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【最新版】生活保護の扶助の一つ、生業扶助とは | 対象者や支給額、申請方法など項目別に解説

公的制度
生業扶助とは、生活保護の扶助の一つです。生業扶助は、就職をするために必要な資格を取ったり、技能を習得したりするために支払われるものです。生業扶助には、4種類あり、それぞれ対象や必要なものが異なります。生業扶助の種類、支給対象者、支給額、申請方法などを解説します。
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(1)生活保護の扶助は8種類


出典:https://www.photo-ac.com/

生活保護とは

生活保護とは、生活が困窮している方に対して、その程度に応じて必要な保護や支援を行う制度のことです。憲法に定められている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障し、自立を助長するための制度です。

地域の福祉事務所が申請や相談の窓口となっています。生活保護を受けるためには、申請と審査が必要です。申請が認められると、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

令和2年10月から生活保護の支給額が見直しとなり、支給額が変更されました。また、支給額は居住する地域によって異なります。

生活保護の扶助とは

生活保護を受けている方は、自立して生活をしていく中で必要となってくる費用に対して、金銭や現物で扶助が行われます。生活保護受給者が受けられる扶助には、次の8種類があります。

生活扶助 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)。食費などの個人的費用、光熱費等の世帯費用を合算して算出し、支給。
住宅扶助 アパート等の家賃。定められた範囲内で実費を支給。
教育扶助 義務教育を受けるために必要な学用費。定められた基準額を支給。
医療扶助 医療サービスの費用。本人負担なしで、直接医療機関に支払い。
介護扶助 介護サービスの費用。本人負担なしで、直接事業者に支払い。
出産扶助 出産の費用。定められた範囲内で実費を支給。
生業扶助 就労に必要な技能の習得等にかかる費用。定められた範囲内で実費を支給。
葬祭扶助 総裁費用。定められた範囲内で実費を支給。

(参照:厚生労働省HP「生活保護制度」

(2)生業扶助とは

生業扶助の目的

扶助の中の一つである生業扶助とは、就職をするために必要な資格を取ったり、技能を習得したりするために支払われるものです。生活保護を受給している方は、最低限度の生活ができる最低生活費が決まっています。

就職活動を行う際に、ただでさえ少ないその生活費から就職するための技能や資格を取るための費用を捻出しないといけない、という誤った認識を持っている方も少なくありません。

しかし生業扶助は、最低生活費に上乗せして支給されるもので、就職するために生活が脅かされることはないため、安心して申請することができるものなのです。

生業扶助の種類

生業扶助には、4つの種類があります。

  • 生業費
  • 技能習得費
  • 高等学校週学費
  • 就職支度費

それぞれ目的や必要なものに応じて支給される仕組みになっています。

(3)対象になるのはどんな人?

生業扶助を受けることができる対象は、生活保護を受給している方やその家族だけではありません。生活保護を受けていなくても、生活が困窮し、生活保護予備軍ともいえる立場の方も含まれます。つまり最低限度の生活を維持できないと判断された方が対象となります。

申請をして、扶助が必要であると判断されれば支給されることになります。

また生業扶助を受給するには、次の3つの条件を備えていることが必要です。

  1. 就学意欲があること
  2. 就労する意欲があること
  3. 働く場所があること

生業扶助の生業費などは、事業を起こすには低すぎる基本額となっていますが、技術や資格を取得するための技能習得費としては十分な額であると言えます。技術や資格を取ることで、最低限の生活から脱出できるかもしれません。

(4)生業扶助の対象① 生業費

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/164418

生業費とは、主に生計を維持する目的で営まれることを建前とした、小規模の事業を営むために必要な資金の支給です。生業を行うために必要な器具や資料も支給の対象になります。

扶助の対象

生業費は、次のような小規模な事業を行う際う方を対象としています。

  • 食料品店(鮮魚店・青果店・精肉店や製菓店など)
  • 飲食店(食堂・ラーメン店・蕎麦やうどん店・喫茶店など)
  • 文化品店(書店・文房具店・生花店・玩具店など)
  • その他、自由業やサービス業など

具体的な職種を挙げると、

  • 建設作業員
  • ハウスクリーニング等清掃業
  • 大工
  • とび職

等に支給されているという結果が出ています。

基準の支給額・支給内容

基準となる支給額は47,000円以内ですが、やむを得ない場合に限り特別基準で78,000円以内まで受けることができます。

事業に必要な最低限度の資金を支給することが目的ですが、起業することを許可されることは非常に難しいです。

(5)生業扶助の対象② 技能習得費

技能習得費とは、生計の維持に役立つ生業に就くために必要な技能を習得する経費の支給です。資格取得に必要な費用、検定費などが支給されます。

扶助の対象

平成30年10月から支給金額などの見直しが行われたため一部支給金額が改定され、その対象は下記になります。

  • 自動車の免許取得
  • ホームヘルパーなど福祉関係の資格や研修
  • コンピューターなどの操作
  • 自立支援プログラムによる支援
  • その他、医療関係・電気建設関係の資格など

支給の対象には厳しい面もあります。

資格取得に必要など努力を怠り(必要な講座を欠席するなど)、資格を取得できなかった場合には支給額を全額返金しなくてはなりません。

また、必要な努力をしていて資格を取得できなかった場合でも、福祉事務所の判断によっては、全額返金を求められることがあります。

事前にケースワーカーに相談をして、取得できなかった場合の扱いについて確認しておきましょう。

基準の支給額・支給内容

技能習得費としての支給基準は82,000円以内ですが、やむを得ない場合は特別に137,000円以内まで支給されます。

基準としては、技能取得1年に対してのみ支払われますが、自立する上で特に必要があるとされた場合は1年につき80,000円を2年まで受けることができます。

また1年に複数回技能の習得が必要になった場合は、自立支援プログラムに基づき行われた場合に限り、年額213,000円まで上限を引き上げることができます。

その他380,000円までの支給が可能になる特別基準が当てはまるのは、次のような場合になります。

  • 自立を助長できると確実に見込まれた、専修学校や各種学校においての技能取得
  • 免許の取得が雇用の条件となっている場合の、自動車運転免許取得
  • 公的資格が得られ自立を助長できると認められた、雇用保険法に規定された厚生労働大臣が指定する教育訓練講座の受講

近年は、運転免許の更新(通勤や仕事で使う場合)やパソコン教室の費用、マナー講座やセミナーの費用も認められることが増えてきました。

(6)生業扶助の対象③ 高校学校等就学費

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1889668

高等学校等週学費とは、義務教育ではありませんが、高校に進学することで自立した生活が送れるようになる可能性が高いと判断された場合、高校に通うために必要となる学用品費、授業料費、交通費などが支払われます

扶助の対象

生活保護の受給世帯が対象です。

支給の対象となる学校は次のような学校です。

  • 全日制・定時制・通信制の高等学校
  • 高等専門学校
  • 高等学校に準ずると認められている各種学校や専修学校
  • 中高一貫教育の中等教育後期課程
  • 特別支援学校の高等部

基準の支給額

高校学校等就学費についても、入学準備金や基本額となる支給額の見直しが行われ平成30年10月より下記の金額になっています。

費用の種類 内容 支給額
基本額 学用品費(鉛筆。ノートなどの購入費)、その他教育費(郊外活動費など) 月額5,300円
入学料 入学料

全日制:5,650円

定時制:2,100円

公立高校入学料相当額(都道府県によって違うため居住地で確認が必要)

入学準備金 制服、通学かばん、ワイシャツ等の購入費 87,900円以内
授業料 授業料(「高等学校等就学支援金」と重複させることはできない)

公立高校の授業料相当。※私立高校でも同じ

(上限9,900円)

教材費 正規の授業で使用され、受講するすべての生徒が必ず購入する必要があるものの購入費 実費
入学考査料 入学考査料(原則二回まで) 一校につき30,000円以内
学級費や生徒会費 学級費や生徒会費、PTA会費等 月額2,330円以内
学習支援費 クラブ活動費(道具類、部費、交通費等) 年額84,600円
通学費 (交通費) 通学に必要な最小限度の額 実費

芸術や体育で使用する教材代等は基本額の中に含まれています。修学旅行費は給付できません。

入学準備金の内訳は教材費以外の学校指定の学生服や鞄、靴などです。就学期間中に成長によるものや災害などで買い替えが必要な場合も同額支給されます。

また、学用品・通学用品費はH30年の改定までは5,450円でしたが10月1日より減額となっているため注意しましょう。

(7)生業扶助の対象④ 就職支援費

就職確定後に就職のために必要となる、洋服や履物、鞄などの購入費用について支給されるものです。

扶助の対象

就職のために必要となる洋服や履物等の購入費です。正規・非常勤などの雇用形態は問われませんが、社会保険に加入していることが条件となっています。社会保険に加入すれば、パートやアルバイト、非正規雇用であっても支給されます。

基準の支給額・支給内容

支給額は32,000円以内となっています。

スーツ等の衣服、鞄、靴などのほか、初任給支給までの交通費も含まれます。

申請書および領収書を提出し、受理されることで現金支給されます。見積書を提出することで、事前に給付を受けることもできます。

(参照:厚生労働省「生業扶助及び一時扶助について」

(引用:厚生労働省「生活保護法による保護の基準表」

(8)生業扶助の申請方法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1997119

生活保護を受けている方

生活保護を受けている方は、まずは担当のケースワーカーに相談しておきましょう。生業扶助を申請したからといって、すべて支給されるとは限らないからです。

次に申請をします。生業扶助の申請は生活保護申請時と同じ、福祉事務所となります。

生活保護を受けていない方

生活保護を受けていなくても、生業扶助を受けることは可能です。生活困窮者自立支援法の対象であれば、生業扶助を受けられます。

市町村の福祉事務所にある相談窓口に相談してみましょう。

申請に必要なもの

生業扶助の申請に必要なものは、次の通りです。

  • 申請用紙
  • 生活保護受給証明書
  • 振込してもらう通帳の口座番号
  • 印鑑

生活保護を受けていない生活困窮者の方は生活保護受給者証はなくても良いので、福祉事務所で生業扶助が受けられるかに関して相談をしてみましょう。

(9)生業扶助の対象となる費用を理解したうえで申請しよう

自立した生活を支えるために、仕事を見つけることは大変重要なことです。しかし、就職に必要な技能や資格などを習得するには、必ずそれなりの費用がかかります。

技術や資格がないために就職ができなくても、最低限の生活費からは費用を出せないと、就職を諦めてしまっている方もいるのではないでしょうか。

しかし、今までで説明したような金額の生業扶助を受けることによって、就職に必要な技能や資格を習得できます。生活保護を受けなくても、自立した生活が送れるようになることは大きなメリットです。

生業扶助について、詳しく聞いたことがないという方も多いかもしれません。自治体によって生業扶助として支給される金額が違う場合もあるため、しっかりケースワーカーに相談してみましょう。

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