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年金にも所得税はかかる?計算の負担を減らすため確定申告不要制度も解説

公的制度
年金にも、収入額によって所得税がかかることがあります。年金収入によって所得税額が変化していくのでいくら引かれるのか知っておくことは重要になります。また、年金における所得税は申告することによって減らすことができます。年金にかかる所得税の金額、免除される場合や申告方法などを解説します。
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(1)公的年金にも所得税はかかる?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1573203

65歳になると、今まで収めてきた年金を受け取れるようになります。また、医療費の負担額も大幅に減少します。そのため、現役世代と比べると税金を納める必要がほとんどなくなると考える人は少なくありません。

しかし、実際には公的年金も金額によって所得税がかかるため、受け取ることができる金額をすべて生活費などの予算に充てるのではなくある程度余裕を持たせておくことが重要です。

公的年金に対してかかる所得税は、給与所得や事業所得とは異なる収入になりますので、詳細をきちんと把握しておきましょう。特に確定申告の必要がある人は、手続きや制度を知っておくことが重要です。

(2)年金収入の所得税率表

年金収入の所得税額は、65歳を境に控除額が変化します。所得税を計算するためには、まず所得から控除額を引いた「雑所得」を計算します。

雑所得は、公的年金等の収入金額の合計に応じて、一定の割合をかけ、その割合に応じた控除額を引くことで計算できます。

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
65歳未満の方 70万円以下 0円
70万円超130万円未満 収入金額-70万円
130万円以上410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円
65歳以上の方 120万円以下 0円
120万円超330万円未満 収入金額-120万円
330万円以上410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円

そして、その雑所得に所得税率をかけると所得税の金額がわかります。

所得税率は、扶養親族等の申告をしていれば5.105%、申告をしていない場合には10.21%です。扶養親族がいない場合でも、申告書を提出してさえあれば所得税率が低くなるため、繁忙期に入る前に税務署で手続きを済ませておいたほうがよいでしょう。

税務署まで出向くのが面倒という場合には、郵送で申告書の送付する対応も可能です。

(3)年金にかかる所得税が免除される場合

基本的には年金収入のみの人であっても所得税の納付義務が発生します。

しかし中には、年金にかかる所得税が免除される場合もあります。具体的には、障害年金や遺族年金のみが収入源となっているケース、課税対象額が控除額を下回っているケースなどです。

ただし、所得税が免除されることを受給者にわざわざ伝えはしないため、自分で収支を見て判断する必要があります。障害年金や遺族年金は非課税所得となるため、金額に関係なく税金が課せられることはありません。

一方、老齢年金に対しては所得金額が65歳未満で108万円、66歳以上で158万円を超えると所得税が発生します。ただし、配偶者控除や扶養控除などを所得から差し引いたときに、控除額が所得を上回っていれば納めるべき税金もないということになります。

(4)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

公的年金等の受給者の扶養親族等申告書は、所得税の納付義務が発生している場合は毎年日本年金機構に提出しましょう。これを提出しているかどうかで納めるべき所得税がずいぶん変わってきます。

所得税が免除されている人をのぞき、毎年申告書の提出について日本年金機構から案内がありますので、締め切り日までに早めに提出しましょう。申告書を提出しなかった場合、所得税率が2倍になり、納付すべき所得税の金額がほぼ倍にまで膨れ上がります。

なお、申告書を紛失した時にはネットでダウンロードすることも可能ですので、時間に余裕があるときにきちんと書類をチェックしておきましょう。

(5)扶養親族等申告書の提出方法

扶養親族等申告書は、毎年9月中旬から10月にかけて順次日本年金機構より発送されます。中には返信用封筒も入っていますので、申告書を書き上げたら返信用封筒に入れて投函するだけです。

紛失した場合には、日本年金機構のホームページに申告書の書式が掲載されていますので、ダウンロードして印刷すれば問題ありません。封筒が見当たらないときには、日本年金機構中央年金センター宛の住所がサイトに表示されていますので適当な封筒を用意して発送します。

また、電子証明書を取得している場合には電子政府の総合窓口e-Govで電子申請することも可能です。

手続きはそれほど面倒ではありませんが、毎年行わなければその年度の所得税率を下げることができないため、10月頃になったら郵便物をきちんと確認しましょう。

(6)計算の負担を減らすための制度「確定申告不要制度」

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2339758

年金収入で生活している人の場合、会社が行う年末調整のような制度がないため、自分で確定申告をする必要があります。

しかし、手続きが煩雑で分かりにくいこともあり高齢者には大きな負担となっています。そこで、年金受給者の確定申告の負担を減らすために一定の条件を満たした人に限って確定申告を不要とする制度があります。

これを確定申告不要制度といいますが、すべての年金受給者が該当するわけではないため、自分が当てはまっているかどうかを前もって確認しなければなりません。

また、収入の変動が大きい人の場合は、年度によってこの制度が利用できるかどうかが変わるため特に注意が必要です。

(7)確定申告不要制度の対象者の条件

確定申告不要制度の対象者の条件は、以下の2つを共に満たしている人に限られます。

①公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる

公的年金にもいろいろな種類があり、退職するまでに複数の仕事をこなしてきた人の場合は年金も複数の個所から受け取るケースが見られます。このケースでは、すべての年金を合算したときに合計額が400万円以下となることが条件です。

②公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

例えば年金を受給しながらアルバイトなどで副収入を得ている人などがこれに該当し、年金以外の雑所得などが20万円をこえなければ、確定申告不要制度を使えます。申告をしない場合、所得税は既に源泉されているもので賄うため、別途納税をする必要もありません。

(8)確定申告不要制度の対象者の例外

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504414

確定申告不要制度の対象者の例外もあります。

年金の合計額が400万円以下、かつ年金以外の所得金額が20万円以下であっても、医療費控除や寄付金控除などで税金が戻る可能性がある場合は確定申告をした方がお得です。

住宅ローンを組んで家を購入した場合も、住宅ローン減税が大きいので確定申告のための手間をかける価値は十分にあります。ほかにも、災害や盗難にあった時には減税措置を受けられるなど、大きな節税が期待できる時には、確定申告をするべきでしょう。

また、自治体特有の控除を受けるために住民税の申告が必要な場合なども該当します。確定申告不要制度は便利ですが、対象者が確定申告をするかしないかは自由とされています。

(9)高齢者を扶養している人が受けられる特例

高齢者を扶養している人は、所得税の特例を受けることができます。具体的には、70歳以上の控除対象配偶者がいる場合には所得に応じて16~48万円の控除を受けることができます。

また、同じく70歳以上の親族を扶養している場合には、その親族が同居の直系親族ならば58万円、それ以外の人ならば48万円の控除を受けることが可能です。

このように、高齢者の扶養は一般の控除対象配偶者や親族とは異なるため、確定申告をするときには年齢を確認しておきましょう。

(10)自分のケースをしっかり確認しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2286474

年金所得者でも確定申告を行い、所得税を納めなければならない人はたくさんいます。

申告や所得税の納税を忘れると、後日追徴課税をされる可能性も出てくるためしっかり手続きを済ませておきましょう。ただし、確定申告で税金を大幅に減らしたり払いすぎていた税金を還付してもらえる場合もあります。

自分が確定申告不要であっても申告をすることで所得税を減らすことができないか自分のケースをしっかり確認しましょう。

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