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遺書の書き方 | その内容や遺言書・遺言証書との違い

ノウハウ
遺書の書き方には、特に決まりはありません。法的拘束力もないため、家族や近しい人に向けて個人的な思いや希望を書いておきましょう。遺書の内容や保管方法、また遺言書やエンディングノートとの違いについてもくわしく解説していきます。
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(1)遺書を書く意味

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/781934

遺書は、自分の死後に意思を伝えるために記しておく文書のことです。たとえば、家族や親族、友人や知人などの周りの人、あるいは会社や学校といった組織に向けて書くものです。ほかにも、マスコミを通じて一般に公開するケースもあります。

残された人に対して、自分が生前にどのような考えを持っていたのか、死後にどのようなことを希望しているのか、といったことを書き記しておきます。

遺書はあくまでプライベートなものなので、その内容もほとんど個人的なメッセージとなります。書き方にも、特に決まりなどはありません。

しかし、遺産相続などの意思を示す場合には、法的な効力が必要となりますそこで、法律に則った「遺言書」を正しい書き方で記しておく必要があります。

(2)遺書の書き方① 時期

遺書の書き方は人によってさまざまです。

一般的には、死の直前に書き記すイメージが強いかもしれません。しかし、現在ではまだ元気なうちから、終活の一環として残しておくケースも増えています。

死は、誰にでもかならず訪れます。そして、その時期は誰にも分かりません。したがって、遺書を記すのに早すぎるということはないのです。

定年退職や入院、子供や孫の誕生などをはじめとした、人生のさまざまな節目で、自分の将来や死について考えてみることがあるでしょう。そこで、どうしてもこの思いだけは残しておきたい、と感じたことを、自分の好きなときにメッセージにしておけばよいのです。

また、実際に余命宣告を受けたときは、精神的なショックに加え、葬儀や埋葬、財産処分などが家族にとっても現実的な問題となります。自分自身で物事を判断できるうちにそれらを片付けておくことは、その負担を和らげることにもつながります。

(3)遺書の書き方② 形式

遺書はいわゆる私的文書なので、書き方なども特に決まっていません。

もともと法律的に有効なものではないので、書式や文量などの成約も一切ありません。どのような書き方でも、まずはとにかく自分の思いが伝わるように心がけましょう。便箋やノート、レポート用紙など、何に書いても自由です。分かりやすいように、封筒などに入れて宛名などを記しておくとよいでしょう。

書き方に決まりがないので、紙に記すだけではなく、ビデオにメッセージを録画して残したり、音声テープに録音して残しておいたりすることもできます。

現在では、パソコンやメモリーカード、クラウドサービスなどにデータとして保存しておくこともできるでしょう。ただし、この場合は実際に本人が記したものかどうか分からない、あとから第三者が手をくわえやすい、といったデメリットもあります。パスワードをかけておくなどの工夫も必要になるでしょう。

(4)遺書の書き方③ 内容

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2019680

遺書の書き方は自由なので、その内容も人によって大きく異なってきます。基本的には、家族や友人、知人などに伝えておきたい、知っておいてほしい、お願いしたいことを記す書き方が多くなります。

たとえば、自分の人生を振り返って、そのときどきの思いや気持ち、そして感謝の言葉などを述べるとよいでしょう。書き方としては、手紙を書くときと同じような感覚で問題ありません。

また、下記のような必要な手続きを記しておくと、家族や同僚の負担を軽くすることができます。

  • 終末期に延命治療を行うかどうか
  • 自分の死後に行われる葬儀や墓の手配
  • ペットの世話
  • インターネット上のサービスの整理

財産処分についても、遺書で希望を示しておくことはできます。ただし、法的な効力がないため、必ずそのとおりに実行されるかどうかは保証がありません。

その点については、別に遺言書も作成しておくほうが確実です。

一方、どうしてそのような遺産相続になったのかという説明や、家族間同士での揉め事は避けてほしいといった個人的なメッセージなどは、遺書に記しておくとよいでしょう。

(5)遺書の保管方法

遺書の保管方法についても、書き方と同じように人によってさまざまです。

たとえば、遺言書のように法的な効力がある場合は、その内容に不服がある人間などによって捏造や破棄される恐れがあります。そのため、金庫や公証役場に保管したり、信頼できる第三者にあずけておくことが望ましくなります。

一方、遺書ではそのような心配は必要ありません。むしろ、自分の死後にも人目につきやすい、分かりやすいところに保管しておくほうがよいでしょう。

たとえば、引き出しやタンスのなかは、死後の整理で家族にも見つけやすい場所です。仏壇なども、つねに目に触れるので分かりやすいでしょう。

ただし、書き方によっては、メモ書きなどと勘違いされて読まれない可能性もあります。しっかり遺書だと分かるように、封筒に入れて、宛名などを記しておくようにしましょう。

パソコンやメディアに保管しておく場合には、見方が分からずに、結局家族に伝わらない可能性も出てきます。パスワードや操作方法なども、かならずメモで残しておきましょう。

また、遺書は以前書いたものを書き直したり、破棄したりするケースも少なくありません。そのときに、どこへ保管したか忘れてしまわないように、できるだけ自分の把握しやすい場所に保管することも大切です。忘れてしまいそうだと感じたら、死後のことも考え、あらかじめ家族に伝えておくとよいでしょう。

(6)遺書を書き直す場合

遺書では、そのとき感じていることを率直に記します。しかし、実際にはそのあとで考えや思いが変わってくるケースもよくあるものです。ほかにも、家庭環境や経済状況に変化があったり、あるいは以前書き忘れていたことを思い出したりすることもあるでしょう。

基本的に遺書の書き方には決まりがないので、訂正や追加、あるいは新しく遺書を書き直すことも自由です。

ただし、新しく書き直した場合には、以前に書いた内容と食い違いがあると、それを見た家族に混乱をまねいてしまいます。かならず、古い遺書は破棄しておくようにしましょう。

また、日付を記しておけば、どれがもっとも新しい遺書であるかが誰でもひと目で分かります。基本的に新しいものを正式な遺書とするので、日付を記す書き方も心がけておきましょう。

(7)遺書と遺言書の違い

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504436

遺書はあくまでプライベートな文書で、その内容に法的拘束力はありません。

一方、遺言書は民法にもとづいて作成され、死後の遺産相続や財産処理、子供の認知、一般財団法人の設立などをあらかじめ決めておくことができます。これらの内容は法的に守られているので、勝手に書き換や破棄を行うと罰則対象となり、相続人の資格も失います。

遺言書には、葬儀や埋葬の方法なども記すことはできますが、これらに関する具体的な法的拘束力を示した規定がないため、必ずしも実行されるとはかぎりません。

このように、遺言書には強力な法的拘束力があるため、書き方もかならず正式な形式にのっとっている必要があります。その内容は、日付や署名、押印などの書式から、訂正の仕方まで厳密に決められています。

書き方の不備以外にも、認知症で意思能力がない、第三者の意思が反映されている、15歳未満である、などの場合はその効力が認められません。

(8)遺書と遺言証書の違い

「遺言証書」とは、民法で定められた形式にしたがって遺言を記した法律書面のことです。

一般的には、このような条件を満たした書面のことを「遺言書」といっています。つまり、遺言証書とは遺言書の正式名称と考えればよいでしょう。

ちなみに、法律であつかわれる場合には、「遺言」は「ゆいごん」ではなく「いごん」と読まれます。

遺言証書には、作成や保管の方法によって、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言、「秘密証書遺言」の3種類があります。いずれも形式にのっとった書き方を満たしていれば、法的な効力などに違いはありません。

(9)遺書とエンディングノートの違い

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1860797

近年では、遺書の代わりとしてエンディングノートを利用するケースが増えてきました。

エンディングノートも遺書と同じように、家族や友人、知人への個人的なメッセージ、あるいは死後の希望などを記します。法的拘束力がないので、書き方が自由な点も同じです。

最大の特徴は、エンディングノートにはあらかじめ記入項目が用意されていることです。それを埋めていくだけでよいので、遺書では書き方が分からないという人にも、とても書きやすい形となっています。

メッセージ以外にも、生年月日や本籍地、保険証や免許証、病歴などの個人情報、友人や知人のリスト、連絡先、パソコンやスマホのパスワード、利用しているサイトのIDなど、さまざまな記入項目があります。

これらを家族が共有できることで、緊急時にも手続きがスムーズに行えます。

ほかにも、延命治療や介護、葬儀、埋葬などについて、あらかじめ意思を示しておくことができます。遺産相続や財産処分などの項目もありますが、こちらは法的拘束力のある遺言書も別に作成しておくほうがよいでしょう。

エンディングノートは市販品以外にも、サイトからのダウンロードやスマホのアプリも利用できます。自治体によっては配布を行っているところもあります。

(10)遺書の書き方を知って実際に書いてみよう

高齢になると、病気や怪我など、いつ何が起こるか分かりません。そんなもしものときに遺書があると、自分だけではなく家族にとっても大いに役立ちます。

特に、持病をかかえている人や、認知症の不安がある人は、判断力が衰えてしまう前に、しっかり自分自身の意思を示しておくことがとても大切です。

遺書はあくまで個人的なメッセージなので、書き方に縛られる必要はありません。自分の思いや希望など、大まかな書き方を知って、まずは実際に書き出してみましょう。それによって、自分自身の気持ちが整理できるのもよい点のひとつです。

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