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介護は突然、始まる!? | 慌てないための心構え・事前準備まとめ

ノウハウ
介護というのは、親のけがや病気で突然始まることもあります。その様な状況になっても慌てないために、介護保険制度のことを知り、親子でコミュニケーションをとったり、具体的な介護計画を決めておいたりすることが大切です。いざというときにトラブルを防ぐためにも、介護に対しての心構えをしておきましょう。
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(1)介護は突然、始まることもある

出典:https://www.photo-ac.com/

親が高齢になり、老化によるケガや大きい病気などの後遺症が残ることもあります。さらには、脳の老化で認知症の発症リスクも高くなります。

厚生労働省のデータで見ると、介護になった原因の男性の1位が脳卒中、4位が転倒、女性の3位も転倒となっています。アクシデントによって、急に介護が必要に迫られることが多くなっています

(出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)」

しかし、介護をした経験がない人はどうすればいいのかわからず、慌ててしまう人がほとんどです。

「知っていれば受けられた制度が使えなかった」などということがないように、今にうちから介護のことを知って、介護を受ける立場、介護をする立場の心構えの準備をしておきましょう。

(2)介護に必要な心構え① 無理をしない

突然、介護が必要になったときに慌てないための心構えとして、介護をする人は決して「無理をしない」ということが重要です。「親の介護なんだから一生懸命がんばらないと」と思う気持ちもわかりますが、じつはそれが落とし穴なのです。

なぜ「無理をしてはいけない」のか、その理由を5つご説明します。

  1. 子どもの看病は快方に向かうことが多いですが、親の介護の場合は、現状維持やなんとか老化を緩やかにするのがほとんどなので、介護負担がどんどん大変になる。
  2. 介護をする期間が長期になりやすく、介護者が疲弊してしまう。
  3. 家族なので24時間365日一緒にいることになり、介護者にストレスが溜まる。
  4. 自分が頑張りすぎることで周りが見えなくなり、介護共依存の関係に陥ってしまう危険性がある。
  5. 介護疲れは、介護うつや虐待などのリスクが高くなる。

マラソンもはじめから全力で走ると途中でバテてしまいます。介護は長期戦なので無理は禁物です。

(3)介護に必要な心構え② 相手の気持ちを考える

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1713469

介護に必要な心構えとして、もう1つ。介護は相手の気持ち、つまり、介護を受ける側である親の気持ちを考えることが必要です。

親子といっても過度の介護は介護を受ける親の負担が増えてしまいます。その一例を挙げてみます。

  • 子どもが熱心に介護をするので、親が子供に「そこまでしなくていい」など本心を言いづらくなる。
  • 介護が行き過ぎることで親子が一緒にいる時間が増えて、介護される親が息苦しくなる。
  • 介護がいきすぎることで、親がまだ出来ることまで子どもが代行してしまうことで、親の残存能力を奪ってします。
  • 親子とはいえトイレや入浴の介助を、異性(母の介助を息子、または父の介助を娘)に任せるのが恥ずかしい。

などです。思い込みや慢心をせずに、介助をされる側にたって考えることが大切です。

(4)今から心がけてほしいこと

コミュニケーション不足の弊害

今後の介護に向けて、今からできることがあります。それが親子の“コミュニケーション“です。意外に思われる方も多いと思いますが、実はこのコミュニケーション不足が介護を行いときにネックになることがあります。

起こりうる弊害の例

  • 親が求める介護と子どもが望む介護のズレによって、親子の関係がギクシャクしたり、介護保険サービスのスタッフが親子間の板挟みになってしまう。
  • 認知症の場合、親の本心や考え方がわかりづらいことが多い。
  • 終末期医療での治療方針や延命措置など、本人よりも家族の意向が優先されやすい。
  • 介護や医療など経済的な負担のことが置き去りになりやすい。
  • やっと介護施設に入所できるようになったのに、本人の拒否で入所できなかった。

といったトラブルが起こりやすいのです。

トラブル予防

介護や医療を受ける際にトラブルを避けるために、今から親子で具体的な話をしておきましょう。それをノートなどに残しておくと、いざ介護を受ける段階で、介護をする子どもは介護方針について再確認することができます。

また、親族なども本人の意向ということで意思統一が図りやすくなります。さらにケアマネージャーがケアプランを作成する際にも本人の意向に沿ったケアプランが作成しやすくなります。

話し合っておく内容の例

  • 介護や医療にかけられる月々の金額
  • 望まない介護サービス(近所のデイサービスなど)
  • 治療方針(手術は嫌、薬漬けは嫌など)
  • 延命措置(いわゆる“スパゲッティ症候群”は嫌など)

最近では、“エンディングノート“や”終活“なども一般的になっているので、「縁起でもない」と思わず、ぜひ前向きな準備として、話し合いをして、記録を残していきましょう。

(5)今からできる介護への事前準備① 介護保険のしくみを知る

親が介護を必要になったとき、子どもはどうすればいいのでしょう。すべて子供が介護をしようとしても、日中は働いて家にいない、そもそも介護の知識も技術もない、そんな方が多いのが現状です。

そこで、知っておきたいのが「介護保険サービス」です。介護保険サービスとは、

  • 市町村が保健者となって行う公的な介護サービス
  • ケアマネージャーがサービスの内容を考えてくれて、事業者との調整をしてくれる
  • 体の状態(要介護度)に応じて受けられるサービスが変わってくる
  • サービスの利用料は利用料の1~3割負担で済む

といったサービスです。

所得や介護度によって、利用できるサービスが異なる

この他にも、介護を受ける親の所得や介護度などによって、利用できるサービスの種類や利用料の減免措置などいろいろな制度、市独自の高齢者向けの支援制度があります。

しかし、介護保険サービスを含めた公的サービスは基本的に申請主義なので、知らないとサービスを受けられないこともあります。ぜひ、介護保険の仕組みや市の高齢者支援の制度について知っておきましょう。

介護保険や高齢者支援のサービス内容については、役所の窓口などに無料のパンフレットや冊子があります。また、市によってはホームページからもダウンロードできます。

(6)今からできる介護への事前準備② 介護サービス・施設の種類を知る

介護の事前準備をするうえで、まずは介護サービスや介護施設の種類を知ることが必要です。この章では、介護サービスや介護施設についてご紹介します。

介護施設の種類

介護施設は、「事業運営者」と「利用対象者」の2つの観点から見ると、大きく4タイプに分けることができます。

介護施設の大別4タイプ

以下が、その施設の一例です。

訪問介護(ホームヘルパーサービス)

定期的に自宅にヘルパーが来て、家事や身体の介助をしてくれます。

訪問入浴介護

入浴設備などを備えた入浴車が自宅に来て、専門のスタッフによる入浴介助をしてくれます。

訪問看護

定期的に看護師が自宅に来て、医療処置をしてくれます。ただし利用には医師の指示書が必要です。

訪問リハビリテーション

定期的にリハビリ専門職(理学療法士や作業療法士など)が自宅に来て、リハビリをします。

通所介護(デイサービス)

定期的に介護施設に行き、集団で介護を受けます。介護の内容はレクリエーション中心のタイプや認知症予防のプログラム、運動に特化したタイプなどいろいろあります。

通所リハビリテーション(デイケア)

定期的にリハビリ施設に行き、リハビリ専門職の指導でリハビリをします。訪問型に比べて施設の器具が充実しています。

短期入所生活介護(ショートステイ)

介護老人保健施設などに短期間だけ入所し、食事や入浴、排せつなどの介護やリハビリを受けられます。

家族が泊りで出かける際や介護者の休息(レスパイト)をとるときなどにも利用できます。

特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)

介護付きの有料老人ホームなどに入居して、食事や入浴、排せつなどの介護を受けられます。

小規模多機能型居宅介護

通所サービスを中心として、利用者の状況に応じて、訪問サービスや宿泊を組み合わせて、食事や入浴、排せつなどの介護を受けられます。

認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)

認知症の方を対象にした施設で、共同で食事や入浴、排せつなどの介護が受けられます。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

常に介護が必要な状態で、自宅で生活するのが困難な高齢者が入所し、生活に必要な介護を受けます。ただし、入所できるのは原則として要介護3以上の方です。

介護老人保健施設(ろうけん)

退院後など病状は安定している物の、自宅での生活に課題がある高齢者などが入所し、日常の介護と在宅に向けてのリハビリを受けられます。

介護医療院

日常的に医療ケアが必要な高齢者や、看取り・ターミナルなどの方介護の機能と、生活施設のとしての機能を兼ねた介護保険施設です。平成30年4月に創設された新しい施設サービスです。

(7)今からできる介護への事前準備③ 介護費用の相場を知る

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2339758
 

介護の事前準備で大事なのが“費用”です。自宅での介護と施設での介護を考える際には、本人の年金などの収入で利用できるサービスや、本人の希望を叶える場合、どの程度のお金が必要になるのか介護費用の相場を知ることが必要です。この章では、一般的な介護相場について在宅での介護の場合と施設での介護の場合に分けてご説明します。

介護保険サービスの費用負担

介護保険制度のサービスは、在宅でも施設でも要介護度によって、1ケ月に利用できるサービス料が変わってきます。

介護度 支給限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

さらに、サービスにかかる費用のうち自己負担割合は、本人の所得に応じて1割から3割の負担となっています。

(出典:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」)

在宅介護の場合

在宅介護の場合は、生活支援をヘルパーサービスで、身体のケアをデイサービスやリハビリなどで行います。

また、在宅介護の場合は、自宅をバリアフリー化するリフォーム代金の補助制度(住宅改修)や、ベッドや車いすなどの福祉器具の購入補助、レンタル制度も1割から3割分で利用できます。

その他にも市独自の制度でタクシー券補助やオムツ券補助などのサービスもあります。

在宅介護の場合は、本人は住み慣れた自宅で生活できるという最大のメリットです。ただし、体の状況によっては家族の支えが必要になります。

要支援や要介護1くらいであれば、まだ家族の負担もそれほど大きくありませんが、要介護4や5になると、夜間のオムツ交換や食事、入浴の介助などで介護者の身体的、精神的負担が大きくなります。

施設介護の場合

施設介護の場合は、施設の職員が全面的に介助をしてくれるので、家族の身体的負担や精神的負担は、在宅介護に比べれば少ないです。また、施設では看護師が在中していたり、医療機関と連携していることが多いので健康面においても安心できます。

ただし、施設利用料に加え、食事代などの負担分があるので経済的負担が大きいのが特徴です。また、施設介護は集団生活なので、本人が施設の人間関係や集団での行動(レク、食事、体操など)に馴染めるかどうかが大きなポイントです。

さらに、施設介護を希望しても施設の空き状況次第によっては、なかなか入所ができないということがあります。

在宅介護と施設介護の比較

これより在宅介護と施設介護の費用面で違いについて事例をあげてご説明します。

事例(要支援3、負担割合1割の場合)

在宅介護 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム
介護サービス 27,048円 23,340円 20,130円
施設利用料 0円 60,180円 115,000円
管理費 0円 0円 98,000円
食費(1ケ月) 41,760円 54,000円
光熱水費 0円 0円
合計 27,048円+α 125,280円 287,130円

*インターネット調べ

*在宅介護における食費や光熱水費などは、同居している人数や生活スタイルによる

*有料老人ホームの施設利用料や管理費は家賃相当分なので立地場所によって変わります。

1ケ月の介護費用は、一時的な介護費用69,000円、毎月の介護費用が78,000円というデータもあります。      

これだけ見ると、有料老人ホームや特別養護老人ホームといった施設介護の方が在宅介護よりも費用が高く感じますが、在宅介護の場合は家族の介護負担や食事の提供、掃除など金額に換算できない部分があることをご留意ください。

(参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査平成30年」)

(8)今からできる介護への事前準備④ 相談場所を知る

今からできる介護への事前準備4つ目は、介護についての相談場所を知っておくことです。

介護のことは、本やインターネットで概要を知ることはできますが、個別具体のケースで経済的な負担や受けられるサービスが変わってきます。また、住んでいる市によって高齢者向けの制度も違います。まして、プライベートな話もあるので、専門の相談場所で相談しましょう。

主な相談先

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、市町村が設置している福祉の専門相談場所で、介護に関する専門職が配置されています。相談の費用も掛かりません。連絡先は役所に電話、またはホームページで確認できます。

役所の窓口

介護保険制度や市町村が独自でやっている高齢者支援の各種制度の相談ができます。また、高額介護費の減免制度、サービス利用料の自己負担割合などの手続きの窓口になります。

社会福祉協議会

傾聴ボランティアや金銭管理の支援、成年後見人制度、生きがいづくりなどの地域の活動などの案内、相談などができます。

生活支援コーディネーター

生活における地域の社会資源、地域の活動などの情報やマッチングについて相談できます。名称や窓口の設置場所は市町村によって違うので、役所に確認が必要です。

民生委員

お住いの地区を担当している民生委員は、詳細事項までは分からくても、必要とする窓口へ繋いでくれます。何かあれば気軽に相談できます。

(9)今からできる介護への事前準備⑤ 家族と介護計画をたてる

今からできる介護への事前準備5つ目は、家族で介護の計画を話し合って、記録を残すことです。

話し合う内容は、「みんな交替で介護をしよう」といったざっくりとしたものではなく、できる限り細かく決めておく方が、実際に介護が必要になったときにスムーズにいきます。

話し合っておくことの例

  • 本人と介護する家族、それぞれの経済的な負担の上限
  • 子供が親の家に切れる頻度(週何回、月何回など)
  • 毎日の食事は、自分で作るのか、子どもが作るのか、ヘルパーを依頼するのか、配食サービスを利用するにかなど
  • 洗濯や掃除の分担
  • 買い物は、子どもが行くか、宅配サービスを使うかなど
  • 介護施設は絶対NGか、それとも条件(海が近い、出身地、思い出の場所)次第でOKか
  • デイサービスのタイプ(レク中心のデイや、リハビリ中心のデイ、近くはNGなど)

これらを話し合って、記録に残しておけば、いざ介護が始まったときに、本人や家族がブレることが少なく、スムーズに介護が進められます。

もちろん、体の状況や考え方の変化などがあれば、その都度、家族で話し合って、記録した内容を更新していけばいいのです。

(10)急な介護に慌てないためにも介護の心構え・事前準備はしておこう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2338002

突然、介護が必要になったときに慌てないためには、介護の心構えや事前準備が必要です。

「介護はまだまだ先だから」と言っていると、突然、介護が必要になったときに慌ててしまいます。

今から、家族間で介護に関する本人の希望、経済的なこと、介護する側ができる役割分担などを話し合って、計画を立てそれを記録しておけば、介護が必要になったときでも慌てずにスムーズに利用ができます。

「転ばぬ先の杖」ではありませんが準備と心構えは必要です。まずは、家族で介護のこと、話してみましょう。

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