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高額介護サービス費とは|対象となるサービスや自己負担額について

公的制度
高額介護サービス費とは、介護保険サービスを利用した際、利用金額が一定額を超えた分が払い戻される制度です。これらは世帯収入に応じて上限がかわります。本記事では、この高額介護サービス費について、払い戻し対象になるサービス費や段階別の自己負担上限額、平成30年より適用される制度改正などを詳しく説明していきます。
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(1)高額介護サービス費とは

介護サービスを利用した金額に自己負担額の制限を設ける制度

「高額介護サービス費」とは、公的介護保険の利用者の方が介護サービスを利用した金額がある一定額を超えた時に払い戻される制度です。

介護サービスの利用時に実質的に支払う費用は、介護サービスの1割負担が通常です。

しかし、被介護者の状態に合わせて、時には様々なサービスを利用してしまうことで、料金がかさんでしまうことも多いのではないでしょうか。

この料金は世帯の収入に応じて、上限額が決められています。

そのため高額介護サービス費の制度では、それ以上支払う必要はないようになって設定されています。この費用の中には、施設で暮らすなどのの居住費や食費、ベッド代の差額、その他諸々の生活費は含まれていません。

施設利用者の方も在宅介護を受けている方も実質的な身体ケアや生活援助などの費用に関わる金額のみが対象となります。

(2)高額介護サービス費の対象となるサービスは?

高額介護サービス費の対象となるサービスは、利用料(自己負担)として支払った介護サービス費用の利用者負担部分の合計が対象です。

例えば、介護給付、予防給付、第1号事業の合計となります。実質的に高額介護サービス費の対象となるのは、身体介護である入浴や排泄や生活援助である身の回りのお世話や食事、掃除、買い物、通院の付き添いなどのサービスとなります。

基本的には、施設サービスの居住費である滞在費や食費や日常生活費は含まれません。

そして福祉用具の購入費、住宅の改修費なども含まれません。

例外としては、市民税世帯非課税の方について、施設サービス等の居住費の滞在費や食費を軽減する制度があります。

具体的には、

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 短期入所生活介護施設
  • 短期入所療養介護施設
  • 地域密着型介護老人福祉施設

などの施設の居住費や食費にかかる費用です。

(3)高額介護サービスが適用されない介護サービス

一般的に高額介護サービス費が適用されない介護サービスとしては、上記で記入した全ての介護施設の住居費や食費、その他諸々生活にかかる費用です。

ショートステイを含む介護施設での食費や居住費、日常生活費は自己負担となります。在宅介護者も同様です。

それから高額介護サービスでは、特定福祉用具の販売にかかった費用も対象外となります。特定福祉用具販売とは、自宅介護を軽減するために必要な福祉用具の購入にかかる費用です。車いすや歩行器、杖などです。

またスロープや手すりなども含まれ、これらの取り付けにかかった費用も含まれます。

ですが、これらの費用は高額介護サービス費の対象ではありません。

(4)高額介護サービス費の自己負担額

世帯の経済状況により、細かく自己負担額が分けられている

高額介護サービス費の自己負担額の合計額は、世帯の所得に応じて上限額が設定されています。段階は5段階あり、それぞれの条件金額を超えた場合は、超過分が高額介護サ ービス費として払い戻しされます。

段階別の自己負担額

それぞれの段階の対象者は以下の通りです。

第1段階の対象者 市民税世帯非課税で老齢福祉年金受給をしている世帯
第2段階の対象者 市民税世帯非課税で、課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下の世帯
第3段階の対象者 市民税世帯非課税の世帯で利用者負担第1段階・第2段階以外の世帯
第4段階の対象者 世帯の誰かが市民税課税である世帯
第5段階の対象者

第1段階から第4段階以外で収入が現役並みに見込まれる世帯

以上の内容をまとめると、以下のような表になります。

該当条件 平成 29 年 8 月からの負担の上限(月額)
第1段階

世帯全員が市民税非課税かつ老齢福祉年金受給をしている

もしくは

生活保護を受給している

15,000 円(個人)
第2段階

世帯全員が市民税非課税かつ課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下

24,600 円(世帯) 15,000 円(個人)
第3段階

世帯全員が市民税非課税

24,600 円(世帯)
第4段階 世帯の誰かが市区町村民税を課税 44,400円(世帯)〈見直し〉 ※ 同じ世帯の全ての65歳以上 の方(サービスを利用してい ない方を含む。)の利用者負担 割合が1割の世帯に年間上限 額(446,400 円)を設定
第5段階 上記以外、収入が現役並みに見込まれる 44,400 円(世帯)

(※厚生労働省『月々の負担の上限 (高額介護サービス費の基準)が 変わります』を元に、いろはにかいご編集部が作成)

(5)【平成29年8月改定】自己負担上限額の変更について

(4)にて説明した上限額は、平成30年8月より適用された、高額介護サービス費の自己負担上限額の変更を踏まえています。

この変更により、従来までは

37,200 円(月額)

までが自己負担の上限だった第四段階の「世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方」を対象とした自己負担上限額が、(4)における第4段階の人と同じ

44,400円

まで引き上げられました。

世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方の自己負担上限額

(変更前)

世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方の自己負担上限額

(変更後)

37,200 円(月額) 44,400円(月額)

ただし、

  1. 同じ世帯の全ての 65 歳以上の方(サービスを利用していない方を含む。)の 利用者負担割合が1割
  2. 世帯が現役並み所得者世帯(※)に該当しない

という2つの条件を満たす場合には、

年間 446,400 円(37,200 円 ×12 ヶ月)

という年間の上限が設けられています。これは、長期の介護サービスを利用している世帯を考慮してのことです。

※以下の条件を満たすものを現役並み所得者世帯いう

  1. 同じ世帯に 65 歳以上で課税所得 145 万円以上の方がおり
  2. 同じ世帯の 65 歳以上の方の収入の合計が 520 万円以上(単身の場合は 383 万円以上)

参考:厚生労働省・https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf

(6)高額介護サービス費の世帯合算とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2281990

高額介護サービス費は、同世帯に介護サービス利用者が2名以上いる場合、その金額が合算される制度です。

自己負担の上限額は世帯で合算するようになっているので、ご高齢の夫婦などの利用額は合算されて考えられます。

世帯合算の計算は次の通りです。

世帯全体の利用者負担額から世帯の自己負担の上限額を引いて、世帯全員の利用者負担額を本人の自己負担額で割ったものから引き算されます。

計算式としては、

(世帯全体の利用者負担額-世帯の自己負担の上限額)×本人の自己負担額

/世帯全員の利用者負担額

となります。

高額介護サービス費の世帯合算の計算例

例として、夫婦2人で市民税非課税世帯(世帯の自己負担上限額24,600円)を見てみましょう。

1か月に夫が30,000円、妻が20,000円の自己負担をした場合は、夫の高額介護サービス費は、

{(30,000円+20,000円)-24,600円}×30,000円/(30,000円+20,000円)=15,240円(高額介護サービス費)

となり、妻の高額介護サービス費は、

{(30,000円+20,000円)-24,600円}×20,000円/(30,000円+20,000円)=10,160円(高額介護サービス費)

となります。

(7)高額介護サービス費の申請方法

高額介護サービス費の申請方法は申請制となっていますので、自分から申請する必要があります。

高額介護サービス費の制度を利用するにあたっての支給の申請方法は次の通りです。

介護サービスを利用する方には、もし高額介護サービス費の支給の要件に該当する場合、請求の3か月後に、お知らせが届くようになっています。

その時に一緒に申請書も同封されていますので、それぞれの自治体の市区町村に申請用紙を提出しなければいけません。

もし、継続的に続くようであれば一度申請することで、その後は自動的に計算されて、払い戻しされるので手続きは不要です。自治体によって、若干の通知時期のずれや申請方法の違いはあります。

そして申請の際には、申請書の他に介護サービスを利用した領収書も必要になりますので、保管しておきましょう。

もし、高額介護サービス費を申請しそびれてても、2年以内であれば払い戻しが可能です。

(8)受領委任支払い制度とは

高額介護サービス費の支給制度は、申請後に超過金額が戻ってくる制度なのですが、自治体によっては最初から上限金額を超えると支払いがストップしてもらえるところもあります。

この制度が受領委任払い制度というものです。市町村が立て替え払いのような形で支払い、直接事業者に支払ってくれます。

受領委任払制度を利用するには、以下の3つの条件があります。

介護保険施設のみが対象

一つ目は、介護保険施設のみが対象となっています。そのためそれ以外の施設や在宅介護の方は対象となりません。

施設介護サービス以外の費用は含まれない

二つ目は、高額介護サービス費の受領委任払制度は施設介護サービスの場合に限られています。そのため、それ以外の費用は含まれていません。

介護保険施設の承諾が必要

三つ目は、介護保険施設の承諾が必要となります。

また利用している介護保険施設承諾が必要となりますので、前もって、費用が高額になりそうであれば申請しておく必要があります。受領委任払制度の取り扱いを希望する旨を伝え、施設と相談しておくことがおすすめです。立て替え払いなどの必要がなくなります。

(9)類似制度である高額医療制度・高額介護合算療養費制度とは

高額介護サービス費の医療保険や後期高齢者医療制度などを使っている世帯で適用される制度です。

介護保険の受給者がいる場合に適用され、世帯単位で医療保険と介護保険の自己負担額の合計金額が自己負担限度額を超えた場合に、超えた分の金額が支給されます。こちらは、自己負担限度額は年齢や所得などによって、細かく区分されています。

適用される条件や申請方法が必要となってきます。

詳しくは、以下の記事をご参考にしてください。

高額医療制度に関する、詳しい記事はこちら

→『【シミュレーター付き】高額療養費制度とは│利用方法/上限額/払い戻されるまでの期間

高額介護合算療養費制度に関する、詳しい記事はこちら

→『高額介護合算療養費とは │ 制度の利用条件や申請方法について解説

(10)高額介護サービス費を忘れずに申請しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/802317

高額介護サービス費で大切なことは、2年以内に忘れずに申請するということです。高齢者の方は、届いた通知を見ずに捨ててしまったり、いつか申請しようと思って放置せずに、できるだけ早めの申請が大切です。

また高額介護サービス費の申請時には、領収書が必要となりますので、必ず保管しておくようにしましょう。このようにとても便利な高額介護サービス費ですので、よく理解して、正しく活用するようにしましょう。

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