り添い、必要であればチームで話し合いを持ちます。状況によっては方針を変えることも必要になります。

(3)まとめ ー これからの日本に求められる介護とは

医療が発展し、人は寿命以上に生きられるようになりましたが、反面、QOLが下がるケースが増加しました。

最期まで自分らしい命を生き抜くためのターミナルケアは、高齢者の医療・介護において、今後さらに存在感を増し、多様化していくことでしょう。

大家族で高齢者を家で看取る昔とは異なり、核家族化・少子化や住宅事情の変化で、自宅で看取ることにはかなりの負担感が伴います。 本人が住み慣れた自宅でのターミナルケアを希望する場合、介護サービスや在宅診療は彼らの希望を実現する上で心強い味方となります。

また、馴染みのある施設での親しい職員に囲まれて受けるターミナルケアも、ご本人の不安を軽減させる助けとなるでしょう。

価値観や死生観が多様化する日本において、画一的な命のあり方を押し付けるのではなく、「ご本人の望む最期の形を全うすること」「ご家族が後悔しない看取りができること」を、 いかに介護職としてサポートしていくのかが、今後ますます問われてくるのではないでしょうか。

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