(1)納骨式とは
納骨式とは遺骨を納めた骨壺をお墓の中に入れる儀式のことを言います。
納骨式の時期は、仏式の場合は四十九日の法要後に行うのが一般的です。この四十九日前は中陰と言い、死者が次に生まれ変わる先を決める期間と言われています。この期間は骨壺は中陰壇などに祀ります。
納骨式の全体の大まかな流れは次の通りです。
納骨式当日の流れ
- お墓に供花や焼香台を並べて、施主(遺族代表)が参列者にお礼のあいさつをする。
- 僧侶による読経がなされ、納骨室のふたを開けて遺骨を納める。
- 納骨室のふたを閉じてから再び読経をしてもらう。
- 参列者による焼香開始。この時、遺族から始まって近親者・知人の順番となります。
- 納骨式後の会食。四十九日法要と納骨式を一緒にする場合、納骨式後、会食をする場合が多いです。
(2)納骨式に香典は必要?
香典とは、故人への供養の気持ちを表現するものです。葬儀という急な出費を手助けする意味合いもあり、参列者が施主に渡すものでもあります。納骨式においてもこの香典は必要となります。
ただし、お通夜や告別式では香典の持参は必須ですが、納骨式では香典の額に違いがある場合があります。
また、香典をいただいたら香典返しをするのがマナーです。
香典袋に現金を包む
香典は香典袋に現金を入れてお供えします。
香典の表書きは亡くなった時期によって「御霊前」「御仏前」と書き方が変わってきます。
また宗派・宗教によっても袋の包み方、書き方が異なるので、葬儀や法要の施主となる家の宗派は事前に調べておくとよいでしょう。香典の書き方については後ほど詳しく説明します。
(3)納骨式の香典の相場
納骨式での香典の相場は、お通夜や葬儀の時よりやや少なめに包みますが、法要と一緒に行う場合は法要の相場に合わせる必要があります。
それぞれ状況別に香典の相場を見ていきましょう。
法要と納骨式を一緒に行う場合
納骨式をいずれかの法要と同じ日に合わせて行う場合は、その法要に適した金額を持っていきましょう。
たとえば四十九日と納骨式を同じ日に行うとしても、2回分の香典を持参する必要はなく、四十九日の相場の金額のみを用意していきます。
納骨式を行われることの多い四十九日では、故人の親は1万円から5万円、兄弟・姉妹は1万円から5万円、祖父母やおじ・おばの場合は5千円から3万円程度が相場になっています。親族ではない関係者の場合は、3千円から1万円程度の香典をつつむと良いでしょう。
いずれかの法要を納骨式と一緒に行うとしても、2回分を持参する必要はありません。その法要に適した金額を香典に包み納めます。
納骨式のみの場合
納骨式のみの場合は1人当たり5千円~1万円ほどが相場となっています。
納骨式だけの場合は、故人と関係が近い人のみ招かれることが多いため、間柄に関係なく一般的にこのくらいの金額を用意しておくのが無難です。
四十九日や一周忌に行う場合
四十九日や一周忌は法要の中でも特に節目となる時期です。このときは遺族や関係者などが大勢集まり、会食も併せて法要・納骨式を行うことが多いです。
そのため、四十九日や一周忌の際は会食代として通常の相場より5000円ほど足した額をもっていくとよいでしょう。
立場別の香典の金額の相場
納骨式での香典の相場は故人との関係性によって異なります。故人との関係が近いほど金額は大きくなる傾向にあります。
故人との関係 | 金額 |
親 | 1万円~5万円 |
兄弟・姉妹 | 1万円~5万円 |
祖父・祖母 | 5千円~3万円 |
その他親族 | 5千円~3万円 |
親族ではない関係者 | 3千円~1万円 |
(4)香典の包み方
相場が分かったら、次に香典の包み方について学んでいきましょう。香典は中袋と香典袋を使って包みます。それぞれ分かりやすく説明していきます。
中袋の包み方
用意した現金は直接、香典袋に入れるのではなく中袋に包んでからいれます。
封筒を中袋として使用する際は、お札の向きに注意する必要があります。
遺族が中袋を開けた際に一万円札の文字を頭から読める向きが良いとされているので、お札の肖像画の側面が上になるように入れましょう。
半等紙を使用する場合は逆に、肖像画の側面が下に来るように包みます。間違えないように注意しましょう。
香典袋の包み方
香典袋には封筒タイプと1枚の和紙や半等紙で折り込むタイプのものがあります。
封筒タイプはそのまま入れればよいだけなので、ここでは折り込むタイプのほうの包み方を説明していきます。
まず、外包み(和紙や半等紙)の上に中包みをやや左下寄りに置きます。
初めに横を折りたたんでいきます。このとき紙の比率が少ない折り目から折りたたんでいきましょう。
裏返しに、縦を下側→上側の順で折ります。
水引の種類に気をつける
香典袋には、「水引(みずひき)」と呼ばれるひもを結びます。
結婚式などで使うご祝儀袋で目にしたことがあるかもしれませんが、水引は一般的に贈答品へ結んでおくるもので、「人と人を結びつける」という意味合いがあるともいわれています。
葬儀や法要の場合はお祝い事ではないので、ご祝儀袋で使用されるような赤や金の色の水引は避けて、白と黒のものを選ぶようにしましょう。
関東では「双銀」のものや白と黒の水引が多く、関西ならば黄色と白の水引を使うこともあります。
水引きが印刷された和紙もあるのでそういったものも活用してみるといいかもしれません。
香典は袱紗に入れて持ち歩く
香典を用意できたら、袱紗に包んで納骨式に向かいます。
袱紗とは、お金を持ち運ぶ際につつんでおくためのもので、香典袋が汚れたり折れてしまったりすることを防ぐほか、相手を思いやるという気持ちを表すものになります。
様々な色の袱紗がありますが、結婚式などのお祝い事では暖色の袱紗、葬儀・法要などのお悔やみ事では寒色の袱紗を用意します。紫の袱紗はどちらの場合にも使用できますので、紫のものを一つ持っておくと安心です。
(5)香典の書き方
包み方が理解できたら次は表書きの書き方です。
(2)でも説明しましたが、表書きは、個人のなくなった時期、宗教・宗派によって異なります。それぞれ見ていきましょう。
仏教の場合
多くの仏式では四十九日までは「御霊前」、四十九日後は「御仏前」と書きます。
しかし浄土真宗では「御霊前」は適さないと言われます。この宗派は霊の存在を認めていないからです。浄土真宗では死者はすぐ仏になったとされるので「御仏前」と書きます。
また、曹洞宗など禅宗においても「御霊前」は使いませんので注意しましょう。
キリスト教の場合
カトリックは「御霊前」を認め、プロテスタントは認めてないと、宗派によって考えが異なりわかりにくいので、キリスト教の場合は共通して使われている「御花料」と書くとよいでしょう。
「御花料」と書くときには、キリスト教専用の香典袋に包んで渡します。十字が印刷されている袋です。
そのほかの袋を使用する際には、蓮の花が描かれたものは仏式なので使わないように注意しましょう。
神道の場合
神道では基本的に「御霊前」と書かれます。
香典袋は蓮の花が入ったものは仏式なので避け、シンプルな水引を使うようにします。表書きは「御玉串料」「御榊料」が一般的です。
(6)香典の渡し方
香典は会場につき受付をする時に渡します。
ノート形式で自分の名前や住所を書く場合と、個別カード形式で書く場合とがあります。最近は後で管理しやすい個別カードが増えているのでこの場合の渡し方を紹介します。
まず、自分の受付の番がきたら個別カードに必要事項を記入し、係の人に渡します。
渡す際は、受付でお辞儀をし「この度はご愁傷様でした」と声をかけ、ふくさから香典袋を出し、「御霊前(御仏前)にお供えください」と言います。準備した香典は、袱紗に入れて持っておきます。
夫婦で参加する場合は、それぞれ別々に用意する必要はありません。二人分を一緒に包んでもっていき受付時に渡します。名前などを記帳する際は一般的に連盟で書きます。しかし、別々に書く場合もあるので、受付の人に聞いてみるのが無難でしょう。
マナーを守った渡し方を心がけましょう。
(7)納骨式で香典以外に必要な費用
納骨式で、施主側にはいろいろなお金も必要になります。具体的にどのような費用がかかるのでしょう。
僧侶へのお布施
納骨式のとき当日お渡しする金額ですが、3万円程度を考えておきましょう。四十九日法要と一緒にお願いするときは、5万円~10万円包んで渡すケースが多いです。
納骨式後の会食費
納骨が終わった後、会食をするのであればその費用も必要です。施主は事前に近くの料亭・レストランなどに予約を入れます。そのためには早めに参列者の人数を把握しておくことも大事です。
僧侶が会食に出られない場合、5千円程度をお渡しすることも忘れないようにしましょう。
(8)香典返しのマナー
香典返しの時期
四十九日法要が終わって、2週間以内には品物をお届けできるようにします。
ですので初七日が終わったあたりから準備をするのがベストでしょう。時期があまりにものびてしまえば、感謝の気持ちが伝わりにくくなります。もしどうしても遅れた場合には、そのお詫びの手紙と同時に品物が届くようにします。
費用の相場
金額の相場は「半返し」と言われ、頂いた香典の約半分の価格の品物を送るのが一般的です。1万円頂いた場合は5千円程度の品を返すことを目安にします。
お礼状は?
香典返しを宅配便で届ける場合、お礼状も一緒に送るといいでしょう。香典のお礼や無事に四十九日法要が終わり、納骨ができたこと、戒名のお知らせをします。
(9)香典返しはどんなものを選べばいいの?
香典返しにふさわしい品物は、「消えもの」(後に残らないもの)と呼ばれるものです。
お菓子やお茶などは定番商品ですが、消耗品としてタオル・石鹸もおすすめです。
一方、タブーな品物は「四つ足生臭もの」と言われるお肉とお魚などの”なまもの”です。この「四つ足生臭もの」は地域の慣習や宗教上問題で香典返しの品物として避けれてきました。
失礼にあたる可能性が高いためなまものは香典返しの品物として選ばないようにしましょう。
ここで人気がある香典返しの品物をいくつか紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
八女茶
煎茶・玉露の2種類のお茶がセットになった香典返し専用のギフトです。忌明け挨拶状が付いており、パッケージは伝統ある落ち着いたデザインになっています。
料金はAmazon価格で4,320(税込み)になります。
ヨックモック
お菓子で人気の香典返しは20本入りのヨックモックです。
これは誰にでも喜ばれるのでお返しとしては無難な選択だといえます。
料金はAmazon価格で1,458円(税込み)になります。
今治タオルセット
生活用品として人気の香典返しはこの今治で丹精込めて作られたタオルセットです。
桜柄と落ち着いたかわいらしいデザインになっております。優しくやわらかな風合いに仕上がっています。
料金はAmazon価格で1,269円(税込み)になります。
また、最近は相手に選んでもらえる「カタログギフト」を香典返しとして贈ることが増えてきています。贈る側は品物選びに使う時間が削減でき予算が合わせやすくなります。
準備する時間がない、何を送ればいいのか分からないという方は返しようのカタログギフトを贈るのもいいかもしれません。
(10)納骨式の香典のマナーには事前に確認しておこう
今回は納骨式とは何かといったことから納骨式の流れ、またそれを踏まえたうえで香典のマナーについてご紹介しました。
マナーと言うと、ついつい堅苦しく考えてしまいがちですが、本記事でも説明した大事なポイントをおさえておくことと、不安な場合はその都度施主に相談することさえ忘れなければ、失礼には当たりません。
参列者へ感謝の気持ちが伝わるように、施主側は納骨式や香典返しをしっかりと行い、参列者は故人との思い出を大切にして、納骨式にのぞんでください。