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向いている人にきざみ食を|危険性、調理上の注意、レシピなど

セルフケア
介護食の一つであるきざみ食は飲み込む力はあり、噛む力だけが衰えた人に向いています。介護食だからと言って向いていない人にきざみ食を提供すると誤嚥を引き起こす可能性があるので注意しましょう。 きざみ食のメリットやデメリット、向いている人やレシピの紹介、誤嚥の5段階について説明します。
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(1)きざみ食とは


出典:https://www.photo-ac.com/

きざみ食とは、食材を細かく刻んだ食事のことをいいます。刻む大きさははっきりとは決まってはおらず、1~2cmほどの大きさに刻むこともあれば、みじん切り程度の大きさにすることもあります。

高齢になると身体の筋力が衰えますが、それは顎などの噛む力も同じです。食材が大きいと噛む力が必要になってくるため、食材を小さくして食べやすくしています。

しかし、きざみ食は誤嚥の危険性があることから危険視する声もあります。通常のメニューを単に細かくしているだけなので噛む力が弱くなった人でも食事をすることができますが、危険性もあるため注意点を守って作るようにしましょう。

(2)きざみ食が向いている人は

きざみ食が向いている人は、噛む力が衰えてきたものの、食事を飲みこむ力や唾液は一般的な人と変わらないという人です。

噛む力があれば普段は意識しませんが、食事をするには顎の力などが必要になっています。その力がなければ口の中で食材をうまく細かくすることができません。そのため、きざみ食を作ることは噛む力が弱まっている人へのサポートとなります。

しかし、噛む力だけではなく飲みこむ力や唾液の量が減ってきている人の場合、きざみ食にすることで誤嚥になることもあります。きざみ食は食材を細かくしますから、噛みやすくはなりますが飲みこみにくくもなるのです。

つまり、きざみ食は飲み込むことや唾液の量は問題なく、噛む力だけが衰えた人に向いているといえます。

きざみ食以外にも、かむ力・嚥下能力の低下を考慮した食事には以下のようなものがあります。

(3)きざみ食のメリット

きざみ食にするメリットは大きく分けると3つあるので、それぞれ紹介していきたいと思います。

まずメリットの1つ目は、食材が細かいので咀嚼がしやすいということです。

食材が細かく刻まれているので噛む力がなくても食べやすく、噛み千切る必要もありません。細かいので少量ずつを口の中に運ぶこともできます。

2つ目のメリットは、普通の食事と調理過程がほとんど変わらないということです。

基本的には出来上がった食事を細かく刻んでいけば良いだけなので、作る手間がさほどかかりません。全く別の食材を使う、別の料理過程がある、というわけではありませんから、作り手の負担を減らすことができます。

3つ目のメリットは、見た目が良いので食欲がわきやすいことです。

食事には見た目も大事ですが、きざみ食は単に刻むだけなので華やかさがあります。見た目が良いと食事の時間が楽しみにもなるため、食欲がわきやすくもなります。

(4)きざみ食のデメリット① 衛生面

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2200069

きざみ食は、出来上がった料理を細かく刻んで仕上げていきます。基本的にはまな板の上で刻むことになりますが、まな板を使う頻度が多いので食中毒に注意が必要です

万が一、まな板に食中毒の細菌が付着していた場合、その細菌は食材に付着してしまいます。きざみ食は食材を細かくしているので表面積が大きくなってしまうので、その分細菌が付着する可能性が高くなってしまいます。

また、刻み終わった食材を常温に置いたままにすることで更に細菌が繁殖しやすくなってくるので気をつけましょう。きざみ食を作るときは調理器具や温度など、衛生面に気を配る必要があります。

(5)きざみ食のデメリット② 誤嚥の可能性がある

きざみ食は食材を小さく刻んでいるので食べやすいですが、その代わりに誤嚥の可能性があります。

誤嚥とは食材などを気管や気道に入れてしまうことです。

通常であれば食材は食道を通って胃へいきます。しかし飲み込む力や唾液の量が減ると食道ではなく気管へ入ってしまうことがあり、その結果、窒息や肺炎を引き起こすことがあります。

飲み込む力があればさほど問題はありませんが、きざみ食は1つ1つが小さいので口内でまとまりが悪くなりっていまします。すると飲みこみにくくなり、また飲みこむ意思がなくても喉に食材が入るといったことも考えられるので注意をする必要があります。

(6)誤嚥の5つの段階

人間の身体は、食べ物を食べてから胃に流すまで5つの段階を経ています。

1段階目は先行期と呼ばれるもので、食材を目にして食べられるかどうか判断する反応です。唾液や胃液の分泌も行い、体が食べる準備をしていきます。

2段階目は準備期と呼ばれるものです。口の中に入れて飲み込めるように噛み、そして飲み込みやすいように食べ物の形をまとめていきます。

3段階目は口腔期と呼ばれています。飲み込みやすくした食材を喉に入れ、実際に飲み込んでいく段階です。

4段階目は咽頭期と呼ばれ、咽頭から食道に食材を運ぶ段階です。喉から食道へ流していくのですが、この段階がうまくいかなければ誤嚥を引き起こすことになります。

5段階目は食道期と呼ばれるもので、食材を食道から胃へ送っていく段階です。

(7)誤嚥を引き起こした場合の対処法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2564864

誤嚥を引き起こしてしまった場合、その原因となる食材を取り出すことが大事です。

意識がある場合は咳をして食材を吐き出します。それでも吐き出せない場合は、体を横向きにして喉の中を見ながら食材を指でかきだすようにします。このときに指を噛まれてしまうこともあるので、タオルなどで指を巻いて行うと安全です。

窒息している場合は体をうつむけにし、上腹部に片手をあてつつ、もう片方の手で肩甲骨の間を叩いていきましょう。叩く力は強めで構わないので、5回程度叩いて詰まった食材を取り出すようにするとよいでしょう。

意識がない場合は救急車を呼んで対処していきます。しっかり状況を伝え、救急車が到着するまでにできる範囲のことを聞き、指示に従って対処していきます。

(8)きざみ食を作る上での注意点

きざみ食を作る上で注意するべきことを2点紹介していきます。

調理器具は清潔に

きざみ食は食中毒など衛生面でのデメリットがあるため、調理道具を清潔にすることが大事です。生の食材を切る、調理済みの食材を切るときのまな板や包丁は別々にし、消毒も忘れないようにしておきましょう。

仕上げにとろみをつける

きざみ食は食材が小さいので口の中でまとまりにくいというデメリットがあります。とろみがあると口の中でまとまりやすく飲みこみやすくなるため、片栗粉などを利用して食べやすくしていきましょう。

(9)きざみ食のレシピ

きざみ食は普通の調理とさほど過程が変わりません。調理後、または調理前に細かく刻むだけなので特別難しいことではありませんから簡単に作ることができます。

では具体的なレシピを紹介していきます。

塩鮭の大葉合え(一人分)

材料

塩鮭の切身…1切れ

大葉…2g

水…100g

料理酒…5g

作り方
  1. 生の鮭を、水と料理酒に10分ほど浸しておく
  2. 鮭を取り出し水分を取り除いたら7分ほど蒸していく
  3. 鮭が蒸せたら骨を取り除きながら、細かくほぐしておく
  4. 大葉を細かくし、鮭と混ぜて出来上がり

どの程度細かくした方が良いかは人にもよるため、適切な大きさにするようにしてください。

(10)きざみ食にはリスクが伴うことを理解しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/366906

きざみ食は噛む力が弱くなった人に向いていますが、メリットだけではなくデメリットやリスクがあります。向いているかどうかも人によって違いますから、噛む力が衰えているかどうか、飲み込む力が衰えていないかどうかもチェックしてから行うようにしましょう。

飲み込む力や唾液量に問題がない場合でも、とろみをつけるようにすると誤嚥の予防ともなります。衛生面での心配もあるので調理道具は用途によって使い分け、除菌もするようにしておくと安心です。

きざみ食のレシピには様々なものがありますが、単に便利な食事ではなくリスクもあるということをしっかり知り、安全に気を付けて作っていきましょう。

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