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介護休業とは|給付金、利用条件や介護休暇との違いなど

公的制度
介護休業とは、働きながら介護をする労働者にとって非常に強い助けとなる休業制度です。介護休業中給付金について、介護休業制度の利用条件、介護休暇との違いや取得できる休暇日数についてなど制度を利用するとなったときに出てくる疑問を一気に解説していきます。
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(1)介護休業とは


出典:https://www.photo-ac.com/

介護休業とは、心身の障害や疾病・怪我などによって2週間以上、常時介護を受けなければならない方の家族に対して「介護を行うためにとる休業」のことを指します。介護休業は「育児・介護休業法」によって定められており、対象となる条件を満たしていれば誰でもこの休業を取得することができます。

(2)介護休業の利用条件

介護休業というのは労働者に与えられた権利ですが、この制度を利用できる人には条件があります。

もちろん、利用できる対象家族にも範囲が定められているので、申請する場合には自分が介護休業の取得権利を持っているか、対象家族が範囲内かをよく確認しておきましょう。

介護休業を利用できる労働者とは

まず、介護休業を利用できる人というのは、要介護状態の対象家族を介護する「労働者」の男女です。当人が申し出をする段階で以下の条件を満たしていれば、介護休業を申請することが可能です。

  • 同一事業主に1年以上雇用されている
  • 取得予定日から93日を経過する日から6ヶ月以内に労働契約が満了しないこと

ただし、労働者であっても継続雇用が1年未満であったり、週の勤務日が2日以内であったりする場合は介護休業を利用できない場合もあります。加えて、日々雇用で働いている人も制度を利用できません。

介護休業を利用できる対象家族とは

では、介護休業利用時において、「要介護の対象家族」とはどの範囲が適用されるのでしょうか。

対象家族の範囲には、配偶者・両親・祖父母・子供・兄弟姉妹・孫に加え、配偶者の両親も含まれます。ちなみに、配偶者は必ずしも籍を入れていなければならないわけではなく、事実婚でも対象家族として認められます。

(3)介護休業給付金とは

では、介護休業給付金制度について、その概要を簡単に解説します。いざという時のために、大まかな支給額や期間、申請方法についてチェックしておきましょう。

支給額

介護休業給付金の支給額は「給与の67%」です。ただし、会社によっては介護休業中に給与が支払われるケースもあり、その場合には介護休業給付金はその給与額に従って減額されます。

支給期間

介護休業給付金の支給期間は1ヶ月毎に「支給単位期間」に区切られます。支給期間単位に11日位以上出勤していた場合、制度の対象外となるので注意してください。

申請方法

介護休業給付金の申請は、介護休業終了日の翌日から2ヶ月後の日が属する月の、「月末まで」に行わなければなりません。申請を行うのは個人ではなく、事業主となります。事業主が必要書類をそろえてハローワークに申請すると、支給決定後、個人の口座に給付金が振り込まれます。

(4)介護休業中の賃金

介護休暇中は休みを取っているのと同等の扱いになるので、休業中の賃金が支払われることはありません。

そんな中、収入が全くなくなるという状況は、当然ながら金銭面で大きな負担になります。そんな負担を軽減するために、「介護休業給付金」という制度が存在します。

介護休業給付金は介護休業を取得していた日数分、定められた支給金を補助してもらえる制度です。補助金の受け取りは介護休業を取得した後になりますが、休んだ分の賃金を補填する制度があるだけで、介護中の金銭的・精神的負担が大きく軽減するでしょう。

(5)介護休業で取得できる休暇日数

介護休暇で取得できる休暇日数の上限には、以下の2つの条件があります。

  1. 1対象家族に付き、最大3回が休暇日数の分割可能回数であること
  2. 休暇の合計日数が93日以内であること

例えば、1対象家族への介護休暇をすでに3回取得している人は、例え合計日数が93日以内だったとしても4回目の休暇を受けることはできません。

逆に、2回しか介護休暇を取得していない人が、2回分の合計休暇日数が93日に達している場合は3回目を取得することもできません。

ただし、この日数は同一事業主の元で取得した場合にのみ適用されるので、転職後、前の職場で介護休暇を取得していても、条件の日数に含める必要はありません。

(6)介護休業期間の例外的な終了要件


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介護休暇の期間終了日は、原則的に申請した本人が申し出た日数が経過した日となります。ただし、支給単位期間の途中で離職した場合にはその時点で介護休業期間は終了となります。

その他には、介護休業期間中に対象家族が死亡した場合、施設等に入所し介護の必要性が無くなった場合にも取得予定だった介護休業の途中でも期間が終了となります。

(7)介護休業制度の注意点


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介護休業制度は、雇用保険に加入しているなどの要件を満たしていれば誰でも利用できる休業制度です。しかし、例え雇用主に許可を得て介護休業を取得したとしても、職場や仕事仲間への配慮に気をつけないと、その後の継続的な勤務に支障が出る場合があります。

本人にとっては「介護で仕方なく休む期間」であっても、一緒に働く同僚や上司にとっては、「人手が足りなくなる期間」とも捉えることができ、「フォローをしなければならない期間」となります。

もちろん、正当な権利を使わない理由はありませんが、長期的な休みを取得する場合には周囲への状況説明や感謝の気持ちを忘れず、しっかりと業務の引継ぎ・連絡をするようにしましょう。

ちなみに、これは介護休業の代わりに有給休暇などを使って長期休暇を取る際にも同じことが言えます。

業務の引継ぎ以外にも、すべきことが様々にある場合もございますので、長期休暇の取得を検討する前にぜひ1度チェックしてみてはいかがでしょうか?

(8)介護休業と介護休暇の違い

介護休業介護のために休みを取る制度には、

  • 介護休業
  • 介護休暇

の2種類が存在します。どちらも基本的には「要介護状態の対象家族を介護するために取得する休み」を指すのですが、日数や給付金などに違いがあります。

2つの制度で主に異なるのは、

  1. 休暇日数
  2. 給付金の有無
  3. 申請方法

の3つです。

1.休暇日数の違い

まず休暇の日数ですが、介護休業では通算93日と定められているのに対し、介護休暇は対象家族1人に対して1年度に5日、2人以上の場合は10日と比較的短い日数しか取ることができません。その代り、一年の間を開ければ何度もとれることが特徴です。

2.給付金の有無の違い

さらに、介護休業には休んでいる間の収入を補てんするための「介護休業給付金」という制度が設けられていますが、介護休暇にはそういった制度は用意されていません。

3.申請方法の違い

また、介護休業は原則2週間前に書類を提出して申請しなければならないのに対し、介護休暇は当日の申し出も可能で、口頭で休暇取得を願い出ることもできます。

このように、同じ「介護のために休む」ための2つの制度にはさまざまな違いがあります。介護の対象家族の重症度などを加味して、どちらの制度を利用するか吟味しましょう。

以下では表にまとめているので、ご参照ください。

介護休業

介護休暇

休暇日数 通算で93日 1年度に5日、2人以上の場合は10日
給付金の有無

有:「介護休業給付金」という制度がある

申請方法 原則2週間前に書類を提出して申請しなければならない 当日の申し出も可能で、口頭で休暇取得を願い出ることも可能

(9)平成29年法改正における変更内容

介護休業・介護休暇は平成29年に行われた法改正によって条件や取得方法が大きく変化しました。例えば、それまでは取得できる介護休業の回数は原則1回でしたが、法改正後の現在は、本記事の『(4)介護休業で取得できる休暇の日数』にて説明した通り、93日以内であれば分割取得できるようになっています。

また、介護休暇においては1日単位でしか取得できなかったのですが、法改正後には半日の取得や時間単位での取得が可能となっています。

これらは高齢化社会の大きな課題となる「介護離職問題」を解決するために行われた改正です。日本ではこのように、介護をしながら働きやすい社会にする為の取り組みを積極的に行っています。今後も社会の動きに合わせて、介護休業・介護休暇の柔軟化が期待できるかもしれません。

(10)介護休業制度をうまく利用して仕事と介護の両立をはかろ


出典:https://www.photo-ac.com/

介護の対象家族を持つ労働者は、「働かなければ生きていけない、けれど働いていると十分な介護ができない」というジレンマを常に抱えています。

後悔しない介護生活のために、介護休業制度を上手く利用して仕事と介護を両立し、自分自身も対象家族も健やかに過ごせる環境を作りましょう。

また、介護休業のほかにも、短い期間で簡単に取得できる「介護休暇」という制度もあります。自身と家族の生活の状況も見ながら、ニーズに合うように組み合わせて利用してみてはいかがでしょうか?

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