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介護報酬の一つ「看取り加算」とは | 対象者、算定条件などを解説

公的制度
看取り加算とは、介護施設で本人が願う最期を迎えられるような「看取り」を支援するための加算です。高齢化がさらに進んでいくと予想されている日本では、老後の生活だけでなく最期のあり方についても議論の場が増えています。その人らしい最期を送るサポートとなる「看取り」。この記事ではそうした看取りを充実・普及させるために不可欠な「看取り加算」(看取り介護加算)について解説します。
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更新日

(1)看取り加算とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/912789

看取り加算(看取り介護加算)とは、主治医から医学的には回復の見込みがないと診断された入所者について、その人の「ありたい姿」や「あるべき姿」で過ごせるよう介護し、本人や家族が願う通りの最期が迎えられるような「看取り」を支援することを目的とした加算です。

終末期の方のケアには、「ターミナルケア」というものもあります。ターミナルケアも、残された時間を本人の希望に沿った形でケアすることを指します。看取りとターミナルケアの違いは、介護的ケアか医療的ケアかにあります。

「看取り」は介護的ケアであり、一般的な介護に加え、褥そうができないような対応や痛みの緩和などを行います。「ターミナルケア」は医療的ケアになり、点滴や酸素吸入等の医療行為が主な対応となります。

(2)そもそも「看取り」とは

そもそも「看取り」とはどのような行為をさすのでしょうか。看取りとは、大辞林(第三版)によると

病人のそばにいて世話をすること、死期まで見守り看病すること、看護すること

となっており、病気や高齢により死期が間近にある人たちが快適に生活できるようサポートすることをいいます。

厚生労働省の調査によると、現在過半数の方が自宅での看取られを希望しているとのことです。しかし、医療機器が充実している医療施設とは異なり、自宅でのサポートとなると事前に多くの準備をする必要があります。詳しくは、以下の記事もぜひご参考ください!

(3)看取り加算ができた背景

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2371908

看取り加算は2006年4月に創設されました。背景には、いわゆる団塊の世代が75歳となる2025年以降、後期高齢者が2000万人となる社会が到来するという予想や、2040年には死亡者数が約41万人になるという予想があります。

ちなみに、この2025年に起こると考えられる、医療・介護・福祉サービスのサービス需給のギャップから生じる諸問題を「2025年問題」として取り上げられることがあります。2025年問題について、詳しくはこちらの記事もぜひご参考ください!

このように加速する超高齢化社会では、「どのように人々の”その人らしい生活”をサポートするか」といういわゆるQOL(Quality Of Life = 生活の質)を意識した支援体制の策定が今まで以上に求められています。

高齢者が住み慣れた地域で生活を続けるために、医療介護の充実を図り、在宅での看取り拡大をしていくには、介護施設の看取り支援が不可欠となります。看取り加算はそうした流れをくみ取り創設された加算なのです。

(4)看取り加算の対象施設

看取り加算が算定できる施設は以下の通りです。

  • 特別養護老人ホーム(地域密着型施設を含む)
  • グループホーム
  • 介護付き有料老人ホーム【特定施設入居者生活介護(地域密着型施設を含む)】
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)【特定施設入居者生活介護(地域密着型施設を含む)】

上記以外の施設は対象になりません。

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(5)看取り加算の施設基準

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2199485

看取り加算を算定するための施設基準は2種類あり、さらに対象となる入居者の条件も決まっています。以下で詳しく見ていきましょう。

看取り加算Ⅰ 施設基準

  1. 常勤の看護師を1名以上配置し、医師・看護師など医療職との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
  2. 看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に対して、内容を説明し、同意を得ていること。
  3. 医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者による協議の上、看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと。
  4. 看取りに関する職員研修を行っていること。
  5. 看取りを行う際に、個室又は静養室の利用が可能となるよう配慮を行うこと。 

看取り加算Ⅱ 施設基準【特別養護老人ホーム(地域密着型施設を含む)のみ】

  1. 加算Ⅰの要件を全て満たしていること。
  2. 入所者に関し、緊急事態の注意点や連携の方法及び、曜日と時間帯別の連絡手段や診察依頼時間の具体的な取り決めがあること。
  3. 複数名の配置医師がいるか、配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制の確保していること。
  4. 要件2及び3について、届出をおこなっていること。
  5. 看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。

看取り加算の基準に適合する入居者

  1. 医師により、回復の見込みがなく終末期にあると診断されていること。
  2. 医師により、本人又はその家族に対して、診断内容を説明されていること。
  3. 施設担当者と本人又はその家族が、今後の療養や介護についての方針を話し合いをした結果、合意を得ていること。

(6)看取り加算の算定条件

看取り加算を算定する場合は、下記書類を用意する必要があります。

  • 看取り介護に関する指針
  • 看取り介護同意書
  • 看取り介護計画書
  • 医師の指示書
  • 経過観察記録
  • カンファレンスの記録
  • 臨終時の記録
  • 死亡診断書
  • 看取り介護終了後のカンファレンスの記録

(7)加算対象の施設が提供する看取り介護の内容

看取り加算は、死亡以前30日以下の期間に算定されますが、それ以前から看取り介護は始まっています。

安定期

安定した状態だった入居者が既往症の再発や増悪などで医療の介入があった場合、経過から予後の予測が行われます。この時期の介護は医療と連携し、食事や排泄の観察を行い、体調に合わせた清潔保持を行います。

回復傾向があれば状態に合わせた介護が継続されますが、衰弱傾向にある場合は医師からの説明や、看取り介護に向けての話し合いをおこないます。本人の体調によっては、家族と外食を楽しんだりできる最後の時期になりますので、本人や家族の意向をなるべく取り入れた介護の提供を行います。

終末期

衰弱が進行し終末期となれば、飲食は入所者の意向を尊重し、介護者から摂取を促すことはしません。入浴ができない場合は、清拭をおこないますが、呼吸状態が悪化している場合、末端が冷えてくるので、できる範囲で手浴足浴を行います。

排泄物は、臓器の機能低下にともなって排泄されにくくなります。必要に応じてマッサージや医師への連絡を行い、浣腸などの検討がおこなわれます。家族への対応は、入所者の状態などを説明し、希望を考慮し、精神的な手助けをおこないます。

危篤時

危篤の兆候が出現した場合、医師に連絡し診察を依頼します。医師から危篤状態と診断された場合、事前に家族と話し合っていたように最期を迎えられるように連絡を取るなど、必要なことをおこないます。死亡後の家族への心遣いも大切にし、入所中に使用していた私物などを整理し、家族へお返しします。

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(8)看取り加算の単位数について(介護従事者向け)

看取り加算の単位数は以下のようになっています。

看取り加算Ⅰ 1日につき
死亡日以前4日以上30日以下 144単位加算
死亡の前日および前々日 680単位加算
死亡日 1280単位加算
看取り加算Ⅱ 1日につき
死亡日以前4日以上30日以下 144単位加算
死亡の前日および前々日 780単位加算
死亡日 1580単位加算

(9)看取り加算の申請方法(介護従事者向け)

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1510545

期日までに書類を提出する必要がある

看取り加算を算定する場合、届出が必要です。施設形態や地域により違いがありますが、「算定を開始する月の前月の15日」もしくは「加算等の算定を開始する月の初日まで」というケースが多いです。

地域ごと・施設形態ごとに指定された期日までに届出が受理されなければ算定できませんので、注意が必要です。

届出の方法は郵送がほとんどですが、他の届出と重なる場合などで、来庁となっていることがありますので事前に確認してください。来庁の場合、予約が必要となる場合があります。

必要となる書類としては、「看取り介護体制に係る届出書」があげられます。指定様式がある場合が多いので、詳細は指定を受けている都道府県又は市区町村(広域福祉含む)のホームページなどで確認してください。

(10)今後、看取り加算を取得する施設は増えていく見込み

看取り介護をおこなっている施設は、介護施設の種類を問わず多数存在しています。病院での延命措置を好まない風潮もあり、在宅や施設での自然死を望む方やご家族が増えています。

看取り加算は、2006年から創設されていましたが、要件を満たせなかった施設が多くあり、あまり広まっていない実情がありました。看取り加算には、医師との連携が不可欠だからです。

しかし、国の方針として医療介護の連携や地域包括支援のが出され、診療報酬の改定も、地域医療への加算が増えた結果、在宅医療や施設への訪問診療などを行う医療機関が増えました。

そのため、介護施設でも十分な看取り体制を確保できるようになったため、今後看取り加算を取得する施設は増加します。看取り加算の取得は、施設の充実度を入所を希望する方への選択しになります。介護現場で働く職員への研修の機会を作ることにもなりますし、入所者や家族への安心にもつながります。

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