介護に関わるすべての人を応援します

介護共依存とは?親子・母娘が陥りやすいケース、原因や解決方法

悩み
親の介護となると、知らないうちに頑張りすぎている方も多いのではないでしょうか。介護共依存とは、介護を受ける親が過度に頼ったり、介護する側が期待に応えようとすることで起きます。介護共依存にならないためにはどうしたら良いのか、陥りやすいケースなどを紹介していきます。
公開日
更新日

(1)介護共依存とは 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/306562

超高齢により、要介護認定を受けた人が667万人を超え(令和2年1月末現在)、介護を受ける人が増えています。同時に介護をする家族も増えています。そんななか、“介護共依存”という問題がクローズアップされています。

(出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告」

共依存

夫婦間や親子間では、お互いに頼ったり、頼られたりしながら生活をしていますが、これが過剰になることがあります。一方は過剰な期待をしたり、頼ったりし、もう一方は、その期待に対して、他のことを犠牲にしてでも応えようとしてしまいます。

このため、頼る方は頼る相手を過干渉や過保護にしたり、頼る人がいないと何もできなくなってしまいます。頼られる方は頼られていないと不安となり、頼る人の奴隷に関係になってしまいます。こういった精神状態を「共依存」といいます。

共依存は、親子であったり、夫婦、恋人関係で起きていて、夫婦や恋人関係では“DV”といった問題も起きています。親子であれば「母子カプセル」と呼ばれ、介護においては大きな問題になることがあります。

介護共依存

“親の介護を子どもが担う“ことは、よくあることです。しかし、この親子間の介護も共依存の関係から問題が起きることがあります。

親は「自分の子どもだから、私のためにもっと〇〇してほしい」と頼ってしまい、子どもは「母の期待に応えよう」と頑張りすぎてしまいます。

特に母と娘の介護では、介護共依存の傾向があり、娘は母のためにと、”母の介護がすべて”という考え方になってしまうことがあります。こうなると、ヘルパーやデイサービスのスタッフに介護を任せられなくなり、母は娘だけに介護を任せ、娘は自分だけで介護をしようとします。これが介護共依存です。

この記事では、親子による“介護共依存”の具体的なケースや原因、解決方法についてご説明します。

(2)親子の介護共依存の原因 

なぜ、親子による介護共依存が起きてしまうのでしょう。この章では親子の介護依存がおきてしまう3いの原因をご紹介します。

母子カプセル型

親子の関係性がとても近い場合があります。

親は子供に対して過度の理想や期待を持ちすぎてしまい、過干渉や過保護になってしまいます。子どもは、親からの過干渉や過保護が愛情のひとつと勘違いしてしまい、無理をしてでも親の期待に応えようと頑張りすぎてしまいます。

このように、家の中という狭く同じ空間で母子が共依存していることを母子カプセル型といいます。

外部の声が入らず、共依存がどんどん進行してしまう危険な状態なのです。

介護が生きがい

子どもが親の介護に熱心に取りくむことは素晴らしいことですが、度を過ぎてしまうと危険な状態になります。「母が喜ぶから」、「私がやらなきゃ母がダメになっちゃう」と介護が子どもの生きがいになってしまうと、介護への気持ちがどんどんエスカレートしてしまい、介護共依存になってしまうことがあります。

他人に任せられない

介護が生きがいになってくると、「自分だから上手くできた」、「私が介護したから喜んでくれている」といった感覚に陥り、他のスタッフが信用できずに任せられなくなります。

そうなると「ヘルパーの仕事が自分のレベルに達していない」、「ケアマネージャーが作成したケアプランでは母はよくならない」と考えだしてしまうことがあります。

ヘルパーサービスやデイサービスを止めてしまったり、ケアマネージャーの交代を繰り返したりするケースが起こりえます。ついにはケアマネージャーではなく娘がケアプランを作成するセルフプランを行ってしまうこともあります。こうなると、ますます「自分が!」という意識が強くなり孤立してしまいます。

こういった状況で介護をしている母娘は、大変危険な状況にいるので注意が必要です。

(3)介護共依存母娘カプセル型の親子は注意 

介護共依存状態の母娘カプセル型の親子は、孤立してしまうため次のような危険性があります。

外の声が聞こえない

母と娘のカプセル型親子での介護は、狭い空間に2人で生活していることになり、ケアマネジャーやヘルパー、デイサービスのスタッフといった外部に人からのアドバイスや支援が全く入ってきません。

そうなると娘が行っている介護が間違いに気づかなかったり、新しいサービスや制度を知らなかったりします。このことでますます共依存介護がすすんでしまいます。

虐待の危険性

厚生労働省の調査によると、養護者による虐待の件数は年々増加しています。虐待の発生要因としては、「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」が 25.4%で最も多くなっています。

考えられる状況としては、頑張って介護しているのにいつまでたってもリハビリの効果がでない、食事やトイレの失敗が改善しない、という状況が続くと、「私がこんなに一生懸命頑張っているのに」とイライラが募ります。その結果、嫌がるリハビリを強制したり、食事が上手くいかないとつい手が出たりと、虐待に繋がる危険性があります。

(出典:厚生労働省 「平成30年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」)

燃え尽き症候群(バーンアアウト)

さらに、娘が一生懸命には母を介護しても母の体が改善しない、母が施設に入る、母が亡くなった、などの状況になったとき、無力感に襲われてしまう”燃え尽き症候群(バーンアウト)”に陥ってしまうことがあります。

さらに、母娘カプセル型は、お互いに依存しながら生活してきたために、娘は自立ができず、生活もままならなくなってしまう可能性もあります。

(4)介護共依存になりやすい人 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/387303

介護共依存は、いろいろな問題が起きてしまう状態ですが、決して特殊なケースではありません。むしろ身近に起きりうるケースなのです。この章では、どんな人が介護共依存になってしまうのか、介護共依存になりやすい6つのタイプについてご説明します。

世話好きな人

「人のために何かをするのが好き」、「相手が喜んでくれると自分も嬉しい」ということは素晴らしいことです。親の介護のために自分の時間や手間を無理のない範囲で行う分にはいいのですが、「自分のことを犠牲にしてでも…」と度を過ぎてしまうと、「介護がすべて」「母がすべて」となり、介護共依存になってしまうことがあります。

自分の存在や価値を過少評価している人

「私なんていなくても…」と自分の存在を否定的にとらえたり、「私は何をやってもダメな人間」と自分のことを過小評価している人も要注意です。こういったタイプの人が親の介護をすることで、「私は必要とされている」、「喜んでもらえた」ことが生きがいに感じ、そこにすべてを注ぎ込むことがあります。

介護によって得られた「自分を必要としている」という意識は、「もっと喜んでもらおう」と頑張りすぎてしまい、介護共依存になってしまうことがあります。

相手を束縛してしまう人

相手を束縛してしまうタイプも要注意です。高齢になると他に頼るところがないと、どうしても娘に頼らざろう得ないものですが、母が束縛してしまうタイプだと「娘とはこうあるべき」、「娘が小さいときに面倒を見たのだから、今は介護をしてくれて当然」と娘を介護に束縛してしまうことがあります。

また、娘も「元気だった母に戻したい」、「ケアマネージャーが考えている介護では効果がない」と、娘が母の介護や生活スタイルを束縛してしまうこともあります。この2つが合わさると介護共依存になってしまいます。

コミュニケーションが苦手な人

コミュニケーションが苦手な人は、自分が思っていることが言えないために、相手のペースに巻き込まれて、知らず知らずにコントロールされてしまうことがあります。相手にコントロールされ続けられることで介護共依存の関係になってしまうことがあります。

依存体質の人

過度なストレスをもっていたり、何もないと不安という人は、依存度が高い傾向があります。

こういったタイプの人が高齢となり介護が必要になった時、「娘に見捨てられたらおしまい」と恐れてしまうことで、娘の介護に不満があったり、間違った介護と分かっていても、娘の言いなりになってしまうことがあります。これも介護共依存になりやすいパターンです。

(5)介護職が陥りやすい「共依存」

前章で介護共依存になりやすいタイプを5つ挙げましたが、実は、介護の専門職である介護職も共依存に陥りやすいのです。

その理由は次の6つが挙げられます。

  1. 介護職を目指す人は、根本的に「人のために頑張りたい」、「困っている人を助けたい」という気持ちが強い
  2. 利用者が喜ぶなど、仕事の成果が分かりやすい
  3. 利用者との関係性を持つ期間が長くなることが多い
  4. 仕事の性質上、利用者から全面的に頼られる傾向が強い
  5. 仕事の性質上、利用者との関係性が深くなりやすく、感情移入しやすい
  6. 利用者が高齢のため生死に関わることもあり、プライベートと仕事がはっきり区切れていない事業者が存在する(休みの時でも、利用者になか有れば呼び出される)

こういった理由で、介護職の人は介護共依存に陥りやすくなります。

(6)介護共依存の解決方法① 気持ちの持ち方

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/430332

それでは、介護共依存にならないため、または、介護共依存の状態から抜け出すための解決方法をご紹介します。

まず1つ目は、気持ちの持ち方です。

チームケア

一人で介護を抱え込んでしまうと介護共依存になってしまうことがあります。まして介護は期間が長く、終わりが見えないケースが多いので介護者が疲弊してしまいます。

オーケストラの指揮者と演奏者のように、あなたは親の介護の指揮者、実際にケアにあたるのは、プレイヤーである介護の専門職と割り切ることが必要です。介護のポイントは“チームケア”なのです。

自分の時間を作る

まずは介護者自身が健康な状態でいることが必要です。そのためには、介護者の休息も必要です。

また、介護を受ける側と介護をする側の距離を置くことで、介護共依存を予防することができます。短時間のデイサービスや介護施設での宿泊サービスもあります。介護サービスを利用し、介護者としてリフレッシュする時間を作りましょう。

(7) 介護共依存の解決方法② 相談・サービスの利用 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/417780

続いて相談とサービスの利用です。

介護については、初めてのことで分からないことが多く、それでいてプライベートな部分は相談しにくいこともあります。このため介護を抱え込んでしまい、介護共依存に陥ってしまうことがあります。

そこで、この章では、分からないこと、困っていることの相談について、サービスの利用についての2つについてご説明します。

相談

まずは、家族や親しい友人に話をしてみましょう。気持ちがグッと楽になります。また、家族の介護について分からないこと、困っていることなどは、お住いの市の地域包括支援センターに相談しましょう。

地域包括支援センターは行政が設置した介護の専門職が配置された窓口です。地域包括支援センターには看護師または保健師も配置しているので、幅広く相談することができます。なお、地域包括支援センターは行政が設置しているので、個人情報は守られ、相談利用料もかかりません。ぜひ、ご利用してみてください。

サービス利用

ひとりですべての介護を行うのは、精神的にも、体力的にも負担が大きすぎます。介護保険サービスなど公的な制度を利用しましょう。公的な制度であれば費用も抑えることができます。

また、地域で行っている活動や互助会、民間が行っている高齢者向けサービスなどもあります。介護はいろいろなサービスの組み合わせで、あなたを含めた“チームケア”という気持ちで行っていきましょう。

(8)介護共依存の事例 

介護共依存は、決して珍しいケースではありません。介護共依存によって引き起こされた事件もあります。この章では、介護共依存によって発生した事件を2つご紹介します。

娘が母と無理心中を図る

2016年7月、東京都立川市で、介護に疲れた娘(59歳)が同居の母(88歳)と妹(57歳)を刃物で刺し、自分も自殺しようと無理心中を図りました。妹は亡くなりましたが、母と娘は一命をとりとめています。

(出典元:https://www.excite.co.jp/news/article/Sirabee_20161749281/

娘と母の老老介護

2018年8月、兵庫県神戸市東灘区で、やはり介護に疲れた娘(62歳)が母(92歳)の口と鼻を抑えて殺害し、自分も死のうとした事件がありました。

(出典元:https://www.excite.co.jp/news/article/Sirabee_20161749281/

(9)介護共依存は介護疲れ、介護うつにつながる 

介護共依存が怖いのは、知らず知らずに陥ってしまうことです。特に介護は、期間が長くなることが多く、終わりが見えないので、介護者と介護される側がジワジワと介護共依存の状態になってしまうことがあります。この章では介護共依存のよって介護者がとても危険な状態になってしまうことをご説明します。

介護疲れ

過度な期待に応える介護を続けていくうちに、介護者自身の体力が疲弊し、自分の時間が持てず、気持ちも余裕がなくなることで“介護疲れ”を起こしてしまします。

介護うつ

介護疲れや介護によるストレスを発散することが出来ないと、“介護うつ”を発症してしまいます。特に母娘カプセル型は、外部との接点が少ないので、介護を一人で抱え込み、介護うつになりやすい状況です。

(10) 介護の共依存は周りに相談して解決しよう

親を介護することになれば、自分でできる限りやろう、期待に応えようと頑張ってしまうものかもしれません。でも、その結果お互いに依存してしまうと、一人ですべて抱え込んでしまい、良くない方向に進んでしまうこともあります。

色々な人に相談をしたり、介護サービスを頼ったりすることで負担を減らすことができます。家で家族を介護していると、知らず知らずのうちに頑張りすぎているかもしれません。

介護はチームケアという意識で、家族の介護も周りの人や機関と協力して行っていきましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!