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(1)老後の生活設計に重要な「金融資産」とは
日本では少子高齢化現象が進む一方で、「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。
企業では定年延長が導入されるというニュースも聞かれるようになりましたが、それでも65歳~70歳で定年退職をすることになってしまいます。そうすると退職後の老後の生活設計については、金融資産が重要な鍵になります。
この場合の金融資産とは、日常生活の中で使う資金のことではなく、将来のために蓄えている資金のことを指しています。人生100年時代を迎える中で、老後の人生で勤労以外で収入を得る手段を元気なうちから考え、老後に備えておくことが必要になってきています。
本記事では、そんな金融資産について、実物資産と何が違うのか、保有するメリットは何なのかなどについて詳しく説明していきます。
(2)実物資産との違い
実物資産とは
まず、実物資産とは、現物が存在しており、その現物自体に価値がある資産のことを指していいます。基本的には、現物が存在することが価値になっている資産(=実物資産)とそうでない資産(=金融資産)というのが大きな違いになります。
すべての資産は実物資産と金融資産に大別できるということです。
例えば、土地・不動産や貴金属類などが実物資産として挙げられます。仮にこのような実物資産が値を下げたとしても、実物資産の場合には価値そのものがなくなるということはありません。
しかし、実物資産には流動性の低さ(現金化に手間がかかるなど)や、収益を生みにくいというデメリットがあります。
そして、金融資産は実物資産と違い、その物に価値がある訳ではありません。金融資産の例としては、預貯金や株式・債券などの有価証券などが挙げられます。なお、有価証券などの金融資産は実物資産に比べて、価格変動が激しいという特徴があります。運用によっては、利益が出る場合も損失が出る場合もあります。
(3)金融資産の種類
金融資産とは、日本円などの現金や株式などの有価証券などを指して言います。
例えば、現金であれば、日本円やドル・ユーロなどの外貨が金融資産であると言えます。その他には預貯金や株式、債券、投資信託、生命保険(掛け捨てを除く)が金融資産として挙げられます。
株式・債券・投資信託については、運用によっては収益が出る場合もありますが、投資した金額が目減りする場合もあります。投資目的と合わせて、リスクとリターンを考えておく必要があります。
(4)金融資産を保有することのメリット・デメリット
メリット
金融資産を保有することのメリットとしては、例えば急な病気や災害などで現金が必要になったときに使えるというメリットがあります。
また、有価証券であれば、運用次第では資産を増やすことも出来ます。
デメリット
金融資産の例としては株式・債券などの有価証券がありますが、万が一保有する株式の会社が倒産などすれば株式の価値はなくなってしまいます。
また、保有する株式の会社の倒産以外にも、金融危機や世界情勢の変動などによって自身の保有する資産の価値が下落してしまうなどの様々なリスク要因に晒されることになるのがネックと考える人もいます。
(5)全世帯の平均金融資産保有額
2018年に金融広報中央委員会から公表されている家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]によると、全世帯の平均金融資産保有額は1,151 万円となっています。
金融商品別の構成比については、預貯金43.9%、生命保険22.4%、有価証券(債券・株式・投資信託)19.2%となっています。
参照:家計の金融行動に関する世論調査(2018年)金融広報中央委員会・
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2018/pdf/yoronf18.pdf
(6)年代別の平均金融資産保有額
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)の各種分類別データによると、年代別の平均金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は下記の通りになっています。
年代 | 平均金融資産保有額 |
20代 | 321万円 |
30代 | 470万円 |
40代 | 643万円 |
50代 | 1,113万円 |
60代 | 1,411万円 |
70代 | 1,768万円 |
年代が上がるにつれ、平均金融資産保有額が上昇しています。40代と50代の平均保有額を比較してみると大幅に金額が増えています。40代から老後について考え始めある程度まとまった額をコツコツとためている人の割合が増えているといえます。
こういった数値を参考にしながら、これからの資産形成を考えていくのも良いかもしれません。
(7)金融資産を全く保有していない世帯の割合
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)の各種分類別データによると、「金融資産を保有していない」と回答した世帯は31.2%でした。
なお、世帯の年代が上がるにつれ「金融資産を保有していない」と回答する世帯割合は少なくなる傾向が見られます。
また、40 歳代の金融資産を保有しない世帯の増加については、年収の伸び悩みが原因の一つとして考えられています。
同じ調査で、金融商品について「いずれも保有していない」と回答した世帯の割合は1.6%でした。家計の経済環境や生活スタイルなどの影響により、金融資産を保有しない世帯が増加したと考えられています。
(8)借入額の有無に関するデータ
金融広報中央委員会の2018年の「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査]によると、借入金のある世帯の割合は 40.9%となっています。
そして、全世帯での借入金の平均額は 563 万円となっています。なお、この場合の全世帯とは借入金のない世帯も含んでいます。
借入金のある世帯のみでの、借入金の平均額は1,474 万円です。この借入金については、住宅ローンの残高の平均額が1,350万円となっており、中央値は1,000万円です。
住宅ローンであれば、子育てがひと段落したところなどで繰り上げ返済することにより、支払い利息を減らせます。現在の段階での借入金とのバランスを考えつつ、資産運用を考えていくことも必要なのではないでしょうか。
(9)借入金の主な目的
借入金とは、その字があらわす通り、ある種の借金ともいえます。これらは、どういった目的の元、社訓裕sされているのでしょうか。
住宅購入または増改築
金融広報中央委員会の2018年の「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査]によると、借入金の主な目的については「住宅(土地を含む)の取得または増改築などの資金」が 65.8%となっており、一番の借入金の目的となっています。
耐久消費財(例:車など)の購入資金や、生活費
そして、2番目の借入の目的には「耐久消費財の購入資金」が 26.1%と続いています。そして3番目には、「日常の生活資金」となっており、10.6%となっています。
住宅や土地などの購入をする際には、将来にわたり大きな金額の返済義務が当然生じることになるので、借入をする前に」計画立てて生活設計をしていく必要がありそうです。
(10)金融資産とは何かを理解し、老後の生活設計に活かしてみよう
金融資産には現金や株式などの有価証券があり、投資の点から見てもメリットとデメリットがそれぞれある資産です。
また、金融資産については、それぞれの特徴を理解した上での配分や比率なども重要になります。
「人生100年時代」とも言われる高齢化社会での老後には、避けて通れない介護の問題などがあります。介護には月々の費用として平均7.8万円がかかるというデータがあり、介護の期間が長引けばそれなりの費用がかかることが考えられます。
現在の生活と将来の生活を踏まえて考えていく必要がありますが、金融資産の運用を老後の生活設計に取り入れてみてはいかがでしょうか。