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(1)クローバーマークとは
クローバーマーク(身体障害者標識)とは
クローバーマークとは、肢体不自由のため運転免許に条件が付されている場合、自動車に表示するマークです。2002年6月1日の道路交通法改正において「障害者に係る免許の欠格事由の見直し」に伴い導入され、正式名称「身体障害者標識」とよばれています。
クローバーマークの表示は努力義務
クローバーマークは、身体障害者標識のコンセプトに沿ったデザインを通じ、周囲の車の運転手に注意を喚起するなどの目的のもと、利用者の親しみや視認性などから一般応募の結果選定されました。
しかし、マークの表示は努力義務となり認知度はまだまだ低い現状です。
本記事では、そんなクローバーマークについて、表示対象者や表示するメリット、マークの申請/取得補応報などについて詳しく説明していきます。
(2)表示対象者
表示対象者の要件
クローバーマークの表示対象者は肢体不自由な方で、運転免許に免許条件(手動式・左アクセル等・下肢障害によるAT限定など)が付与されている方です。
表示対象者の例外
肢体不自由とありますが、骨折など一時的な疾患の治療中、加齢によるものは対象となりません。すなわち、ここでいう肢体不自由とは、先天的・後天的かを問わず、四肢麻痺や欠損、体幹機能障害があり日常生活や動作などに不自由がある方を指します。
また、内部疾患障害者や聴覚障害者、視覚障害者は対象とはなりません。聴覚障害があり運転免許に条件が付されている方は「聴覚障害者標識」の提示が義務(罰則あり)となっています。
身体障害者手帳を交付されている方の約半数を占め、身体障害者福祉法上の障害の分類では最も対象者が多いとされています。
肢体不自由の要因の多くは脳疾患(脳性まひなど)とされ、加齢により股関節疾患や脳血管障害などで肢体不自由となるケースが多いといわれています。
(3)表示義務はある?
2002年の道路交通法改正に伴って制定されたクローバーマーク(身体障害者標識)は、肢体不自由によって自動車の運転に影響があり免許に条件が付された場合、マークを提示するよう努めなければならないとされています。
しかしクローバーマークの提示は「努力義務」となっており、表示しないからといって罰則などはありません。
(4)クローバーマークを貼るメリット
クローバーマーク最大のメリットは他の運転者に対して配慮を求められる点でしょう。詳しく解説していきます。
初心者同様の対応をしてもらえる
クローバーマークを提示している車は初心者マークを提示している車と同様の配慮が他の運転者に求められます。他の運転者はクローバーマークを提示した車の保護義務があり、幅寄せや割込みなどは行ってはいけないと規定されています。
実際に罰則もあり、クローバーマークの提示車両に対してこのような行為をした場合は「初心運転者等保護義務違反」となります。具体的には、
- 大型車(中型車を含む) 7,000円
- 普通車・二輪車 6,000円
- 小型特殊 5,000円
の罰金に加え、行政処分点数 1点が課されます。悪質で違反がより重い場合には刑事処分となり、5万円以下の罰金が課されます。
「クローバーマークや車椅子マークを表示していると駐禁をとられない」、というのは嘘。
なお、クローバーマークや車椅子マークを表示していると「駐禁をとられない」という噂がありますが、全くのデマなので気を付けましょう。駐車禁止規制のある道路で駐車できるのは駐車禁止等除外標章だけなので、必要な方はあらかじめ取得しておくことをおすすめします。
(5)「車椅子マーク」との違い
車椅子マークとは
勘違いされやすいマークのひとつとして「車椅子マーク」が挙げられます。車椅子マークは車椅子が必要な障害者が乗車しているマークとして認識されがちですが、身体障害者標識とは異なります。
本来の意味は、障害がある方々が利用できる施設や建築物、公共機関、車椅子対応の車両や低床車両などに提示される世界共通の国際シンボルマークであり、健常者への配慮を促すマークとされています。
車椅子マークに法的拘束力はない
車椅子マークには法的効力がなく、ホームセンターや100円ショップなどで誰でもが購入できます。障害者でない方が車椅子マークを車両に提示しても罰則がありません。そのため障害者が乗車していない一般車両に提示され悪用されるケースが問題視されています。
車椅子マークは個人の車で使用するものではありません。使用されている車には何の意味もありませんし、身体障害者用の駐車スペースに優先的に駐車できる免罪符となるわけでもありません。
しかし、身体障害者用の駐車スペースにノーマークで駐車することに躊躇したり、避難される声があることから車、椅子の必要な障害者が同乗している目印として使用されている方は少なくありません。
(6)様々な自動車標識との比較
自動車標識の中には、クローバーマークと似たようなものや意味を混同しそうになるものがあります。
高齢運転者標識
クローバーマークと最も形が似ているのは、クローバー型をした高齢運転者標識(高齢運転者マーク)で、2011年2月に登場しました。それまでは「もみじマーク」などと呼ばれていた、2色のものに代わって登場しました。70歳以上で身体機能低下が運転に影響を及ぼすおそれがある人に「努力義務」として表示を促していて、表示の義務や罰則はありません。
聴覚障害者標識
聴覚障害者が普通自動車を運転者する際に、聴覚障害を持つことで免許に条件を付されている場合、自動車に表示するマークです。全体が蝶のように見えるマークです。
(7)クローバーマークはどこに貼る?
クローバーマークや各種マークについて、軽自動車、普通自動車が表示対象となり、「車体の前と後ろ両方、地上0.4~1.2メートル以下の視認性の高い部分」に表示することが定められています。
フロントガラスに表示するのは違反となりますので注意しましょう。
(8)クローバーマークの取得方法
クローバーマークはどのように取得できるのかご説明します。
購入場所
クローバーマークは各都道府県の安全協会、運転免許試験場内の売店、カー用品店、ホームセンターで購入できます。取り扱いがされていない場合はインターネットで扱っている店舗もあります。
クローバーマークのタイプ
クローバーマークには、マグネットタイプのものと、吸盤タイプの二種類があります。
マグネットタイプ
マークがマグネットになっていて車体表面に貼ることができるタイプです。車体にペタンと貼るだけなので簡単で入手もしやすいことがメリットです。
しかし、長時間貼り続けると車体にマークの跡が残ってしまうため、定期的にマークをはがし、車体をきれいにして改めて貼りなおすようにしましょう。
吸盤タイプ
車内の窓ガラスから外に向けて貼ることができるタイプです。フロントガラスやリアガラスに貼られている車をよくみかけますが、道路運送車両法の保安基準によりフロントガラスに貼ることは禁止されているので注意が必要です。
吸盤タイプを貼る際に注意しなければいけない点は、リアガラスが暗くなっていないかということです。スモークフィルムなどを貼っている場合、大切なクローバーマークの視認性が悪く、周りの運転者に認識されないケースがあります。
マグネットタイプも吸盤タイプも300~1000円程度で販売されており、最近ではデザイン性が高くおしゃれなクローバーマークも販売されています。
(9)使用する際に申請は必要か
基本的には申請は必要ないが、必要な自治体もある
クローバーマークを使用する際、特別な申請や障害者手帳などの提示は必要ありませんが、自治体によって申請が必要なところもありますので確認しましょう。これは、実際にはクローバーマークを必要としない人が不正利用をしないように、事前申請を求める自治体もあるからです。
ですので、実際にクローバーマークの表示を考えている方は、念のため「クローバーマーク 申請 ~町(お住いの場所)」といった具合にインターネット検索をしたり、お近くの市役所などに直接聞いたりするなどして事前に確認するのがよいでしょう。
クローバーマークは肢体不自由を理由として限定免許を取得した方が車体に貼るものなので、障害者手帳の提示や特別な届け出や申請は必要ありませんが、免許証に何らかの条件が記載されていない場合、効力はありません。
(10)クローバーマークを貼って、安全運転を心がけよう
クローバーマークは、まだまだ認知度が高くないマークではありますが、肢体不自由の方が運転をしやすくなるために必要なマークです。安全運転はクローバーマークの有無にかかわらず、常日頃から心がけ自分や周囲の運転者も守らなければいけません。
肢体不自由があり運転に影響を及ぼすかもしれないという場合は、自分や周りを守るためにもクローバーマークを貼って、安全運転を心がけることが大切です。
なによりも自分自身を周りにアピールするためにもクローバーマークは必要なものとなるでしょう。