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(1)そもそもiDeCo(イデコ)とは
iDecoとは、「個人型確定拠出年金」という制度を指します。これは、60歳までの間、毎月一定の掛け金を支払い金融商品を運用し、60歳になったらその運用した資産を受け取るという仕組みとなっています。
運用した商品によっては支払った掛金よりも多い額を受け取れる場合もあるので、公的年金だけでは老後に不安を感じている人にとって非常に役立つ制度です。
ただし、「元本変動型」の運用商品を選んだ場合、掛金よりも受け取る額が下回ってしまう恐れもあります。運用商品を選ぶ時には商品知識を高め、よく分析して決めるようにしましょう。
本記事では、このiDeCoを始めようと何となく考えている方向けに、iDeCoを始めるにあたって必要な手続きの大まかな流れを説明していきます。
iDeCoを始めた場合のコストなどについて、もう少し確認したい場合は、以下の記事をぜひご参照ください。 |
(2)iDeCo(イデコ)の始め方① 金融機関選び
iDeCoは銀行など金融機関を通して開設・利用できる制度です。
制度内では、利用する金融機関のことを「運営管理機関」と呼び、金融機関を選ぶことはiDeCoの始め方の中で最も重要です。金融機関によって、手数料やサポート等、お得になるかどうかが変わります。
掛け金の引き落としは、選んだ金融機関以外の口座から行うことも可能なので、よりお得なiDeCo取り扱い金融機関を選びましょう。選ぶポイントは下記のような点です。
金融機関を選ぶポイント① 手数料
idecoを利用するには、さまざまな手数料がかかります。手数料には各金融機関共通のものから、金融機関毎に独自で定められているものまで様々なので、金融機関の選び方によっては口座管理手数料に大きな違いが発生してしまいます。
金融機関を選ぶ時には、どんな時にどんな手数料がかかるのか、他の会社と比較して手数料が多くないか、などを良く比較検討することが賢い始め方の一つです。
金融機関を選ぶポイント② サポート体制
iDecoに加入した後、運用状況や各種手続きを行うには金融機関の専用ページを利用することになります。
しかし、実際に管理者ページを見て金融機関を選べるわけではないので、加入後にページが見づらく操作しづらいなどの問題が発生する恐れがあります。
その他にも、コールセンターやカスタマーサポート等の充実度も、長くiDecoと付き合っていく上で欠かすことができない選択材料の一つです。金融機関選びの際には、既にその金融機関でiDecoに加入している人のレビューや口コミを参考に、管理ページの操作性やサポートの充実度を測りましょう。
金融機関を選ぶポイント③ 運用商品のラインナップ
運用商品のラインナップも、金融機関を選ぶ際の重要なポイントです。iDecoで運用できる商品は、元本保証型、元本変動型の2種類からさまざまタイプが存在します。金融機関を選ぶ時には、なるべく多くの商品を取りそろえているところを選び、自分に合ったものを選択してください。
人気のiDeco取り扱い金融機関
iDeCoを取り扱っている金融機関は非常に数が多く、その特徴も様々です。
そんな中でも多彩な商品ラインナップと手数料の安さで人気を集めているのが「楽天証券」や「SBI証券」のiDeCoです。この2つの金融機関は初心者にも分かりやすく、ネット銀行ならではの高いサポート力、管理しやすさを誇っているのでどの金融機関にするか悩んだらまずは参考にしてみてください。
いくつか人気の金融機関にターゲットを絞って選ぶのも、iDeCoの効率的な始め方と言えます。
(3)iDeCo(イデコ)の始め方② 積立口座を開設する
iDecoの積み立てを行う金融機関を決めたら、始め方の2つ目、「積立口座」の開設に進みましょう。
申し込む金融機関によって、積立口座の開設・iDeCoの始め方に必要な書類が異なります。まずは金融機関から申込書類や始め方の資料を取り寄せて、所定の手続きを行ってください。
書類を取り寄せるには、インターネットやコールセンターを使用した資料請求、窓口に直接もらいに行く、などの方法があります。
金融機関のカスタマーサポートに問い合わせれば、取り寄せ方法を説明してくれるので利用してみましょう。
(4)iDeCo(イデコ)の始め方③ 加入申し込み書類への記入
金融機関からiDecoの申込書類一式が届いたら、始め方3つ目の「書類への記入」へ進みましょう。iDecoの書類記入に必要なものは以下の3つとなります。
- 掛け金引き落とし口座情報・金融機関届け印
- 基礎年金番号
- 印鑑(シャチハタは除く)
また、提出する書類には種類があり、加入希望者全員が書く「個人型年金申出書」以外に会社員、公務員など職業によって異なる申請書類を用意しなければなりません。
また、会社員や公務員の場合、掛け金の引き落としを「個人」では無く、事業主払込で支払える場合もあります。この場合、天引きのような形で掛け金を給与から支払うことになります。
(5)iDeCo(イデコ)の始め方④ 書類を提出した後の流れ
最後に「書類を提出した後」の流れを説明します。
書類提出後、通知は送付されるか
書類を提出し、iDecoへの加入が認められると「国民年金基金連合会」から手続き完了通知が送付されます。
手続き完了までにはどの程度時間がかかるか
手続き完了までにはおよそ2、3ヶ月かかるとされているので、iDecoの加入を検討している場合はなるべく早めに提出しましょう。
掛け金の引き落としは個人払込の場合、毎月26日に提出した銀行口座から引き落とされます。
(6)運用商品にはどんなものがあるのか?
実際にiDeCoで運用できる商品にはどのようなものがあるのでしょうか。iDeCoの運用商品は大きく分けて「元本保証型」と「元本変動型」の2種類があります。それぞれ良い面と悪い面があるので、始め方を把握したら運用商品についての知識を深めることも大切です。
今回は、2種類の中で、代表的な商品について見てきましょう。
元本保証型の運用商品
元本保証型の運用商品とは、掛け金よりも受取金額が低くならないように補償されている商品を指します。「保険」や「定期預金」などがこれに当たり、元本が減らない代わりに、将来的に資産が増える見込みはあまりありません。
元本変動型の運用商品
元本変動型の運用商品とは、「投資信託」や「株式」など掛け金が増減する可能性がある商品を指します。元本保証型に比べると、長期的に運用していくことで資産を増やすことができる半面、上手に運用管理して行かないと元本割れを起こすリスクもあります。
(7)掛け金額には上限がある
iDeCoの掛金は最低5,000円から1,000円単位で好きな額を決められますが、職業によって掛け金の月額上限が定められています。
まず、分かりやすい3つの職業について確認しましょう。
自営業 | 68,000円 |
専業主婦(主夫) | 23,000円 |
公務員 | 12,000円 |
厚生年金を受け取れない自営業の人は、他の職業に比べて上限金額が高く設定されています。
一方、少し複雑になるのが会社員の上限金額です。会社員の場合、勤務先の年金制度などによって上限金額が増減するのです。それぞれのケースで上限がいくらになるのかは、以下を参考にしてください。
企業年金制度× | 23,000円 |
確定給付企業年金× 企業型確定拠出年金〇 | 20,000円 |
確定給付企業年金〇 企業型確定拠出年金× | 12,000円 |
確定給付企業年金〇 企業型確定拠出年金〇 | 12,000円 |
このように、iDeCoの上限金額は職業によって異なりますが、どの職業の場合でも上限額を支払っておけばその分老後資金は潤沢に確保できる確率が高くなります。
もちろん、今の生活で使うお金も大切ですが、節約や家計の見直しで掛け金を多く確保することを検討しましょう。
(8)iDeCo(イデコ)をはじめるメリット・デメリット
iDeCoの始め方について分かっても、運用を行うことでどんなメリットやデメリットがあるのかわからなければ、賢く老後資金を作り出すことはできません。iDeCoによってもたらされる良い面、悪い面をよく学んで、始め方の参考にしてください。
iDeCoを始めるメリット
iDeCoの大きなメリットはやはり、掛け金が全て所得控除されるという点です。掛け金の金額が所得控除されると、払わなければならない所得税・住民税が少なくなるので大きな節税効果を得ることができます。
例えば、年収500万円程度の会社員の人が月額2万円iDeCoの積み立てを行うと年間約4万~5万円程所得税が安くなるのです。
また、通常利益に対して一定の税金がかかる投資信託ですが、iDeCoを利用すると運用中に発生した利益には税金がかからないというメリットもあります。
始め方が面倒で何となく手が出しづらい、と感じている人もいるかもしれませんが、投資信託を運用していきたいと考えていたり、日頃の節税を心がけていたりする人にとってiDeCoのメリットは非常に役立つものなのです。
iDeCoを始めるデメリット
iDeCoのデメリットはやはり、掛け金が満60歳まで引き出せないという点です。
通常の定期預金などは緊急時に解約して使用することもできますが、iDeCoの場合、お金が必要な時に自由に解約することはできません。そのため、iDeCoを始める時には「老後資金」として貯める!という決意が求められるのです。
20代のうちは貯蓄に専念し、30代を超えて収入が安定してからiDeCoに加入する、など自分の人生設計に合った始め方の計画を立てるのもデメリットを軽減する方法としておすすめです。
(9)年末調整または確定申告も忘れずに!
iDecoを始めた自営業の方や会社員の方は、年末調整や確定申告を忘れずに行いましょう。
自分の口座から引き落としになっているiDeCoは放っておいても所得控除の対象としてカウントしてもらえません。自身で年末調整や確定申告を行うことで初めて所得控除が行われるのです。
確定申告のやり方が分からない、という場合は税務署に相談すればやり方等を教えてもらえるので、一度質問してみましょう。
(10)実際にiDeCoを始めてみよう!
今回はiDeCoを始める際の基本的な始め方の流れ、そしてiDeCoのメリットやデメリットについて解説しました。
老後資金が貯められて節税にも繋がるiDeCoは、どんな職業の人でもやって損の無い制度です。投資信託などの運用が不安だ、という人は元本保証型の商品を選べばお金が減ることはありませんし、運用中に商品を切り替えることも可能です。もちろん、掛け金を振り込めない時期は休止するという選択もできます。
今後、公的年金や退職金だけで老後を過ごすことを不安に関ているのならまずはiDeCoを始めて、将来のライフプランを考えて行きましょう。その際には、始め方をしっかり把握して、スムーズに加入できるようにしましょう。