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寝たきりでもお風呂に浸かってリラックス|簡易浴槽で入浴しよう

ノウハウ
簡易浴槽を使えば、寝たきりの高齢者でも自宅で入浴をすることができます。高齢者にとって入浴は、清潔を保つだけではなく、リラックスなど心身ともに多くの効果が得られます。簡易浴槽は介護保険サービスにより、1割負担で購入できます。
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(1)寝たきりでもお風呂に浸かりたい

お風呂に浸かることで得られる効果はたくさんある

高齢者にとって入浴はからだを清潔にするだけではありません。お風呂に浸かることで、次の5つの効果も得ることができます。

  • 保温・保湿効果
  • リラックス効果
  • 脳への刺激により、抑うつや認知症を予防する効果
  • リラックス効果により、副交感神経が刺激されることで良質な睡眠が得られる
  • 入浴による動作が適度な運動になり、運動機能保持の効果が得られる

この他にも、昨年の11月には日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトより、入浴の頻度を上げることで要介護のリスクが下がることが明らかになりました。

参考:日本経済新聞 高齢者の「毎日の入浴」 要介護を防ぐ効果

大切な生活習慣

高齢者にとって、入浴は食事に次ぐ大事な生活習慣で、QOL(生活の質)に影響を与える大切なものです。入浴は衛生面だけでなく、気持ちの面でも、介護予防のためにも大切な生活習慣です。      

(2)デイサービスや訪問入浴は、毎日利用できない                     

デイサービスでの入浴は週に2-3回の場合が多い                     

高齢者にとって多くの効果が得られる入浴なので、できるなら毎日でも入浴をしたいところですが、現実はなかなか難しいというのが現状です。

自宅での毎日の入浴が難しい要因は、高齢者の入浴には、お風呂の準備や片付けの手間、光熱水費、介助を必要とするなど等が挙げられます。

入浴に関する調査結果をみると、「デイサービスで入浴」が90.7%、「自宅で家族介護により入浴」が25.3%、「自宅でひとりで入浴」が13%となっています。

デイサービスでの入浴が唯一の入浴となっている方が圧倒的に多いのが現状です。このため、週の平均入浴回数は、2.5回となっています。

引用:東京都社会福祉協議会「デイサービスセンター利用者の入浴に関する満足度調査」

デイサービスでの入浴の限界

貴重なデイサービスの入浴については、なかなか入浴回数を増やすことが難しい状況です。その理由は、

  • 要支援や要介護1や2の場合、介護保険サービスでデイサービスを利用できる日(回数)に上限がある
  • 入浴介助ができる施設のスタッフが足りない
  • 1つの入浴施設を男女で入れ替えたり、入浴スペースが狭いため、1回に利用できる人数が限られる

などが挙げられます。

さらには、新型コロナウイルス感染症対策として、利用後に用具を消毒する必要があるため、入浴ケアに要する時間がかかり、1日の利用者数を減らしている状況でもあります。

このため、入浴回数を増したくても、なかなか増やせないというのが現状です。

訪問入浴は利用制限がないが、週2-3回が目安

デイサービス以外に介護保険サービスで入浴を行う方法として訪問入浴があります。訪問入浴のサービスについて簡単に説明します。

訪問入浴は、訪問入浴事業者(介護スタッフ2名と看護師1名)が自宅に来て、事業者が持ち込む浴槽を使って入浴します。

利用できるのは原則として要介護1~5の認定を受け、かつ、医師から入浴を許可されている方です。なお、要支援であっても自宅に浴室がないなど保険者が必要性を認めれば利用ができます。

サービスの種類は、「清拭」、「部分浴」、「全身浴」の3種類があります。

介護保険サービスで訪問入浴を利用する場合は、要介護度別に利用できる単位が異なるため、利用できる一週間の回数が変わります。要介護認定があれば、週2~3回程度の利用になります。

なお、費用は、サービスの種類や要介護度や、所得による自己負担割合、お住いの地域のサポートなどによって変わってきます。

訪問入浴を希望する場合は、まずはケアマネジャーに相談しましょう。

毎日入浴できないので、清潔面でも心配          

入浴には体を清潔に保つなど多くの効果があります。特に汗をかく夏場は、入浴によって汗を流し、体を清潔に保つことができます。

しかし、現実には毎日の入浴が難しい状況のため、清潔面での心配があります。清潔が保てないと臭いなどの問題もでてきます。

デイサービスにおける入浴に関する調査結果でも、満足の1位が「体が清潔でいられる」が79.4%となっており、デイサービスにおける入浴の必要性が分かります。

一方で、毎日入浴ができないことで、「回数が制限される(38.8%)」という声が不満のトップになっています。高齢者にとって入浴は、デイサービスで必要とされるケアの一つです。

引用:東京都社会福祉協議会「デイサービスセンター利用者の入浴に関する満足度調査」

(3)ベット上でも入浴できる「簡易浴槽」              

寝たきりでは、浴室での入浴介助は難しい                      

高齢者にとって入浴は、清潔の保持だけでなく多くの効果が得られるので回数を増やしたいが、入浴の頻度を上げるには課題が多いという声をよく聞きます。

特に寝たきり状態では自宅でも施設でも入浴介助が大変で入浴回数が増やせないという悩みも多いです。

そこで、この章では、解決策となる介護用品をご紹介します。

簡易浴槽を使えば、ベット上でも、寝たままでも入浴できる                          

入浴の課題を解決する簡易浴槽という福祉用具があります。

簡易浴槽には、空気で含まらせるタイプと、組み立て式のタイプがあります。

両者ともに、付帯機器の取り付け工事や、給水・排水などの設置工事が不要なので、簡易浴槽を手配すれば利用ができます。
また、利用については、ベッド上でも、寝たままでも、車いすのままでも入浴することが可能となります。

次の章では、タイプ別に概要とメリットをご紹介します。

(4)簡易浴槽の種類①空気で膨らませるタイプ


出典:https://www.photo-ac.com/

概要

ポリウレタン製の簡易浴槽に空気を入れて含ませて、お湯を入れて利用します。幼児が夏に庭などで遊ぶ簡易プールを体に合わせて細長くしたような形です。

メリット

空気で膨らまらせるタイプのメリットは、次の3点です。

  • ベッドの上など、どこでも利用できる
  • 寝たきりの状態でも利用できる
  • 使わないときは空気を抜いて折り畳んでおくので保管の場所をとらない

商品の紹介

空気で膨らませるタイプの商品のひとつです。この商品は、ポンプを使って膨らませることができ、ベット上でも使用できます。

                       

(5)簡易浴槽の種類②パネルを組み立てるタイプ

概要

強化アルミ製のパネル4枚を正方形上に組み、パネルに付属品のシートをつけて、その中でシャワーを浴びたりして使います。幼児用やペット用のサークルを小型化(車いすサイズ)し、そこにシートをつけたような形です。

メリット

パネルタイプのメリットは、次の4点です。

  • シャワーなども使える
  • 車いすのままでも入れる
  • 入浴中、四方をパネルで囲まれているので、プライバシーが守られる
  • 使わないときは分解しておけるので、保管の場所をとらない

商品の紹介

パネルタイプの商品のひとつです。この商品は、特殊な工事が必要なく、介助者が自力で設置することができます。

参考:簡易風呂.com 介護浴槽「湯っとりあ」コンパクト型

(6)簡易浴槽の選び方・注意点                      

簡易浴槽を手配する際の選び方や注意点についてご紹介します。

ご自宅の浴室の大きさなどを考慮する

簡易浴槽にも複数のサイズが用意されています。

手配する前に、ご自宅の浴室(浴室全体から浴槽を除いた有効部分)のスペースをあらかじめ確認しておきましょう。

浴室のサイズに合った簡易浴槽を手配してください。もしくは、介護用品のお店に相談してもよいでしょう。                     

被介助者の身体の大きさ、体重などを考慮する           

簡易浴槽のうち空気で膨らませるタイプは、使用時のサイズが決まっているため、適用できる身長や体重、体形が限られてしまいます。

空気で膨らませるタイプを利用する場合は、事前に利用者の身長や体重、体形を確認しておきましょう。

介助者の負担がなるべく少ないほうがいい                

簡易浴槽を選ぶ際には、本人の希望や介護状態を考慮すると同様に、介護する人の負担がなるべく少ない方を選ぶことをお勧めします。

また、状況によって適切な商品は違うので、ケアマネジャーや介護用品のお店の方に相談してみるとよいでしょう。

(7)簡易浴槽の介護保険適用                     

簡易浴槽には特定福祉用具販売が適用される                   

簡易浴槽をインターネットで検索すると安価なものでも5万円近くするので、決して安い買い物ではありません。

簡易浴槽は介護保険サービスの特定福祉用具としての販売が適用されるので、基本的には販売金額の1割(所得によっては2割)の負担で購入することができます。

特定福祉用具販売とは             

特定福祉用具販売とは、介護に必要な用具のうち、利用者の肌が直接触れるもに適用される介護保険サービスです。特定福祉用具は、基本的に1割負担で購入することができます(所得が一定以上ある場合は2割負担)。

補助の上限は10万円です。なお、購入にあたっては、お住いの市区町村から指定を受けた事業所から10割負担で購入し、市に申請後、9割分(または8割分)が払い戻しされます。

購入できる指定業者や申請方法などについては、お住いの市区町村または地域包括支援センターにお問い合わせください。                     

参考:WAM NET 特定福祉用具販売

(8)簡易浴槽の使い方            

簡易浴槽の使い方についてご紹介します。         

空気で膨らませるタイプ                

  1. 簡易浴槽を体の下に敷き、空気で膨らませる               
  2. お湯を簡易浴槽に給水する
    *電動ポンプなら家の浴槽のお湯を 4~5分で簡易浴槽に移すことができる
  3.  入浴する
  4.  使用後は簡易浴槽に入っているお湯を捨てる
    *給水と同じく電動ポンプなら排水も数分で完了する                 
  5.  使用後はしっかり乾かしてから折り畳んで保管

パネルを組み立てるタイプ

  1. 3枚のパネルをコの字型に組み合わせる
  2. 設置したパネルにシートをつけて固定する
  3. シャワーキャリー(入浴用の車いす)のまま、簡易浴槽内に入る
  4. 間口となった後方にもシートを附けて、左右のファスナーを上げる
  5. 間口部分にもパネルをつける
  6. 入浴する
  7. ⑥から①の順で片付ける

参考:簡易風呂.com 介護浴槽「湯っとりあ」コンパクト型

(9)入浴介助の注意点        


出典:https://www.irasutoya.com/

入浴を楽しむために次の2点について注意が必要です。

ヒートショックに気を付ける       

入浴は裸になるので冬は当然寒いです。しかも、自宅で入浴する場合、浴室は家の中の北側など陽の当たりづらい場所にあることが多いです。

冷えた体にいきなり暖かいお湯をかけると血圧が大きく変動し、心臓などに大きな負担がかかります。その結果、失神、不整脈などの症状(「ヒートショック」)が起こり、重症の場合は死亡に至ることもあります。

令和元年における高齢者の浴槽内の事故死は4,900人で、交通事故死(2,508人)の約2倍にもなっています。

入浴の際には、

  • 足元から徐々にお湯をかける
  • 浴室を暖房器具で温めておく
  • 事前にシャワーを浴室全体にかけ、浴室内を温めておく

など、温度を急激に変えないための工夫が必要です。

引用:消費者庁 冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-

短時間で済ませる    

入浴は衛生面や気持ちの上で良い効果がある一方、体力を消耗し、心臓に負担をかけてしまいます。

また、入浴時間が長くなると、利用者だけでなく介護者の負担も大きくなります。入浴は10分程度を目安に短時間で済ませるようにしましょう。その他入浴に関するポイントはこちらをご参照ください。

参考:いろはにかいご「入浴介助の手順とポイント」          

(10)お風呂に浸かって、QOLの向上を図ろう                  


出典:https://www.photo-ac.com/

お風呂につかることで、リラックスできたり、得られるものはたくさんある     

入浴はからだを綺麗にするだけでなく、気持ちの面でも良い効果が得られます。さらにお風呂につかることは、リラックス効果や保温・保湿、良質な睡眠につながるなど、心身共に得られる効果がたくさんあります。

自宅でもお風呂に入ってQOL向上を目指しましょう

出来れば毎日でも入りたいお風呂。しかし、現実には週2~3回程度、デイサービスでの入浴だけの方も多く、入浴に不満を持っている方も少なくありません。そこで介護保険サービスで簡易浴槽を使えば、

  • 自宅でも入浴が可能になる
  • 介護者の負担軽減される

になります。ぜひ、簡易浴槽を使って、高齢者のQOL(生活の質)の向上を図りましょう。

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