介護に関わるすべての人を応援します

予防接種は医療費控除の対象?判断基準や控除額の算出方法

公的制度
医療費控除を行うと、払いすぎた医療費を取り戻すことが出来ます。しかし、自己申告する必要があります。また、全ての医療費が対象となる訳ではなく、例外もあるので、利用の前に医療控除の仕組みを理解しておきましょう。本記事では、予防接種に関して、医療費控除が可能かどうかの基準を巡って、医療費控除の仕組みについて徹底的に解説していきます。
公開日
更新日

(1)そもそも医療費控除とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/802317

医療費控除とは、扶養する家族の医療費を合算し(1月1日~12月31日までの1年分)、その額が一定額を超えた場合に申請することで還付される制度です。

その「一定額」は、年間10万円以上(年収300万円以下の場合は所得の5%以上)となっており、確定申告を行うことで所得税や住民税が減税されます。扶養する家族が多い家庭や小さいお子さんがいる場合、歯科治療・矯正費などが年間10万円を超えることも珍しくないので、医療費控除を利用することで賢く節税する事が可能です。

また、自身が単身赴任で家族と同居していない場合や、子供が一人暮らしをしている場合などでも、仕送りを行って「生計」を同じとしているのであれば、医療費を合算する事が出来るので、医療費控除を申請するために受診した際のレシートや領収書は保管することをお薦めします。

(2)医療費控除の対象になるかどうかの判断基準は?

支払った医療費の「一定金額」を所得控除する事が出来るのが医療控除ですが、受診した際に支払った全ての医療費が対象になる訳ではありません。

例を挙げると、風邪や花粉症の予防対策としてマスクを購入した場合や、生活習慣病予防の為に何らかのサプリを購入するなどの費用は、医療費控除の対象にはならないのです。逆に、治療目的のマスク購入・サプリの購入は医療費控除の対象になります。

即ち、医療費控除の対象になるかどうかの判断基準は、その費用が「治療」のための費用か否かということになります。

(3)予防接種は原則、医療費控除の対象にならない

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1285674

前述した通り、医療費控の対象は「治療」のための費用か否かととなっています。では、予防接種などはこの対象になるのでしょうか。

基本的にこれら予防接種は、健康保険の適用外なので全額自己負担になり、ロタウイルスワクチン等の予防接種(およそ1回1万円程度)等にいたっては高額なので、医療費控除を利用して節約したいと考える事もあるでしょう。

しかし、原則としてこれら予防接種の費用は、医療控除の対象外となっています。何故ならば、医療控除はあくまでも「治療」のための費用が対象であり、予防接種は文字通り「予防」を目的としているので、医療控除の対象とはならないのです。

(4)予防接種が医療費控除の対象となる場合がある

先述の通り、原則として予防接種は医療控除の対象外ですが、以下の様な場合は予防接種でも医療控除の対象となることがあります。

  • 免疫力の低下によりインフルエンザを発症するリスクが高い
  • インフルエンザ発症によって持病が悪化し身体に悪影響を及ぼすと判断される場合

※ただし、医師の判断による

また、上記は主にインフルエンザの予防接種ですが、赤ちゃんの健康状態によっては、インフルエンザ以外の予防接種でも医療控除の対象となります。例えば、B型肝炎ワクチンなどがそれにあたりますが、B型肝炎の感染経路は血液、性的接触、母子感染などが考えられるからです。

いずれにしても、予防接種が「治療」一環として行われるのであれば、予防接種であっても医療控除の対象となるのです。

(5)セルフメディケーション税制を受けた場合も対象となる

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2075837

「治療」が医療控除の対象なので、健康維持や疾病予防の取り組みは対象外であることを紹介しました。しかし、「セルフメディケーション税制」を利用すれば、健康維持や疾病予防等も控除対象となることがあります。

セルフメディケーション税制とは、健康維持や疾病予防の為に特定一般用医薬品(スイッチOTC医薬品)などを購入した場合、その購入費が1年間で1万2千円を超えた場合に、超過した金額分の所得控除が行える税制です。

ただし、対象者は健康保持や疾病予防のための一定の取り組みを行っている方のみです。特定健康診査、予防接種、定期健康診査、健康診査、がん検診などが予防すべき疾患にあたり、それらに関する特定一般用医薬品(スイッチOTC医薬品)にセルフメディケーション対象のマークがついていものに限られます(厚生労働省のHPで確認可)。

ただし、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例となっているので、利用した際は一般の医療費控除が受けれなくので、どちらを利用するのが得なのか比較が必要になります。

医療控除

年間(1月1日~12月31日)の医療費総額(自分と生計を同じとする親族が対象)から保険金等で補てんされる金額と10万を控除した金額(限度額200万円)が所得控除額になる。

セルフメディケーション税制

年間(1月1日~12月31日)に購入した特定一般用医薬品の額(自分と生計を同じとする親族が対象)が、1万2千円を超えた金額が所得控除額になる。

一見すると最大控除額は医療費控除の方が大きくなっていますが、年間の医療費総額が10万未満で特定一般用医薬品の購入が多い場合には、セルフメディケーション税制を利用するほうがメリットが大きくなります。なお、セルフメディケーション税制を申告するときには、明細書などが必要になるので保管しておく必要があります。

(6)医療費控除額の算出方法

医療費控除額の算出方法は、総所得が200万円以上の場合と200万円未満の場合とで算出方法が異なっています。なお、サラリーマンの方の所得金額の確認の仕方は、源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」で確認することが出来ます。

200万円以上の場合の算出方法

[年間の総医療費]-[保険金等で補填される金額]-[10万円]= 医療費控除額

200万円未満の場合の算出方法

[年間の総医療費]-[保険金等で補填される金額]-[総所得の5%]= 医療費控除額

この計算式の内「保険金等で補填される金額」は、出産育児一時金、高額療養費、生命保険等で支払われた保険金、医療費の補てんを目的とした損害賠償金等を指しています。

つまり、全ての医療費が対象になるのではなく、実際に支払った総医療費が対象が対象になるということです。

また、「10万円」や「総所得の5%」などと言ったように分かれるのは、所得格差による所得控除の不公平感を解消するために分かれています。

(7)予防接種が対象となった場合、どうしたら医療費控除を受けられるのか

医療費控除は確定申告することで受けられる所得控除なので3月15日が期限と考えがちですが、還付金を目的としたものであれば5年間の猶予期間が設けられているので、通常の確定申告の期限を過ぎても申請することが出来ます。

つまり、平成30年分の医療控除の申告の期限は、平成34年12月31日まで有効となります。予防接種が対象となった場合も同様なので、過去5年にさかのぼって期限を過ぎていないのであれば、申告することが出来ます。

とは言え、5年分遡って申告する場合、明細書等を紛失している可能性もあるので、1年分ごとに確定申告と共に申告するほうが無難と言えます。

(8)確定申告に必要な書類は

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504451

医療控除を受けるには、確定申告を行う必要があります。そのため、必要な書類は以下の通りになっています。

医療控除を受ける際の必要書類

  • 源泉徴収票
  • 医療費の領収書
  • 通院・入院のための交通費の領収書(タクシー、バス等の公共交通機関)
  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書A様式
  • マイナンバーの本人確認書類
  • 医療費通知(必要ないがあると便利)

なお、2017年より確定申告には「マイナンバーの本人確認書類」が必要になっているので、用意しておく必要があります。また2018年からは、医療費控除を提出する時に領収書を添付する必要がなくなっています(ただし、自宅で5年間保管する必要がある)。

「源泉徴収票」とは、その年の年末及び年始に配布されたものに限ります。紛失した場合は、勤務先に作成を頼めば再発行してくれるので、頼むと良いでしょう。

また、「医療費控除の明細書」には、医療費、薬剤費、交通費(タクシー代)などの領収書の内容を記載して提出しますが、領収書自体は提出する必要はありません(ただし、自宅で5年間保管すること)。

なお、通院・入院のためにかかった交通費も医療控除の対象ですが、タクシー等は領収書が発行されますが、バス等の公共交通機関の場合領収書が発行されないことがあります。

こういった場合は、利用した時の日付と交通費の履歴を残しておき、「医療費の明細書」に記載することで申請することが可能になります。また、「確定申告書A様式」、「医療費の明細書」に関しては、国税庁のHPでダウンロードする事が出来ます。

(9)提出方法

必要書類を用意し、「確定申告書A様式」、「医療費の明細書」への記載が終れば、「源泉徴収票」と共に税務署に提出を行います。税務署に直接持参する事も可能ですが、以下の方法で提出可能です。

  • 郵送(その地域を管轄する税務署)
  • e-Tax

この内、e-Taxはオンラインで確定申告や申告書作成等が行えるサービスとなっていますが、利用にはマイナンバーカード、もしくは本人確認を経て税務署長が通知したe-Tax用のID・パスワードが必要になります。

(10)予防接種を受けるたび医療費控除の対象となるかどうか確認しよう

医療控除は「治療」を行った際の医療費が対象となるので、基本的に予防接種は対象になりません。しかし、「治療の一環」とした予防接種は対象になりうるので、受ける都度に確認しておくといいでしょう。

例えば、赤ちゃんなどが行うインフルエンザの予防接種は基本的に対象外ですが、治療としてのインフルエンザの予防接種は対象になり、その際に必要になった交通費や治療のための医薬品等も対象になります。

いずれにしても、赤ちゃんがいる家庭ほど医療費が嵩む傾向があるので、医療控除を上手く利用して賢く節税したいものです。

下記では医療費控除について詳しく解説しています。併せてご覧ください。

医療費控除とは|利用条件/対象となるもの/手続き方法など 介護制度

この記事が気に入ったら
いいねしよう!