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厚生年金の受給資格が得られる加入期間 | 最低ラインや注意点

公的制度
これまでの厚生年金の受給に必要な加入期間は、保険料を納めた期間+保険料を免除された期間及び合算対象期間を合算して25年以上必要でしたが、平成29年8月1日からは資格期間が25年以上から10年以上あれば、老齢年金を受給できるようになりました。厚生年金の加入期間に関する基礎情報から注意点まで説明していきます。
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(1)厚生年金の受給に必要な加入期間

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2198070

厚生年金とは、国民年金に上乗せして給付される年金で、主に、会社員の方が納めている年金です。

これまでの厚生年金の受給に必要な加入期間(受給資格期間)は、保険料を納めた期間(保険料納付済期間)+保険料を免除された期間(保険料免除期間)及び合算対象期間を合算して25年以上必要でしたが、平成29年8月1日からは資格期間が25年以上から10年以上あれば、老齢年金を受給できるようになりました。

●厚生年金の基本的な情報はこちら

(2)厚生年金加入期間に含まれる合算対象期間

老齢基礎年金を受給するためには、原則として保険料納付期間+免除期間を合算して10年以上の年金加入期間が必要になります。

しかし、国民年金に加入していなかったり、国民年金の被保険者の対象となっていなかったりすると、10年を満たせないケースがあります。

これらの問題点を解消するための案として、年金額には反映することはできませんが、年金の加入期間としてみなすことができる期間があります。

その期間のことを「合算対象期間」といい、保険料納付期間と免除期間に合算対象期間を加えた期間が10年以上あれば、老齢基礎年金の受給条件を満たすことができます。

(3)厚生年金の保険料の支払い年齢

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1641624

厚生年金の保険料の支払いは原則、会社に入社した時点~70歳まで支払う必要があります。20歳になる前に就職した場合に関しても、就職をした時点での加入が原則で、加入の下限年齢は設定されていません。

つまり、中学卒業後すぐ就職すれば15歳、高校卒業であれば18歳ということになります。もし、会社を退職した場合は厚生年金保険からはずれることになりますが、再就職すれば再び厚生年金保険に加入することが可能です。

一部例外もありますが、退職していなくても、70歳の誕生日を迎えた時点で自動的に厚生年金保険を支払う期間は終了します。

(4)厚生年金の受給年齢

2000年の法令改正のより、年金を受給することができるのは基本的に65歳からとなりました。しかし、希望すれば受給時期の「繰り上げ受給」や「繰り下げ受給」が可能です。

65歳より早く年金を受給することを「繰り上げ受給」、65歳より遅く受給することを「繰り下げ受給」といいます。

年金の受給時期を繰り下げられるようになった要因としては、60歳の定年退職後も継続して働いており、一定の収入を得ていることから「まだ年金は必要ない」と感じる方がいるためです。

繰り上げ受給の場合、年金受給額が最大で30%減額され、繰り下げ受給の場合は最大42%増額されます。これは老齢基礎年金も老齢厚生年金も同じです。要するに65歳より早く年金を受給すればその受給額は少なくなり、遅く受給すればその分多くなります。

(5)厚生年金の加入期間が長い場合

厚生年金保険の加入期間が44年を超えた場合、厚生年金の特例措置「長期加入者特例」と呼ばれる制度が用意されています。

この44年という数字は、中学卒業後(16歳)~60歳に達する年数が44年から来ています。

長期加入者特例に基づく「特別支給の老齢厚生年金」は60歳から64歳までの間に受給することが可能で、この制度には2000年の法令改正により、老齢厚生年金の受給開始が60歳から65歳に引き上げられたことが背景にあります。

この長期加入者特例における特別支給の老齢厚生年金は、具体的に以下の条件に当てはまる場合に支給されます。

  • 男性の場合、昭和1961年4月1日以前(第1号厚生年金被保険者の女性の場合、1966年4月1日以前)に生まれた
  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年) 
  • 厚生年金保険等の加入期間が1年以上 
  • 60歳以上であること

これは65歳以降に受給することのできる老齢厚生年金の繰り上げ受給とは別の制度です。

またこの長期加入者特例に該当するのは44年以上の厚生年金保険の加入者のみであり、共済組合等の加入期間は通算されません。そのため、公務員などとして働いたことがある方は注意が必要となります。

(6)厚生年金の加入期間が短い場合

厚生年金の加入期間が短く10年未満であったとしても、1ヶ月以上加入期間がある場合は厚生年金を65歳から受給することが可能です。

厚生年金期間か共済組合期間、もしくはその両者で「1年以上」の条件を満たせば、男性なら昭和36年4月1日以前生まれの人、女性なら昭和41年4月1日以前生まれの人なら生年月日に応じて65歳前から厚生年金を受給することができます。

また、厚生年金の受給要件を満たさない加入期間である場合、脱退手当金というものを請求できる制度がありましたが、その制度は昭和60年に廃止されました。

現在では少しの厚生年金の加入期間でも年金に反映されます。そのため、現行の厚生年金制度で納付額を返却してもらうことは難しいといえます。

(7)厚生年金の加入期間に関する注意点① 受給額は払った分だけ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1997129

加入期間に関する注意点の1つ目は、受給額は払った分だけしか受給することができないということです。

これは文字通りの意味で、たとえ加入期間が長かったとしても、払った分が少なければ当然、受給額は減額されます。

(8)厚生年金の加入期間に関する注意点② 遺族年金は必要期間が25年

加入期間に関する注意点の2つ目は、10年掛けて年金を受給している方が亡くなった場合、遺族年金を受給できないことです。

遺族年金を貰える条件は「長期要件」といい、「亡くなった方が25年以上年金を掛けていたこと」というものがあり、この「25年」という期間は、2000年の法令改正でも変更になっていません。つまり、25年以上掛けていなければ遺族年金を遺すことはできないのです。

(9)厚生年金の加入期間に関する注意点③ 在職老齢年金

加入期間に関する注意点の3つ目は、「在職老齢年金」についてです。在職老齢年金とは、70歳未満の人が厚生年金保険に加入しながら働いた場合や、70歳以上の人が厚生年金保険のある会社で働いた場合に、老齢厚生年金額+給与額(ボーナス含む)に応じて老齢厚生年金額が調整される制度のことです。

また、給与額によっては年金の全額が支給停止になるケースもあります。 在職老齢年金は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額によって支給停止される金額が決まります。減額される金額の計算法は「65歳未満」と「65歳以上」では異なります。

65歳未満の場合

「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が「28万円以下」であれば、年金は減額されません。ただし、「28万円を超える」場合は減額されます。

65歳以上の場合

65歳以上の場合の在職老齢年金の計算式は「(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2」です。つまり、「基本月額」と「総報酬月額相当額」が47万円を超えなければ減額はされません。

これらを見てわかる通り、ある年齢から下の人にとっては、厚生年金の支給開始が65歳からに引き上げられてしまうため、65歳未満の在職老齢年金は関係がなくなってしまいます。

具体的には、2018年の時点で男性は57歳以上、女性は52歳以上の人は在職老齢年金について考える必要があります。この年齢よりも若い人は、よほど収入が多くなければ在職老齢年金を気にする必要はりません。

(10)厚生年金の加入期間を確認しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2339758

厚生年金の加入期間の確認は退職後の生活設計に大いに影響します。

2000年の法令改正を筆頭に、厚生年金を受給するための加入期間の短縮や厚生年金の特例措置である「長期加入者特例」など、事前に知っておけば年金の受給額が変わってきます。長期加入者特例の条件である加入期間を44年以上を満たすことを目標に働くことも良いでしょう。

ただし、必ずしも同じ職場で働き続ける必要はなく、パートやアルバイトとして厚生年金の加入者として働き続けることで、加入期間として加算されます。フルタイムで働く必要はないこともしっかりと押さえておきましょう。

厚生年金の加入期間の確認は、自身の老後設計に合わせて考える必要があります。

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