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障害者手帳の一つ「精神障害者保健福祉手帳」保有のメリット・デメリット

ノウハウ
精神障害者保健福祉手帳は精神障害のある人の自立や社会参加を促すためにつくられたものです。皆さんはこの「精神障害者保健福祉手帳」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 精神障害者保健福祉手帳を持つことの判定基準や申請方法のほか、メリットやデメリットなどを解説します。
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(1)3種類ある障害者手帳

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/430332

「精神障害者保健福祉手帳」は「精神障害者手帳」とも呼ばれ、「障害者手帳」のうちのひとつです。この障害者手帳はさまざまな障害を持つ人が取得することができる手帳の総称で精神障害者手帳のほかにも「身体障害者手帳」、「療育手帳」のあわせて3種類があります。

精神障害者手帳

精神障害者手帳は、一定程度の精神障害の状態認定する手帳です。精神障害が、一定の障害にあることを証明するもので精神障害のある方が、自立した生活と社会参加への一助となることを目的としています。

そのほかの障害者手帳

精神障害者手帳のほかに、身体障害者手帳、療育手帳があります。

このうち身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて、身体の損傷や視力低下、血液の疾患といった、定められた障害程度に該当すると認定された場合に交付される手帳で、さまざまな機関で福祉サービスを受けることができます。

療育手帳は、療育手帳は知的障害のあることを証明する障害者手帳です。ただし、法律で定められた制度ではなく、地方自治体の裁量で交付されることから、全国一律の基準がありません。このため、たとえば東京都や横浜市は「愛の手帳」埼玉県は「みどりの手帳」など名称もさまざまです。

本記事ではこの精神障害者保健福祉手帳について詳しく解説していきます。

(2)精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)とは

精神障害者手帳はこのような状況にあって、精神保健福祉法に基づき、長期にわたり日常生活、あるいは社会生活を営むことが制限されている人の社会復帰や自立を支援することを目的として交付される手帳です。

内閣府の発表によれば、精神疾患を持つ人は近年増加傾向にあり、こころの障害に関する社会的な認知も進んできています。

このことから、精神障害者手帳を持っている人には自立と社会参加の促進を図る目的でさまざまな支援策が講じられています。

(3)精神障害者手帳の対象者

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504414

精神障害者手帳は何らかの精神疾患によって日常生活や社会生活に長期にわたって制約のある人を対象に交付されるものです。また、対象となるのはすべての精神疾患であり、以下のようなものを含みます。

  • 統合失調症
  • うつ病、そううつ病など気分障害
  • てんかん
  • 薬物およびアルコールによる急性中毒またはその依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

なお、知的障害は上記のような精神疾患がない場合、精神障害者手帳ではなく療育手帳制度の対象となります。ただし、知的障害と精神疾患をともに有している場合には両方の手帳を受けることが可能です。

(4)精神障害者手帳の3等級とその判定基準とは

精神障害者手帳の区分は3つあり、1等級から3等級となっています。また、判断基準となる厚生労働省の各等級に該当する要件は以下のようになっています。

等級 判定基準
1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)
2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金2級に相当)
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金3級に相当)

具体的には、1級の場合、精神障害によって、外出や食事の用意、入浴といった身の回りのことが常に誰かの援助がなければ行えない状態を指します。

次に2級では、援助がなくても外出や障害者自立支援法に基づく就労支援などによって単純な作業はできるものの、予想外の出来事や本人がストレスを感じる状況に直面すると対処できないような状態となります。

そして3級は、外出や障害者自立支援法に基づく就労支援のほか、一定の配慮がある職場で一般就労も可能でも、本人が過大なストレスを感じる状況に直面すると、ひとりで問題解決することが難しい状態です。

(5)精神障害者手帳を持つことで得られるメリット① 税金の控除が受けられる

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504436

精神障害者手帳が交付されている場合、その人が納税者か、控除対象配偶者や扶養親族である場合、等級に応じて所得金額から一定の金額が控除され、所得税や住民税が軽減されます。

同じように精神障害者手帳1級の人が同居している場合には、配偶者控除や扶養控除の加算も受けられるほか、相続税や贈与税でもさまざまな特例が設けられています。

また、自治体によって該当する等級や減免内容は異なりますが、精神障害者手帳が交付されている人が所有している自動車の自動車取得税・自動車税・軽自動車税の減免を受けられることもあります。

(6)精神障害者手帳を持つことで得られるメリット② 障害者雇用枠の求人に応募できる

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504437

障害者雇用促進法によって定められている

障害者雇用促進法では、障害者を従業員全体の2.2%以上雇用しなければならないと定めています。つまり常勤職員44.5人以上の企業は一人以上障害者を雇わなくてはいけないということです。この基準は2018年4月に引き上げられたものです。

この雇用率を満たしていない場合、事業主は障害者雇用納付金を徴収され、満たしている場合には障害者雇用調整金が支給されます。

このため、企業では障害者雇用を推進していますが、この雇用率に算定されるのは、障害者手帳が交付されている人だけです。つまり、精神障害者手帳を交付されていると、一般採用のみならず、障害者の採用枠でも応募できるため、就職の選択肢が広がることになります。

また何より、現在の日本社会は、精神障害を持っていることで、安定した雇用形態で勤務することや、就職そのものが、障害を抱えていない人と比べて困難な場合も多く存在するという残念な現実を抱えています。

障害者の採用枠で就職することで、自分の能力や描いたキャリアプラン、適性に応じた働き方ができ、周囲の理解も得やすいほか、通院や治療に配慮してもらえるというメリットもあるのです。

(7)精神障害者手帳を持つことで得られるメリット③ 各種サービス費用・公共料金の割引

従来、鉄道やバスなどの公共交通機関の割引サービスは身体障害者や知的障害者には適用されていましたが、現在では精神障害者も運賃割引の対象となってきています。

割引サービスが行われているかどうかは個別に確認が必要ですが、自治体によっては、タクシー利用券の交付やガソリン代の助成が実施されていることもあります。

また、障害や世帯の状況によってNHKの放送受信料が半額割引や全額割引となる場合もあり、携帯電話各社では、料金の割引サービスも行われています。

(8)精神障害者手帳を持つデメリット

精神障害者手帳を持つこと自体に大きなデメリットはありませんが、申請の際には医師の診断書が必要で、これには5,000円~10,000円ほどの費用がかかるほか、2年ごとの更新も必要です。

また、精神障害者手帳を持つこと自体に抵抗感がある人も少なくないようです。こうした心理的負担を感じるようであれば、無理をして精神障害者手帳持つ必要はありません。

自分が本当に必要だと感じたときに取得を考えればよいのはもちろんですが、精神障害者手帳がなくても受けられる障害年金や自立支援医療(精神通院)の申請をするという方法も考えられます。

障害者手帳を持つメリットについてはこちら

障害者手帳の等級 | 持つメリットや受けられるサービス

(9)精神障害者手帳を申請する方法および必要書類

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1713469

申請の手順

精神障害者手帳を申請するには、まず市区町村の障害福祉担当窓口で精神障害者保健福祉手帳用の診断書を入手し、精神疾患の治療で受診している医療機関の主治医や専門医に記入してもらいます。

これを障害福祉担当窓口に申請書や申請する本人の証明写真とともに提出します。このとき、マイナンバーカードの提示も同時に必要となります。

申請が完了すると審査が行われ、通過すると、およそ1ヶ月~4ヶ月で精神障害者手帳を受け取ることができます。

必要な書類

申請に必要な書類は、上記の申請書、診断書、証明写真、マイナンバーカードのほかに本人確認のための運転免許証やパスポート、障害年金証書の写しなどがとなります。

このほか代理人が申請する場合には委任状や申請者本人の健康保険証といった代理権の確認ができる書類と、代理人の身元確認書類ができる運転免許証などが必要です。

(10)ニーズに合っているか確認してから申請しよう

精神障害者保健福祉手帳は精神障害を持つ人が自立するとともに社会活動に積極的に参加できるよう、さまざまな支援を受けられるメリットがあります。

精神障害者手帳を持つことで、割引や給付など金銭面での負担の軽減ができれば生活をより充実させることもできます。一方で持つことをためらう人がいるのも事実です。

そこで精神障害者手帳の申請を検討しているのであれば、まずは市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみるとよいでしょう。

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