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介護ストレスの原因 | 解消方法・認知症の場合の心得、うつ病のリスクも

悩み
介護ストレスは、介護の需要の増加とともに増大しているといえます。在宅介護でストレスを感じ、上手く対応できずに虐待してしまうという事件も起こっています。この記事では、介護ストレスの解消方法、セルフチェックについてや認知症の場合の心得をご紹介します。
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(1)介護ストレスとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1032554

介護をしていると、さまざまな理由からストレスを溜め込んでしまいがちです。介護におけるストレスの原因は、主に「物理的なものか心理的なものである」と言われています。

例えば、常に移乗や移動の介助をすることは体力的に大きな負担となりますし、認知症の方は昼夜問わず活動し、介護者はゆっくりと休息をとる事が出来なくなることが考えられます。また、認知症では特に、何度も同じ話をしたり介護者に対して暴言を吐く事も珍しくありません。

認知症による症状だと分かっていても心のどこかに負担を感じてしまいます。また、自由な時間が取れなかったり周りの眼が気になったりするだけでなく、金銭面でのストレスを感じる事もあるでしょう。

このような介護で感じるストレスがたまっていくと以下のような段階を経ていきます。

警告反応期:  

  
自律神経のバランスが崩れている状態
抵抗期: ストレスに対し適応し拮抗している状態ですが、この状態を維持するのには大変なエネルギーを必要とする
疲憊期: 体と精神がストレスに対抗できなくなり、ストレス耐性が衰えはじめ疲弊した状態が継続。ストレスが続けば更に体や精神が衰弱し、介護うつの発症の可能性が高くなる

ストレスを溜め込み疲憊期にまで進行し、介護うつが発症すると、大切な人の介護がままならない状態になります。

介護によるストレスを上手に発散するために、まずはストレスの要因を明確にしましょう。何に疲れているのか、何が不安なのかということが具体的に分かるだけでも、心が軽くなる可能性があります。

(2)介護ストレスの原因① 経済的な負担

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1641624

公益財団法人 家計経済研究所の在宅介護にかかる費用の調査によると、平均して月額6万9千円ほどの介護費用が必要とされています。

しかし、その他に生活にあたっては必要な費用も在る為一概にこの費用だけで済むとは言い切れません。たとえば介護保険では、介護度によって利用できるサービスと限度額が設定されており、それ以外のサービスを利用する場合は全額負担となります。

その他医療負担などもありますので、介護が何年続くのかわからない状況では頭を悩ませる問題の一つになります。

公的サービスだけで、介護を行える状況は今後更に厳しくなっていくでしょう。そのため、事前に金銭的不安がある場合はケアマネージャーや公的機関に相談することをお勧めします。

(参考:公益財団法人家計経済研究所

(3)介護ストレスの原因② 精神的な負担

終わりが見えない

介護は子育てとは異なり、いつ終わるのかわかりません。子育ての場合、子どもが成長し自立するにしたがって少しずつ楽になっていき、将来の見通しも立てやすいです。

一方で介護の場合は、最終的には要介護者を看取るまでになりますが、先は見えず、しかも症状が悪化していくケースがほとんどです。

負の感情と自己嫌悪

介護疲れの結果、要介護者の死を望んでしまったり、そしてそれによって自責の念に苛まれたりする介護者もいます。これまで頼りにし、敬愛の念を抱いてきた相手の介護をするという事実に葛藤を覚えるものです。

要介護者に自分の意図が伝わらなくて苛立ちを覚える、要介護者の言動に我慢できなくなってつい怒鳴ってしまい、そのたびに自己嫌悪に陥るといったこともあります。

人間関係と孤独感

介護の責任が誰か一人に集中してしまい、相談したり協力したりしてもらえる相手がいなければ、介護者は一人で思い詰め、強烈に孤独を感じてしまうことが多くなります。

ある研究には、義理の親の介護についてはさほどストレスを感じない方が多いという結果があります。これは、ある意味では、割り切った関係であるからだと言えるでしょう。

一方、息子・娘が親の介護をしている場合、ストレスによって虐待をしていまうケースが数多くあるといわれています。対外的には介護は問題なくできていると話すことが多いため、虐待の早期発見が遅れる傾向があります。虐待をしてしまう介護者に共通しているのは、社会的に孤立し相談する相手がいないという点です。

肉親であるからこそ、ストレスを表面化できないという悩みを抱えているケースは少なくありません。また、遠方に住む親類からの介護についての意見は、介護者にとっては心無い発言に思えたり、批判のように感じたりし、当事者しか分からないストレスを増大させる可能性があります。

日頃から、本音を話し合える場や相談者がいてくれるとストレスの軽減に有効となるでしょう。

周囲の非協力的な姿勢にストレスがたまり、なぜ自分だけ自由がないのかという怒りや不満になり、家族間でもめごとが発生する可能性もあります。

またヘルパーやケアマネージャーなど介護スタッフとの相性が合わず、介護サービスに不満があっても言い出せないことが精神的な負担になってしまうこともあります。

精神的な介護疲れが蓄積すると、介護うつに発展しやすくなります。

(4)介護ストレスの要因③ 身体的な負担

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/346365

肉体労働をともなう介助

毎朝の起床介助から始まり、移動介助や体位介助、衣服の着脱、食事や排泄や入浴の介助など、介護にはさまざまな肉体労働がともないます。

介護者は要介護者の体を一日に何度も持ち上げたり支えたりするため、腰、膝、肩、腕などに過度な肉体的な負担がかかります。

また、現在では高齢者が高齢者を介護する老老介護も多くなりました。体力のない高齢者が介護をするとなると、その分肉体的な負担はきわめて大きいものとなり、介護疲れを引き起こしやすくなります。

十分な休息を取れない

昼夜問わずの長時間労働で休息時間が持てず、介護者が寝不足に陥ったりすることもあります。とくに介護者が仕事をしている場合、過労による体調不良やうつ病を引き起こすおそれがあります。

見守り程度の介護でも、身体的な負担を感じることがあると言われているので、介護対象者が寝たきりであったり移動に介助が必要になったりすると、身体的負担からくるストレスはさらに大きなものになります。

また、後述しますが、認知症を患っている方の介護の場合、そうでない場合の数倍のストレスがかかってしまうケースが多く存在します。特に、夜間に徘徊することがあったり幻覚を見たりする方の介護を一人でしている場合、介護者も安眠できる時間が限られてしまうため徐々に身体的負担がたまりストレスが大きくなっていきます。

(5)ストレスを抱えやすい認知症介護の心得

認知症の症状の一つに、「物忘れの頻繁化」、すなわち、今起きている事は理解できても数分後には忘れてしまう、ということが起こりやすくなることがあります。

食事をまだ食べてない、などと繰り返し訴えるのはそのためです。夕食を食べた過去も、トイレに行った過去も忘れてしまうのです。

反論するのではなく話を合わせる

忘れてしまっている事や全く意味不明な話をされても、認知症の方には今起きている事が全てなので、反論したり言いこめたりすることは推奨されません。

介護者はどうしても「さっき説明したでしょう」「さっきしましたよ」と返事をしてしまいがちですが、認知症の方にとっては、何も起こっていない事が事実として認識されています。それを否定されると、混乱し不安に感じてしまいます。

認知症の方と接する際には、できる限り話を合わせてあげるようにしましょう。話の内容は深く考えず聞き流してしまっても問題ありません。

何度も同じ話をされたり、罵倒されたりしても苛立って怒鳴ることのないよう、考えすぎないことを意識しましょう。

(6)ストレスをためすぎると介護うつになってしまう事も

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1689463

介護のストレスをため込みすぎると、介護うつになってしまう可能性があります。うつの一般的な症状は以下の通りです。複数の症状が当てはまる場合、医師に相談したり、介護のやり方を再検討する必要があります。

うつの一般的な症状

食欲不振

「うつ病」を患っている人の多くに現れる症状の一つです。何を食べてもおいしくないと感じるようになり、食欲がなくなります。物をあまり食べなくなるので、体重減少にもつながります。

睡眠障害

食欲不振と同様、うつ病と呼ばれる病気の症状として多くの人に見られるものの一つです。寝つきにくい、眠っている間に何度も目が覚める、朝早く起きてしまい十分な睡眠がとれない、などの症状が現れます。 

疲労感や倦怠感

激しい運動や長時間労働をしているわけではないのに、体がすぐに疲れてしまい、いつもだるく感じるようになります。中には、ひどい肩こりや頭痛がする人もいます。体が重く感じられるために何をするのも億劫になり、活動する意欲が衰えて無気力になります。 

不安感や焦燥感

原因不明の焦りや不安な気持ちが付きまといます。イライラして気持ちが落ち着かなくなることもあります。人によっては、同時に神経質になり、騒音や物音が気になるようになります。

憂鬱感や思考障害

気分が落ち込んで物事に消極的になり、人と会話することが億劫に感じられます。その結果、周囲の出来事や話題に興味・関心が少なくなって、一人の世界に入り込むようになります。
思考障害が起こると、頭が思うように働かず、仕事の効率が落ちます。また、物事をネガティブに考えるようになります。

上記の症状が1日中見られ、さらに連続して2週間以上続くと、うつ病の可能性が高いといえます。症状が進行すると日々の生活に支障を来すため、「もしかしてうつ病かな」と思ったら、早めに手を打つようにしましょう。

介護うつになりやすい人の特徴としては、以下の3つが挙げられます。

  1. 責任感が強い
  2. まじめで几帳面
  3. 完璧主義

これは介護うつだけでなく、一般的なうつ病にも当てはまります。

(7)介護ストレス解消・軽減方法① 一人で抱え込まない

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1889668

(1)でもお話ししましたが、ストレスはたまりすぎると身体的にも精神的にも影響を及ぼします。それが介護が原因であれば「介護うつ」になる可能性もあります。

悩みを話し合える相談者や場所などを自分なりに探し、どうしても他の人には話せない内容であるならば、公的な相談所を訪ねてみるのも良いでしょう。

(8)介護ストレス解消・軽減方法② 介護サービスの利用

介護疲れの対処法として、介護サービスを利用する方法があります。

専門的知識を有した介護スタッフが駐在しています。複数の利用者と共同生活を送りながら、日常生活上の支援や機能訓練サービスを行います。認知症患者にも対応しています。

公的介護保険の支給限度額を考慮しつつ、ケアマネジャーに依頼して必要な介護サービスを提案してもらいます。

介護のどの部分を自分が行い、どの部分をプロに任せるかの判断を明確にすることがポイントになります。体裁にこだわらず、介護者の正直な要望や気持ちをケアマネジャーに伝えることが大切です。本音を話すことで、精神的にも介護疲れを軽減する効果があります。

介護者の負担軽減につながる主な介護サービスは、以下のとおりです。

  •  訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • デイケア・デイサービス
  • ショートステイ

保険適応外のサービスの利用もできる

経済的に余裕があれば、介護保険適用外の有償のサービスを利用する方法もあります。全額自己負担となるサービスもあるため、利用の際は費用をよく確認しておきましょう。

利用する場合は、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談するほか、近所の口コミやインターネットの情報を参考にすると良いでしょう。

同居家族がいる場合の掃除、洗濯、買い物、調理などの日常生活援助、リハビリ目的でない散歩、旅行の付き添いなどが、介護保険外サービスとして利用できます。

(9)介護ストレス解消・軽減方法③ 行政が行っているサービスの利用

行政サービスも活用することで、介護疲れを軽減できます。

市区町村や地域包括支援センターの窓口やウェブサイトなどで、どのようなサービスがあるかを確認するとよいでしょう。また、地域の行政や福祉団体が開催する、無料の講習会・研修会などに参加して情報収集することもできます。

各市区町村には独自の高齢者支援サービスがあります。その中でも代表的なものが、紙おむつ助成です。おむつにかかる月額数万円の費用のうち、何割かが助成されるため、経済的負担が軽減されます。

国の制度には、介護サービス費や医療費が高額になったときに、

  • 高額介護サービス費
  • 高額医療費
  • 高額医療合算介護サービス費

など費用負担を緩和する制度があります。

市町村に設けられている地域包括センターや介護相談専用の窓口を活用してもよいでしょう。

各都道府県に1つずつ用意されている高齢者相談センターは、シルバー110番とも呼ばれています。相談料は無料で、電話で相談できます。面接なども行ってくれますし、専門的な助言が期待できます。

また、通院している病院の専門職員(ソーシャルワーカーなど)に相談することもできる場合があります。

介護疲れを一人で抱えて思い悩み続けると、知らぬ間に視野が狭くなり、精神的にも追い込まれてしまうかもしれません。ストレスを溜め込まないよう、普段から誰かに相談するように心がけておきましょう。

(10)介護ストレス解消・軽減方法④ 介護施設の利用

デイサービスやショートステイを利用しても自宅で介護し続けることが困難で、介護離職や介護うつを引き起こしかねないときは、介護施設を利用するのも選択肢になります。

介護施設の利用には、周囲から非難されたり、家族を見捨てたと罪悪感を覚えたりして自責の念を自ら強めてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、介護施設の利用というのは、決して周囲から非難されるべきことでも、家族を見捨てることでもありません。

在宅での介護にこだわった結果、介護する側が介護疲れを悪化させ、介護者も被介護者も不幸になってしまう場合があります。

被介護者のことだけではなく、自分の心身の健康についてもよく考え選択しましょう。施設への入所は介護者の介護疲れを解消するだけでなく、被介護者にとっても同年代の仲間と接する機会が増えるなどのメリットがあります。

介護施設には以下のようなものがあります。

特別養護老人ホーム

特養とも呼ばれ、長期間にわたる入所が可能です。

入所費用が比較的安く、終身利用できます。老人ホームでは、日常生活の介護や機能訓練、レクリエーションが提供されます。要介護の度合が進んだ人でも受け入れてくれます。

ただ、入所希望者による順番待ちが多いです。各施設の入所を検討する委員会により、入所優先順位が判定されます。

介護老人保健施設

老健とも呼ばれます。3か月に1回の判定が行われるため、長期入所は難しいです。特養に比べて機能訓練が手厚いという特徴があります。

グループホーム

これらの施設の存在を知り、いざというときの選択肢を持っておくことは、介護疲れを軽減したり回避したりするために役立ちます。

▼上記施設についての詳しい記事はこちらから

地域密着型特別養護老人ホームとは|料金やメリット、人員基準など

介護老人保健施設(老健)とは | 費用や介護老人福祉施設との違い

グループホームとは | 費用や老人ホームとの違いなど

(11)介護で感じるストレスを減らそう

介護ストレスは、プロであっても感じるものです。ストレスを軽減するには介護に対する考え方や、対象者の性格やこれまでの人生などを良く思い返す事が必要でしょう。

そして、一人で抱え込まない事が最も重要です。日頃から介護者の会合に参加したり、相談できる人を探しておくと良いでしょう。また、介護保険などのサービスを上手く活用して、なるべく自分自身に負担の少ない介護を心がけましょう。

時には気分転換できるように、自分だけの時間を持つことも必要です。その為に介護保険や民間サービスを組み合わせて利用するのが良いでしょう。

また、認知症の方の場合は、とにかくその方のお話を否定しないことが重要です。説得はさらに介護を困難にすることがあります。問題ない範囲の訴えであれば、その訴えに同調して安心させてあげることが両者が円満でいられる秘訣となるかもしれません。

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