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救急車を呼ぶ前に知っておきたい6つのポイント | 相談窓口や料金など

ノウハウ
救急車を呼ぶ前には、患者の状態を見極め本当に必要か判断し、安易な利用は控えるのはもちろんのこと、その他の適切な搬送オプションを知っておくことが大切です。もちろん、判断がつかない場合は救急車を呼ぶべきですが、呼ぶかどうかの判断基準となる注意点があります。救急車を呼ぶべきとされる患者の症状および相談窓口、救急車以外の搬送方法や救急車のを呼ぶ手順などについて説明しています。
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(1)救急車を呼ぶ前に注意すべきこと

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1810467

近年、救急車の出動件数および搬送人数はともに増加傾向にあり、救急隊員の現場到着もより多くの時間を要するケースが増えています。

これは、救急出動の件数が増加したことにより、緊急患者にもっとも近い場所に待機している救急車が出動できず、やむを得ず遠方の救急車が出動しているケースが増加しているためです。自分自身や、家族をはじめとする身近な人の体調が悪くなった場合、動揺してしまうのは仕方のないことです。

しかし、救急車は「限りある資源」です。本来救急車を必要としている人が必要なときに利用できるよう、救急車を呼ぶ前に、呼ばなければならないのかの判断は適切に行わなければなりません。

そこで、緊急時に救急車を呼ぶ前に迷わず迅速な判断をくだせるよう、判断のポイントや注意点、救急車での搬送が必要な症状などを、日頃からきちんと確認しておきましょう。

(2)救急車の利用者が増加している背景

消防庁によれば、平成29年中の救急出動件数の速報値は、救急車による救急出動件数が634万2,096件(対前年比13万2,132件増、同2.1%増)、搬送人員は573万5,915人(対前年比11万4,697人増、同2.0%増)と、ともに過去最多を記録を記録しています。

救急車の出動件数が増加している要因としては、急病の傷病者の増加や高齢の傷病者の増加が挙げられます。

一方で、明らかに軽傷であるにも関わらず救急車の出動を要請していたり、医療機関までの交通手段として(または、医療機関が到着先でない時ですら)救急車を要請しているといった利用の増加もあります。このため、救急車で搬送された患者の約半数は入院を必要としない軽症者である、というのが現状です。

(3)救急車を呼ぶ前に① 症状の緊急性はあるか

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/367007

救急車を呼ぶ前に確認したい一つ目のポイントとして、症状の緊急性が挙げられます。

実際に緊急性が高い症状とはどんなものでしょうか。判断するポイントは、年齢によっても異なってきます。そこで、15歳以上(成人)と15歳未満(小児)それぞれについて、注意点を確認しておきましょう。

15歳以上(成人)

頭の症状における注意点

  • 突然の激しい頭痛起こった
  • 突然の高熱を発した
  • 突然支えないと立っていられないほどふらつく

顔の症状における注意点

  • 顔の半分が動きにくかったりしびれがあったりする
  • 笑うと口や顔の片側がが歪む
  • 呂律が回らなかったり、うまく話せない
  • 視野に欠けがある
  • 突然物が二重に見える
  • 顔色が非常に悪い

胸や背中の症状における注意点

  • 突然激痛を訴える
  • 急に息切れや呼吸困難を起こした
  • 胸の中央が締め付けられたり、圧迫されるような痛みが2~3分に渡って続いたりする
  • 痛みのある場所が移動する

腹部の症状における注意点

  • 突然激しい腹痛を訴える
  • 激しい腹痛が続いている
  • 吐血・下血がある

手足の症状における注意点

  • 突然痺れを訴える
  • 突然片方の手や足に力が入らなくなる

その他の症状における注意点

  • 意識障害(呼びかけても応答がなかったり、ぐったりして意識が朦朧としている)
  • 痙攣(痙攣が止まらない、あるいは止まっても意識がない)
  • けが・火傷(大量の出血を伴う外傷や広範囲の火傷)
  • 吐き気(冷や汗を伴うような激しい吐き気)
  • 飲み込み(食べ物を喉に詰まらせるなどし、呼吸が苦しい)
  • 事故(交通事故、高所からの転落、水におぼれたなど)

15歳未満(小児)

頭の症状における注意点

  • 頭痛を訴え、痙攣がある
  • 頭を激しくぶつけ、出血が止まらなかったり、意識がないほか、痙攣があったりする

顔の症状における注意点

  • 唇の色が紫色で呼吸が弱い

胸の症状における注意点

  • 激しい咳をしたり、ゼーゼーといった呼吸音がする
  • 呼吸が苦しい

腹部の症状における注意点

  • 激しい下痢や嘔吐があり、水分が取れず、食欲もなく意識がはっきりしない
  • 激しい腹痛で苦しがっている
  • 血便が出ている

手足の症状における注意点

  • 手足が硬直している

これら以外でも、年齢に関わらず普段と様子が著しく違う場合には、救急車を呼ぶ必要がある可能性があります。

(4)救急車を呼ぶ前に② 相談窓口に電話

上記のような症状があってもなくても、一般の人の目から見るだけでは、症状の程度や本人の様子次第では救急車を呼ぶ前に迷うことはあるでしょう。そのような場合でも、救急車を呼ぶ前に居住している都道府県や市町村の救急相談窓口に相談することができます。

例えば、共通の短縮ダイヤル「#7119」による電話相談窓口では、消防と医療機関が連携し、救急医療相談と医療機関に関する情報が提供されています。

救急車を呼ぶ前に#7119を利用すると、医師や看護師、相談員から、病気やけがの症状によって、病気やけがのの緊急性や救急車要請の必要性に関する助言、受診手段や医療機関の案内などを受けることができます。ただし、#7119の人口カバー率は平成29年10月末現在で36%にとどまっているので、利用の際は注意が必要です。

▼#7119については以下の記事で詳しく解説しています。

(5)救急車を呼ぶ前に③ 小児の救急相談窓口

#7119以外にも、小児の場合には「こども医療電話相談事業」による専用の「#8000」で救急相談が可能です。

これは、保護者が休日や夜間などに小児の症状にどのように対処したらいいか迷った場合、#8000に電話することにより、居住している都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医や看護師に相談することができるものです。

この事業は全国で実施されているため、いつどこにいても小児の症状に応じた対処の仕方や医療機関をアドバイスしてもらうことができます。

(6)救急車を呼ぶ前に④ 呼ぶべきか調べるためのアプリ

電話窓口以外にも、最近では消防庁から病気やけがにおける適切な対応をサポートしてくれるスマートフォンアプリ「Q助(きゅーすけ)」がリリースされています。

Q助では、画面上で該当する症状を選択していくと、緊急度を「いますぐ救急車を呼びましょう」、「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」、「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」、「引き続き、注意して様子をみてください」といった4段階で判定することができます。

また、緊急度が高い場合には即座に119番できるほか、電話で伝えるべきポイントを確認できたり、医療機関の検索や救急車以外のタクシーなどによる移動手段を検索することも可能です。

(7)救急車を呼ぶ前に⑤ 救急車以外の搬送手段

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/404121

救急車を呼ぶほどではないと考えるものの、それでもできるだけ早く医療機関に到着したい気持ちには変わりがないでしょう。その際、自力で搬送する以外に、主に2つ搬送手段があることをここでご紹介します。

介護タクシー

意識がはっきりしていたり、自力で動くことができる場合には、自家用車やタクシーを使って医療機関を受診するのが適切ですが、要介護者の場合、体調が悪化することなどを考慮し、介護タクシーを利用する方法もあります。

介護タクシーは、車内に専用の設備が準備され、看護師やホームヘルパーが同乗するため、安心して利用できます。

患者等搬送事業者

家族などによる搬送が難しい場合には、消防が認定した患者等搬送事業者による民間救急車を利用したり、救命講習を修了している運転手が乗務するタクシーを利用する方法もあります。

(8)救急車を呼ぶ前に⑥ 夜間や特定療養の場合、医療費加算も

緊急性がないにもかかわらず安易に救急車を呼んで医療機関を受診すると、特に夜間などでは通常の診療費用とは別に、診療報酬点数表における、「時間外加算」を請求されることがあります。

時間外加算の種類は「時間外」、「休日」、「深夜」で、初診と再診でも加算される金額が変わってきます。

また、紹介状を持たずに200床以上の病院を受診した場合、特定療養費が加算されます。これは、「かかりつけ医」と「急性期中核病院」機能分担を進める目的で定められているからです。このように、症状の緊急性だけでなく、受診する時間帯や受診先の医療機関の広さなども考慮して医療機関を受診しないと、医療費の予期せぬ増加にも繋がるため、注意が必要なのです。

(9)救急車を呼ぶ際の基本的な手順

ここまで、救急車を呼ぶ前に適切な判断がくだせるように注意点を解説してきましたが、以下では実際に救急車での搬送が必要と判断し、「119番」通報する際の流れを説明します。

救急車を呼ぶ際の、基本的な手順は以下の通りです。

  1. 119番に電話をし、「救急」であることを伝える
  2. 住所と道順を伝える
  3. 搬送が必要な人の氏名、年齢、性別を伝える
  4. 症状を説明する
  5. 指示を待ち、それに従う
  6. 救急車が近づいたら誘導する
  7. 救急隊員に状態を説明する

このほか、携帯電話からの119番通報をすると、消防本部の境界付近の場合、管轄以外の消防本部へ電話が繋がることがあります。その際には管轄の消防本部に電話が転送されるので電話を切らずに待ちます。このため加入電話があれば、そちらを使用するようにします。

また、患者に同行する際には、戸締りや火の始末に注意し、家族がいない場合には近所の人に伝えておくようにしましょう。

(10)救急車を呼ぶ前には注意が必要

ここまで説明したように、救急医療を本当に必要としている人が適切に救急車を利用することができるようにするためだけでなく、自分(達)の出費などをできるだけ抑えるため、という意味でも、安易に救急者を呼ぶことは得策ではありません。

「病院まで楽に行けるから」「交通手段がないから」といったような理由で呼ぶべきものでないのも、当然のことです。

また、緊急性が低い場合に、救急車以外にどのような搬送方法があるのかも知っておく必要があります。救急車を呼ぶ前に適切な対応を取り、必要であればスムーズに救急車を利用できるようにしましょう。

▼関連して、救急車の料金については以下の記事で詳しく解説しています。

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