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終活とは│やっておくべき3つのことと遺言書を書くときの注意点

ノウハウ
2012年には新語・流行語大賞にもなった「終活」という言葉。聞いたことはあっても具体的に何をするのか、何から始めればいいのかわからないことも多いかと思います。この記事では、終活で行うエンディングノートの書き方や遺言書の書き方、お墓を選ぶときのポイントなどをわかりやすくまとめました。
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(1)終活とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/306562

終活とは、「人生の終わりについて考える活動」を略した造語で、2012年には「新語・流行語大賞」にも選ばれ、すっかり定着しました。

「人生の終わり」というと、どうしてもネガティブなイメージを持ってしまいますが、終活には「自分らしい人生を最後まで送るための準備ができる」ことや、自分の死後に「残された家族の負担を減らす」ことができる、といったさまざまなメリットもあります。

理想的な人生の終わりを迎えるために、あなたも終活について考えてみませんか。

(2)終活の考えが広まった背景

終活がこれほどまでに広まった背景には、やはり日本の高齢化があげられます。流行語大賞に選出された年は「団塊の世代」と呼ばれる方々がちょうど定年退職を迎えるころで、日本が本格的に高齢化社会を迎えたという象徴的な年でもありました。

さらに、団塊の世代が自分の親の介護や死を経験し、死と向き合うことが増えたことや、現在では団塊の世代も70代を迎え、自分自身の老後や介護について考え始める年代になってきたことも大きく影響しているのではないでしょうか。

(3)終活ということをするメリット

終活、すなわち、自身がいない後のことに考えを馳せることで、自分自身のみならず家族にとっても様々なメリットがあります。

死後も自分の意思を実現できる可能性が上がる

終活のメリットのひとつは、自分の人生の終わりについて自分の意思を家族に伝えることができる、ということです。延命医療に関すること、葬儀のこと、お墓のことなど、自分の死に際して死後のことに意思表示ができる貴重な機会となります。

これらの事柄に関しては、病状などが進み、自分の意思を示すことが難しくなってから初めて意識するパターンもあります。その際に、あらかじめ自分の望む方式を伝えておくと、スムーズな、かつ自分の意思を盛り込んだ形でことが進む可能性が上がるといえるでしょう。

各種相続手続きがスムーズにいく

非常に残念ながら、両親の遺産を巡って兄弟姉妹の間を分かつ争いが起こってしまうケースが、非常に多く存在します。もちろん、兄弟姉妹の間で話し合いが穏便にすみ、大きなトラブルにならなければそれでよいのですが、ベストは、故人が事前に自身の意思を書面などに残しており、その通りに相続手続きがなされる、というケースでしょう。

もちろん、税制度やその時の家庭の経済状況も関係してくるので、「誰にいくらか」、といったことまで決めることは非常に難しいといえます。ですので、簡単にでもいいので自分が望む形を何かしらの形で残すことを一つのゴールとしてみましょう。

自分の余生を充実したものにするためのきっかけになる

また、残された人生の時間を有意義に過ごすために死をひとつのゴールとして考え、これまでの人生を振り返り、やり残したことやお世話になった人のこと、家族のことなどを考えるきっかけにもなります。

自分のこれまでの人生とこれからの人生と向き合うことで、余生をより良いものにできるでしょう。

死後に家族間でトラブルとなりやすい遺産相続についても、終活を通して自分の希望を伝えることや意思表示ができます。

(4)終活ですることその1 エンディングノートを書く

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1860797

終活ですることの具体的な例をあげると、

  • エンディングノートを書くこと
  • 老後のお金の計画
  • 終末期医療に関する意思表示
  • 介護についての意思表示
  • 葬儀やお墓の準備
  • 不要品の処分
  • 遺品の譲渡先に関する意思表示
  • 遺言書の作成

などがあります。

「エンディングノート」とは

エンディングノートとは、その名の通り、死ぬまでの間に自分が送りたい理想の余生を描き、それを記すためのノートです。

エンディングノートには、正式な規格や書式、必要項目などはなく、自由になんでも書くことができます。新しいノートを用意して思いついたことを書いてもいいですし、市販されているエンディングノートを使用することもできます。

自分の現在の健康状態やこれまでの人生について、葬儀やお墓についての希望や意思など、書く内容や情報量は人それぞれになります。

エンディングノートと遺書の違い

「自分の考えや意思を家族に遺す」というと、遺書を書くことも終活のひとつの方法です。

「遺書」は自分の気持ちを誰かに伝えるために書くもので、エンディングノートと同じく特定の書式はありません。エンディングノートとの違いは、遺書では感謝や謝罪といった自分の気持ちを特定の誰かに伝えたいときに書く、ということです。

エンディングノートで人生を振り返りつつ、誰かにどうしても伝えたいことがあれば、その人宛てに遺書を書くのもいいでしょう。

(5)エンディングノートに書く内容

エンディングノートを書く、といっても何から書けばいいのか迷う方も多いかと思いますが、特定の書式や必要項目がないのがエンディングノートなので、何から書いても、何を書いてもいいのです。

まずは、自分自身の情報から始めるのが書きやすいのではないでしょうか。自身の誕生から学生時代のこと、就職、結婚、子供の誕生など、これまでの人生のライフイベントのことと合わせて、生年月日や出生地、本籍地、当時の居住地、家系図といった、「家族が知らないかもしれない情報」をまとめます。

書いていくうちに、お世話になった人や友人のことなど、死後に連絡してほしい人のことも思い浮かぶかもしれません。友人知人の連絡先や契約している保険、年金の情報、銀行口座、クレジットカードの情報といった、死後に家族が困らないように自分自身についても情報をまとめておくことが、エンディングノートの基本です。

その他、エンディングノートに書く内容としては、介護や延命医療についても希望、葬儀やお墓についての希望や準備した内容、財産について、遺言書の有無や相続についてなどです。

上で挙げた内容は、あくまで「エンディングノート」の内容として考えられる一例です。より詳しくエンディングノートを書いてみたい、という方は、ぜひ以下の記事も併せてご覧ください。

→『終活ノート(エンディングノート)とは | 書き方や内容、注意点

(6)終活ですることその2 遺言書をかく

終活の一環として遺言書の作成があります。遺言書には「自分の財産を誰にどのような配分で分けるか」を指定する役割があり、作成した後でも内容を書き換えることができます。

今後の希望や意思を書くエンディングノートと違い、遺言書には法的効力があります。

終活で遺言書を作成したほうがいいケース

終活では必ず遺言書を作成しないといけない、というわけではありません。遺言書を作成したほうがいいケースとしては、

  • 子供や相続人がいない場合
  • 財産に不動産がある場合
  • 家業を継いでほしい人がいる場合
  • 内縁関係のパートナーがいる場合
  • 認知していない子供がいる場合
  • 財産を渡したくない相手がいる場合

などがあてはまり、遺言書の内容は法的な相続割合よりも優先されます。

ただし、民法の法則に則して作られていない遺言書は無効となり、効力を発揮しない可能性もあります。せっかく作成した遺言書が無効にならないよう、遺言書の種類による違いを十分に理解しておく必要があります。

(7)遺言書の種類(「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がある)

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/650678

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三種類があり、それぞれに作成するときのポイントがあります。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、「自筆によって遺言をするには、遺言者がその全文、日付及び氏名を自筆し、これに判を押さなければならない」という民法第968条に規定された遺言方法です。

自筆証書遺言を書くときのポイントは、

  1. 必ず自筆で書くこと
  2. いつ書いたのかを明確にすること
  3. 署名と押印をすること

の三点で、録音や映像で残すこと、夫婦共同の遺言とすることはできません。

メリットとして、自筆ができて押印ができればいつでも作成できること、作成するときに費用がいらないこと、書き直しができること、書き方が自由なことがあります。

ただし、書き方を間違えると無効になること、死後に遺言書を開封するときに家庭裁判所での検認手続きが必要なこと、偽造や紛失のおそれがあることがデメリットです。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、遺言者が公証役場で公証人に遺言内容を口頭で伝えて、公証人と共同で作成する遺言書です。

専門家のチェックが入ることで確実性があり、無効になることがないのが特徴です。遺言書を開封するときにも、家庭裁判所での検認手続きが不要です。

ただし、公証人に依頼するために費用がかかり、すぐに作成することができません。

また、公正証書遺言の作成には証人が二人必要で、「二十歳以上で親族ではなく、財産の贈与を受けたことがない・受ける予定のない人」という規定があります。あてはまる人がいない場合は、弁護士や公証役場の公証人に依頼することができます。

秘密証書遺言とは

秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に自筆で書いた遺言書を公証役場に持っていく、という方法です。

公正証書遺言と同様に証人が二人必要ですが、証人も公証人も遺言の内容を見ることができないため、本人が書いたことは明確にできても、不備があって無効になる可能性もあります。遺言の内容を秘密にしても、死後には遺族に公開されるので、選択するメリットは少ないかと思います。

(8)遺言書が無効になるケース

遺言書には上記のとおりの三種類がありますが、それぞれが無効となってしまうケースとはどのような場合でしょうか。

公正証書遺言の場合は、公証人立ち会いのもとで作成するため、無効になるケースはほとんどありません。

自筆証書遺言が無効になるケース

自筆証書遺言が無効になってしまうケースには、単純に日付を書き忘れた場合や、「●年●月吉日」のような特定できない形で記入した場合、書き間違いを二重線で訂正した場合があります。遺言書の修正は方法が決まっていて、二重線で訂正して訂正印を押してから遺言書の最後や空白に「●行目●文字削除し●文字追加した」と追記し、自筆署名が必要となります。

その他、他人が代筆していたり、パソコンでの作成は「自筆で書くこと」という自筆証書遺言の要件を満たしていないため、無効になります。

秘密証書遺言が無効になるケース

公正証書遺言と同様に証人と公証人が必要なので、不在で承認された場合には無効になります。また、遺言書が入った封筒に遺言者と公証人、証人の署名捺印が必要なため、ない場合は無効になります。

また、いずれの遺言方法でも、遺言者本人がかなりの高齢である場合や認知症などで「遺言の内容を理解していない」と判断される場合には、無効になる可能性があります。

(9)終活ですることその3 お墓を決める

終活は、自分のお墓について考える機会でもあります。

「田舎に先祖代々のお墓があって、自分はそこに入るから準備しなくていいだろう」と思うかもしれませんが、自分の死後には家族が納骨をして、その後も定期的に法要やお墓参りができるのか、ということを考えなければなりません。

お墓が現在の生活基盤から遠く離れている場合には、実家のお墓は処分して居住地の近くで新しくお墓を建てるという選択肢もあります。

お墓には、家墓・個人墓・両家墓・夫婦墓・共同墓・永代供養墓・納骨堂などさまざまな種類があります。

今後、子供や子孫が同じ場所に住んでお墓参りができる見込みがあれば、先祖代々の墓である「家墓」が選択できます。独身だったりお墓を継承する子供がいない場合は、永代供養をしてくれる一代限りの「個人墓」や夫婦だけで入る「夫婦墓」、「永代供養墓」が選択肢になります。

お墓を選ぶときのポイントは?

いずれのお墓を選ぶにしても、お墓を決める前にチェックしておきたいポイントがあります。

電車やバスなどの公共交通機関でのアクセスがいいか、車でのアクセスが便利な場所にあり、駐車場もあるかなど家族がお墓参りをすることを考慮して、交通アクセスがいい場所にあることが望ましいです。

墓地全体の清掃が行き届いているか、お墓の掃除がしやすいか、管理状況や設備などもチェックしたいところです。立地によってはお墓に枯れ葉がたまってしまったり、水はけが悪いとカビの原因となります。

また、近くに電線があるとお墓が鳥のフンで汚れて掃除に手間がかかります。定期的に掃除をすることを考えると、墓地に水道があることも重要です。

(10)終活について考えることで自分と家族のこれからを見つめなおそう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2332583

終活は、若いときのこれからの人生設計とは違い、自分のこれまでの人生の総括という現実的な内容になります。

余生をどう過ごすのか、死後のことも含めて人生の締めくくりを具体的に考えるきっかけになります。終活で人生を振り返ることで自分を見つめなおし、これからをより良く生きることができるでしょう。

自分だけでなく、家族とも葬儀やお墓について一緒に考え、いざというときに家族が困らないように元気なうちから備えましょう。まずは、エンディングノートを書くことから始めてみてはいかがでしょうか。

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