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高額介護合算療養費とは | 申請方法をわかりやすく解説

公的制度
高額介護合算療養費は、年間に支払う介護費用と医療費を一定の金額に抑えることができる制度です。複雑でわかりにくい制度ですが本記事では制度の利用条件、申請の流れ、申請に必要な書類など分かりやすく説明します。
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(1)高額介護合算療養費とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2339758

高額介護合算療養費とは、一世帯が年間に支払う介護費用と医療費の合計額に上限を設けるシステムです。これを500円より多く超過した場合は、その分だけ保険組合から払い戻しを受けることができます。

実際に、介護を行っている家庭では同時に医療費が多くかかっているケースがよくあります。

たとえば、終末期の患者を介護しながらを在宅治療を受けているようなケース、あるいは、介護者も高齢で持病をかかえ、病院に通っているようなケースです。

高額介護合算療養費は世帯ごとに計算するので、各人が別々のサービスを利用していても問題ありません。

所得に応じて自己負担限度額もより低くなるので、収入の少ない世帯でも安心して医療や介護を受けることができるようになります。

(2)制度の対象者

高額介護合算療養費の対象者となるには、以下の2つの条件を満たしている必要があります。

  • 世帯で介護保険と医療保険の両方を利用している
  • 世帯で同じ医療保険制度を利用している

対象となるのは、あくまで介護保険と医療保険の合算です。そのため、いずれかの支払いが0円の世帯では高額介護合算療養費は利用できません。

また、合算できるのは同じ医療保険制度の加入者のみです。ここでいう医療保険制度とは、国民健康保険やそれぞれの会社の健康保険組合、後期高齢者医療制度などのことをいいます。

たとえば世帯主が健康保険組合に加入しているのであれば、その扶養家族の分しか合算することはできないわけです。

(3)【対象者別】高額介護合算療養費の自己負担額①

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1896829

後期高齢者医療制度加入者と70歳以上国民健康保険加入者がいる世帯の場合

この場合の高額介護合算療養費の自己負担限度額は、収入と世帯員の年齢構成によって変わります。

後期高齢者医療制度加入者と70歳以上国民健康保険加入者のみの世帯では、以下のような区分で自己負担額が決まっています。

区分 自己負担限度額
低所得者I(世帯員がすべて市区町村民税非課税者、あるいは収入が年金のみで80万円以下、老齢福祉年金の受給者) 19万円
低所得者II(世帯員がすべて市区町村民税非課税者) 31万円
一般(課税所得145万円未満) 56万円
現役並み所得者Ⅰ(課税所得145万円以上) 67万円
現役並み所得者Ⅱ(課税所得380万円以上) 141万円
現役並み所得者Ⅲ(課税所得690万円以上) 212万円

(出典:全国健康保険協会 協会けんぽ

※世帯の収入が合計で520万円未満、一人暮らしの場合は383万円未満、あるいは「旧ただし書き所得」の合計額が210万円以下の場合も一般の区分に該当します。

(4)【対象者別】高額介護合算療養費の自己負担額②

70歳未満の国民健康保険加入者がいる世帯の場合

この場合の高額介護合算療養費の自己負担額は、標準報酬月額によって変わります。

区分 自己負担限度額
市区町村民税非課税者 34万円
標準報酬月額26万円以下 60万円
標準報酬月額28~50万円 67万円
標準報酬月額53~79万円 141万円
標準報酬月額83万円以上 212万円

(出典:全国健康保険協会 協会けんぽ

また、高額介護合算療養費では、70歳未満の世帯員については、レセプト単位で2万1,000円以上の費用しか合算することはできません。

レセプトとは、医療機関における1ヵ月ごとの明細です。この金額については、保険者からの「医療費のお知らせ」などでも確認することができます。

(5)高額介護合算療養費の申請方法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504414

高額介護合算療養費の申請は、市区町村の介護保険担当窓口で手続きを行います。

その際に必要となるものは、次の通りです。

  • 健康保険証
  • 介護保険証
  • 振込先口座番号
  • マイナンバーカード
  • 印鑑
  • (自己負担額証明書)

国民健康保険や後期高齢者医療制度ではなく、会社の健康保険組合などに加入している場合は、それぞれの保険者が交付する自己負担額証明書も必要となります。

各健康保険組合の公式サイトで「高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」をプリントアウトして、必要事項を記入して提出してください。

期間内に保険者を変更していた場合は、それとは別に、以前に加入していた健康保険組合の自己負担額証明書も必要となります。

また、市区町村についても、期間中に引っ越しをしていた場合は、以前の市区町村に申請して自己負担額証明書を取得しておかなければいけません。

(6)申請後から支給までの流れ

会社の健康保険組合などに加入している世帯は、高額介護合算療養費の申請から給付まで次のような流れとなります。

  1. 市区町村の介護保険者に対して自己負担額証明書交付申請書を提出
  2. 介護保険者が自己負担額証明書を交付
  3. 自己負担額証明書を添付して健康保険組合などの医療保険者に高額介護合算療養費の支給を申請
  4. 医療保険者が計算した支給額を介護保険者に連絡
  5. それぞれの比率に応じて医療保険者と介護保険者がそれぞれ高額介護合算療養費を支給

なお、国民健康保険あるいは後期高齢者医療制度の加入世帯は、市町村への申請のみで高額介護合算療養費の支給が行われます。

(7)高額介護合算療養費の算定期間

高額介護合算療養費の算定期間は、毎年8月1日から翌年7月31日までとなっています。

この算定期間の末日となる7月31日を基準日として、その時点で加入している医療保険者に対して高額介護合算療養費の申請を行うことになります。

自己負担上限額を決める区分についても、基準日に加入していた医療保険の高額療養費の限度額区分が適用されることになります。

なお、高額介護合算療養費を請求できるのは、基準日の翌日から2年間となっています。それ以降は請求権が時効となってしまうので注意してください。

また、算定期間中に引っ越しや保険者の変更を行っても、以前の保険者に申請すれば、高額介護合算療養費として合算することができます。

(8)計算に含まれない介護費用

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/802317

介護サービスにかかる費用の中でも、以下の費用については高額介護合算療養費として計算することはできません。注意してください。

  • 介護保険施設の居住費と食費
  • 介護保険施設の日常生活費や差額ベッド代など
  • 住宅改修費や福祉用具の購入費など

介護保険には、要介護度および要支援度ごとに、1ヵ月分の利用限度額が決められています。これを超えた費用についても、もちろん高額介護合算療養費にふくめることはできません。

介護保険施設の居住費と食費、あるいは居宅介護住宅改修、福祉用具購入などについては、この利用限度額とは別にそれぞれ自己負担限度額がもうけられています。

そのため、高額介護合算療養費の対象とはならないわけです。

介護施設の理容やレクリエーションなどの日常生活費、差額ベッド代などについては、そもそも介護保険が利用できない全額自己負担のサービスとなっています。

また、1ヶ月間ごとの自己負担限度額をもうけた高額介護サービス費や高額療養費、あるいは自治体の助成金などが支給されている場合も、高額介護合算療養費から差し引く必要があります。

(9)住民票上の世帯が同じでも、制度の対象から外れるケース

「世帯」というのは、通常であれば住民票上の記載をもとに決められます。

しかし、高額介護合算療養費ではそれとは関係なく、あくまで「同じ医療保険に加入する者」を同一世帯としているので、注意してください。

たとえば、子供が勤めている会社の健康保険組合に、両親が扶養家族として加入していないとします。この場合は、いくら同じ家で暮らしていたとしても、高額介護合算療養費として計上することはできません。

ほかにも、二人暮らしの夫婦で、片方は後期高齢者医療制度、片方は国民健康保険と分かれるケースもめずらしくありません。

高額介護合算療養費では、基準日の7月31日時点の加入状況で医療保険の区分が決められます。その前に、家族の一人一人の医療保険の加入状況について、よく確認しておくようにしましょう。

(10)自分の世帯がどのパターンに属するかを理解して申請をスムーズに行おう

高額介護合算療養費は、介護と医療の負担に悩む家庭にとってはとても助けになる制度です。ただし、その条件などが複雑なため多くの人にとってすぐに理解することは難しいかもしれません。

まず最初に、自分の世帯の収入や年齢、健康保険などがどのパターンに属するのか、よく確認してみましょう。

そこさえ押さえておけば、あとは自己負担限度額を当てはめるだけなので、スムーズに計算できるはずです。

高額介護合算療養費にはふくまれない介護費用もあるので、その点についても忘れないように注意して申請してください。

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